過労死ラインは80時間|長時間労働をしている方の相談先と対処法

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
過労死ラインは80時間|長時間労働をしている方の相談先と対処法

過労死ラインとは、月80時間を超える残業時間のことを言います。過労死ライン同等、あるいは超える労働をすると、脳・心疾患の発症リスクが急激に上昇し、ある日突然「過労死」してしまうこともあるのです。

近年、公立中学校教員の労働時間や参議院議員 山本太郎氏の政策などのニュースで話題となっている過労死ライン。長時間労働は、心身に重篤な影響を与える危険な労働です。今回は過労死ラインの違法性と対処法についてご紹介します。

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過労死ラインは80時間|長時間労働の違法性

過労死ラインは80時間|長時間労働の違法性

過労死ラインとは、月80時間を超える残業時間のことを言います。これは過労死した際の労災認定の基準から由来しています。過労死ラインのような長時間労働は、脳・心疾患の発症リスクを伴う危険な労働なので、法律でも規制がされています。この項目では、残業や長時間労働の法律に関してご紹介します。

そもそも残業時間とは

残業時間とは、所定労働時間及び法定労働時間を超えた時間外労働のことです。労働基準法32条では、休憩時間を除く「1日8時間、週40時間」以下を法定労働時間として定められています。

第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 ○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
 引用元:労働基準法

法定労働時間を超える労働をさせる場合はサブロク協定を結ばなければならないとしています。

法律で決められている残業時間は45時間まで|サブロク協定

労働時間は労働基準法によって「1日8時間、週40時間」以下でなければならないとされています。残業をするためには労働基準法36条に基づいたサブロク協定を結ばなければなりません。

サブロク協定では、使用者と、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との間で締結することが必要ですが、この労働者の過半数を代表する者は、次のいずれにも該当する者でなければなりません。
監督または管理の地位にある者でないこと。
労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること。
引用元:厚生労働省|時間外労働の限度に関する基準

一方で、サブロク協定は、協定を結んでいれば何時間でも労働をさせて良いというものではありません。一般の労働者の場合、1ヶ月の残業時間の上限は45時間です。また、変形労働制などの特殊な労働制度の場合であっても1ヶ月の残業時間の上限は42時間とされています。

  • 一般労働者の場合
期間 残業時間の上限
1週間 15時間
1ヶ月 45時間
1年 360時間
  • 対象期間が 3ヶ月を超える 1 年単位の変形労働時間制の対象者の場合
期間 残業時間の上限
1週間 14時間
1ヶ月 42時間
1年 320時間

日本のサラリーマンの平均残業時間は月45時間といわれています。このことから、多くの企業はサブロク協定で定められている残業時間の上限を遵守していることになります。もしも、あなたの残業時間が45時間を超えている場合は会社が労働基準法違反をしている可能性があるのです。

過労死ラインを超えた労働をしている方へ|長間労働の対処法

過労死ラインとは、過労死の危険性のある残業時間のひとつの目安でしかありません。自分の体に不調を感じる労働がある場合は残業の時間数ではなく、身体最優先で会社を休むなどの判断をしてください。

労働基準監督署に申告する

月45時間を超える残業時間は長時間労働にあたり、労働基準法に違反している可能性があります。長時間労働で悩んでいる、長時間労働で身体に不調が出てきて働きづらいという場合は会社が所在している都道府県の労働基準監督署に相談しましょう。

労働条件相談ほっとラインに電話する

残業時間を減らす方法を考えたい、そもそも労働条件がおかしいのではないかと思っている方は労働条件相談ほっとラインで相談することも可能です。労働条件相談ほっとラインでは主に労働条件や未払い残業代などの相談に乗ってくれます。

未払い残業代がないか確認する

過労死ラインに達する労働を強いる会社では、残業代が未払いである場合が多いです。「1日8時間、週40時間」以上の労働には残業代(割増賃金)が支払われる権利があります。残業代の未払いは違法であり、残業代を会社に請求することが可能です。

長時間労働で身体を壊してしまったら労災を申請

過労死ライン以上あるいは同等の労働をしていると、心身ともに重篤な影響が出ることがあります。もしも、長時間労働によって、うつ病、脳・心疾患などで身体を壊してしまった場合は労災を申請してください。労災認定をされると長時間労働による疾患の治療費が補償されることがあるのです。

長時間労働によって起こる過労死につながる4つの症状

長時間労働によって起こる過労死につながる4つの症状

過労死ラインのような長時間労働は、心身に死の危険性のある重篤な影響を及ぼします。日々一生懸命働いている方は、「これくらいの不調くらいなら乗り切れる」、「疲れているのはいつものことだ」と長時間労働による身体の不調を軽く見てしまうことがあります。
この項目では過労死につながる重篤な疾患と、その前兆となる症状についてご紹介します。

過労・睡眠不足による事故

長時間労働による過労や睡眠不足は物事の判断力や思考力を低下させます。長時間労働をしていると脳が麻痺して疲れていないと勘違いをしてしまいますが、身体が確実に疲れています。勤務中や通勤中の車の運転ミス、入浴中の溺死など、普段では考えられないような事故が起きることもあるのです。

過労自殺

過労ラインのような長時間労働は、身体だけでなく心にもダメージを与えていきます。SNSでも話題になった『「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由』でもありましたが、気持ちが塞ぎ込んでいないつもりでも、冷静な判断ができない状態になっている可能性があります。

「今月も働きすぎてつらい」、「死ねば会社に行かなくて済むのではないか」という考えが浮かぶようであれば、自分で考えずホットラインなどを利用して第三者に冷静な判断をしてもらいましょう。

心疾患

長時間労働による疲労や過度のストレスは、心筋梗塞や虚血性心疾患など、心臓の筋肉や血流に異常をきたすことがありあます。以下のような症状が続く際は、医師の指示を仰ぐことをおすすめします。

  • 胸やみぞおちを圧迫するような痛み
  • 左肩から背中にかけての痛み
  • 吐き気
  • 冷や汗
  • 奥歯や下顎の痛み
  • 左手小指の痛み
  • 呼吸困難や息切れ

脳血管疾患

過度の疲労・ストレスは脳にも影響を与えます。脳の血管の異常によって発症する脳梗塞・くも膜下出血も過労死の原因として多く挙げられています。脳梗塞・くも膜下出血の前兆には以下のような症状があります。

  • 顔や手足の片側が麻痺する
  • ろれつが回らない、口が閉じない
  • めまいや立ちくらみ
  • 目の焦点が合わない

これらの症状は周りから見てもわかることがあるので、周囲の方に上記のような症状があった場合は病院に行くように促しましょう。

長時間労働は弁護士に相談することもできる

長時間労働は弁護士に相談することもできる

長時間労働による未払い残業代の請求、パワハラ・セクハラなどの慰謝料請求などは弁護士に相談することもできます。長時間労働を強いる会社との交渉など、弁護士はあなたに代わって未払い残業代の請求、パワハラ・セクハラなどの慰謝料請求を行うことができます。

まとめ

月80時間以上の残業は過労死ラインに達する危険な労働です。過労死ラインはあくまでも目安ですが、長時間労働は心身ともに重篤な影響を及ぼすものです。残業の時間数を気にするのではなく、今あなたの心と身体がどのような状態にあるかということを見つめ直し、必要な場合は専門家に相談するようにしてください。

この記事で、一人でも多くの方が違法残業から抜け出すことができれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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