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KL2020・OD・037
積極損害(せっきょくそんがい)とは、交通事故の被害により、被害者が支払った費用のことを言います。具体的には、治療費、通院交通費、付添人費用などのことです。
交通事故の被害者は加害者に対して損害賠償として請求できる内容は、大きく財産的損害と精神的損害に分けることができ、更に財産的損害は、積極損害と消極損害に分けることができます。
示談交渉の際には、保険会社により損害賠償額が算定され被害者に対して提示されます。この時積極損害として請求できる項目について事前に把握していれば、示談交渉時に妥当な賠償額が提示されているかどうかについての不安が一つ消えることになります。
そこで今回は、交通事故の被害者が加害者に対して請求できる積極損害の項目と金額、さらに示談交渉時の積極損害算定に関する注意点を記載したいと思います。
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目次
ここでは、積極損害として加害者に請求することができる項目とその金額について確認していきましょう。
ケガの治療のために必要な入院費や通院費です。入院費や通院費は加害者に対して全額請求することが出来ます。請求する際には実際にかかった金額の証明として病院の請求書や領収書が必要になりますので、保管しておくようにしましょう。
加害者の負担だからといって、入院時に高額な特別室や個室を選んだ場合には加害者に費用を負担してもらえない可能性もあります。特別に必要が無い場合は、その病院の標準的な部屋を選択するべきでしょう。
ただし、例外的にケガが重症の場合や空き部屋が無く、仕方なく特別室に入った場合には料金を請求できる可能性が高いです。
また、原則として過剰に診療を行った場合も、その過剰診療分の治療費を加害者に対して請求することはできません。
むち打ち等の症状に関しては、整骨院、温泉治療やマッサージ、はり灸等の治療で一定の効果が見られる場合があります。
そのため、基本的には整骨院治療費については加害者に対して請求できます。しかし、温泉治療やはり灸等については支払を拒否される可能性があります。確実に請求を行うには、医師の指示があることが必要です。
そのため上記内容の治療を加害者に請求する場合には、診断書に「整骨院に通う必要あり」などと記載をしてもらうようにして下ください。
付添看護費(つきそいかんごひ)とは、被害者がケガの影響などで、一人で通院できない場合の「通院付添費」、入院時に付き添いが必要である場合の「入院付添費」、ケガで介護が必要になった場合の「自宅付添費」の3種類があり、付添人に対する看護費のことをいいます。
付添看護費は、医師が必要であると判断した場合は当然のことながら、被害者のケガの状態や年齢等を加味して、客観的に付き添いが必要であると判断できる場合には加害者に請求することが出来ます。
それぞれの種類の付添看護費として請求できる金額を以下に記載しておきますが、示談交渉時に保険会社が提示した損害賠償額には、そもそも付添看護費が加味されていない場合や、以下に記載された額よりも少ない場合もありますので、示談時には注意するようにして下さい。
入院付添費は、職業付添人もしくは被害者の近親者どちらが付き添いを行ったかで請求できる金額が変わります。
職業付添人の場合は全額が、近親者が付き添いの場合は、1日あたり5,500円~7,000円程度を被害者に対して請求できます。
被害者が一人で通院できない場合には付添人が必要になりますが、この費用も加害者に対して請求することが出来ます。
職業付添人の場合は全額が、近親者が付き添いの場合は1日あたり3,000円~4,000円を請求することが出来ます。
交通事故のケガの影響で自宅生活時に身の回りの世話や声かけなどを必要とする場合、自宅付添費を加害者に請求することが出来ます。
職業付添人の場合は全額が、近親者が付き添いの場合は必要かつ相当な金額を請求することが出来ますが、一般的には1日あたり約3,000円程度とされています。
交通事故によって重度の後遺障害を負ってしまった場合には、将来にわたって介護が必要になります。
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将来介護費は、障害の程度や介護の必要性などを基に加害者に対して請求することができます。一般的に、職業付添人の場合は全額が、近親者の場合は、1日につき8,000円~9,000円程度が認められます。
算定の方法は、実際に支出されるであろう費用額に基づき行い、期間は原則として平均寿命までの間としています。ただし、将来にわたる費用を現在に一括して請求するのでライプニッツ係数を用いて中間控除を行います。具体的な計算方法は以下の通りです。
将来介護費用=介護費用年額×症状固定時の平均余命×期間ごとのライプニッツ係数
仮に生命を維持するために24時間の付添看護が必要な場合は、1日あたり2~3人分の介護費用が認められます。また、植物状態など重度の被害で自動車事故対策機構の療護センターに入所している場合、近親者は一切費用負担をする必要がなく、付添介護をする必要もありませんので、将来介護費用は認められません。
交通事故によって、将来複数回にわたり整形手術をしなければならない場合や、片足を失った場合の義足の費用(その他、車椅子、補聴器、入れ歯、義眼、かつら、めがね、コンタクトレンズ、身障者用ワープロ、パソコン等)は将来必ずかかることが明確ですので、加害者に対して請求することができます。ただしこの時にも医師の診断書が必要になります。
手術に関しては将来といっても6ヵ月後や1年後となることが多いので、ライプニッツ係数を用いた中間控除は行いません。
義足などで、5年、10年後等に作り替える必要がある場合には、ライプニッツ係数を用いて中間控除を割り引かなければなりません。
入院中や通院中には雑費がかかりますが、この費用も請求することが出来ます。
入院雑費は1日あたり1,400円~1,600円を、通院雑費は領収書によって加害者に請求できます。
雑費として認められるかよく問題になるのは、魔法瓶、電気毛布、カラーテレビ、栄養ドリンク剤などですが、これらは認められませんので注意してください。
入院の際や通院の際の交通費は、加害者に必要経費として請求できます。転院や退院の交通費も認められます。
タクシー代に関しては、ケガの状況などを考慮して、必要性がある時に限り認められます。
事故の状態によっては、自宅地宅の医療施設での治療が困難であり、特定の病院に通院する必要があります。
このような場合、通院先の病院が自宅から遠く離れている場合もあり、その際には宿泊する必要がありますが、その宿泊費も加害者に対して請求することができます。
後遺障害が残った場合などで、必要な場合には、家の出入り口、風呂場、トイレなどの設備・改造費、ベッド、自動車の改造費などの実費相当額を請求することができます。
学生が事故に遭った場合に、ケガの治療の影響で学習の遅れを取り戻すための補修費や、留年した場合の学費、また親が子供を預けなければならなくなった場合の費用などは、実費相当額を請求することが出来ます。
仮に加害者と訴訟になった場合に、勝訴すれば弁護士費用の1割程度を加害者に対して請求することが出来ます。
交通事故の影響で被害者が亡くなってしまった場合には、葬儀関係費も加害者に対して請求できます。請求できる額は、130万円~170万円程度です。
仏壇の購入費や墓石建立費は一部認められる場合もあります。ただし、香典返しや弔問客接待費などは認められません。
その他、旅行のキャンセル料や成年後見申立費用、など、場合により認められる可能性があります。
事故には、被害者の受傷の状態により、請求できる積極損害が変わります。
ここでは、「死亡事故」「後遺障害事故」「傷害事故」の事故状況別に、加害者に請求できる積極損害の項目を一覧で記載しておきます。
事故形態 |
請求できる積極損害の項目 |
死亡事故 |
・死亡までの治療関係費(治療費・入院費、交通費、宿泊費、付添看護費、雑費) ・葬儀費用 ・訴訟で勝訴した際の弁護士費用(1割程度) |
後遺障害事故 |
・入院費・治療費 ・整骨院や温泉治療やマッサージ代、はり灸代 ・付添看護費 ・将来介護費 ・将来の手術や義足・善歯・義眼代など ・雑費 ・交通費 ・通院のための宿泊費 ・家屋・自動車などの改造費 ・子供の学習費・保育費・学費等 ・訴訟で勝訴した際の弁護士費用(1割程度) ・その他費用 |
傷害事故 |
・入院費・治療費 ・整骨院や温泉治療やマッサージ代、はり灸代 ・付添看護費 ・将来の手術や義足・善歯・義眼代など ・雑費 ・交通費 ・通院のための宿泊費 ・子供の学習費・保育費・学費等 ・訴訟で勝訴した際の弁護士費用(1割程度) ・その他費用 |
示談交渉は、加害者の加入する保険会社と行うことが一般的です。示談交渉時には保険会社が損害賠償額を提示してきますが、この時注意していただきたいのが、提示された損害賠償額は増額する可能性があるということです。
交通事故などの不法行為により損害を与えた場合には、加害者は被害者に対して賠償をしなければならないことは、民法709条などによって規定されています。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法709条
ただし、損害の賠償額に関して、賠償の範囲や計算方法などは、法律などによって規定はされていません。
保険会社が提示する賠償額は、過去の判例の集積などを基に行っていますが、実際に賠償する金額は被害者が納得していれば良いので、妥当でない・増額できる可能性があります。
実際に示談交渉をする際になった場合には、上記の積極損害として請求できる金額に抜け漏れがないか、また請求できる金額が低く見積もられていないかを確認するようにして下さい。
示談交渉時に弁護士に交渉に関して依頼をすると、請求できる積極損害に関して抜け漏れがないか、また提示されたそれぞれの項目が低く提示されていないかを確認してくれます。
また、ご自身が積極損害として加害者に請求したい項目がある場合などは、弁護士が積極的に交渉を行ってくれます。そのため、弁護士に依頼をすることで積極損害が増額する可能性があります。
弁護士は法律に関するプロフェッショナルですが、弁護士が関わる法律分野は多岐に渡ります。そのため一人の弁護士が実際に実務を行える範囲はある程度限られています。
そのため、弁護士に示談交渉に関して依頼する場合には、交通事故に強い弁護士に依頼するようにして下さい。
特に「あなたの弁護士」では、交通事故に弁護士を紹介していますので、示談交渉に限らず、相談したい内容がある場合には一度活用してみてください。
【関連記事】
交通事故にかかる弁護士費用の相場|費用の節約法と依頼先を選ぶコツ
積極損害として請求できる内容は多岐に渡りますので、示談交渉時に保険会社から提示された損害賠償額は、抜け漏れ等がないか綿密に確認しておくようにして下さい。
また、仮に示談交渉時に積極損害のみならず、損害賠償額に関して納得できないことがある場合には、弁護士に対して示談交渉の依頼をすることをおすすめします。
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