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KL2020・OD・037
つい万引きをしてしまい、もしかしたら逮捕されるのではないかとお悩みではありませんか?もしくは、家族が逮捕されてしまってどうすればよいのか不安という場合もあるでしょう。
この記事では、万引きによって逮捕された場合の流れや、家族が逮捕された場合にすべきことなどを紹介します。
目次
法務省が公表する犯罪白書(令和元年版)によると、平成30年中の窃盗事件の認知件数は58万2,141件で、そのうち万引きの件数は9万9,692件でした。
さらに、窃盗事件の検挙数をみると、窃盗全体では19万544件に対して万引きは7万1,330件となっています。窃盗全体の検挙率が32.7%であるところ、万引きはなんと71.5%という高い水準で検挙されています。
万引きについては、未成年者の「できごころ」でやってしまうものという印象があるかもしれませんが、実際は高齢者による犯行も検挙されているのが実情です。また高齢者による万引きの場合、再犯率も高い傾向にあるようで、何度捕まっても繰り返してしまうというケースもあるようです。
万引きで逮捕される場合はやはり現行犯逮捕のケースが多いようですが、現行犯逮捕以外は逮捕されないということでは決してありません。以下、簡単に解説します。
万引きで現行犯逮捕されるケースの多くは、店舗の従業員や警備員により犯行を直接目撃され、その場で身柄を押さえられて警察に通報され、到着した警察に逮捕されるという流れです。
この場合、厳密には店舗関係者が身柄を押さえた時点で「私人による現行犯逮捕があった」と見る余地がないわけではありませんが、基本的には到着した警察により逮捕手続が取られることが通常でしょう。
万引きが「現行犯でしか逮捕できない」という情報は間違いです。
昨今は店舗や街中の至るところに監視カメラがあります。そのため、万引き行為の現場では犯行が発覚しなくとも、監視カメラにより犯行が発覚し、監視カメラを追うことで身元が特定され、逮捕状が取られて後日に逮捕されるということも珍しいことではありません。
未成年者が犯罪を犯した場合、成人の場合とは異なる流れで手続きが進められます。未成年者の場合は、犯罪行為について逮捕されても、その後はまず家庭裁判所に送致され、刑事手続で処理するべきか、保護処分で処理するべきかが判断されます。
そのため、未成年者による万引きが刑事事件として立件された場合、逮捕されるかどうかはともかくとして、家庭裁判所で処分内容が吟味されるということは知っておいて損はないでしょう(なお、未成年者は絶対に逮捕されないということではありませんので、その点も留意しましょう)。
万引きは刑法上の窃盗罪に該当する犯罪行為です。窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 第235条
そのため万引きで逮捕された場合、検察官による起訴・不起訴の判断が行われます。起訴する場合は、略式手続で起訴する場合と、正式裁判で起訴する場合があります。いずれの場合も、起訴されて有罪判決を受ければ刑罰が宣告されますし、前科もつきます。
なお、万引きが軽微であり「敢えて刑事事件として立件する必要がない」と警察が判断した場合、微罪処分で処理されることがあります。何をもって軽微とするかは総合的判断となりますが、基本的には以下のような点が考慮されるものと思われます。
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なお、微罪処分とするかどうかはあくまで警察が判断するものですので、自分で軽微と思っていても微罪処分とならないことは十分あり得ます。
ここでは、万引きが刑事事件として立件される場合の流れについて簡単に解説します。
基本的にどのような容疑で逮捕されたとしても、成人の場合は上記のような流れで進みます。
警察署で取調べが行われ、被疑者の身柄は48時間以内に、検察庁へ送致(送検)されます。その後、検察官は24時間以内に、被疑者の勾留(捜査などのために行われる身柄の拘束)が必要か判断し、必要があれば裁判所に勾留を求めます。
裁判所が勾留を認めれば最大10日間、延長が認められればさらに最大10日間、逮捕から数えれば最長で23日間身柄を拘束される恐れがあります。検察官は勾留期間満期までに、被疑者を起訴するかどうかを判断します。仮に起訴されれば、刑事裁判を受けることになります。
万引きについて刑事事件として立件された場合、検察官は最終的に起訴するかどうかを判断します。日本の刑事裁判の有罪率は統計上99%と言われているため、起訴されればたとえ罪を否定していても有罪判決となる可能性は否定されません。
窃盗事件で起訴されたもののうち、どの程度が万引き事案なのか正確なデータはありませんが、法務省が公表している犯罪白書(平成29年版)によると、窃盗事件自体の起訴率は2017年時点で41%となっています。そのため、万引きについても起訴される可能性は十分あります。
仮に、万引き行為が再犯であるような場合や、執行猶予期間中の犯行である場合、被害額の多寡に拘らず実刑判決を受ける可能性もあり得ます。実刑となれば、実際に刑務所に収監されて服役することになりますので、日常生活への影響は計り知れないでしょう。
万引きで逮捕されてしまうと、身柄拘束はどのくらいの期間つづくのか、どのような流れで刑事手続きを受けるのかという疑問があるでしょう。ここでは、万引き事件で家族ができることなどを解説します。
逮捕から勾留されるまでの期間は、たとえ家族であっても面会はできません。
なお「勾留期間中に示談が成立した」などの事情で釈放されることもありますし、検察官が不起訴とする旨を判断すれば即時釈放されます。また、起訴されても略式手続で起訴されて罰金を納める場合にも、即時釈放されます。
他方、正式裁判で起訴された場合は身柄拘束が継続され、保釈されない限り釈放はされません。
家族が逮捕された場合、家族としてできることは以下の2つです。
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特に重要なのは②です。早い段階で弁護士に相談すれば、刑事手続により家庭に生じる不利益を可能な限り軽減することができるかもしれません。
「金銭的に困っているわけではないのに、万引きをやめられない…」というような場合は、万引きの原因がクレプトマニア(窃盗症)である可能性があります。
クレプトマニアは、万引きをした商品などが目的ではなく、万引きする行為やプロセスそのものに依存している「依存症の一種」と考えられています。このような依存症に陥っている場合、本人の努力だけで立ち直るのは非常に困難と言われています。
クレプトマニアの医学的要因は十分に解明されているわけではありませんが、症状が疑われるのであれば専門の医療機関を早急に受診しましょう。参考として、クレプトマニアの診断基準としては以下が挙げられます。
引用元:医療法人社団|榎本クリニック
万引きは犯罪であり、立件されれば厳格な刑事手続に服することになります。また再犯率の高い犯罪としても知られていますので、仮に家族が万引きで捕まったような場合は「再犯に及ばないために何ができるか」を具体的に検討するべきかもしれません。もし対応に困る場合には、早めに弁護士へご相談ください。
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