高齢者が高齢者を騙す老老詐欺とは|高齢者の悩みにつけ込む悪質な手口

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
高齢者が高齢者を騙す老老詐欺とは|高齢者の悩みにつけ込む悪質な手口

老老詐欺(ろうろうさぎ)とは、高齢者の詐欺師が高齢者を騙す詐欺のことをいいます。「詐欺師=若い人」という思い込みにつけこんだり、お金、健康、孤独という高齢者特有の悩みに共感して安心させたりしながら、最終的に高額な商品を契約させます。

今回は、老老詐欺の手口と事例、被害を未然に防ぐ方法や、被害に遭った際の対処法をお伝えします。

老老詐欺の手口|同じ高齢者だから安心?

老老詐欺の手口|同じ高齢者だから安心?

老老詐欺の手口を確認していきましょう。

詐欺師=若者という盲点をついた手口

例えば、オレオレ詐欺や振り込め詐欺では、大抵詐欺師は若い人です。無意識に「詐欺師=若者」と思ってしまっても不思議ではないでしょう。このような思い込みがあった場合、高齢者の詐欺師からすればターゲットの警戒心が薄く騙しやすいのではないでしょうか。

高齢の特有の不安や悩みに共感しつけこんでくる

高齢者の悩みは大まかに、お金、健康、孤独の3つがあります。老後の資金を懸念している人は、投資詐欺や融資詐欺などに引っかかってしまうかもしれませんし、病気を抱えている人は「ガンが治る」など甘い言葉に釣られ、藁にもすがる思いで高額な商品を買ってしまうこともあるでしょう。

特に、周りに話し相手がいない孤独な老人は、自分の話を聞いてくれる人を熱望している場合もあります。詐欺師は人と仲良くなるのが上手いので、孤独に付け込まれてしまうと騙されていることに気づけず、被害が拡大する恐れがあります。

若い営業マンの上司として現れる

若い詐欺師と高齢者の詐欺師がグルになってターゲットを騙す場合もあります。若い詐欺師が訪問販売のふりをして、ターゲットに強引でしつこい勧誘をするのが最初のステップです。

そこに上司役の高齢者詐欺師がやってきて、若い詐欺師の強引な営業を叱りつけます。ターゲットは二人がグルだと知らないので、高齢者の詐欺師のことを「しっかりした人」「自分を助けてくれた」と思う可能性があります。

ターゲットの警戒心を解いたあとは、「この年齢になると身体のあちこちがいたんでしんどいですよね」など高齢者が共感できるネタで盛り上がり親近感を演出します。

ターゲットが高齢者詐欺師を信用したタイミングで再び商品の購入を勧め、購入させるまでがこの手口の流れです。

高齢の詐欺師による結婚詐欺

熟年離婚をしたり、パートナーが先に旅立ったりして心の穴が埋まらない高齢者も少なくありません。そこに異性の高齢者詐欺師が現れ、数回デートを繰り返して恋愛感情を煽った後に、結婚をちらつかせます。

しかし、ターゲットの恋愛感情が熟したタイミングで「病気の治療で〇〇万円必要」とお金を要求し始めます。意中の人が困っているのに、申し出を断るほうが難しいでしょう。

実際に結婚して幸せな家庭を築く代わりに、あれこれと理由を変えてじわじわとお金を騙し取られます。この手口の怖いところは、ターゲット本人が騙されていると認めたがらないことがある点です。

本心では怪しいと感じていても、その人がいなくなってしまえば再び孤独に逆戻りしなければなりません。嘘でもいいから孤独にだけはなりたくないと思うのは自然なことではないでしょうか。

老老詐欺の事例

平均年齢68歳の高齢者詐欺師グループが逮捕された事例です。ターゲットに「株を購入する権利に当選したから名義を貸して欲しい」と電話した後に、「国税の調査が入り解約するため、300万円を送れ」と現金をだまし取ろうとしました。

ターゲットが現金を支払うために融資を受けようとした際に、金融機関の職員が詐欺だと気づき通報したことで事件が発覚したようです。

この件では、300万円を融資してもらうために金融機関へ行き、職員に気付いてもらったことがターゲットにとっては幸いしました。ただ、貯金が300万円以上あった場合は気付いてくれる人がおらず、騙されていた可能性があります。

今回のように名義貸しという罪悪感がある場合、人に知られたいとは思わないでしょう。しかし、一人で悩んでいる限り情報を多角的に判断しにくくなり、結果騙されてしまいます。高額なお金を支払う際は、まずは誰かに相談して、騙されていることに気づきたいものです。

老老詐欺に遭わないための対策

老老詐欺に遭わないための対策

高齢者を狙う詐欺を未然に防ぐには、周囲の助けが必要です。

高齢者を孤独にしない

孤独な高齢者は、自分を理解してくれる話し相手を欲しがっています。詐欺師はそんな心の隙間につけこんでくるわけですが、裏を返せば高齢者が人間関係に満足しているほど騙されにくくなる可能性があります。

高齢者の方には「もう年だから」と家に引きこもらず、近所付き合いをしたり、高齢者の集まりに参加するなどしたりして、心の隙間を埋めるよう動かれることをおすすめします。

また、ご家族の方は高齢者の方と連絡をとるなど、定期的に話を聞いてあげるようにしてください。

周囲の助けが必要不可欠

年を重ねると判断能力が鈍ったり、人間関係が希薄になり孤独にさいなまれたりするのは仕方のないことです。孤独を解消するだけでは詐欺をすべて防げないかもしれないので、高齢者が物理的にお金を振り込めないようにすることが必要になるかもしれません。

例えば、ATMで1日に振り込める金額の上限を下げておけば、ATMから振り込むタイプの詐欺は未然に防げます。

訪問販売や電話勧誘販売に応じない

訪問販売や電話勧誘販売自体は詐欺でも違法でもありませんが、不意打ちのセールスであることに変わりはないので、判断力が弱まっている高齢者は対応しないほうが良いかもしれません。

高齢者が家に一人になるときはインターホンを切ったり、留守電設定にしたりするのもいいでしょう。

老老詐欺に遭ってしまった際の対処法

最後に老老詐欺に遭った際の対処法をお伝えします。

クーリングオフをする

訪問販売や電話勧誘販売で商品を購入してしまった場合、書面を受け取ってから8日以内であればクーリングオフが可能です。

振り込め詐欺救済法を利用する

お金を振り込んでしまった場合は、すぐに警察に通報し、振込先の金融機関に連絡しましょう。詐欺師の口座にお金が残っていた場合、口座を凍結して残っていたお金を被害者の人数に応じて分配できる可能性があります。

専門家に相談する

詐欺にあってどうすればいいかわからない場合は国民生活センターに相談し対策を教えてもらうこともできますし、弁護士に相談すれば騙されたお金を取り戻すため、あなたに変わって行動してくれます。

詐欺師に逃げられた後では、お金を取り戻すのがより困難になるため、被害に遭ったらすぐに相談されることをおすすめします。

まとめ

老老詐欺では、「詐欺師=若者」という思い込みにつけ込み、高齢者の詐欺師が高齢者のターゲットを騙します。高齢者はお金、健康、孤独の悩みを抱えていることも多く、中でも孤独を抱えている人は、自分に良くしてくれる人が現れたら、失いたくないと思うのも当然です。

詐欺に騙されるかどうかはおいておいたとしても、孤独を解消できるよう仲間を増やせる場所に足を運びたいものですね。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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