児童ポルノ逮捕の刑罰|犯罪の基準と逮捕後の流れや対処法について

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
児童ポルノ逮捕の刑罰|犯罪の基準と逮捕後の流れや対処法について

児童ポルノで逮捕されるケースとして、真っ先に想像するのは、単純所持と製造ではないでしょうか。

児童ポルノ規制法は、児童の保護を目的として、1999年に制定、2014年には単純所持でも逮捕されるなど改正されました。

2017年には、人気漫画家が児童ポルノを所持していた疑いで逮捕され、話題となりました。

警察庁によると、2016年に児童ポルノで検挙された件数は、2,097件、そのうち単純所持は74件、提供・公然陳列(他人が見られる状態で画像のアップロードなど)は761件、もっとも多かったのは製造で1,262件でした。

警察庁|児童ポルノ事件 検挙件数の推移引用元:警察庁|児童ポルノ事件 検挙件数の推移

児童ポルノの製造となると、強制性交等罪や、強制わいせつ罪などに問われる可能性もあり、被害届が出されるなどで捜査が行われ、検挙件数が多いことが考えられます。

もっとも、検挙件数は警察が加害者を特定した数ですので、その後逮捕、起訴されたかは定かではありません。

この記事では、児童ポルノの逮捕について解説します。

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児童ポルノで逮捕された場合の罰則

ここではまず、どういった行為が児童ポルノで逮捕されるのか、問われる罪について解説します。

児童ポルノ単純所持

自分の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持していることが発覚した者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が刑罰として科されます。

自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

引用元:児童ポルノ規制法 第7条第1項

ここに該当する『児童ポルノ』とは、児童が性交や性交類似行為を行う姿、性欲を興奮、刺激させるもの、ことさらに児童の性的な部位が露出、強調されているものを言います。

上記が描かれた写真、CDなどの現物はもちろん、パソコンなどの電子データを所持していても刑罰の対象となります。

児童ポルノを提供

児童ポルノを他者に提供した者には3年以下の懲役または300万円以下の罰金が刑罰として科されます。

また、特定の人物だけでなく、不特定の相手や、多数の人物に児童ポルノを提供した者には5年以下の懲役または500万円以下の罰金もしくはその両方が刑罰として科されます。

児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する

児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、または公然と陳列した者は、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
引用元:児童ポルノ規制法 第7条第2項児童ポルノ規制法 第7条第6項

インターネット上で、児童ポルノを公開や拡散する、あるいは販売している状況であれば、後者の第7条第6項の刑罰の対象となるでしょう。

児童ポルノの製造

児童ポルノを製造する等の目的で児童を売買した者は1年以上もしくは10年以下の懲役が刑罰として科されます。

児童を児童買春における性交等の相手方とさせまたは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

引用元:児童ポルノ規制法 第8条

また、18歳未満と性行為を行った場合は青少年育成条例違反、金銭の授受により児童と買春を行った者は児童買春罪、13歳未満の児童と性行為やわいせつ行為を行った者は強制性交等罪・強制わいせつ罪に問われる可能性があります。

児童ポルノの罪に該当しないケース

児童ポルノの罪に該当しないケース児童ポルノ規制法に対して、「見てしまっただけでも罪にとわれるの?」「子どもの写真でも児童ポルノになってしまうの?」「2次元は?」など疑問がわきますよね。

ここでは、児童ポルノに該当しないケースを解説します。

児童ポルノを見てしまっただけ

児童ポルノを閲覧しただけなら法令違反で責任を問われることはありません。

例えば、ネットで偶然リンクを踏んで児童ポルノを見てしまっても、ダウンロードをしただけで所持していなければ単純所持罪に該当しないと考えられえます。

性的な目的で所持をしていない

児童ポルノ所持は『自己の性的好奇心を満たす目的』が必要とされています。

そのため、例えば父親がたまたま娘の裸の写真を所有していた場合でも、通常は『自己の性的好奇心を満たす目的』が否定されます。

所持している写真がことさら、わいせつ性が強いものであるとか、父親が娘に対して性的虐待を行っていたという場合を除いて、児童ポルノ所持で処罰される可能性は低いでしょう。

ただし、父親であるから当然のように子供の写真について児童ポルノ所持などが絶対に不成立となるわけではないということは、留意しておくべきでしょう。

2次元の児童ポルノを扱っている

マンガ・アニメ・ゲームなどに登場する2次元、架空のキャラクターは、児童ポルノの対象として扱われていません。

ただし、現状の話であり、現在でも論議が続いているため今後はどのように扱われるかはわかりません。

また、2次元は児童ポルノの対象外といっても公の場で公開してしまうと、わいせつ物頒布等の罪に問われてしまう恐れがあるので注意が必要です。

わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、または公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

引用元:刑法 第175条

児童ポルノが発覚するまでの経緯

児童ポルノが発覚するまでの経緯児童ポルノで逮捕される場合、どういった経緯で、児童ポルノの所持や製造などが発覚するのでしょうか。

ここでは、児童ポルノの所持や製造などが発覚する場合に考えられるケースをご紹介します。

他の犯罪の捜査で発覚

児童ポルノ規制法違反は、別件の犯罪で家宅捜索をされた場合に、発覚するケースがあります。

例えば、最初の家宅捜索は、盗撮などの迷惑防止条例違反であっても、携帯電話などから児童ポルノが見つかったなども予想できます。

あるいは、児童ポルノを販売していた者が逮捕され、売買の記録が残っていれば、そこから警察の捜査が行われることも考えられるでしょう。

「実際に児童ポルノで逮捕された事例」でもご紹介していますが、盗撮や買春など性犯罪に関与する犯罪では、犯罪の証拠を押収するため本人のPCやスマホはすべて証拠として押さえられます。

そのため、これらPCやスマホに児童ポルノが保存されていれば、当然、この点について警察から厳しく追及を受けることになります。

サイバーパトロールで発覚

警察が行っているサイバーパトロールによって、児童ポルノを提供するサイトの管理者や、販売者が逮捕され、売買やダウンロードの記録から、発覚・逮捕されることが考えられます。

児童の補導や保護者からの通報で発覚

援助交際などを行っている児童を補導した際に、警察の事情聴取などから発覚したり、児童の保護者が何らかの異変で気づいて、通報され発覚したりすることで逮捕に繋がることが多いようです。

このような警察による補導や親の指導の中で、児童が売春行為を行っていた事実を供述し、スマホのデータなどが解析された結果、犯罪事実が明るみに出るというケースがよくあります。

この場合、たとえ児童との合意の上で性交や買春を行っていたとしても、犯罪は犯罪であるため厳しく刑事責任を追及されていまいます。

実際に児童ポルノで逮捕された事例

実際に児童ポルノで逮捕された事例ここでは、実際にあった逮捕事例をご紹介します。

迷惑防止条例違反で逮捕後、児童ポルノで再逮捕

高校生のスカート内を盗撮したとして、迷惑防止条例違反で逮捕されていた男性が、児童買春と児童ポルノ規制法違反の容疑で再逮捕されました。

このケースは、「他の犯罪の捜査で発覚」でご紹介したように、別の犯罪で逮捕後に発覚したと考えられます。

別の児童ポルノ事件から購入が発覚し単純所持で送検

児童ポルノ事件の捜査中、児童ポルノのDVD購入が発覚し、漫画家が書類送検されました。

冒頭でもご紹介した事件ですが、別の事件の捜査や、摘発された業者の購入履歴からでも、発覚するケースがあります。

また、単純所持でも、逮捕、起訴される可能性は十分考えられます。

【参考元】産経ニュース|人気漫画「るろうに剣心」作者の和月伸宏さん、児童ポルノDVD所持容疑で書類送検 集英社、新シリーズの休載決定

サイバーパトロールで発覚し逮捕

匿名通信システム『Tor(トーア)』を利用して、児童ポルノを投稿した男性が逮捕されました。京都府警のサイバーパトロールで、この男性が開設した児童ポルノのサイトを発見したということです。

【参考元】時事ドットコム|「Tor」サイトにポルノ画像=容疑で男逮捕-京都府警

児童ポルノで逮捕された場合の流れと傾向

ここでは、児童ポルノで逮捕された場合、刑事手続がどのように進行し、どの程度の期間身柄拘束されるのかなどについて解説します。

児童ポルノで逮捕された場合の流れ

児童ポルノで逮捕された場合の流れ刑事事件で逮捕された後は、警察署で取調べを受けて48時間以内に検察庁に送致されることになります。

また、事案によっては警察判断で微罪処分を受けることもあるようですが、いかなる場合に微罪処分となるかはわかりませんし、可能性は低いと考えられます。

検察では、24時間以内に被疑者の身体拘束(勾留)の要否が判断され、裁判所へ請求した勾留請求が認められれば、原則10日、延長が認められれば、さらに10日、逮捕から最長で23日身柄を拘束される恐れがあります。

長期の身柄拘束が続けば、仕事などへの影響も当然予想できます。この勾留満期までに、検察は起訴・不起訴を判断します。

児童ポルノの単純所持だけであれば、勾留されない可能性も否定はできませんが、証拠隠滅を防止する観点から勾留される可能性も十分にあります。

したがって、単純所持でも勾留によって長期間の身柄拘束を受ける可能性があるのです。

具体的な対処法については、弁護士に接見(面会)してもらいアドバイスをもらうことが一番ですので、事項の内容を参考にしていただければと思います。

児童ポルノではいきなり逮捕されないケースもある

児童ポルノとなるかどうかが微妙なケースや、児童ポルノを所持していても事案が軽微であるような場合には、必ずしも逮捕や勾留がされるとは限りません。

この場合、警察や検察である程度事情を聴取された後解放され、日常生活を送りながら刑事手続を受けることになります。

しかし、解放されたからそれで終わりというわけではなく、起訴される可能性も残されています。

その後の捜査に協力せず、警察・検察の呼出にも正当な理由なく応じないような場合、逃亡・罪証隠滅のおそれがあるとして逮捕・勾留される可能性がありますので、十分に気をつけましょう。

このような在宅事件であっても、すぐに弁護士へ相談することをおすすめします。当サイトから、お住まいの地域で刑事事件を積極的に扱っている弁護士を探すこともできますので、ぜひご活用ください。

児童ポルノで逮捕された場合の今後

児童ポルノで逮捕された場合、前述した通り、仕事への影響はもちろん、家族関係にも影響が出ることは十分考えられます。

さらに、ニュースで報道される、インターネット上で拡散される可能性もないとは言えず、罪を償った後も、一生残ってしまう恐れがあるのです。

もし、今所持しているのであれば、廃棄すべきですし、児童ポルノだけでなく児童買春など、身に覚えがあるのであれば、逮捕される前に弁護士に相談することをおすすめします。

児童ポルノで逮捕されたらただちに弁護士へ相談する

児童ポルノで逮捕されたらただちに弁護士へ相談する児童ポルノで逮捕されそう、逮捕された場合の対処法は、ただちに弁護士へ相談することです。

ここでは、弁護士に相談した場合のメリットと、弁護士費用の相場について解説します。

弁護士依頼で早期釈放や減刑されるアドバイスをもらえる

逮捕されてしまった場合は、逮捕後に一度だけ無料で呼べる『当番弁護士』制度がありますので、逮捕後はすぐに弁護士を呼んでほしいと警察にお願いしてください。

警察の取調べ前にどう供述すれば早期釈放や減刑されやすいかのアドバイスを受けられます。

勾留まで進んでしまった場合でも、弁護士に依頼すれば被疑者の弁護活動をしてもらえるので、釈放されるまでの時間が短縮される可能性もあります。

被害者との示談を行ってくれる

逮捕前や逮捕後であっても、弁護士を通じて被害者と示談交渉をすることも可能です。

児童ポルノの製造など、犯罪の性質上、被害者や被害者のご家族は、あなたや加害者のご家族と直接会って、示談を行うことは考えにくいですし、示談交渉を行うのであれば、必然的に弁護士に依頼する必要があります。

被害者との間で示談が成立すれば、刑事処分が重くならない可能性もあります。

弁護士費用の相場

刑事事件の弁護士費用は事件内容や弁護士によって変わってきますが、70万円がおおよその相場であると言われています。

ただ、既すでに罪を自白して罪を軽減したい状況の場合だと10~20万円ほど安くなることが多くなっています。

また、金銭的に弁護士に依頼するのが難しい場合、勾留後や起訴後であれば、国が費用を負担してくれる国選弁護人制度を利用することも可能です。お金がないからと弁護士依頼を断念する必要はありません。

まとめ

児童ポルノで逮捕されるケースは、さまざまな状況が予想できます。

もし何かの間違いであなたが児童ポルノを所持してしまっているとしたら、ただちに廃棄しましょう。

パソコンのキャッシュも所持とみなされるのか?といった疑問に関しては、詳しく解説している関連記事をご覧ください。

もし、弁護士へ相談したいとお考えなら、当サイトからお住まいの地域で、刑事事件を積極的に扱っている弁護士を探すこともできますので、ぜひご活用ください。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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編集部

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