暴行罪で逮捕されてしまった場合の流れ｜前科を付けない為にすべき事

人のことを殴る蹴るなどの暴力で怪我をさせてしまった場合は傷害罪が成立しますが、相手方が怪我をしていなかった場合は暴行罪が成立します。

刑法第208条　暴行を加えた物が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

引用元：刑法第208条

この記事では暴行罪について傷害罪との違いと、暴行罪で逮捕されてしまったときのことについて解説していきます。

暴行罪で逮捕された後の流れ

基本的にどのような容疑で逮捕されたとしても、次のような流れで進みます。

• 警察による逮捕：最長48時間
• 検察庁への送致：最長24時間
• 勾留：原則10日、延長の場合最大20日
• 起訴・不起訴の判断

また、未成年が暴行罪で逮捕された場合は、検察までの捜査段階までは成人と同じ手続きになりますが、その先の成人とは大きく異なってきます。

暴行罪と傷害罪との違い

冒頭でもお伝えしましたが、暴行罪も傷害罪も殴る蹴るなどの有形力を不法に行使することに変わりませんが、その結果でケガが生じたかどうかで暴行罪か傷害罪か変わってきます。

例えば、軽く人を叩いたつもりでもその人が打撲と診断されれば傷害罪になってしまうのです。

怪我を負わしたかどうかで罪状が変わるわけですが、暴行罪と傷害罪では定められている刑罰に大きな差があります。

• 暴行罪…2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
• 傷害罪…15年以下の懲役又は50万円以下の罰金

暴行罪で逮捕された場合の対処法

ここでは、暴行罪で逮捕された場合の対処法について解説します。

被害者と示談を行う

暴行罪で逮捕されてしまった場合の対処法の１つは、被害者との示談を成立させることです。

被害者との示談の成立は当事者間で事件が解決していると評価されるため、非常に重要です。

ただ、加害者本人やその関係者が示談を申し入れても被害者が拒否する可能性もありますので、弁護士を介して行うのが一般的ですし、適切でしょう。

示談について詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。

弁護士に相談する

暴行を加え、結果として被害者がケガをした場合、傷害罪に問われる可能性もありますので、弁護士へ相談することをおすすめします。

傷害罪の法定刑は、暴行罪より重く、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

勾留された場合は国選弁護人が選任されますので、弁護人と相談し、状況に合った対策を講じてもらうようにしましょう。

もちろん、法律事務所に赴いて、対価を支払い、弁護士に私選弁護を依頼することも可能です。

当サイトから、お住まいの地域で、無料相談を受けている弁護士を探すこともできますので、ぜひご活用ください。

暴行事件における弁護士の役割と費用相場

刑事事件の場合で弁護士を選任する場合、国選弁護人と私選弁護人のどちらかを選任することができます。

国選弁護人とは、経済的に弁護士に依頼する事が難しい人のために、国が費用を負担して弁護士を選任することができる制度です。

私選弁護人とは、自分のお金で好きな弁護士を選任することを言います。

弁護士の役割

刑事事件において弁護士の役割は、1日でも早く身柄の拘束を解き、裁判になったとしても無罪を主張したり、刑を軽くするために弁護活動する事にあります。

特に、身柄を拘束されている間は自分で被害者に示談交渉することもできませんから、弁護士が代わりにやってくれます。

弁護士費用の相場

弁護士費用は各弁護士事務所によって料金形態や料金設定が違いますが、私選弁護人で選任する場合の弁護士費用の相場はおおよそ60～80万円となっているようです。

暴行罪・傷害罪で逮捕された事例と裁判例

ここでは、暴行罪の判例や、ケガを負わせたために傷害罪で逮捕された事例をご紹介します。

電車を待つ被害者を押す暴行を加えた暴行事件

電車を待っていた被害者２名を、左手で押したとして暴行罪に問われていた被告人に、懲役２年６ヶ月、執行猶予４年の判決が下されました。

２人目の被害者は、電車に轢かれそうになるなど、命の危険に直面し、悪質な犯行であるとしながらも、被告人には障害があり、犯行時に行動を制御できなかった点、前科もなく、謝罪し反省を示している点、今後家族が監督を行うなどを考慮し、執行猶予判決とされました。

腹部を数回蹴る暴行を加え罰金15万円

誤って階段から転落した被害者の腹部を、数回蹴る暴行を加えたとして、被告人に罰金15万円の判決が下されました。

事件は、飲食店の支払いを巡り、話し合いがつかなかった被害者と被告人が、誤って階段から落下し、倒れていた被害者の腹部を数回蹴ったというものです。

結果、被害者は階段から転落した際の挫傷による、脳機能障害を原因とした肺炎で亡くなりました。

この事件では、被告人が直接手を下したわけではありませんが、暴行の結果、相手が死亡してしまうことも十分に考えられます。

ゲームセンターで因縁つけ暴行をした少年逮捕

ゲームセンターで、目が合った相手に因縁をつけ、暴行を加えたとして少年２人が逮捕されました。

少年２人は、被害者に暴行を加え逃走しましたが、周辺の防犯カメラの映像から特定され、逮捕されたということです。

被害者は、全治１ヶ月半の重傷を負ったため、容疑は傷害とされています。

このように、未成年者であっても、逮捕されますし、暴行を加えて逃げおおせても、防犯カメラの映像から発覚すること、被害者がケガを負えば、暴行罪ではなく傷害罪に問われることは、十分にあり得ます。

【参考元】産経ニュース｜ゲームセンターで因縁付け暴行　１８歳の少年２人を逮捕

まとめ

2017年の犯罪白書によると、暴行罪は、傷害罪の起訴率37.1％でに対し、起訴率29.6％と、傷害罪より軽い罪状であることもあり、比較的不起訴になりやすい事件です。

しかし、何もせずに不起訴になるわけではありません。

捜査段階における弁護士などの迅速で適格な弁護活動があるからこそ、被害者と示談を成立させることができ不起訴になる確率が上がるのです。

もしあなたやあなたの周囲の人が暴行罪で逮捕されてしまった場合は、一度弁護士に相談してみてください。