就活の面接で「ウソ」を付くとどうなるの? 弁護士に聞いてみた

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
就活の面接で「ウソ」を付くとどうなるの? 弁護士に聞いてみた

就職活動シーズンまっただ中である。

「新卒一括採用」という慣習のない海外に比べると、日本で学生が職を得るのは簡単だといわれている。

それでも初めて「世間」という荒波に揉まれる体験を大変に苦痛だと思う人もいるだろう。

駅のホームで、疲れ切ったような表情を浮かべてスマートフォンをいじっている学生を少し気の毒にも思う。

 

さて、今年も様々な学生の面接を拝見させていただいている。

筆記テストやインターン、ディスカッションなど、学生の能力をみる手法は数あれど、「面接」は、あいも変わらず採用の主たる手法であり、面接なしに学生を採用する会社はほとんどない。

 

その「面接」について、知人の学生から、面接をどう思っているかを聴いた。

面接官をしている者の一人として、どのような質問をすべきかの参考とさせていただこうと思ったからだ。

 

「「面接対策」ってどうやってる?」

「大体は想定問答ですかね。「こんな質問が来たらこう答える」って言う形で練習している人もいるみたいです。」

 

「なるほど。」

「長所・短所なんかよく聞かれるみたいので、殆どの学生はオーソドックスな質問には大体、対策してるんじゃないですかね。」

 

「ふーん。」

「あと、人気企業の内定者にコツを聞くと「盛り方」は結構重要だと言われました。」

 

私は言った。

 

「「盛る」ってのは要するに……言い方はよくないけどウソをつくってこと?」

「いえいえ、人聞き悪いですよそれ。「話をかっこよくする」って言うくらいです。」

 

「例えば?」

「例えば……、実際には海外に短期滞在しただけなのに、「留学した」と言うとか。まあ、その後、英語が得意な面接官に英語で話しかけられて、盛ってるのがバレたやつもいるらしいですけど。」

 

「ああ……、なるほどw。」

「あと、「バイトリーダーやってました」「サークルのプロジェクトチームのリーダーでした」とか、肩書を「盛る」のもよくやりますね。実際にはリーダーなんかやったことなくても、とりあえずリーダーシップの話をきかれますから。」

 

「微妙なウソだね……。」

「そうなんです。だから「ウソ」じゃなくて「盛る」なんです。まあ、一言で言うと「誇張」です。まあ、会社もいちいち裏を取ったりすることは少ないでしょうし、どうせ社会人になっても誇張はなくならないですよね。

だって、CMも、外食のメニューの写真も、芸能人の「ウメー!」も、全部「誇張」じゃないですか。」

 

「……。」

「だったら、どれだけうまく「盛れる」かは、結構重要だと思うんですけど。」

 

「なるほど。」

 


「誇張」とは、要するに優良誤認を誘う行為だ。

仮に企業側が面接で待遇などについて「ウチを実体以上にカッコよくするために、話を盛った」ら、おそらく問題になるだろう。

「話が違う」と言われるはずだ。企業の面接官は「優良誤認」を誘うようなことはしてはいけない。

 

ただ、これは学生の「盛る」にも当てはまるかもしれない。

だが、労働者は何かと保護されている。

本当のところはどうなのか。ウソはどこまで許されるのか。

 

そこで今回は法律のプロである弁護士に「面接時の誇張/ウソ」について、法的にはどのような判断となるのかを聴いた。

 

就活の面接で「ウソ」を付くとどうなるの? 弁護士に聞いてみた

弁護士法人ネクスパート法律事務所

代表弁護士 佐藤 塁  (左)

代表弁護士 寺垣 俊介 (右)

 

質問1)面接でのウソや誇張は問題ないのでしょうか?

回答)ダメです。雇用契約に先立って労働力の評価、適応性や信用を見るためための活動なので、原理原則としてウソはいけません。

というか、普通に、ウソはいけません。誇張は微妙です。皆さんに興味があるのはその境界線でしょうね。

 

 

質問2)内定後や入社後にウソが発覚した場合、企業は何かしらの処分を下せるのですか?

回答)就業規則に罰則に関する規定があれば、下せます。

 

質問3)面接時の発言がウソであることが発覚したら、極端な話、懲戒解雇もできる?

回答)ウソの内容によります。本当のことを言っていたら採用しなかったであろう重大な経歴の詐称であるか否かが境界線です。

 

質問4)重大な経歴の詐称というのは、例えば?

回答)例えば学歴詐称です。一般的に学歴は能力を測るのに重要とみなされていますし、学歴に応じて給与設定や配置設定を決めている会社は多いです。

他には仕事に必要な免許や資格の類です。

 

ですが、サークルやアルバイトのポジション程度では重大であるとは言えないでしょう。このあたりについては「仕事と関係が深い」とは言い切れないからです。

「バイトリーダーじゃなかったから解雇だ!」なんていう会社、あるんですかね。

 

質問5)極端な話、自己アピールで「私は積極性があります」と言ったにも関わらず、入社したら全く積極性を発揮できない人を懲戒処分したり、解雇したりできるのでしょうか。

回答)おそらく無理です。なぜなら「積極性とは何か」に、客観的な基準が存在しないからです。客観的に判断基準がないものに対しては、経営者が、「オレがそう思ったから」での処分は難しいです。

「月に◯件以上テレアポをしてもらいますが、それをこなせる積極性はありますか?」というような積極性を示す指標があると客観性が認められる可能性はあります。

とはいえ、「テレアポの件数が少ないから懲戒解雇だ!」なんていうのは難しいでしょうね。

 

質問6)残業や休日出勤もあるけど、問題ない?との面接官の質問に対して「問題ない」と言った学生さんに内定を出し、無事入社してもらったと仮定します。

にも関わらず、その方は入社後に残業や休日出勤を断りました。

これは、「面接でウソをついた」ことになり、懲戒処分の対象になるのでしょうか?

回答)ブラックな質問ですね。仮に面接時に残業や休日出勤の約束をしていたとしても、心身を壊すほどの労働をさせていいわけではありません。

また、通常このような問題が表面化するのは、労働者が過酷な残業で心身を壊し、そもそも会社に来なくなってしまったときです。会社側は、面接時の約束ではなく、欠勤を理由に解雇したい、労働者側は傷病手当や残業代を請求したい、という状況です。

 

珍しい例ですが、残業命令に反した社員に対する懲戒解雇を有効と判断した最高裁判所の判例があります(最高裁平成3年11月28日第一小法廷判決)。

ある労働者が手抜作業をしたため、上司がその労働者に残業を命じたところ、その労働者が残業を拒否したために懲戒解雇をしたものです。

この会社は日立製作所で、きちんとした36協定が結ばれていましたし、そもそも労働者の手抜作業が発端となったことに特徴があります。

 

質問7)「転勤ありますけど、大丈夫ですか?」との質問に「大丈夫です」と答えて入社した人が、入社後に「転勤は嫌です」と断ったら、それを理由に懲戒処分はできますか?

回答)「転勤がある職種」ということで募集をかけていれば、原則としてできます。転勤が不当な目的の場合や、業務上の必要性がない場合などは例外です。

【関連記事】懲戒処分の取消訴訟の方法|不服申し立てをするなら弁護士に相談

質問8)うちは第一志望ですか?という質問に対して、そう思ってなくても「第一志望です」ということは、問題ないのでしょうか?

回答)「実は第6志望です。」「滑り止めだと思っています。」なんて答えられないですよね。

弁護士として、コメントしづらいのですが、まあ、その場、その瞬間、今1番行きたいと、そう言いたいという意味で、「第一志望です」っていうのはウソじゃないんじゃないですか。

この問題が表面化するのは、懲戒解雇よりも、内定辞退のときでしょうね。「第1志望と言っていたのになぜ辞退するのか」と、採用担当者は怒りますよね。

 

ファミレスに呼び出されて怒られて、コーヒーをかけられたり、カレーライスをかけられたりという伝説も聞きますが、それは暴行罪に該当しますので、すぐに警察を呼んでください。

 


 

話が脱線したが、総合して考えると、「重大な経歴の詐称」、例えば学歴や資格に関することでなければ、面接で多少の誇張やウソを突いたとしても処分されることはない、ということなのだろう。

ただ、至極当たり前の話として、法的には問題がなくても、仕事は信頼関係で成り立つものなので、「ウソがバレた」時に、会社内での評価がどうなるかは、想像に難くない。

「盛る」のも程々に、というところだろうか。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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