催眠商法(SF商法)の手口と対策とは|催眠にかける手口を解説

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
催眠商法(SF商法)の手口と対策とは|催眠にかける手口を解説

催眠商法(さいみんしょうほう)とは、お得情報で人を会場に集め、参加者の気分が上がるようなトークや無料プレゼントなどを繰り返し、冷静な判断力を奪った段階で商品の価格を釣り上げていく悪徳商法のことです。

商品が欲しい参加者に「ハイ!ハイ!」と挙手をさせることからハイハイ商法と呼ばれていたり、他にもはじめてこの手法を使った団体にちなみSF商法などと言われていたりします。

今回は催眠商法の騙しの手口と具体的な事例をお伝えしたうえで、騙されないようにするにはどうすれば良いのか、騙されてしまったらどうすれば良いのかについてご説明します。

催眠商法の手口|なぜ騙されてしまうのか

なぜ何十万円もする日用品を買ってしまうのか不思議には思わないでしょうか。確かに、催眠商法に騙されない人もいます。しかし、性格や精神状態によって、特定の条件が揃うと一部の人は騙されてしまうものです。

ここでは催眠商法の手口と騙されてしまう理由を確認していましょう。

お得感のある誘い文句でターゲットを会場に集める

  • 街頭でくじを引かせて景品が当たったからと会場へ連れて行く
  • 「新店舗のご案内」と言った内容のチラシをポストに入れておき、試供品の提供時間を記載しておく

上記のような方法で、あたかもお得な情報であるかのようにターゲットを錯覚させ、会場へと足を運ばせます。この段階では悪徳商法なのか、本当にお得なのか判別がしにくいため、つい会場に行ってしまいがちです。

無料もしくは低価格で“よさそうなもの”を配りまくる

無料で良いものをもらって嬉しくない人はいないですよね。催眠商法の業者は、最初に無料のプレゼントを繰り返し、冷静な判断力を奪うための仕掛けを始めていきます。

この段階でプレゼントされる商品には

  • 米、パン、卵などの食品
  • 容器やザル、布巾などの日用品
  • ひざ・手首のサポーターなど健康グッズ

などがあります。

数に限りがあると伝える|希少性の法則

ただ無料の物をもらうだけではそんなに嬉しくありませんが、「数に限りがあります」と言われるだけで、本当は必要ないものでも欲しくなってしまいます。これを心理学では「希少性の法則」と言います。

テンションをあげさせて冷静さを奪う

「この商品が欲しい人~!」「ハイ!ハイ!」というように、無料でプレゼントをする前には手をあげさせて「ハイ!ハイ!」と大きな声で言わせます。

数が限られているため、欲しいものが他の人に取られることもありますが、希少性の法則で自分が貰えると嬉しくなるものです。

この段階では、

1.新しい商品を見る

2.手を挙げてハイハイ言う

3.商品を貰える

4.得をしてとても嬉しい(快感)

という流れをターゲットの無意識下に刷り込みます。他人に取られないためにも、ターゲットは商品を紹介されたら条件反射的に「ハイ!ハイ!」と手を挙げますが、この行為を繰り返すうちに「手を挙げると快感を得られる」と学習していきます。

商品価格を釣り上げていく

ターゲットが上記のように学習したタイミングで、商品の価格を少しずつ釣り上げていきます。最初は100円の商品からはじめて、最終的にはトータルで20万円から50万円程度購入させられることが多いようです。

小さな要求から承諾させ、徐々に要求を釣り上げていくことで相手の抵抗感を減らす手法をフット・イン・ザ・ドア・テクニックといいます。

身近な客寄せテクニック

ビジネスでも、無料やお得というのは客寄せのためであって、本来の目的はその先にある商品を購入してもらうことです。

極端な例でいれば、100円ハンバーガーや最安値の牛丼も仕組みは似ています。それだけだと物足りないので、セットで頼んだりトッピングをしたりして、意外と高いお金を払ってしまった経験は誰にでもあるでしょう。

もちろんモラルや法律に反しているかいないかという違いはあります。ただ、「お得」や「無料」の怖い点は最終的にお得じゃなくなることですから、本当の意味で“得”をするためにも覚えておきましょう。

催眠商法よく売られる高額商品

催眠商法でよく売られる高額商品は日用品が多いようです。

  • 健康器具
  • 高級布団
  • 健康食品
  • 浄水器

絶対に必要ではないけれど、「あったらいいな」というような絶妙なラインの商品が用意されています。そして、すでに説明したような方法でターゲットに「あったらいいな」と思わせるのです。

隔離された会場で外界からの情報を遮断する

隔離された空間に閉じ込めて外部からの情報を遮断することで、情報をあらゆる角度から判断できなくなっていきます。

また、みんながしていることと同じ行動をしたくなることをバンドワゴン効果といいます。「ハイ!ハイ!」と高いテンションで手をあげている人が多くいると、自分もそうしたくなります。

全体を通して言えることですが、親和欲求(人と仲良くしたい欲求)が強い人が騙されやすい傾向があるように思います。

  • 人に嫌われるのがどうしても怖い
  • みんなにいい顔をしてしまう
  • 誰かといないと寂しい
  • 一人でいるのは嫌だ

といった特徴がある人は騙されやすい傾向がありますから気をつけましょう。

被害者自身が「自分はいい買い物をした」と自己暗示してしまう

  • 人は自分の失敗をなかなか認められません。自分が間違った行動をしてしまうと、その行動をして正解だった理由を集めて合理化しようとします。ですから、騙されていたとしても
  • 「オトクな買い物をした」
  • 「高いけど長く使えるものだから」
  • 「業者の人に良くしてもらったから」

などと、正しいことをしたのだと自分自身に言い聞かせるようになります。

催眠商法の事例

催眠商法の事例

ここで国民生活センターに寄せられた実例を確認しておきましょう。

一人暮らしの母親が住む実家を久しぶりに訪ねたところ、床の間や仏壇に見覚えのない高価な商品が置かれていた。さらに押し入れの中にも多くの商品があり、驚いて母親に事情を訪ねたところ「数年前から親切にしてくれる販売業者がいて、そこから買った」という。

 さらに詳しく聞くと、「最初、誘われて展示会に行ってみたら、販売業者の話がとても面白く会場に行くことが楽しみとなった。続けて何回か通ううちに特定の販売員と顔見知りとなって親しくなり、体調のことなども親身に相談にのってくれた。品質も良いらしいので、勧められるまま商品を買ってあげるようになった」とのことであった。

 判断力が低下している高齢者に対して、高価な商品を次々と販売するのは問題なのではないか。解約・返金してほしい。

(相談者:50歳代 男性 給与生活者/契約当事者:80歳代 女性 無職)

引用元:国民生活センター

  • 販売業者が親切にしてくれる
  • 販売業者の話が面白い
  • 会場に行くのが楽しみ
  • 品質も良い

などと自分の行動を合理化しているような言い回しが随所に見られ、高い買い物をしたことに対して自分を納得させようとしている様子が伺えます。

とはいえ、高齢者にもなると人のつながりが希薄になったり、仲のいい知人と死に別れたりしてどんどん孤独になる場合も少なくありません。

一人で寂しい思いをしているときに、親切にしてくれる人が現れたらすがりたくなってしまう気持ちが芽生えてしまうのも自然なことかと思います。

催眠商法に遭わないための予防策

一旦冷静でなくなってしまうと、その精神状態で正しい判断をするのは困難です。平常心でいるときに、騙されたときにどうするかを決めておくようにしましょう。ここでは、催眠商法に遭わないための予防策をお伝えします。

信頼できる人間関係をつくっておく

すでに、親和欲求が強く、人と仲良くしたい人や嫌われたくない人が断りきれず手口にハマっていくとお伝えしました。

裏を返せば、信頼できる人間関係が出来上がっていればそこが心の拠り所になりますから、催眠商法の業者など怪しい人に執着しなくても欲求が満たされるようになります。

新しく人間関係を作っても良いですし、地域の集まりに顔をだすのでも構いません。ご家族とのコミュニケーションを増やすのも良いでしょう。満たされない欲を悪い人に満たされてしまわぬよう、あらかじめ対策をします。

お得な理由を考える癖をつける

良いお得と悪いお得があるように思います。

例えば、閉店間際のスーパーで半額になっている商品を買ったとしたら、自分も安く食品を手に入れられますし、スーパーも食品を廃棄せずに済みます。Win-Winです。

逆に、催眠商法のように無料で商品を提供する手口などは、一見お得かもしれませんが、最終的に金銭面で得をするのは業者のみです。

「無料」「お得」なものを見たら、なぜお得なのか、相手にどんなメリットがあるのかを考えるクセをつけてみてはいかがでしょうか。

自分は騙されていると気付けるようにする

例えば、今まさにあなたがしているように、インターネットで悪徳商法の手口を知ろうとするのも、被害を未然に防ぐことにつながります。

手口や騙される理由を理解しておけば、悪徳なセールスを仕掛けられたときに気づきやすくなりますから、何も知らない人よりもいろんな対処法をとれるようになります。

冷静でなくなったときにどう行動するかあらかじめ考えておく

心が乱れているときには適切な判断ができなくなります。催眠商法に関しては、次のことを決めて守るだけで被害を減らせるでしょう。

  • 冷静でないときに商品は買わないと決める
  • 衝動買いはしないと決める
  • 怪しいと思ったらすぐ逃げる

感情や周りに流されて行動しないようあらかじめ決まりを作っておき守るようにしましょう。

商品を買わなかったときの損ではなく、買った場合の損を考える

みんな損をしたくはありません。催眠商法の場合、数に限りがある商品を他人に取られると損した気持ちになります。

ただ、高額な買い物をしたら家計にとって明らかに大損です。高額なものを買おうとしているときは、このように考え方をシフトできるようにしておきたいものです。

催眠商法に遭った際の対処法

いらないものは返しましょう。催眠商法への対処法はこれにつきます。購入後8日以内であればクーリングオフをすることができます。そうでなければ別の対応をして返品することになります。

クーリングオフをする

催眠商法はクーリングオフが適用されるので、購入後8日以内であればクーリングオフができます。また、8日を超えていても契約書をもらっていない場合や、契約書の内容に不備がある場合は8日以降でもクーリングオフできます

ハガキに次のように記入したら両面のコピーを取って、特定記録郵便か簡易書留で販売会社に送付しましょう。

契約を取り消す

クーリングオフができなくても、契約を取り消せる別の方法があります

客観的事実と異なる説明をして商品を契約させることを不実告知といいます。「糖尿病に効く」「腰痛が改善する」などの説明が嘘だった場合、その契約を取り消せます。

第四条  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

引用元:消費者契約法4条1項1号

解決できる人に相談する

他にも、販売である目的を告げないまま勧誘する行為(ブラインド勧誘)のように催眠商法は法律に違反した行為をしていることも少なくありません。

契約を無効にできる可能性は大いにありますから、例えば次の機関などに相談して各自の状況に応じて対処法を教えてもらうと良いでしょう。

催眠商法に遭った際の相談先

最後に、催眠商法に遭った際の相談先をお伝えします。

警察

#9110に連絡すると、生活の安全に関する不安や悩みを相談できます。

  • どのように勧誘されたのか
  • 会場に何回行ったのか
  • いくら買ってしまったのか
  • どの業者から買ったのか

など重要な情報を時系列ごとに整理して伝えられるようにしておくとスムーズに相談できます。

国民生活センター

消費者被害に関して無料で相談に乗ってくれる独立行政法人です。リンクから、お住いの地域の消費者生活センターを探せます。直接相談に行っても良いですし、電話で相談するのでも構いません。

被害に遭ってどう行動すればいいかわからないときに助言をもらいましょう。

弁護士

被害金額が高額の場合や、自力で契約を解除できないときの相談先です。上記の機関は対策を教えてくれるのに対して、弁護士はお金を取り戻すために動いてくれます。

依頼する際は、消費者被害の解決実績が豊富な弁護士を探しましょう。

まとめ

催眠商法では、一度冷静でなくなってしまったり、商品を購入してしまったりすると対策が難しくなってきます。

悪徳商法の手口を理解しておき、相手が騙そうとしている前兆をキャッチできるようにしておくことで、被害を未然に防げるようにしておきたいところです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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