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KL2020・OD・037
育児休業給付(いくじきゅうぎょうきゅうふ)とは、1歳未満の子を養育する労働者が育児のために休業を取得したり、休業期間中に収入を補償するための給付金を受け取ったりすることができる雇用保険の制度のひとつです。
子供の育児のために会社を休まなくてはいけなくなった場合、会社から給付金が出ると知っていれば、ぜひ利用したいと思う女性の方も多いと思います。
では、育児休業給付金がいくら受け取れるのかですが、育児休業給付金で受け取れる支給額の目安は以下の通りです。
【6ヶ月の給与平均が月額15万円程度の場合】
【6ヶ月の給与平均が月額20万円程度の場合】
【6ヶ月の給与平均が月額30万円程度の場合】
※給与は保険料等が控除される前の額で、賞与・退職金は含まれない。 |
今回は、育児休業給付金で受け取れる支給金の計算法と、法改正によって育児休業期間がどう変更されたのかなど、延長申請の方法についてご紹介します。
目次
育児休業給付とは雇用保険の雇用継続のための制度のひとつです。1歳未満の子供を養育するための休業(育児休業)を取得したり、休業期間中に給付金を受給したりすることができます。
この項目では、育児休業給付の大まかな概要をご紹介します。
1歳未満の子を育てる労働者には原則1年の休業を取得することができます。
なお、平成28年度までは対象は主に実子で、特別養子縁組のための監護期間にある子は対象外となっていましたが、現在では監護期間にある養子を育てる労働者も対象になりました。
育児休業は原則として、子が1歳に達する日前まででしたが、「保育園に入れない」「保育を予定していた方は配偶者の健康状態が悪化した」などの場合は1年間を上限として延長することが可能です。
育児休業を取得している方で、収入が休業開始時点よりも8割以上少なくなってしまった場合は、給付金を受け取ることができます。給付金の支給額は休業期間により変動し、休業開始から6ヶ月目までは休業前の収入の67%、6ヶ月目以降は休業前の収入の50%の金額が支給されます。
育児休業給付金は、給料期間中に会社からの収入が8割以下になった場合に、最大7割弱の収入補償を受けることができます。なお、育児休業給付は雇用保険に含まれる制度なので、大前提として以下の要件を満たす必要があります。
この項目では、給付金の受給要件と支給金額の計算方法についてご紹介します。
育児休業給付金の受給要件は以下の通りとなっています。
- 育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。
- 就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間。下図参照)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)
引用元:ハローワークインターネットサービス
育児休業給付金の支給額を計算するには以下の式を使います。
|
なお、「休業前の日次賃金」は過去6ヶ月分の給与総額(ボーナス等を除く)を180日で割った金額になります。
給与総額に含まれるもの :残業手当、通勤手当、住宅手当などの諸手当 |
給与総額に含まれないもの:退職金、ボーナス、弔慰金など |
なお、支給額には下記の上限金額があります
引用元:厚生労働省
育児休業給付金は課税対象にはなりません。そのため、所得税・次年度の住民税の査定などの対象にはならないのです。
引用元:厚生労働省
これまでは、子が1歳6ヶ月までしか延長することのできなかった育児休業・給付金受給期間の延長ですが、平成29年の法改正により2歳に達する日前まで延長することが可能になりました。
この項目では、法改正に伴い延長申請の対象となる子や申請方法などをご紹介します。
今回の法改正の対象となるのは、1歳6ヶ月に達する日の翌日が平成29年10月1日以降の子を養育する労働者になるため、平成28年3月31日以降に生まれた子を育てている方が該当することになます。
また、延長申請が可能なのは以下に該当する方です。
ア 育児休業の申出に係る子について、保育所等(※)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合(※)保育所等は、児童福祉法第39条に規定する保育所等をいい、いわゆる無認可保育施設はこれに含まれません。また、あらかじめ1歳6か月に達する日の翌日について保育所等における保育が実施されるように申込みを行っていない場合は該当しません。保育所等による保育の申込み時期等については市町村にご確認願います。
イ 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者(※)であって、その子が1歳6か月に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった方が死亡、負傷、疾病等に該当した場合
(※)配偶者には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある方を含みます。
引用元:厚生労働省
育児休業給付の延長手続きに必要な書類は以下のものです。
上記の書類を会社、または、管轄のハローワークに提出してください。
父母が「同時」あるいは「交互」に育児休業を取得するパパ・ママ育休プラスを利用している方は、育児休業の延長の対象外になります。そのため、育児休業期間は最長でも子が1歳2ヶ月に達する日前までとなります。
育児休業給付手続きは基本的に、勤めている会社の担当窓口に必要書類を提出することでできます。この項目では必要書類と提出先などについてご紹介します。
育児休業の申請に必要な書類は以下の通りです。
「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」の証明となる資料を添付する必要があります。これらの書類を会社の担当窓口に提出することになります。但し、労働者の希望により、休業を取得する本人が直接ハローワークに行き申請することも可能です。
育児休業給付金の申請を行う場合は、育児休業給付の受給手続き後、定期的に申請を行うことになります。その場合、会社を経由する場合は2ヶ月に1回、労働者本人が行う場合は1ヶ月に1回支給申請を行う必要があります。
ハローワークで育児休業給付金の支給が「不支給」という決定が下されてしまった場合は、「審査請求」をすることで不服申し立てをすることが可能です。審査請求を行う場合は管轄のハローワークにて相談しましょう。
審査請求制度とは
雇用保険では、ハローワークが行った「被保険者となった(または被保険者でなくなった)ことの確認」や「失業等給付に関する処分」に不服がある場合は、都道府県労働局に配置された雇用保険審査官に対して審査を申し出ることができます。これを「審査請求」といいます。
引用元:厚生労働省
引用元:厚生労働省
育児休業は1歳未満の子を育てる労働者が取得できる雇用継続のための制度です。育児休業の取得は、育児介護休業法で認められており、会社は労働者からの請求があった際に拒否することはできません。
また、育児休業の取得を妨害したり、制度利用をきっかけに労働者にとって不利益な扱いをすることは法令違反にあたります。
育児休業の取得は基本的に拒否することができません。労働者からの育児休業請求を拒否したり、嫌がらせや不利益な扱いをして取得の妨害を行ったりすることは法令違反にあたります。
第六条 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
引用元:電子政府の総合窓口e-gov
育児休業を取得することを妨害したり、取得をきっかけとして降格・解雇・雇い止めなどの不利益な取り扱いと行ったりすることは法令違反にあたります。
また、妊娠・出産・育児をきっかけとして労働者に嫌がらせや不利益な取り扱いを行うマタハラ(マタニティ)ハラスメントは、ハラスメント差し止要求や損害賠償請求などが可能です。
いわゆる「育休切り」などによって、解雇や雇い止めにあってしまったり降格などの扱いを受けたりした場合は、労働局や弁護士に相談することが可能です。
明らかなマタハラの場合は労働基準監督署に申告することも可能ですが、「育休切り」の多くは育児休業取得が原因ではないとして処分されます。
そのような場合は、管轄の労働局にある雇用環境均等(部)室に相談するのもひとつです。雇用環境均等(部)室は管轄の労働局内に設置されています。
「育休切り」によって不利益な扱いを受け、損害が発生した場合は弁護士に相談することで、地位確認や損害賠償請求などを行うことが可能です。
妊娠を退職し、育児が落ち着いてから転職をするという女性も増えています。妊娠して、つわりや妊娠の状態などで働くことが難しくなったため仕事を退職し、育児が落ち着いてから転職(求職)活動を再開するという選択肢もあるのです。
妊娠して、今の職場を退職した場合は、失業保険の基本手当を受給できる可能性があります。また、妊娠後期などで求職活動ができないという場合も受給期間の延長申請を行うことも可能です。
育児休業給付は、子供を産み育てながら仕事を続けようとする人のための制度です。子供が生まれて間もない時期は、いつ・何が起きるかわからないという不安の中で子育てをしている方が多くいると思います。子育てに励む際に、制度利用によってお金の心配をせずに、子供や家族と向き合うことができるといいですよね。
この記事で、子育てと仕事を両立させようと日々過ごしている方の手助けができれば幸いです。
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