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KL2020・OD・037
ネズミ講(ねずみこう)とマルチ商法(ネットワークビジネス)は勧誘方法や組織構造が似ていることから、どちらも同じものと捉えている人もいるでしょう。あるいは、違うのはわかっていても、具体的に何がどう違うのかを聞かれて答えられない人も多いはず。
このページでは、ネズミ講とマルチ商法の似ている点と異なる点を具体的にお話します。また、合法なマルチ商法が度々問題になっている理由や、被害に巻き込まれないための対策に関してもお話していきますので、あわせてご確認ください。
目次
まずは、ネズミ講とマルチ商法でそれぞれどのような特徴があるのかを説明したうえで、具体的にどんな点が似ていているのか、また何が違うのかを見ていきましょう。
ねずみ講は無限連鎖防止法で禁止されています。
第二条 この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。
ねずみ講では、「儲かるビジネスがありますよ。」と勧誘して高額の会員費を請求します。他人を勧誘すると、会員費の半分が自分に、もう半分が上のメンバーに分配されていきます。(取り分は組織によって異なります)
マルチ商法と違って特定の商品を扱っておらず、勧誘による会員の登録料でまわしているので、勧誘ができなくなると収入が途絶えビジネス自体が破綻します。勧誘するだけで金品が得られ手軽なため蔓延しやすいですが、人口は有限で最終的に必ず崩壊するシステムのため、上にいる人は得をし、下にいる人は会員費を回収できず損します。
マルチ商法は特定商取引法の中で連鎖販売取引と定義されており、一応合法とされています。
(1) 特定商取引法の規制対象となる「連鎖販売取引」 (法第33条)
特定商取引法は、「連鎖販売業」を次のように規定しています。
1.物品の販売(または役務の提供など)の事業であって
2.再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を
3.特定利益が得られると誘引し
4.特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの
引用元:特定商取引法ガイド
わかりやすく言うのであれば、「この洗剤は質がいいですよ。」と商品を販売したり、「権利収入を得られますよ。」と、組織に勧誘したりすることを連鎖販売取引といいます。
上記のように、ねずみ講は会員を勧誘し続け、高額な会員費を払ってもらわなければ儲かりません。一方マルチ商法は会員費が無料、もしくは定額であくまで商品販売力のある組織を構築した人が儲かります。
具体的に儲けがどう生まれるのかを見ていきましょう。ねずみ講は前述したように、会員費の一部が自分に、残りが上のメンバーに配分されていきます。マルチ商法では、自分が勧誘したグループの月ごとの売上に応じてPVと呼ばれるポイントが付与されます。
この成績に応じてランクや収入が上がって行く仕組みです。また、収入が得られる範囲が決まっている(ひ孫会員までなど)ので、早くはじめた人でも商品の流通できる組織を作らねば後からはじめた人に抜かされます。
マルチ商法は商品の売買で稼いでいるため、流通がある限り基本的には潰れません。
マルチ商法は特定商取引法で連鎖販売取引と定義されており合法、ねずみ講は無限連鎖防止法で定義されており違法です。
逆にどのような点が似ているのか見ていきましょう。マルチ商法とネズミ講では、組織の広がり方が似ています。例えば、会員1人あたり必ず4人勧誘したとすれば、子会員は4人、孫会員は16人、ひ孫会員は64人とねずみ算的に拡大していきます。
広告を出さず、卸売や小売を介入せず、口コミや紹介などで商品が流通します。広告宣伝費や流通マージンがかからない分、マルチ商法の本社は固定費を削減できます。また、販売員は社員ではなく業務委託のため教育・採用コストもかかりません。
『誰でも儲かるビジネスがある』『不労所得を得られる』『あわせたい人がいる』など勧誘の仕方が似ています。この時点で怪しいと感じる人にとっては、マルチ商法であろうがねずみ講であろうが怪しいビジネスであるという点で違いはありません。
マルチ商法は合法なのにも関わらず、なぜ問題になっているのでしょうか。テレビでマルチ商法とねずみ講を同じように報道しているため、同じものだと思っている人が多いのでしょう。
ただ、マルチ商法は合法というよりも、厳しい規制を課せられたうえでなんとか違法とされていないと考えてもよいかもしれません。法律をよく知らない会員が迷惑な勧誘をしているのは事実です。ここではどのような勧誘が違法なのかを見ていきましょう。
「久しぶりに2人で食事がしたい。」「〇〇に合わせたい人がいる。」などと言われて、実際に行ってみたらマルチ商法の勧誘だった。あなたも聞いたことのあるケースかと思いますが、実は違法です。
特定商取引法33条の2に氏名などの明示という規定があり、マルチ商法に勧誘する際は以下の点を勧誘前に伝えねばなりません。
1.統括者、勧誘者または一般連鎖販売業者の氏名(名称)(勧誘者、一般連鎖販売業者にあっては統括者の氏名(名称)を含む)
2.特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨
3.その勧誘にかかわる商品または役務の種類
引用元:消費者庁
この法律通りに勧誘するのであれば、「マルチ商法に勧誘するので久しぶりに2人で食事がしたい。」「〇〇に合わせたいマルチ商法販売員の人がいる。」と言わねばなりませんが、実際のところこの法律を守らずに勧誘をしている販売員は多いでしょう。
不実告知や誇大広告に該当し違法行為です。また、会員のうち何%が不労所得を得て自由な生活をしているのか、会員になった後はどのぐらい商品を買わねばいけないのか、といった旨を説明しないのは事実の不告知に当たります。都合のいいことばかり説明し、相手を誤解させるような勧誘をすると法律に触れる恐れがあります。
(4) 誇大広告などの禁止(法第36条)
特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するため、表示事項などについて、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。
引用元:消費者庁
断っているのになかなか帰してくれなかったり、長時間拘束されたりするなど、迷惑な勧誘に関しては、特定商取引法38条3号で規定されており違法です。
三 その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売契約を締結しない旨の意思を表示している者に対し、当該連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすること。
引用元:特定商取引法第三十八条三号
断ったのに再び勧誘されてしつこいと感じたことはないでしょうか。再勧誘は特定商取引法で規制されているので、本来であれば、一度断った人を勧誘してはいけません。これは訪問販売に関する規定ですが、マルチ商法にも商品を売る行為が含まれているため、訪問販売の規定を守らねばなりません。
(2) 再勧誘の禁止等(法第3条の2)
事業者は、訪問販売を行うときには、勧誘に先立って消費者に勧誘を受ける意思があることを確認するように、努めなければなりません。
消費者が契約締結の意思がないことを示したときには、その訪問時においてそのまま勧誘を継続すること、その後改めて勧誘することが禁止されています。
引用元:消費者庁
いつマルチ商法やネズミ講に勧誘されるかわかりません。まるで誰でも不労所得を得られるような勧誘をしますが、実際は夢を叶えられていない人の方が多数です。
さらに、成果を出すまでには自分で商品を購入したり、セミナーに参加したり、知り合いを食事に誘ったりとコストもかかります。
しかし、詳しい実態は会員になるまで教えてもらえないこともあります。ここでは、被害を未然に防ぐために知っておきたいことについて見ていきましょう。
勧誘時に『誰でも簡単に儲けられる』と言われることもあります。しかし、よく考えてみてください。本当に儲けられる話があるならわざわざ人に教えず自分でやっているはずです。本当に儲けられるなら、頭がよくお金もある人がすでに取り組んでいるはずです。
上記でも述べたように誰でも儲けられるわけではありませんし、コストもかかります。楽に儲けたい人は、自分で努力しないで誰かになんとかしてもらいたい気持ちがどこかにあるのではないでしょうか。しかし、自分の頭で考えられない人や情報がない人はうまい話をちらつかされてカモにされるばかりです。
例えば、以前はそんなに親密な関係ではなかったのに、食事にいきなり誘われるのは不自然です。その人が以前と違った行動を取っていないかを観察しましょう。他にもマルチ商法やネズミ講にハマっている人には以下のような兆候があります。
あなたに声をかけていきた人がこれまでと様子が違っており、なおかつ上記に複数当てはまるのであれば警戒した方がいいでしょう。
上記の特徴を覚えておいて、マルチ商法やネズミ講かなと思ったら勧誘させるスキを与えないことです。例えば、勧誘員は「今の収入に満足している?」「将来が不安じゃない?」などとまずこちらのニーズを確認しようとしてきます。
そして、自分がビジネスをしていることや不労所得の話などをして、興味を抱かせようとしてきます。裏を返せば、こちらが現状に不満や不安を抱えていることや、お金に困っていることがわからなければ相手にとっては勧誘の糸口がありません。
特に断るのが苦手な人は、最初から勧誘するスキを与えないことです。
もし勧誘されたらきっぱりと断りましょう。中途半端な断り方をすると、迷っているんだなと解釈されまた声をかけてきます。断る際には、それ以上誘いにくくなるように言うのがコツです。
などと反論しにくいような理由を考えます。例えば、「興味がないから。」というだけでは「セミナーに行って〇〇さんにあったら考え方が変わるかもしれないから、それから考えてみて。」と言い返せます。「怪しいから。」といえばどう怪しくないのか説明を始めるかもしれません。「それなら仕方ない。」と思われるような断り方をしましょう。
断っているのに勧誘が続くようであれば、まずはその場から離れる方法を考えましょう。
などと言って一度その場から離れ、後日メールでお断りします。
誘ってきた人との関係によっては難しい方法ですが、そこまで大事な相手でなければこれで解決です。
自分だけで断れなければ家族や友人に相談しましょう。公的な相談先としては国民生活センターがあります。マルチ商法やねずみ講に限らず、消費者問題に関して無料で相談できる機関なので、どうして良いかわからなければ相談してみると良いでしょう。
このページでは、マルチ商法とねずみ講の違いやトラブルに巻き込まれないためにできることをお話してきました。
マルチ商法は違法ではないとはいえ、会員費や商品が高額すぎたりした場合、勧誘方法に問題が合った場合はマルチまがい商法に該当したり、実質ねずみ講と同じになったりすることもあります。
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