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KL2020・OD・037
自己都合退職よりも会社都合退職の方が有利だと何となく知ってはいても、具体的になにがどう違うのかを詳細まで把握できている人は少ないかと思います。
しかし、どちらの退職方法になるかによって、「給付日数」「給付までの3ヵ月待機の有無」「国民健康保険の処理の仕方」など、その後の保障内容が大きく変わってくるので、選択を間違えて損をしないため両者の特長をしっかり認識しておかないといけません。
この記事では、会社都合退職と自己都合退職の違いやその判断基準についてご紹介します。
目次
会社都合退職と自己都合退職の大きな違いは、ハローワークで受け取ることができる失業手当の保障が内容です。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
給付日数 | 90~150日 | 90~330日 |
給付まで3ヵ月待機 | あり | なし |
最短給付開始日 | 3ヵ月7日後 | 7日後 |
国民健康保険 | 通常納付 | 最長2年間軽減 |
上表の比較を見ると分かりますが、給付日数が長く給付開始も早いなど、会社都合退職での失業手当の方が自己都合退職の失業手当よりも充実した保障内容となっています。
自己都合退職だと失業手当が支給開始される3カ月間は無収入になってしまいますが、会社都合退職なら最短7日で支給の受け取りが可能ですので、失業者にとって特に大きな利点であると言えるでしょう。
また自己都合退職だと失業手当を受けるには最低1年以上の雇用保険を収める必要がありますが、会社都合退職だと被保険者期間が半年以上あれば失業手当の支給を受けることが可能です。(1年以下の場合は90日が最大給付日数)
保障面だけで見たら間違いなく会社都合退職を選択すべきですが、会社都合退職をするとその経歴が就職活動に悪影響を与えてしまう可能性があります。
基本的には会社が優秀な人材を解雇対象に選択するのはあり得ないことなので、採用担当者によっては会社都合退職の経歴を見て「この人には何か問題があるのではないか…」と警戒されてしまう可能性も否定できません。
会社都合退職者は面接の際に退職理由を聞かれることが多くなるので、そこで採用担当者に不信感を与えない納得できる返答が必要になり、就職活動の負担が増えてしまうのは会社都合退職の唯一のデメリットです。
会社都合退職は労働者の意志ではなく会社の都合により労働契約の解除を余儀なくされることで、例としては以下の状況が挙げられます。
上記のように退職の原因が会社側にある状況だと会社都合退職として扱われます。なお、労働者の不正・過失が原因での懲戒解雇の場合、解雇であっても自己都合となる場合がありますので注意しましょう。
自己都合退職は労働者が自らの意志で労働契約の解除を求めることです。基本的には自分で退職届を出して仕事を辞めた場合は自己都合退職として扱われます。
「家族の介護で実家に帰らないといけない」「病気で仕事の継続が難しくなった」「結婚により生活スタイルが変わってしまった」など、このような個人の事情による退職は会社都合退職であると判断できるでしょう。
しかし、自己都合退職でも状況によっては後から会社都合退職に変更できるケースがありますので、下記でその例をいくつか紹介させて頂きます。
会社都合退職のメリットは以下の通りです。
自己都合退職の場合と比較すると以下のような違いがあります。
自己都合 |
会社都合 |
|
離職票提出から給付開始までの期間 |
3ヵ月(給付制限)+7日後(待機期間) |
最短7日後(待機期間) |
給付日数 |
90日~330日 |
90日~150日 |
給付制限 |
あり |
なし |
国民健康保険料 |
通常金額を納付 |
最大2年間軽減 |
自己都合退職の場合、3ヵ月間の給付制限期間の後、さらに7日間の待期期間を経てようやく失業保険の支給が開始されます。
一方で、会社都合の場合、3ヵ月の給付制限がないため、最短7日後には失業保険給付を受けることが出来ます。
また会社都合退職の場合、国民健康保険料の軽減制度があります。
国民健康保険料の金額について、前年の給与所得を30/100とみなして、国民健康保険料の計算がされることが一般的です。
詳しくは各自治体にお問合せ下さい。
会社都合退職のデメリットとして、転職活動において退職の原因について詳しく聞かれるケースが多くなることが挙げられます。
会社都合による解雇は以下の3種類に大別されます。
それぞれ、社会的合理性および社会通念上相当と認められる理由がない場合は解雇を無効とされるため、簡単に解雇されることは不当解雇でもない限りないでしょう。
問題を起こす可能性のある人物の採用を避けるため、履歴書に「会社都合により退職」と記載があれば、応募者が前にいた会社から解雇された理由を深く聞かれるケースが多いでしょう。
会社都合による退職の方が、失業給付や国民保険料に関するメリットを考えると良い気がしますが、転職活動への影響を考えると、長期的な目線では望ましくないとも考えられます。
技術職を募集する求人を見て申し込んだのに営業に配属されてしまうなど、入社前に知らされていた労働条件と実際の業務が明らかに異なる状況は、会社都合と評価される可能性があります。
また、10年以上も同じ業務に取り組んでいたにも関わらず、突然全く違う業務をするように命じれられフォローもろくにない状況に嫌気がさし、退職した場合も会社都合と評価される可能性があります。
勤務地の変更で自宅と会社の往復時間が長時間となった場合(例えば往復4時間など)に退職をしたというケースは、会社都合退職となる可能性があります。
そして、もし入社時に転勤無しという取り決めがあったのならば、その証拠を用意できれば、会社都合退職に変更できる可能性はかなり高くなるでしょう。
普段支払われていた給与が85%未満に減額され、結果、これを理由に退職した状況であれば会社都合退職であると認められます。
ただし、労働者において当該低下が1年より前の時点で予見可能な場合、業績連動給与制度に基づく減額である場合等はこれに該当しません。
退職から直前6ヶ月の残業時間について、3ヵ月連続して45時間を超え、また1ヶ月について100時間を超えている又は2~6ヶ月平均で80時間を超えているという場合に退職した場合は会社都合退職と評価されます。
上司や同僚からの嫌がらせが理由の退職であれば、会社都合退職と評価される可能性があります。
ただ、嫌がらせがあった事実を客観的に証明する必要があるため、退職前にハローワークに相談をして証拠集めをするなどの事前準備が、会社都合に変更できるかどうかに大きく影響することになるでしょう。
会社側から「自己都合退職にしてくれ。」といわれるケースもあります。
会社は、従業員を解雇するためには社会的合理性や社会通念上相当と認められる理由がないと、解雇が認められません。
そのため、会社都合退職にすると、会社都合での退職が不当だとして地位確認訴訟を提起される等のトラブルにも発展しかねないため、会社としては自己都合退職にさせた方が、リスクが少ないのです。
ここでは自己都合退職を強要された場合の対処法について解説します。
「お前にとっても、会社をクビになったと言われるよりも自分から辞めたといった方が、家族にも示しがつくだろう。」このようにあたかも、従業員を考えた上で自己都合退職を求めてくることが良くあるケースです。
このような退職勧奨を受けた場合には、断固として拒否しましょう。
自己都合退職とすることに応じた段階で、本来会社都合退職と認められ得るようなケースでも自己都合退職として取り扱われてしまいます。
断固として自己都合退職とすることを拒否することで、会社としても解雇することを考え出す可能性があるでしょう。
しかし、従業員を解雇するためには解雇せざるを得ない理由が必要となります。
もし、合理性や社会通念上相当であると認められない理由での解雇が行われた場合、不当であるとして解雇の撤回を請求することが出来ます。
また、退職強要の程度によっては、損害賠償請求を行うことが出来る場合もあります。
解雇の撤回や損害賠償請求を行う場合、解雇理由が不当である客観的な証拠収集が重要となります。
必要に応じて、弁護士、弁護士にハードルが多少高いように感じるのであれば、社会保険労務士の先生への専門的なアドバイスをもらうことをお勧めします。
会社都合退職の場合は労働者が退出届を提出する必要はありません。退職届を提出してしまうと自分から退職を希望した意思表示として利用され、自己都合退職として処理されてしまう恐れもあるので、提出を求められても応じないようにしましょう。
会社によっては会社都合退職でも手続き上でどうしても提出をせざるを得ない状況になるかもしれませんが、その場合は「貴社、退職勧奨に伴い」と記載をして必ず一身都合上の理由での退職でないことを証明できるようにして下さい。
途中変更が可能とはいえ、自己都合退職で処理をされると無駄に手続きを踏まないといけなくなるので、退職時の手続きは慎重に進めていくことをおすすめします。
失業手当の支給を受けるにはハローワークに申請を行いますが、会社都合退職への変更もハローワークで手続きをすることになります。以下のもの用意して相談へ向かいましょう。
また、変更可能かの状況確認に必要な証拠もハローワークで相談をすれば、何が必要でどう用意するかもアドバイスしてもらえるので、失業手当で分からないことがあったら1人で悩まずに直ぐに相談することをおすすめします。
失業保険の受給条件は自己都合離職者と特定理由退職者または特定受給資格者のいずれかに応じて異なります。
それぞれの受給条件に付いて確認しましょう。
自己都合退職の場合、「雇用保険の加入期間が12カ月以上であること」が条件です。
自己都合の場合、3ヵ月間失業保険の給付を受けることが出来ない「給付制限期間」があります。
その後、7日間の待期期間を経て失業保険の給付を受けることが出来ます。
給付制限期間の受給分に関する金額についても、給付開始後に支給されます。
特定受給資格者は、自分の意志と関係なく倒産や解雇によって、再就職の準備を行う時間的な猶予がない状態で退職せざるを得なかった場合に適用される区分です。
特定受給資格者の場合、「雇用保険の加入期間が離職日以前の1年間で、通算6カ月以上あること」が給付の条件となります。
特定受給資格者には、以下の点で自己都合退職の場合と異なります。
特定理由離職者とは、特定受給者以外でやむを得ない理由によって離職したばあいに適用される区分です。
特定理由離職者に適用される理由としては以下のような理由が挙げられます。
等
特定理由離職者の受給条件は、「雇用保険の加入期間が退職日以前の1年間で通算6カ月以上であること」です。
失業保険の1日あたりの基本手当金額は以下の計算式によって決定します。
基本手当日額=(退職前6カ月の賃金の合計÷180)×給付率
この基本手当日額と給付される所定給付日数に応じて失業給付の総支給額は決定します。
給付率に関しては、おおむね50~80%程度です。
具体的な算出方法は複雑であるため、ハローワークに相談することをお勧めします。
所定給付日数は、会社都合の場合と自己都合の場合で以下の通り、大きく異なります。
自己都合 |
会社都合 |
|
給付日数 |
90日~150日 |
90日~330日 |
失業給付を受けるために必要な書類は以下の通りです。
マイナンバーの確認書類がない場合は、以下のうちいずれか1つを持参すれば問題ありません。
会社都合退職は就職の際に退職理由を説明しにくいというデメリットはありますが、自己都合退職よりも手厚い失業手当を受けられます。
退職届を提出していても状況によっては後から会社都合退職に変更も可能なので、自分の場合はどちらが合っているかをじっくり検討して、後で後悔しない選択をするよう慎重に判断しましょう。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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