児童買春の時効|不処罰となるタイミング・有罪の刑罰と逮捕後の対処法

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
児童買春の時効|不処罰となるタイミング・有罪の刑罰と逮捕後の対処法

罪状によっては変わるケースもありますが、児童買春罪の時効は5です(これより重い罪が成立する場合を除きます。)。この期間が経過した後は児童買春の事実が発覚しても、逮捕されて刑罰が科されることはありません。

しかし、児童買春行為が5年間発覚しないという保証はどこにもありません。当記事では児童買春の時効と逮捕の刑罰・対処法についてご紹介していきます。

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児童買春の時効が成立するタイミング

一般的には買春行為後から5年

買春行為の時効は売春行為があった日からカウントして5年です。ただ、児童買春の場合、以下のような別罪が成立する可能性もあり、この場合時効の期間が長くなることがあります。

  • 13歳未満の強制性交等罪(女性器への男性器の挿入あり):10年
  • 13歳未満の強制わいせつ罪(女性器への男性器の挿入なし):7年

時効とは起訴(刑事裁判にかけること)ができなくなる期間のことなので、もし時効の数日前に逮捕されてしまったとしても、起訴が確定するまでの取調べ期間中に時効が過ぎれば刑罰が科されることはありません。

ネットの犯罪歴は削除できない

逮捕されて刑罰を受けて上記の時効が過ぎた後でも、ネット上に流れたニュースを削除することは容易ではありません。

過去に「刑罰を受けて時効年数も過ぎたのに逮捕歴がネット検索で表示されるのは人権侵害だ!」と訴えがありましたが、最高裁では第二の被害者が発生するのを阻止する重要な役割があるとネット社会には時効なしとの判断が下されました。

逮捕の後に有罪判決を受けて時効が過ぎても罪が忘れ去られるわけではないです。時効はあくまで起訴ができなくなるまでの期間なのでご注意ください。

児童買春で逮捕された後の刑罰

児童買春で逮捕された後の刑罰

児童買春罪

児童買春罪とは、18歳未満の児童と金銭的な契約を交わして性行等をする犯罪行為です。児童買春をした者には五年以下の懲役または三百万円以下罰金が刑罰として科されます。(性行等:身体に触れる・触れさせるかして性的趣向を満たす行為)

児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

引用元:児童ポルノ法第四条

ちなみに、直接お金を払っていなくてもバックや指輪などの物品と引き換えに性行等の交渉をした場合も児童買春罪に該当します。

青少年育成条例違反

青少年育成条例違反とは、成人が18歳未満の児童と性行等に及んでしまう犯罪行為です。青少年育成条例違反は都道府県ごとに罰則が異なりますが、二年以下の懲役または百万円以下の罰金が科される地域が多いと言われています。

二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。(第二十四条の三)

引用元:東京都青少年の健全な育成に関する条例

成人と未成年の性行等でも両親公認や婚約関係の状況なら上記の対象外ですが、そのような状況でなく性行等の事実が発覚してしまうと犯罪として扱われる可能性が高いです。

児童ポルノ製造罪

児童ポルノ製造罪とは、未成年の性行等の写真・動画を撮影して他者に提供する犯罪行為です。児童ポルノ製造罪も該当する者には児童買春をした者には五年以下の懲役または五百万円以下罰金または両者併用の刑罰が科されます。

児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:児童ポルノ法第七条

他者に提供している時点で罪に問われるため、利益の有無は関係ありません。例えば、ネットに撮影物をアップしたという場合でも上記の罪に該当するでしょう。

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪とは、13歳以下の未成年にわいせつ行為をする犯罪行為です。強制わいせつ罪に該当する者には6ヵ月以上10年未満の懲役の刑罰が科されます。

十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

引用元:刑法百七十六条

通常だと強制わいせつ罪は暴行や脅迫でわいせつ行為を無理強いした際に適用されますが、相手が13歳未満の場合は無理強いがなくてもわいせつ行為をした時点で強制わいせつ罪として扱われます。

児童買春でも不処罰になるケース

買春した相手が18歳以上と知らなかったケース

買春行為は法律では禁止されていますが刑罰は設けられていないので、成人同士の買春の場合は発覚しても逮捕されて罰を受ける必要はないです。そのため、売春をした相手が未成年だと知らなかった場合は犯罪の故意がなく刑罰を受けることはありません。

しかし、故意の有無は客観的状況から推認されますので、本人が「18歳未満と知らなかった」と主張しても、客観的状況から18歳未満と認識していたことが明らかであるという場合は、起訴されて裁判にかけられる可能性が高いといえます。

なお、当該故意は18歳未満であるとの確信まで至らなくとも、18歳未満かもしれないがそれでも構わないという認識でも認められます(これを未必の故意と言います。)。

援助はしたが行為は未遂だったケース

刑事罰では未遂犯処罰が定められている犯罪だと実際に犯罪を成し遂げられなくても罪に問われますが、児童買春には未遂犯処罰はないので性行等を実行していなければ犯罪として扱われません。

例えば、「売春をする目的でお金を渡して自宅まで連れ込んだが行為まで及べなかった」という状況であれば、児童買春行為としては立件されません。しかし、青少年にわいせつな行為をしていれば青少年保護育成条例違反で立件される可能性が極めて高いと思われます。

児童買春で逮捕された後

児童買春で逮捕された後

基本的にどのような容疑で逮捕されたとしても、

次のような流れで進みます。

  • 警察による逮捕:最長48時間
  • 検察庁への送致:最長24時間
  • 勾留:原則10日、延長の場合最大20日
  • 起訴・不起訴の判断

前科を免れるケース

前科を免れるケース

刑事裁判で無罪判決を勝ち取る

前科は刑事裁判で有罪が出た瞬間に確定するので、裁判で無罪となれば当然前科は付きません。ただ、刑事裁判の有罪率は統計上は90%以上と非常に高いため、現実的には無罪判決を勝ち取るのは難しいと言えるでしょう…。

不起訴処分で裁判を回避するには

捜査機関に対して有罪立証が困難である証拠を示したりか、被害者との間で示談が成立した場合には、検察官の判断で起訴しないということも十分あり得ます。

これは被疑者に対する弁護方針に関わる問題であるため、弁護人とよく相談してください。なお、児童買春の場合は被疑者国選対象事件であるため、基本的には勾留後に国選弁護人を依頼することができますが、青少年保護育成条例違反は被疑者国選対象事件ではありません。

そのため、起訴前に弁護人を付けたいのであれば当番弁護士制度を利用するなどして自ら弁護士を選任する必要があります。

まとめ

以上が児童買春についての概説です。参考になれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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