『仕事で使う文房具を自腹で買わされる』これって法律的にアリなの?

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
『仕事で使う文房具を自腹で買わされる』これって法律的にアリなの?

こんにちは。あなたの弁護士編集部です。突然なのですが、みなさん、仕事で使う文房具にかかる費用は自分で出していますか? それとも、『経費』として会社が出してくれますか?

経費のあり方は企業によって異なるようで、シャープペン1本でも負担してくれる会社もあれば、逆に、まったく負担してくれない会社もあるようです。

とある零細企業で、経理として働くあやさん(仮名・43歳)は、仕事に必要な道具をすべて自腹で購入しており、会社に対して不満を抱いています。

あやさん
会社で使っているPCはさすがに会社に負担してもらいましたが、文房具などの消耗品は基本的に自分で買っています。例えばボールペンやクリアファイル、ホチキスの針とか。会社にとって必要なものなのに、使うのが私だからって本人に購入させるのはおかしくないですか?

仕事道具にかかる費用は会社が負担するというのは当たり前のような気がしますが、法律的にはどうなのでしょうか。あなたの弁護士編集部が調べてみました。

弁護士の先生に聞いてみました

Q.あなたの弁護士編集部
『会社で必要な道具にかかる費用は会社が費用を出さなければいけない』という法律はないのですか?

A.梅澤弁護士
そのような法律はありません。ただ、解釈上は、業務に必要な物品は会社の費用負担で用意すべきものと考えられています。

『会社が負担しなければならない』という法律は存在しないようですね…。じゃあ経費はどうやって払ってもらえばいいのでしょうか?

経費を出そうとしない会社にどう立ち向かえばいい?

Q.あなたの弁護士編集部
会社に仕事で使う文房具代を出してもらいたいのですが、何か方法はないのですか?

A.梅澤弁護士
先ほどの回答のとおり、雇用契約の解釈上、業務に必要な物品にかかわる費用は業務費として会社が当然に負担すべきものと考えられています。そのため、自腹での購入を命じられたらこれを拒否する、という対応が考えられます。

上記の場合、会社が購入費用を給与から天引きしてくる可能性がありますが、その場合は『不当な給与控除が行われた』ことを理由に返還を求めるとともに、返還されない場合は弁護士や労働基準監督署に相談しましょう。

ただ、今後も会社で働き続けたい場合、会社に対して敵対するような姿勢を取ることは避けた方がいいと思います。まずは、費用の負担について会社と十分話し合ってみましょう。

まとめ

あやさんにとっては悲しい結果になりましたが、『仕事で使うものは会社がお金を出す』という法律は存在しないことがわかりました。

なのでまずは、「会社で使うものは会社のお金で買ってもらえませんか?」とお願いしてみましょう。

お願いをしてみても会社が応じてくれないときは、弁護士に相談してみたり、転職を検討したりするのもおすすめです。

退職することを覚悟のうえで、「文房具を自腹で買わされるなら退職する!」とはっきり言ってみたら、逆に効果があるかもしれませんね(笑)。

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KL2020・OD・037

この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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