下着泥棒の手口|問われる罪と逮捕後の流れ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
下着泥棒の手口|問われる罪と逮捕後の流れ

下着泥棒(したぎどろぼう)とは、他人の家(ベランダ・室内)やコインランドリーなどで、下着を盗む泥棒のこと。『色情ねらい』とも呼ばれています。

下着泥棒は下着に対する執着や性癖から盗むケース以外に、『盗みの成功体験からやめられなくなった』『収集癖から盗み続けてしまう』などのケースもあるようです。

この記事では下着泥棒の手口から、下着泥棒の検挙率、問われる罪など、下着泥棒に関する疑問について解説していきます。

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下着泥棒の手口

下着泥棒は意外と身近な犯罪です。被害に遭わないためにも、どのような手口があるのか確認しておきましょう。

干していた洗濯物を盗まれる

下着泥棒と言えば、1番に思い浮かぶのは干していた下着を盗まれるというケース。

  • アパート、マンションの1階から2階
  • 通りに面していない、人通りが少ない

このような場所であると被害に遭いやすいようです。
【参考元】ドロボーのひとり言(下着ドロボー編)|静岡県警察

自宅に侵入して直接盗まれる

下着泥棒で1番警戒すべきは、自宅に直接侵入され盗まれることです。

2017年には男性が、勤務先の女性の荷物から鍵を盗み、その鍵で女性宅に侵入し下着を盗んで逮捕されたという事件が報じられ、驚きの手口が明らかになりました。

コインランドリーで置き引きに遭う

ベランダや自宅内以外に被害に遭う場所は、コインランドリー。

もしコインランドリーを利用するのであれば、洗濯や乾燥が終わるまでの間は見張っているか、下着はそもそも持ち込まない、といった対策が必要でしょう。

下着泥棒の検挙率

下着泥棒の認知件数は10,413件で、4,122件が検挙されています(検挙率39.5%)。
【参考元】平成29年版 犯罪白書 第1編 第1章 刑法犯 第2節 主な刑法犯 1窃盗

検挙とは加害者を特定することなので、その後実際に逮捕されたのか、検察で起訴され有罪になったのかまではわかりません。

認知件数は被害届が受理される、あるいは警察が事件化することで認知されており、『恥ずかしいから被害届を出したくない』『被害届を出すのが面倒』と考える方もいるでしょうし、発生件数はもっと多いかもしれません。

下着泥棒はどんな罪に問われるのか

下着泥棒はどんな罪に問われるのか下着泥棒はどんな罪に問われるのか、解説していきましょう。

窃盗罪

下着を盗めば10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される窃盗罪に問われます。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 第235条

窃盗未遂罪

また窃盗には未遂罪もあります。(刑法 第243条)

自己の意志でやめた場合、罪は軽減・免除されますが、見つかって中止した場合、軽減・免除はなされません。(刑法 第43条)

罰則に関しては裁判所の判断によりますが、窃盗未遂の場合は既遂罪から減刑され、量刑判断において刑罰の上限が5年以下の懲役または25万円以下の罰金であるとされるかもしれません。(刑法 第68条)

窃盗は財物を手に取る、服に隠すなどした段階で成立し、窃盗目的で物色をしていれば未遂に当たります。

窃盗罪の構成要件

実行行為

成立段階・結果(既遂)

所有者が占有している所有物を、所有者の意思に反し自己または第三者へ移転する行為

財物の占有が移転した段階

盗んだ下着を返却したが窃盗罪で逮捕されたケース

「不審者がいる」という通報を受けて、現場で逮捕された男性は「写真と動画を撮影した」と供述し、下着を盗むも元の場所へ返却していたそうです。

逮捕された男性の携帯電話からは下着の写真が多数あったため警察は余罪を追及するとしていますが、男性は窃盗の疑いで逮捕されました。

仮に「後で返すつもりだった」としても、不法領得の意思(ふほうりょうとくのいし)があれば窃盗罪に問われるでしょう。
【参考元】下着窃盗疑い小学校教諭逮捕 「盗んで撮影し戻した」|京都新聞

不法領得の意思とは

不法領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法にしたがいこれを利用もしくは処分する意思(大審院判例1915(大正4)年5月21日判決)とされています。

権利者を排除し、自己の所有物であるかのようにふるまい、本来の用法で利用・処分、つまり自分のものであるかのように自由に扱う意思・他人の所有物を使用・譲渡・売却する目的での実行行為があれば成立するでしょう。

盗んだ下着を着用するのはもちろん

  • 下着を頭にかぶる
  • 匂いを嗅ぐ
  • 自慰行為を行う

なども不法領得の意思があると見なされ、前述の撮影も該当したと考えられます。

『持ち去るつもりはなかった』『手に取って見ただけ』と弁解をしても、隠して持っていれば窃盗の既遂と見なされるでしょう。

住居侵入罪

下着泥棒は下着を盗んでいますので、もちろん窃盗罪ですが、ベランダや室内に侵入し盗んだとなれば住居侵入罪にも問われることでしょう。

住居侵入罪は3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科され、未遂も同様に罰されます。(刑法 第130条)

しかし窃盗目的での侵入の過程で住居侵入を犯している場合は、重い方の罰が科されるため、窃盗罪として処罰を受けることになるでしょう。

(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
第五十四条 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する
引用元:刑法 第54条

窃盗罪以外に問われる可能性のある罪

侵入の目的が窃盗だとしても、被害者に暴行・脅迫を加えて反抗困難な状態にした上でわいせつな行為を行えば強制わいせつ罪が、同様の状態にして被害者に性交などの行為を行えば強制性交等罪に問われることになるでしょう。

このさいに併せて下着を盗んでいれば、別途窃盗罪も成立します。

この場合刑法第45条にあるように、窃盗の過程や結果上にわいせつ行為や強姦が存在しているわけではないので、別々の罪として併合罪が成立します。

問われる罪の罰則が懲役の場合、法定刑が重い刑の1.5倍に加重されますので、窃盗罪と強制性交等罪に問われる場合、法定刑の上限は30年となります。(下限は5年のまま)

(併合罪)
第四十五条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
(併科の制限)
第四十六条 併合罪のうちの一個の罪について死刑に処するときは、他の刑を科さない。
2 併合罪のうちの一個の罪について無期の懲役又は禁錮に処するときも、他の刑を科さない。ただし、罰金、科料及び没収は、この限りでない。
(有期の懲役及び禁錮の加重)
第四十七条 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
引用元:刑法 第45条第46条第47条

下着泥棒で逮捕された後の流れ

下着泥棒で逮捕された後の流れ下着泥棒に限らず、逮捕後の流れは基本的に次のような流れで進みます。

  • 警察による逮捕:最長48時間
  • 検察庁への送致:最長24時間
  • 勾留:原則10日、延長の場合最大20日
  • 起訴・不起訴の判断

刑事事件では逮捕直後からの適切な弁護活動が重要になります。

早期解決を望むのであれば、一度弁護士に相談されることをオススメします。

下着泥棒に関する疑問

下着泥棒に関する疑問

ここでは下着泥棒に関する疑問にお答えします。

盗まれた下着は返ってくる?

捕まった犯人が盗んだ下着を処分せずに所持していれば、警察が押収することになります。

犯人がどの家から盗んだか記憶していれば被害届を出してなくても連絡がくるでしょう。

警察から所有物か否かの確認を求められ、確認が取れれば捜査が終了した段階で返還されますが、不要であれば処分してもらえます。

警察の前で盗まれた下着を広げられ、『これはあなたのものですか?』の確認をされるのは恥ずかしいですよね。

そのため、所有確認を嫌った被害者が受取りに来ないケースもあるようです。

警察は動いてくれるのか?被害届を出す意味は?

警察は被害申告を受けてもただちに捜査する義務はありません。そのため、被害届を出したからといって必ずしも捜査が開始されるとは限らないのです。

ただ、周辺に同様の被害があれば、巡回などを強化してくれるかもしれません。

下着泥棒は『恥ずかしい』『面倒くさい』などという理由で被害届を出さない方もいらっしゃるかもしれませんが、被害を出すことで

  • 犯罪の認知に繋がる
  • 同様の犯行があった場合より迅速に動いてくれる
  • 被害届が受理されることで手口や犯行の傾向がわかり、早期逮捕が期待できる
  • 結果犯罪の被害を防止、周辺地域の治安維持ができる

などの効果が期待できます。

加害者と被害者間で示談は可能か

逮捕された加害者が、弁護人を通じて被害者に示談の意向を伝えるのは通常の処理です。

被害者も示談を希望する場合は、当該弁護人と示談金などの話をして下さい。示談金の相場はありませんが、被害額+αとなるのが通常です。

その+αは住居侵入を含まなければ5~10万円程度、住居侵入を含めば10~20万円程度が目安と思われます。

なお、窃盗だけでなく傷害や強盗も含まれる場合、当然補償の範囲には負傷に対する補償金も含まれますので、金額は高額となります。

まとめ

下着泥棒は犯罪の中では重いものではありませんが、生活スペースに侵入された場合、被害者の恐怖とショックは計り知れません。

また恐怖や不快感以外にも下着によっては気に入っていたものであったり、高価なものだったりする場合もあるでしょう。

下着泥棒に遭わないためにはやはり下着は室内に干す、干す時間を短時間にする、コインランドリーでは目を離さないなど対策を行ってください。

男性ものの衣類や下着と一緒に干すという方法もありますが、カーテンの色や柄で女性だと判断されてしまいますので、カーテンの色を変えるなどの対策もあわせて行った方がいいですね。

防犯対策として玄関、窓はしっかり施錠し、もし誰かが自宅に侵入するような気配がした場合迷わず警察へ通報しましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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編集部

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