老人ホーム詐欺で逮捕された人が知るべき罰則と加担しない為の知識

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
老人ホーム詐欺で逮捕された人が知るべき罰則と加担しない為の知識

老人ホームなどの施設の入居権が当たったと騙したり、入居権の名義を譲ってほしいと「名義貸し」に加担させたように装って高齢者から金品をだまし取ったりする老人ホーム詐欺(特殊詐欺)は年間400億円以上もの被害が出ています。

老人ホーム詐欺で逮捕された人が知るべき罰則と加担しない為の知識

表:特殊詐欺の認知状況(被害総額単位:億円)

年次

17

18

19

20

21

22

認知件数

21,612

19,020

17,930

20,481

7,340

6,888

被害総額

251.5

254.9

251.4

275.9

95.8

112.5

年次

23

24

25

26

27

28

認知件数

7,216

8,693

11,998

13,392

13,824

14,151

被害総額

204

364.4

489.5

565.5

482

406.3

参照元:平成28年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

2016年11月には、詐欺グループが老人ホーム詐欺によって騙し取った金品の受け取りを17歳の男女に行わせたという事件も起こっています。詐欺罪の法定刑は重く懲役刑しかありません。

今回は、年々増加している老人ホーム詐欺の概要と詐欺に加担して逮捕された際の対処方法についてご紹介します。

老人ホーム詐欺は高齢者の老後を脅かす「施設入れます詐欺」

老人ホーム詐欺は高齢者の老後を脅かす「施設入れます詐欺」老人ホームなどの施設に入れる「入居権」を巡って、嘘の入居権の当選を高齢者に連絡したり、入居権を譲る名義貸しなどの犯罪に加担させたように装ったりして多額の金銭をだまし取る「老人ホーム詐欺」は近年増加しています。

この項目では、最近発生した老人ホーム詐欺についてご紹介します。

事件例1|入居権の名義貸しなどの犯罪に加担させてると装って騙し取る

老人ホームへの入居を巡り、高齢女性から現金7800万円をだまし取ったとして、警視庁組織犯罪対策総務課は7日までに、詐欺の疑いで、埼玉県熊谷市曙町、無職、堀井大輝容疑者(27)ら男6人を逮捕した。詐取した金の一部は暴力団に流れたとみて、調べている。
引用元:産経ニュース|老人ホーム入居で詐欺容疑 男6人逮捕、被害3億円か 詐取の金は暴力団に?

この事件では、高齢者に「老人ホームに入居する権利が当たった」といい、その後別の人物から「入居権を譲ってほしい」と連絡して名義貸しなどの犯罪に加担させているように装って解決金を騙し取るというものでした。このように複数人が入れ替わりに連絡して騙す詐欺を劇場型詐欺といい、相手を混乱させる悪質な行為です。

事件例2|「施設への入居権が当選した」と連絡して費用を騙し取る

老人ホームに入居する権利が当たったと偽り、高齢女性から1千万円をだまし取ったとして、警視庁は、東京都府中市の無職の少女(17)と東京都江戸川区の男子高校生(17)を詐欺容疑で逮捕し、21日発表した。2人は現金の受け取り役で、いずれも容疑を認めているという。
引用元:
朝日新聞|老人ホーム入居権かたり1千万円詐取容疑 2人を逮捕

この事件では、「老人ホームの入居権が当たった」と連絡し、金品を騙し取ったというものでした。逮捕された17歳の男女は、騙し取った金品の受け取りを手伝ったとして、詐欺罪に加担したとみなされ逮捕されました。

詐欺罪が成立する4つの要件

詐欺罪が成立するには以下の要件が必要とされています。

  • 相手を騙すこと
  • 相手を騙した結果、錯誤(勘違い)させること
  • 相手を騙した結果、金品などを受け取ること
  • 騙したことと金品を受け取ったことに因果関係があること

これらの要件が成立した場合、詐欺罪が認められます。

第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用元:刑法

老人ホーム詐欺の容疑から逮捕までの流れ

老人ホーム詐欺の容疑から逮捕までの流れ

基本的にどのような容疑で逮捕されたとしても、

次のような流れで進みます。

  • 警察による逮捕:最長48時間
  • 検察庁への送致:最長24時間
  • 勾留:原則10日、延長の場合最大20日
  • 起訴・不起訴の判断

老人ホーム詐欺で逮捕された場合の対処法

老人ホーム詐欺で逮捕されてしまった場合、できることは大まかに以下の2つです。

  • 起訴前であれば被害者に示談交渉を依頼する
  • 起訴後は減刑・執行猶予判決を目指す

どちらも弁護士の力が必要になりますので、早い段階で弁護士に依頼するようにしましょう。なお、詐欺罪は被疑者国選対象事件であるため、勾留された段階で自動的に弁護士が付きます。

弁護士を通じて示談交渉を依頼する

詐欺で逮捕された際に被害者と示談が成立すれば不起訴となる可能性があります。またこの場合、仮に起訴されても執行猶予付き判決となる可能性が高まります。そのため、早い段階から弁護士に示談交渉を依頼することは重要です。

弁護士を通じて減刑・執行猶予判決を目指す

上記のとおり起訴された場合は、弁護士を通じて減刑・執行猶予判決を目指しましょう。

老人ホーム詐欺に加担してしまわない為の2つの事

老人ホーム詐欺に加担してしまわない為の2つの事

老人ホーム詐欺は、詐欺をする人だけでなく、知らないうちに詐欺に加担してしまうということもあります。国民生活センターによると、2010年以降に寄せられた老人ホーム詐欺に関する相談件数は149件で年々増加しています。

この項目では、老人ホーム詐欺に加担してしまわないために大切なことをご紹介します。

不安なことがあったら家族に相談・警察に通報する

詐欺に加担しないために需要なことは自分だけで判断しないことです。「割のいいバイトがある」、「人助けだと思ってやってほしい」など断りにくい状況で、犯罪行為に巻き込まれそうになった場合は、家族や警察に相談するようにしましょう。

知人などに老人ホームの「入居権」を買ってほしいと頼まれたら

  • 人助けだと思って代わりに申し込んでほしい
  • 入居権を譲ってほしい

上記のようなことを知人に頼まれてしまったという場合は、安易に引き受けてしまうと詐欺行為に加担してしまう危険性があります。おかしいなと感じた時点で、国民生活センターなどに相談することをお勧めします。

【国民生活センター お昼の消費生活相談】

  • 相談受付時間
    月〜金曜日:午前11時〜午後13時(年末年始、土曜日曜祝日を除く)
  • 電話番号
    03-3446-0999
  • URL
    http://www.kokusen.go.jp/soudan/

老人ホームへの入所に「入居権」はない

そもそも、老人ホームなどの施設の入所に優先して入居できる権利はありません。老人ホームへの入所を希望している方は、すでに担当の福祉職員に相談していることが多いので施設探しや空き状況の確認などは担当の職員の方が行なってくれます。

そのため、「優先的に入所できる権利」や「名義を貸さなければいけない状況」等は発生しません。

まとめ

高齢者を騙す「老人ホーム詐欺」は許しがたい行為です。また、詐欺罪自体がとても重い罪です。安易な気持ちで詐欺に加担してしまうと懲役刑を下されてしまう可能性があります。

  • 不審なお願いは引き受けない
  • 詐欺罪の重さを知り、詐欺には加担しない

上記のようなことを踏まえて、現在詐欺行為に巻き込まれている場合は早急に手を引くか、相談機関を利用して相談しましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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