飲酒は逮捕される可能性がある|飲酒運転の罰則や酔っぱらい防止法とは

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
飲酒は逮捕される可能性がある|飲酒運転の罰則や酔っぱらい防止法とは

飲酒で逮捕される可能性と言えば、飲酒運転が真っ先に思い浮かぶ方が大半かと思います。

酒気帯び運転や酒酔い運転といった危険運転については、道路交通法違反の罰則以外でも自動車運転死傷行為処罰法によって危険運転致死傷罪などが規定されており、運転免許証を持っている人であれば飲酒運転の危険性を充分理解しているのではないでしょうか。

しかし、何も飲酒運転だけが処罰対象になるわけではありません。実は、飲酒によって酩酊し公衆に迷惑をかけてしまうと、逮捕されてしまう可能性があるのです。あなたは、いわゆる酔っぱらい防止法(酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律)というものをご存知でしょうか。

今回は、飲酒で逮捕される可能性があるケースについて、具体例やどんな罪に当たりうるのかを詳しくご紹介したいと思います。

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飲酒で逮捕される可能性があるケースとは

飲酒で逮捕される典型例は「飲酒運転」によるものかと思いますが、過度の酩酊状態で公衆に迷惑をかけると「酔っぱらい防止法」による罰則が適用される場合があるほか、いわゆるアルコールハラスメントによって傷害罪や過失致死傷罪、保護責任者遺棄致死罪などが問題になる可能性があります。

まずは飲酒で逮捕される具体例について、少し整理してみたいと思います。

飲酒運転

飲酒運転は、道路交通法違反はもちろんですが、自動車運転死傷行為処罰法によって危険運転致死傷罪の責任を負う可能性があります。

自動車運転死傷行為処罰法は、刑法に規定されていた危険運転致死傷罪を中心とする「危険運転に対する罰則」を規定した新しい法律で、平成26年5月20日に施行されたものです。

(旧)危険運転致死傷罪のほか、新たに発覚免脱罪などの規定を加え、過失運転に対する罰則の強化などが行われています。

そのため、飲酒運転によって検挙・逮捕などをされると、「道路交通法」「自動車運転死傷行為処罰法」「刑法」の3種類の法律が問題になる可能性があります。

酔っぱらい防止法

昭和30年代に成立した「酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」(いわゆる酔っぱらい防止法)は、酩酊者の行為を制限し、救護を要する酩酊者を保護することによって、過度の飲酒による公衆への迷惑防止を目的とする法律です。

(目的)

第一条  この法律は、酒に酔つている者(アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者をいう。以下「酩酊者」という。)の行為を規制し、又は救護を要する酩酊者を保護する等の措置を講ずることによつて、過度の飲酒が個人的及び社会的に及ぼす害悪を防止し、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。

引用元:酔っぱらい防止法

この法律は、適度の飲酒を制限するわけではなく、あくまで「過度の」飲酒による酩酊者の行動を制限するというだけなので、原則として酩酊者の「保護」を基本とし、逮捕が行われるのは稀と言えるでしょう。

しかし、拘留や科料といった罰則もありますので、節度を守った飲酒が大切といえます。

飲酒の強要(アルコールハラスメント)

飲酒を断る人にしつこく飲酒を勧めたり、強要して飲酒させるといった行為を「アルコールハラスメント」と呼びますが、これらの態様によっては刑法上の責任を問われる場合があります。

  • 飲酒の強要行為…強要罪(刑法220条1項)や強要未遂罪(220条3項)
  • 間接的に飲酒を強要する(煽ったり囃し立てる)行為によって相手が酔い潰れた場合…傷害の現場助勢罪(206条)など
  • 相手を酔い潰す行為…傷害罪(204条)、過失傷害罪(209条1項)、重過失傷害罪(211条後段)など
  • 酔い潰れた人を放置する行為…保護責任者遺棄罪(218条)
  • 放置の結果酔いつぶれた人が死亡した場合…保護責任者遺棄致死罪(219条、218条)
  • 酔い潰れた人が死亡した場合…傷害致死罪(205条)、過失致死罪(210条)、重過失致死罪(211条後段)など

アルコールハラスメントは、学生サークルや会社の飲み会などでしばしば問題になるところです。事案が悪質だったり、被害者が多くいる場合には逮捕されるケースも少なからずあることから、飲酒の強要は軽い気持ちでも大きな代償を払うことになる危険があります。

過度の飲酒は逮捕されなくても保護されるおそれがある

ついつい飲みすぎてしまうのがお酒ですが、あまりにも酷い酩酊状態の場合には、酔っぱらい防止法によって保護される可能性がありますので、ここでご紹介したいと思います。

過度の飲酒者を取り締まる酔っぱらい防止法という法律がある

酔っぱらい防止法とは、正確には「酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」といい、全部で10条しかない短い法律です。

あまり適用されることがない法律ではありますが、要は酔っ払いすぎて他人などに迷惑を掛けると、警察に「保護」されることがある旨を規定している法律です。

酔っぱらい防止法には罰則規定もあり、拘留又は科料が科される可能性もあります。

(罰則等)

第四条  酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。

2  前項の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。

3  第一項の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。

引用元:酔っぱらい防止法

酔っぱらい防止法が適用されるケースとは

酔っぱらい防止法が適用されるのは、酩酊者が公衆に迷惑をかけているものの、他の法律などで処罰できないケースです。

例えば酩酊者が怪我をして血を流した状態で駐車中の車に触った場合、車に血がついたとしても車として本来の効用は失われないので器物損壊罪にはならないのです。

こういった酩酊者に関しては逮捕することが難しいので、酔っぱらい防止法を適用して「保護」をしたり、事案によっては現行犯逮捕をすることがあります。

(保護)

第三条  警察官は、酩酊者が、道路、公園、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の場所又は乗物」という。)において、粗野又は乱暴な言動をしている場合において、当該酩酊者の言動、その酔いの程度及び周囲の状況等に照らして、本人のため、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、とりあえず救護施設、警察署等の保護するのに適当な場所に、これを保護しなければならない。

2  前項の措置をとつた場合においては、警察官は、できるだけすみやかに、当該酩酊者の親族、知人その他の関係者(以下「親族等」という。)にこれを通知し、その者の引取方について必要な手配をしなければならない。

3  第一項の規定による保護は、責任ある親族等の引取りがない場合においては、二十四時間をこえない範囲内でその酔いをさますために必要な限度でなければならない。

4  警察官は、第一項の規定により保護をした者の氏名、住所、保護の理由、保護及び引渡しの時日並びに引渡先を毎週当該保護をした警察官の属する警察署所在地を管轄する簡易裁判所に通知しなければならない。

引用元:酔っぱらい防止法

もし飲酒で逮捕されてしまったら

飲酒による行為で逮捕されると、刑事手続は以下のような流れで進むことになります。

もし飲酒で逮捕されてしまったら
どの事件であっても、逮捕後はおおよそ同じ流れで進みます。

逮捕と保護の違い

逮捕と保護は、どちらの場合も警察等に身柄を預けることになるので、そういった部分では共通していますが、本質的な部分では大きく異なります。

すなわち、逮捕が「被疑者の逃亡や罪証隠滅を防ぎ、事件の捜査に必要不可欠な身柄拘束」であるのに対し、保護は「対象者や周囲の人のためにとりあえず救護施設や警察署等の“保護に適当な場所”に連れて行く」ことであるという違いがあります。

また、逮捕による身体拘束は最長48時間であるのに対し、保護の場合は引き取り手がいない場合で24時間以内、引き取り手がいる場合には引き取り手が来るまでの間というように、時間制限も違います。

なお、単に保護されただけでは前歴などがつくわけではありませんが、逮捕されて捜査官や検察官から取調べを受けると前歴がつくというような違いもあります。

逮捕されるのは大きなデメリットになる

逮捕されると「逮捕歴」が、逮捕されずとも在宅で捜査機関から捜査を受けると「前歴」が、起訴され有罪判決が確定すると「前科」がつくことになるのもデメリットですが、そもそも逮捕されるということは、身体拘束を受けることを意味します。

逮捕されると最大72時間は外部と自由に連絡することもできませんし、留置場などから出ることもできません。その後勾留されると拘置所(または留置場)で、起訴されると拘置所で、それぞれ活動が制限されたまま過ごさなければなりません。

逮捕されるというのは身体の自由という面からも大きなデメリットになるので、できるだけ回避するのが良いのです。

飲酒で逮捕されないためにできること

罪を犯してしまうこと自体は、済んでしまった以上、もはやどうしようもないことです。しかし、罪を犯したことを隠したり、逃亡するなどといった行為を重ねてしまうと、逮捕される可能性が一気に高くなります。

実は、現行犯逮捕(・準現行犯逮捕)以外の場合には、「逮捕の必要性」がどれだけあるかによって逮捕されるか否かが変わってくるのです。

逮捕の必要性は、通常であれば「被疑者の逃亡のおそれ」や「罪証隠滅のおそれ」(刑事訴訟法規則143条の3)によって判断されることになりますので、逮捕されないためには以下のような心がけが大切です。

  • 犯した罪を認める
  • 逃亡しない
  • 現住所や現勤務先をきちんと伝える
  • 証拠隠滅などを行わない、家族や友人等を身代わりにしない

これらの心がけによって、逮捕の必要性が下がりますから、逮捕状の請求却下の可能性が上がります。

もちろん事件の内容によって逮捕の必要性も変わりますので一概には言えませんが、救護義務を尽くしたり、警察官等の質問にきちんと答えるなどの姿勢を見せていれば、逮捕でなく在宅での取り調べ等で済む確率が上がるでしょう。

まとめ

飲酒による逮捕の可能性があるケースは、飲酒した本人が罪を犯してしまう場合のほか、飲酒を勧めた人が加害者となる場合も珍しくありませんから、節度を守って上手にアルコールと付き合っていくのが無難かもしれませんね。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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