決闘罪で逮捕された際の対処法と罪に問われる基準とは

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
決闘罪で逮捕された際の対処法と罪に問われる基準とは

「〇日の17時に河原下でタイマン勝負だ!」このようなケンカの約束が成立してしまうと、決闘罪で罰せられる可能性があります。かなりマイナーな法律ですが、日本では決闘を申し込む行為も承諾することも禁止されているのです。

この記事ではその決闘罪がどんな罪なのかを紹介していきますので、万が一疑いをかけられた時の対処法を知っておきたい場合はぜひ参考にしてみて下さい。

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決闘罪とは

決闘罪の定義

決闘とは、2人以上の人物があらかじめ日時場所を決定して戦う約束をすることです。口頭・SNS・ネット掲示板など約束の手段は問われず、両者が戦いに合意をした際に決闘罪が適用されます。

決闘罪は両者が戦いを承諾した時点で適用されるため、実際に決闘が実行されなくても刑罰の対象として扱われるのでご注意下さい。

あと、決闘の立会人・立ち合いの約束をした者、決闘が行われるのを知って場所を提供した者も刑罰の対象です。戦う当事者だけでなく決闘に関わった全ての人が決闘罪の対象となると認識しておくと分かりやすいかもしれませんね。

決闘罪の刑罰

決闘罪の刑罰は、実行の有無と決闘への関わり方によって変わってきます。それぞれの刑罰は下記の通りです。

  • 決闘の約束をした者:6ヵ月以上2年以下の懲役
  • 決闘の実行をした者:2年以上5年以下の懲役
  • 立会人・立会人を約束した者:1カ月以上1年以下の懲役
  • 決闘の場所を提供した者:1カ月以上1年以下の懲役

また、決闘がきっかけで上記の刑罰よりも重い罪を犯してしまった場合は、決闘罪でなく罪状が重い罪の刑罰が適用されます。決闘罪に関わってくる罪は下記の見出しで紹介しますので、そちらをご参考に下さいませ。

なぜ成立されたのか

決闘罪は昭和22年(1899年)と100年以上前に成立されました。その当時は武士階級が存在していたので、武士同士の果し合いで死人が出るのを避ける目的で決闘罪が成立されたと言われています。

なので、暴力行為や凶器所持などの法律が整えられた現代では、あまり時代にそぐわない法律であるのかもしれません。

決闘罪に関わってくる罪

決闘罪に関わってくる罪

傷害罪

決闘でどちらか片方がケガを負ってしまった場合、怪我を負わせてしまった側に15年以下または50万円以下の罰金の刑罰が科されます。

暴行罪との判断が難しいと言われる傷害罪ですが、一般的な刑事事件だと全治5日で治る程度の負傷であれば、怪我を負っていても暴行罪として扱われることが多いようです。(暴行罪と決闘罪では決闘罪の刑罰が適用される)

ちなみに、髪をばっさり切り落とすなどの身体的変化や、真冬の海に投げ込み風邪を引かせたなどの健康状態の侵害など、体に怪我を負わせなくても傷害罪として扱われてしまうケースもあるのでご注意下さい。

殺人罪

言うまでもありませんが、殺人罪は決闘罪よりも重い罪です。決闘で相手を殺してしまうと死刑および無期懲役を含む重大な刑罰が科されます。

殺人罪と似た罪で、意図せず相手を殺害してしまった際に科される傷害致死罪(3年以上の有期懲役)という刑罰もあります。

公務執行妨害

決闘が実行された時に通報が入れば警察がケンカを止めに入りますが、その際に止めにかかった警察に手を上げてしまうと公務執行妨害となり3年以下の懲役または50万円以下の罰金の刑罰が科されます。

また、警察官に直接手はあげなくても、パトカーを蹴るなど警察官の所有物を壊すような振る舞いも公務執行妨害に該当する行為です。

そして警察に対して「触るな!殺すぞ!」のような脅迫と捉えられる暴言を浴びせても公務執行妨害に該当するため、万が一警察が駆け付けた場合は無理に逆らおうとせず素直に指導に従うようにして下さい。

決闘のせいで逮捕される状況

決闘のせいで逮捕される状況

現行犯逮捕

通報により警察官が決闘場に駆け付けそのまま現行犯逮捕。恐らく現代だと決闘罪で逮捕される状況はこのパターンがほとんどではないでしょうか。

だけど、この段階では警察はただのケンカか決闘なのかの区別はつかないため、当事者が決闘をしていたと自白しない限りは、暴行罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)として扱われることが多いのではないかと思われます。

被害届を提出される

決闘で戦った相手がケガを負っていたら、後から傷害罪として被害届を提出されて逮捕に繋がるケースもあるかもしれません。

ただ、怪我を負った方も決闘罪の刑罰を受けなければいけなくなるので、決闘した相手が被害届を提出する可能性は実際にはかなり低いのではないかと思われます。

しかし、未成年同士の決闘だと子供の怪我の度合いによっては、親が逆上し警察に被害届を出す可能性はないとも言い切れないので、相手を怪我させてしまった場合は最悪の事態も覚悟しておいて下さい。

決闘罪の事例

決闘罪の事例

乱闘で中学生25人と見届け人(26歳)の逮捕

京都府内の不良グループ中学生が事前に集団対決の打ち合わせをして乱闘を行い、その少年ら25人とその場に居合わせた見届け人が逮捕された事件。

決闘では武器を使わず戦うことやグループ内のリーダー3人はタイマンをするなど念入りな打ち合わせがされていたことが事情聴取で発覚 し、計画的な乱闘であると判断できる状況から決闘罪が適応されました。

ルールを決めた乱闘で22人が逮捕

岐阜県の14~19歳の少年29人が事前にケンカの打ち合わせをして広場に集まり、その内の22人が乱闘を行い逮捕された事件。

一方のグループのリーダーが仲間を通じて「自分たちの力をみせつけたい」とケンカを申し込んだのが発端で、蹴りや凶器はなしなどLINEで事前にルールを取り決めて決闘を実行するが、参加した少年から110番通報が入り逮捕に繋がりました。

逮捕された際の対処法

逮捕された際の対処法

警察に逮捕されてしまうと、以下のような流れで取調べが進められ処罰が決定します。未成年と成人で少し違いがあるので詳細は下記の関連記事をご参考に下さい。

  • 逮捕(最大48時間):警察署での事情聴取
  • 勾留(10日もしくは20日):検察署での取調べ
  • 刑事裁判(未成年は家庭裁判):その後の処分が確定

上記が逮捕された後の基本的な流れですが、逮捕されたら必ず裁判の手続きまで進むわけではありません。逮捕された時の対応によっては刑罰が科され早く解放されるケースもあるので、その対処法を下記で紹介させて頂きますね。

しっかりと反省をする

刑事事件を犯しても初犯で警察官が悪質で重大な事件ではないと判断すれば、微罪処分として扱われて、その後の刑事手続きを受けずに数日の拘束で直ぐに釈放してもらえる可能性があります。

微罪処分になるかどうかは警察官の裁量で決定されるので、取調べの際は決して不貞腐れていい加減な態度はとらず、しっかりと反省している様子を見せるようにしましょう。

警察の取調べで言い訳や反論ばかりしていては「反省してないから罰を与えなければいけない」と判断される可能性が高くなってしまうのでご注意下さい。

弁護士に依頼をして示談する

相手に怪我をさせ傷害罪に問われている場合は、罪が確定する前に示談をすることで刑罰を軽減できる可能性が高まります。

しかし、決闘をするような間柄でそのような交渉を進めることは難しいですし、相手から接触自体を断られてしまう場合もあるので、もし自分で示談ができない状況であるならば弁護士への依頼を検討するようにしましょう。

まとめ

決闘罪は実際に決闘していなくても約束を交わした時点で罪に問われてしまいます。ケンカを売られたからとそれに応じてしまえば同罪になるので注意が必用です。

もし決闘を断ったことで脅迫や侮辱を受けるようであれば、ボイス音源やメールなどの証拠を用意して警察に相談すれば対処してもらえるので、安易な挑発にはのらずに冷静に対処していきましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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