公然わいせつで逮捕された後の対処法と傾向

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
公然わいせつで逮捕された後の対処法と傾向

公然わいせつ罪とは、不特定又は多数人が認識可能な状況下でわいせつな行為を行う犯罪です。保護法益は「善良な性風俗」要するに「社会的モラル」であり、公然わいせつ罪は社会に対する犯罪行為と考えられています。

公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法第174条

ここでは、公然わいせつ罪について簡単に紹介します。

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公然わいせつ罪での逮捕

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、罪をおこなっている最中やおこない終わった直後に身柄を拘束される逮捕です。

公然わいせつの場合、公然わいせつ行為を目撃した市民が警察に通報し、かけつけた警察官が犯罪行為を現認して現行犯逮捕するというケースが多いといえそうです。

公然わいせつ行為を目撃した市民がその場で加害者を取り押さえることもあるかもしれません。

このような民間人による現行犯逮捕行為を「私人の現行犯逮捕」といいます。

通常逮捕

現行犯ではなく、犯行後に裁判所の逮捕令状をもって行われる逮捕を「通常逮捕」といいます。例えば以下のようなケースでの逮捕がこれに該当します。

  • 露出行為の加害者が防犯カメラ映像から特定されて逮捕に至る
  • インターネットでわいせつ行為を配信したことについて逮捕に至る
  • ストリップなどの性風俗店が摘発された場合に公然わいせつでも逮捕される

公然わいせつで逮捕された後の流れとは

公然わいせつで逮捕された後の流れとは公然わいせつ罪に限りませんが、逮捕された後は上の図のような流れで刑事手続きが行われていきます。図だけではわかりにくいので、細かく分けて解説していきます。

逮捕

逮捕された場合は48時間以内に検察官に送致されます。

なお軽微な公然わいせつ行為については逮捕されず『微罪処分』として処理されることもあります。この場合は身柄は拘束されません(ただ、家族等が身柄を引き受けることが必要です。)。帰ることができる処分です。

勾留|公然わいせつは略式起訴が多い

検察は事件と身柄の送致を受けてから24時間以内に勾留を請求するべきか否か判断します。検察官が勾留を請求し、裁判所がこれを認めた場合には被疑者は最大10日間(延長される場合は最大20日間)身柄を拘束されます。

なお、公然わいせつ罪の悪質性が低い場合には、検察官が勾留を請求しないで身柄を釈放することも多いです。ただ、この場合には無罪放免というわけではなく『在宅事件』という身柄拘束のない刑事事件として処理は進みます。

起訴・不起訴

検察官は犯罪捜査が完了した時点で事件を起訴するか否かを判断します。不起訴となった場合には特段の刑事処分を受けることは有りません。他方、起訴された場合は刑事裁判で有罪・無罪が判断され、有罪の場合には刑罰が科されます。

公然わいせつ罪の場合、正式裁判ではなく略式命令という簡易的な刑事裁判により処理されることも多いようです。下図は、平成27年に起訴されたわいせつ関連の事件の『略式命令』と『公判請求(裁判を行う請求)』の比率をまとめたものです。このように公然わいせつ事件では、3/4が略式命令による処分を受けていることがわかります。

公然わいせつで逮捕された後の対処法と傾向参照元:「平成28年度版 犯罪白書

なお、平成27年の統計データによると、公然わいせつ罪の起訴率は61%と比較的高いようです。

起訴・不起訴参照元:「平成28年度版 犯罪白書

公然わいせつ罪に該当する行為と逮捕事例

公然わいせつ罪は公然とわいせつ行為をした場合に成立しますが、どのような行為が犯罪となるのかわかりにくいかもしれません。ここではいくつか具体的事例を見ながら、公然わいせつ罪が成立し得る行為態様について簡単に解説します。

屋外で露出行為をすること

これは、一番イメージが付きやすいですね。屋外のような不特定多数の目に触れる可能性のある場所で性器等を露出する行為は典型的な公然わいせつ行為といえます。

露出行為で逮捕された例

最近だとコンビニエンスストアに下着で入店し、店員に尻を見せるなどの行為をしたことで、23歳の男が逮捕された事件が大きく取り上げられました。その他にも「変態」や「露出狂」として、たびたびセンセーショナルなニュースになることも多いです。

屋外で性行為や性交疑似行為をすること

こちらもイメージがつきやすいと思います。人目につく可能性のある屋外で性行為や性交類似行為を行うことも公然わいせつ罪に該当します。たとえば、公園や駐車中の車の中などの人の目に付く可能性のある場所での性行為等を行う行為は犯罪となり得ますのでやめましょう。

性行為などで逮捕された例

性行為が公然わいせつとして逮捕されるケースは、アダルトビデオでの撮影などが多いようです。過去には、アダルトビデオ制作会社関係者や出演者を含めた52人が検挙された事件もあります。

インターネットによるわいせつ動画の配信

インターネットも不特定多数がアクセス可能な状態であれば「公然」の場と評価されます。そのため、インターネットを通じて不特定多数に対してわいせつ動画を配信したような場合、公然わいせつ罪やわいせつ物頒布等罪に問われる可能性があります。

ネット上の公然わいせつで逮捕された例

近年では、インターネットを使って「生中継」を配信することも多くなってきました。生中継の最中に全裸の動画を配信したとして、動画配信の運営会社社長とチャットレディー5人が公然わいせつ罪で逮捕された実例もあります。

ストリップなどの性風俗店

風俗店として営業しているストリップ劇場などで不特定多数の観覧者に対して性器等を露出する行為をしていれば、公然わいせつ罪に問われる可能性があります。

性風俗店が公然わいせつとして逮捕された例

ストリップショーを開いたとして、経営者の男とストリップ嬢が逮捕されたニュースです。逮捕された男は、店内に約20人の客がいる状態でストリップ嬢の下半身を露出させました。

公然わいせつで逮捕された場合の対応

公然わいせつ罪で逮捕された場合の手続は上記のとおりですが、加害者としてどのように対応するべきでしょうか。

公然わいせつ罪は社会に対する犯罪であり、特定の被害者がいない場合も多くあります。このようなケースでは公然わいせつ行為が事実である場合は事実を認めて捜査に協力する真摯な姿勢で臨むべきでしょう。

他方、特定人に対してわいせつ物を見せつけたような公然わいせつ罪の場合には当該見せつけの相手を被害者と位置づけ、当該被害者と示談することも積極的に検討するべきでしょう。

他方、露出するような行為をしたものの公然性についての認識がなかった場合(例えば自宅で性器等を露出していたが、カーテンがたまたま空いていたような場合)には、犯罪が成立するかどうか微妙なところです。

このような場合には慎重な対応を求められますので、弁護人と相談しながらどのように対応するべきかを慎重に判断するべきでしょう。

まとめ

公然わいせつについて簡単に解説しました。参考となれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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