売春した側は逮捕されにくい理由|犯罪の定義ともし捕まった時の対処法

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売春した側は逮捕されにくい理由|犯罪の定義ともし捕まった時の対処法
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買春をした者が加害者で売春をした者が被害者としてニュースでは報道されるので、売春を行った人の扱いについて気になる人は多いのではないでしょうか?

実は、売春には刑罰が定められていないため、『買春側は逮捕されても売春側はお咎めなし』という状況は珍しくありません。売春をして逮捕されるのはごく限られた一部の状況のみであると言えるでしょう。

この記事では売春と逮捕の関連性と万が一に逮捕された時の対処法について紹介していきますので、もし、なんらかの事情により売春行為に関わってしまった場合は良かったら参考にしてみてください。(※当記事では以下の意味で用語を使い分けています)

売春側

対価を受け取って性的サービスなどを行った側

買春側

対価を払って性的サービスなどを受けた側

◆売春で逮捕されてしまった方へ

売春で逮捕されてしまった場合、早期の身柄拘束や刑罰の軽減を望んでいるのであれば、早い段階で弁護士に依頼して弁護活動をしてもらうことをおすすめします。
初回の相談料が無料の弁護士などもいますので、お近くの弁護士を探して相談してみましょう。

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売春者は逮捕されない

売春は違法だけど刑罰はない

売春防止法では売春行為は違法だと明記されていますが、売春行為に対する刑罰は何も記載されていません。そのため、現状の法律上では売春は違法だけど逮捕はされないという不思議な状況となっています。

何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。

引用:売春防止法三条

未成年が売春をした場合は買春をした側は罪に問われてしまいますが、売春をした側には刑罰が定められていないため、事実上の不問扱いであると言えるでしょう。(買春をした側の刑罰は下記の『買春をした側が科される刑罰』で紹介あり)

売春が逮捕されない理由

法律で売春が罰せられない理由は、売春をする状況に置かれた人は保護すべき対象であると判断されているためです。売春をする人は貧困により売春をせざるを得ない状況なので、売春防止法はその人達を保護する目的で設立されたと言われています。

売春禁止法は売春自体を罰するのではなく、売春を促す行為を罰する法律だと考えればとわかりやすいでしょう。

また、実際に売春か合意の行為かどうかの判断が困難というのも逮捕に繋がりにくい要因の1つです。例えば、肉体関係のある恋人からプレゼントを受け取る行為を売春かどうか判断するのはほぼ不可能でしょう。

売春で逮捕が関与する状況

売春で逮捕が関与する状況

売春行為のあっせん

売春のあっせんや場所の提供に強要など、売春を促す行為をした者は刑罰の対象になります。(※買春をした本人でなくても刑罰の対象)

状況

刑罰

売春のあっせんをした

2年以下の懲役又は5万円以下の罰金

売春の場所を提供した

3年以下の懲役又は10万円以下の罰金

売春の場所の提供を商売としていた

7年以下の懲役及び30万円以下の罰金

売春をさせる契約を結ばせた

10年以下の懲役及び30万円以下の罰金

売春をさせることを商売としていた

10年以下の懲役及び30万円以下の罰金

売春の周旋をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。(第六条)
人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。(第十条)
情を知って、売春を行う場所を提供した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。(第十一条)
売春を行う場所を提供することを業とした者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。(第十一条2項)
人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。(第十二条)

引用:売春防止法

上記の刑罰は基本的に売春をした本人に対してではなく、周囲の売春を促した者に対して科されるものです。

公の場で売春の宣伝をする

公衆の場で売春行為を宣伝したり特定の人物に売春を迫ったりする行為には6カ月以下の懲役または一万円以下の罰金の刑罰が科されます。

売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること

引用:売春防止法第五条

例えば、道端で『私と一晩3万円でどうですか?』などと宣伝して回り売春の営業を続けていた場合は、上記の刑罰が科されることになるでしょう

売春をした相手が未成年

売春者が成人で買春者が未成年だった場合、売春者は青少年健全育成条例違反に該当して逮捕される可能性があります。青少年健全育成条例違反は県により刑罰が異なりますが、二年以下の懲役または百万円以下の罰金と定められている地域が多くなっています。

参考:東京都青少年の健全な育成に関する条例

売春者が成人で買春者が未成年という状況はあまり見られませんが、法律上では犯罪として扱われるので、念のため紹介します。

関連記事:児童買春で逮捕されるケース|その後の流れと減刑するための対処法

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売春が関与して逮捕者が出た事件

売春が関与して逮捕者が出た事件

高校生が売春あっせんの疑い

17~18歳の高校生3人が知人の少女に売春行為をさせて売春防止法違反の疑いで少年育成課に逮捕された事件。

詳細:拓大紅陵野球部の元部員3人逮捕 売春あっせんの疑い

容疑者の高校生3人はツイッターで集客を行い、30代の男性と少女を引き合わせて売春をあっせんした疑いがかかり逮捕に繋がりました。逮捕当時は高校生でしたがその後3人は退学したようです。

娘に売春を強要した母親

中学生の娘(14)に売春させたとして新潟県在住の無職女性(44)が児童福祉法違反の疑いで逮捕された事件。

詳細:14歳娘に売春させる 容疑の44歳女を逮捕 新潟県警

女性は娘に知人の要求を拒まないように指示したとされています。買春をした容疑者の男性(73)は女性の娘を18歳以下と知りながら現金を渡してみだらな行為を繰り返していましたが、娘が警察に相談したことにより逮捕に繋がりました。

裸の写真で脅迫して売春を迫る

元交際相手の女性(20)を脅迫して売春をさせたとして、日系ペルー人の無職男性(28)が売春防止法の容疑で逮捕された事件。

詳細:裸の写真ネタに脅迫し売春強要…借金や「奴隷誓約書」で支配 恋心を利用した日系ペルー人男

容疑者は女性の裸の写真を利用して女性を脅迫して無理やり売春行為をさせていましたが、後に借金を強要され恐怖を抑えきれなくなった女性が警察に相談したことにより逮捕に繋がりました。

買春をした人が科される刑罰

買春をした人が科される刑罰

児童買春罪

児童買春罪とは、成人が売春者を18歳未満の未成年と知りつつ買春した際に適用される犯罪で、五年以下の懲役または三百万円以下罰金が刑罰として科されます。

児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

引用:児童ポルノ法第四条

ちなみに、買春者が売春者を未成年だと知らなかった場合は上記の罪は適用されません。例えば売春者が20歳を自称して売春を行っていた場合、買春者が売春者を未成年だとまったく気が付けなかったと証明できれば逮捕されても早期釈放になる可能性はあります。

児童ポルノ製造罪

児童ポルノ製造罪とは、18歳未満の未成年の性的な画像・動画を製造して他者に公表した際に適用される犯罪で、五年以下の懲役または五百万円以下罰金または2つ併用の刑罰が科されます。

児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用:児童ポルノ法第七条

18歳未満との売春で性行為はしていけど裸の写真を撮影させてあげたという場合、買春者には上記の罪が適用されます。また、売春者が成人の場合もリベンジポルノ防止法が適用されて、買春者には三年以下の懲役または五十万円以下罰金が科されることもあります。

第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用:リベンジポルノ防止法第三条

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪とは、暴行や脅迫をして無理やりわいせつ行為をした際に適用される犯罪で、六ヵ月以上十年以下の懲役の刑罰が科されます。(13歳未満の未成年が相手の場合はわいせつ行為をした時点で適用される)

十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

引用:刑法百七十六条

援助交際の最中に合意の前に無理やりわいせつ行為をされたという状況の場合、買春者には上記の罪が適用される可能性があります。

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売春をして逮捕された時の対処法

売春をして逮捕された時の対処法

取調べ前に弁護士を呼ぶ

もし売春をしようとして逮捕されてしまった場合は、警察の取調べ前に弁護士を呼んでもらうようにして下さい。当番弁護士制度を利用すれば被疑者は一度だけ無料で弁護士相談を依頼できます。

当番弁護士制度はすべての被疑者に与えられている権利。取調べ前に警察は「弁護士を呼びますか?」と聞いてくれるので、必ずお願いしましょう。

取調べ前に弁護士に自分の状況を説明して供述のアドバイスをもらえば、自分だけで取調べに臨むよりも釈放期間が早くなり減刑される可能性が高くなります。

関連記事:逮捕されるまでとされた後の流れ|逮捕されてしまった時にすべきこと

弁護士に依頼して弁護活動をしてもらう

早期の身柄拘束や刑罰の軽減を望んでいるのであれば、早い段階で弁護士に依頼して弁護活動をしてもらうことをおすすめします。

例えば、検察官に起訴される前に事情の説明をしたり、今後の対処法を伝えることで早期釈放に繋がることもあります。勾留期間が不当に長引いていたらそのことを裁判官に伝えてくれます。

弁護士依頼の相場は70万円ほどと言われていますが、もし経済的に弁護士費用の負担が厳しくても国選弁護士制度により無料で弁護士を雇える場合もあるので、まずは一度弁護士に今後の対処を相談しておくとよいでしょう。

関連記事:当番弁護士と国選弁護人の違い|依頼方法とやってくれること

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まとめ

基本的には売春をした人が逮捕されるケースは滅多にありませんが、公の場で売春行為を営業行ったり、未成年を相手にしたりすると、売春者でも逮捕されてしまう可能性があります。

ただ、逮捕される可能性は低いと言っても売春は違法行為であることに変わりはないので、周囲にバレたら生活に悪影響が生じてしまこともあるでしょう。捕まりにくいからと高をくくって安易に売春をすることは絶対に避けるようにして下さい。

この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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