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KL2020・OD・037
ブラック企業とは、長時間労働や未払い残業代などの問題を抱え、粗悪な労働環境になっている会社のことを指します。ブラック企業と呼ばれる会社にはいくつかの共通点があり、どれも違法性の高いものです。今回は、ブラック企業の特徴と対処法をご紹介します。
目次
ブラック企業の特徴は大まかに分類して以下の5つがあります。今回は、この5つの特徴に注目してご紹介していきたいと思います。
ブラック企業の特徴に「残業が多い」というものがあります。厚生労働省では月80時間を超える残業を「過労死ライン」として、健康障害の発生リスクが高まると注意を呼びかけています。
「過労死ライン」は過重労働により、脳・心疾患などで死亡した場合の労災認定をする際に基準として用いられます。ブラック企業では、この「過労死ライン」を超えて残業をさせている企業もあります。
残業などの時間外労働でよく聞くサブロク協定では、残業時間を以下のように制限しています。サブロク協定とは、労働基準法36条に基づいた協定のことで、労働時間の延長(時間外労働)の上限を定めています。
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
引用元:労働基準法
サブロク協定で定められている労働時間の延長をまとめると以下の表のようになります。表から、残業時間は最大で月45時間までということがわかります。なので、月80時間超の残業は、明らかに違法であるといえます。しかし、現状として残業時間が法で定められているものより長い企業は数多く存在しています。
期間 | ※1年単位の変形労働時間制の場合 | |
1週間 | 15時間 | 14時間 |
1ヶ月 | 45時間 | 42時間 |
1年 | 360時間 | 320時間 |
残業時間が多い時に確認するべきなのは、残業代が働いている分だけきちんと支払われているかどうかです。残業時間が多いブラック企業の中には残業代をつけさせなかったり、支払わなかったりすることがあります。
「残業代が支払われない」でもお伝えしていますが、残業代は支払われるべき賃金です。ブラック企業によくある特徴としては「うちは『みなし残業』だから残業代はつかないよ」という言い分です。みなし労働制や年俸制などの場合も、みなし残業代分などを超えた残業代は支払われます。
関連記事:残業代が出ない理由と仕組み
残業時間が多いブラック企業でも、残業時間をなるべく減らす努力はできます。残業時間の多いブラック企業で、仕事の効率を上げるなど個人の努力ではどうにもならない場合は、以下のような方法を試してみましょう。
意にそぐわない残業が上司の業務指示のもとで行われている、職場の雰囲気から残業せざるを得ない場合はパワハラにあたります。パワハラは社内のハラスメント窓口や労働局などの総合労働相談コーナーに相談しましょう。
残業時間を減らすには、残業時間が多い業種を避けるということもひとつです。
残業時間の多いブラック企業で、うつ病などの精神障害を発症してしまったら労災認定を受けましょう。労災認定を受けると、精神障害の治療費などが補償されます。
労災認定については労働局で相談できるほか、「パワハラで労災認定が受けられる条件と申請方法まとめ」でもご紹介していますのでご覧ください。
ブラック企業では、働いた分の残業代が支払われない賃金不払残業が発生していることがあります。会社には残業代を支払う義務があり、また、私たち労働者は働いた分の残業代を請求する権利があります。もしも残業代が支払われないブラック企業で働いている方は、残業代を請求することを考えましょう。
労働基準法では、「1日8時間、週40時間以下の労働時間」を法定労働時間と定めています。法定労働時間を超える労働時間は、「時間外労働」になり残業代が発生します。残業代は、労働基準法37条で以下のように定められています。
この法律では、働いた分の残業代は支払わなければならないものとされています。残業代の未払いは違法行為になるのです。
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
引用元:労働基準法
違法な未払い残業代は残業代請求をすることができます。ただし、残業代請求ができるのは過去2年間分までと定められています。2年を過ぎた残業代は時効によって消滅し、請求ができなくなるので注意しましょう。
関連記事:残業代請求の時効と過去の未払い残業代を請求する方法
ブラック企業では、労働契約書や雇用条件通知書が、採用募集時の条件と異なっていることがあります。また、労働契約に給与やみなし残業代などが明記されていないなどは労働基準法15条に違反する行為なので、雇用契約は書類にサインをする前によく確認しましょう。
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
引用元:労働基準法
ブラック企業の中には、正社員として入社したはずなのに雇用契約書を見ると有期雇用や請負契約、業務委託などの雇用契約を結ぶということもあります。有期雇用は、会社にとって都合が悪くなると雇用契約を満期終了させることができます。また、請負契約や業務委託の場合は会社とは直接的に雇用契約を結んでいないので、残業代を支払わないという可能性があります。
休日が少なかったり、有給休暇を申請しても取らせなかったりするブラック企業は極めて違法性が高いです。労働基準法35条によると、使用者(会社)は労働者に対して最低1週間のうち1日は休日を与えなければならないとしています。
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
○2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
引用元:労働基準法
また、有給休暇は原則として、労働者が請求した日に与えなければならないとされています。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
引用元:労働基準法
離職率が高い、また採用募集を常時行なっている会社はブラック企業である可能性が高いです。例えば、3年以内離職率が50%という場合は、採用されてから3年以内に半数の人が会社を辞めていることになります。会社に人が定着しにくい理由があるので、ブラック企業の可能性があります。また、常時採用を行なっているということも、離職率が高いのと同じように人が会社に定着しにくいと考えていいでしょう。ただし、ベンチャー企業などの場合はもともと人手が足りなかったり、成長して力をつけた人材が独立したということも考えられます。
パワハラやセクハラなどのハラスメントは違法行為です。しかし、パワハラやセクハラが当たり前になってしまっているブラック企業も少なくありません。
厚生労働省は、パワハラやセクハラなどのハラスメントに対して会社側に防止措置を義務付けています。パワハラは職場環境を悪化させ、内容によっては罪に問われることもあります。
また、セクハラやマタハラ(パタハラ)などは男女雇用機会均等法や育児介護休業法、労働基準法などの法律に違反する行為です。会社は、労働者からパワハラやセクハラなどハラスメントの相談を受けた際には、相談に応じ対処を行い、再発防止に努めなければなりません。
ブラック企業では、パワハラやセクハラなどハラスメントの相談をしたのに会社が取り合ってくれない、ハラスメントの相談窓口がないということがあります。ブラック企業で発生するハラスメントに関する記事を以下にまとめました。
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パワハラやセクハラなどのハラスメントをやめさせる方法として重要なのは、周囲の人を巻き込むことです。ハラスメントにあったら必ず周囲の人に相談するようにしてください。ハラスメントの大まかな解決フローを図にまとめました。
なお、ブラック企業では、そもそも会社に相談しても取り合ってもらえないことが多いと思います。その場合は、会社が所在する労働局や総合労働相談コーナーなどに相談しましょう。
パワハラやセクハラなどハラスメントを解決するためには、相談することからはじめましょう。ハラスメントの相談窓口は社内や労働局以外にもいくつかあります。デリケートな問題でもあるので、自分が一番相談しやすい窓口が利用できるといいですよね。
ここでは、パワハラとセクハラの相談窓口について詳しく述べた記事をご紹介します。
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パワハラの相談窓口を有効活用するための5つの知識
セクハラの相談先と相談件数|3つのセクハラ対処法まとめ
やりがい搾取とは、やりがいを報酬に仕事量を増やしたり、賃金を支払わずに労働をさせたりすることです。
やりがい搾取は、明らかに終わらない量の仕事を与える過大要求型パワハラや賃金不払残業につながる可能性があります。求人業などで、「やりがい」や「アットホーム」などの会社の数値的な実績以外を売りに募集をかけている場合はブラック企業である危険性が高いので注意が必要です。
ブラック企業は入社前にチェックすることも可能です。会社の評判や、離職率、雇用条件などはインターネットで調べることができます。また、求人票に掲載されている雇用条件が面接や内定時にきちんと説明されるかなども重要です。
関連記事:就職する前に考えるブラック企業対策
この項目では、ブラック企業の特徴としてお伝えしたポイントにあてはまった、勤めている会社がブラック企業だという場合の対処法をお伝えします。
ブラック企業をなんとか改善させたいと考えている方は、労働組合や労働局に相談しましょう。社内に労働組合がない場合は、個人で入ることのできる社外の労働組合を利用することもできます。
また、労働局では労働者からの相談によって会社を調査することも可能です。調査によってブラック企業であると判断された場合は、労働基準監督署から指導が入ることになるので、会社は改善を余儀なくされます。
ブラック企業に自分一人で立ち向かう必要はありません。ブラック企業に勤めてつらいと感じたら、会社を辞めるということも考えてください。ブラック企業でストレスを溜め込んで働けない状態になってしまう前に、会社を休むことや辞めることを考えるのも必要です。「まだ大丈夫」と思うことは危険ですので、「もうダメそうだ」と思ったら周囲の人に相談するなどして助けを求めましょう。
【関連記事】ブラック企業の辞め方と辞める際に考えるべき6つのコト
残業代などの賃金の未払い、ハラスメントなどで退職に追い込まれるなどの損害は訴えることができます。民法では、損害などの侵害を以下のように定めています。ブラック企業であっても、個人に損害を発生させた場合は賠償しなければなりません。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法
また、残業代や損害賠償を求め訴訟を提起する場合には弁護士の力が必要になります。ブラック企業を訴える際に関連してくるものを以下にまとめました。
ブラック企業では、長時間労働やハラスメントなどの問題を抱えていることを特徴としてあげました。しかし、これら以外にもあなた自身が苦痛に思っていることがあったら、今勤めている会社はあなたにとってのブラック企業といえるでしょう。
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