寸借詐欺とは|知っておくべき手口と被害にあった場合の対処法

弁護士法人ネクスパート法律事務所
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寸借詐欺とは|知っておくべき手口と被害にあった場合の対処法

寸借詐欺(すんしゃくさぎ)とは、「財布を落とした。」「ATMが使えなくなった。」などと嘘をつき、少額の現金を借りるふりをしてだまし取る詐欺のことを言います。最初は観光客のふりをして道案内など軽い要求をしてから、徐々に要求を釣り上げていくうえ、少額なので断りにくいのが厄介なところです。

このページでは、寸借詐欺の手口と寸借詐欺からお金を取り戻すのは難しい理由、寸借詐欺に対抗する方法、詐欺被害を未然に防ぐ方法をご説明します。

 

あなたの知りたいことは?

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①寸借詐欺の手口

ここでは、寸借詐欺が被害者からお金をだまし取る手口を見ていきましょう。

人の善意につけ込む

  • 「財布をなくしてしまった」
  • 「〇〇まで帰れない」
  • 「通帳を落としてしまいお金を引き出せない」

などと悩んでいるふりをして、こちらの善意につけ込んできます。場合によっては被害者の方から「お金を貸しましょうか?」と申し出てしまうこともあり、もし詐欺が発覚しても「私から貸してくれといったわけじゃない」と言い逃れする余地を与えてしまいます。

外国人旅行客を装う場合もある

困っている外国人観光客に優しくする人も多いでしょう。場合によってはタダでお金をあげてしまうことすらあるかもしれません。

断りにくくする

寸借詐欺では、被害者が断りにくくなるような工夫をしてきます。例えば、「東京に行きたいのですがどうすればいいですか?」と大阪で外国人に聞かれたとします。被害者は行き方を伝えますが、歩いていける距離ではないため「新幹線で行くといい。」と自分の口から説明してしまいます。

しかし、詐欺師は新幹線に乗るお金がないことをほのめかします。被害者は、自分から新幹線に乗ればいいと言ってしまった手前、お金を貸さなきゃいけないような気持ちになっていきます。結果的に新幹線代を渡してしまう方もいるでしょう。

被害額数千円~3万円程度と少額

また、相手が提示する額も少額なので、断ったら自分はケチで思いやりのない人間だと後味の悪い思いをしなければいけなくなります。「少額だしまあいいや…。」と思える金額を提示し、財布の紐を緩めるのが詐欺師の狙いです。

いきなり声をかけてくる

いきなり巻き込まれるのが寸借詐欺です。寸借詐欺の存在を知らなければ、詐欺にあっているとすら気づかないでしょう。

信用させる

時には有名企業の社員や、大学の職員などに成りすまして被害者を信用させようとする場合もあります。例えば、パナソニックの社員に成りすまして寸借詐欺を働いたケースもあるようです。

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被害者が『少額だしいいや』と考えてしまうため事件になりにくい

すでにご説明した通り、寸借詐欺の被害額は少額のため、わざわざ被害届を出さない人も多いようです。しかし、それこそが詐欺師の狙いなのかもしれません。

『返すつもりだった』と言い逃れできる

詐欺として警察に捕まえてもらうには、加害者が詐欺目的であったと証明する必要があります。裏を返せば、もし『返すつもりだった』と主張されれば詐欺として逮捕してもらうことはできません。

②寸借詐欺からお金を取り戻すのは難しい理由

あとで寸借詐欺にあった場合の対処法も書きますが、犯人を逮捕したりお金を取り戻したりするのは現実的に難しいようです。まずはその理由からご説明します。

詐欺と断定するのが難しいから

騙そうとする意思があったか明確にわからないのが寸借詐欺の難しいところです。先にも触れたように、詐欺と断定できない以上は警察に被害届を受け取ってすらもらえない場合もあります。なぜ詐欺と断定できないのでしょうか。理由は2つあります。

証拠が残りにくいから

例えば、「バス代を貸してください。」と言われ数百円を貸したとして、借用書を書かせたりしないですよね。相手に嘘の電話番号を教えてもらうだけで安心してしまい、免許証で顔と住所を確認したり、顔写真を撮っておいたりなどはしないはずです。

証拠がないまま警察に行っても、「詐欺に遭いました、顔も名前も住所もわからない相手にお金を貸しました。証拠はありません。」としか言えません。

少額なため被害届けを出さない人も多いから

「ま、いいか」と思ってしまいやすい金額で、わざわざ被害届を出す人が少ないので、警察に手口や犯人の特徴に関する情報や証拠がなかなか集まりません。

騙されたとわかるまで時間がかかるから

いつお金を返すつもりなのかわからないため、騙されたとわかるまで時間がかかります。その隙に犯人が行方をくらましてしまうこともあります。

相手に支払い能力がなければ返してもらえないから

捕まえること自体が難しい上に、捕まえたとしても犯人に支払い能力がなければ、被害額を回収できません。犯人を探して詐欺を実証するのにもお金がかかるため、お金が返ってきたとしてもほぼ赤字になります。

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③どうしても寸借詐欺が許せない人は

③どうしても寸借詐欺が許せない人はここまで寸借詐欺を捕まえるのは難しい理由を見てきましたが、それでも腹の虫が収まらない人もいるでしょう。ここでは、そんな人のために寸借詐欺に反撃する方法をご説明します。ただし、寸借詐欺を捕まえるのは難しいので、この方法を試せば必ず捕まえられるわけではありません。

まずはこちらをご覧ください。

石川県警津幡署は15日、コンビニで現金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで富山県氷見市柳田、無職、加野貴昭容疑者(42)を再逮捕した。再逮捕容疑は昨年9月17日、石川県津幡町のコンビニで「友人の車に財布を忘れた。帰るための交通費を貸してほしい」とうそを言い、30代の男性店長から6千円をだまし取ったとしている。「返すつもりだった」と容疑を否認している。

引用元:産経WEST『コンビニで寸借詐欺容疑、富山の42歳男を再逮捕 石川県警

これは、寸借詐欺が逮捕されたニュースです。なぜ逮捕できたのでしょうか?その理由は

  • 現行犯で逮捕できた
  • 同様の手口の事件が60件発生していた

この2つに集約できます。ニュースにも書いてある通り、犯人は「返すつもりだった」と容疑を否認しています。その場合詐欺として断定できないため、寸借詐欺の加害者を逮捕するのは難しい。しかし、今回は同じ手口が発生しているのを警察が認識していたため、詐欺だと証明できたのです。

この事例から考えると、被害者のあなたができる行動は次の3つです。

  • 犯人の特徴や手口を細かくメモしておく
  • ツイッターなどのSNSで拡散し、被害を呼びかける
  • 警察に被害届けを出し、詐欺師の手口を認識してもらう

被害にあった人たちがこれらの情報を警察に呼びかけることで、詐欺と断定するのに十分な証拠を集められる可能性があります。

 まずは警察相談専用電話に相談

また、このようなケースが他にも発生している可能性もありますので、まずは電話で政府広報オンラインの『警察相談専用電話#9110』に相談してみることをおすすめします。

 罪や事故の発生には至ってないけれど、ストーカーやDV・悪質商法・近隣や職場でのトラブルなど、普段の生活の安全や平穏に関わる様々な悩みごとや困りごとを抱えていませんか。そのようなときには、警察相談専用電話#9110にご相談ください。全国どこからでも、その地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。そして、警察では問題解決に向けて、相談者の要望などを尊重しながら様々な対応を行います。

引用元:政府広報オンライン|警察相談専用電話 #9110

110番とは何が違うのか?

警察への相談といえば『110番』が一般的ですが、『110番』は、今すぐ警察官に駆け付けて欲しい緊急の事件などを受け付ける緊急回線ですが、#9110であれば『有料サイトからの料金督促』など、そこまで緊急ではない案件に対応してくれる窓口になります。

【問題解決のための警察の主な対応】

助言・指導 相談者の生命、身体、財産に危害が及ぶおそれがなく、犯罪に至るおそれのない事案については、採り得る法律上または事実上の手段などを助言・指導(相手への対応方法の助言、防犯機器の紹介、緊急時の警察への通報方法の通知など
他機関の紹介 他の行政機関などを紹介することで問題解決が図られる場合
指導や警告・説得 相談時点では刑罰法令に触れないが、将来、相談者などに危害が生じるおそれがあると認められる場合は、相手方に対する指導、警告または説得
検挙、補導 相談に係る事案が刑罰法令に抵触すると認められるときは、捜査担当部門に引き継いで、被害届の受理、必要な捜査を行い、被疑者を検挙・補導

参考:政府広報オンライン|警察相談専用電話 #9110

生命の危機ではない詐欺事件に対しても相談に乗ってくれます。場合によっては他の専門機関へ紹介してくれますので、まずは警察相談専用電話『#9110』を利用していただくのも有効かと思います。

▶︎政府広報オンライン|警察相談専用電話 #9110

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▶『詐欺にあったらすぐやらなければけないことと詐欺と戦うための必須知識

 

④寸借詐欺を未然に防ぐには

寸借詐欺からお金を取り戻すのは難しいので、できれば未然に防げるとベストです。そのためには寸借詐欺の手口と、以下の対処法を知ることが大切です。

知らない人にお金を貸さない

知らない人にお金を貸す時点で返ってくると考えないほうがいいでしょう。知り合いに貸しても返ってくるかわからないのに、知らない人が返してくれると思うのはあまりにも人を信用しすぎです。

写真を撮る

寸借詐欺に限らず、詐欺師は証拠を残したがりません。「お金を貸すから証拠を残させて」と言い、写真を撮る素振りをしましょう。本当に返す気があるなら応じるはずです。

その場で身元確認をする

氏名、運転免許証、社員証、住所、電話番号を確認して写真を撮っておきましょう。借用書まで書かせられれば十分な証拠になります。最も、詐欺師であれば要求に応じないか、逃げていくはずです。写真を撮って交番に届けましょう。

その場で教えられた電話番号にかけてみる

相手から電話を教えられることもあります。「これは携帯の電話番号ですか?」と確認した上で、その場で電話をかけて繋がるか確認しましょう。

交番に案内する

「交番でお金を貸してもらえるから行きましょう。」と言って反応を見ます。実際に、帰りの運賃がないときなどに、交番で相談をすれば貸してくれます。詐欺師であれば交番には行きたがらないでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

寸借詐欺からお金を取り戻すのは現実的に難しく、捕まえようとしても探偵などに支払う費用がかかり、確実に赤字になります。1番いい対処法は、詐欺に引っかかった事実を素直に認めて反省し、次回以降引っかからないようにすることではないでしょうか。

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2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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