妥当な金額?漫画村の損害賠償金を計算したら●●億円になった

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四谷コモンズ法律事務所
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妥当な金額?漫画村の損害賠償金を計算したら●●億円になった

漫画の違法アップロードサイトとして有名な『漫画村』。

政府も海賊版サイトへの問題を重くみたのか、2018年4月にインターネットプロバイダーに対して漫画村などの海賊版サイトを対象に、接続遮断を政府として促していく緊急声明を発表しました。

今回、『あなたの弁護士』では弁護士の協力のもと、著作権を侵害されている著作者全員が‟漫画村に対して民事上の損害賠償請求をしたら、賠償金はいくらになるのか”、大まかではありますが計算してみました。

その結果、漫画村の損害賠償金額は『約69億円』。どのように計算したのか、詳細を記載していきます。

まずは漫画村の利用者数を調査

損害賠償金額を計算するために、まず漫画村の利用者数を知る必要があります。

漫画村は公式サイトでTwitterの利用者数を超えたと発言しています。

漫画村の利用者数がTwitterを超えたときの画像

引用元:Wayback Machine|2018年3月26日

Twitterの国内利用者数は2017年10月に公式アカウントで4,500万人を突破したことを発表したので、漫画村にはこれ以上の利用者数がいることが想定されます。

Twitterの利用者数が4500万人を超えたときの画像

引用元:Twitter Japan 公式ツイート

なので、ここでは漫画村の月間利用者数を推定『6,000万人』だと仮定します。

まずは今まで漫画村で閲覧された著作物の数を試算

漫画村に対して全著作者が損害賠償請求したら総額はいくらになるのか。漫画の場合、以下の式で計算することになるでしょう。

「著作物が利用された数」×「著作物の単価」×「利益率」
参照元:著作権法114条3項

実際、このような計算式で損害額の算定が行われた裁判例があります(東京地判平成19年9月13日)。

この事件では、ユーザーがサイト上で各漫画にアクセスした回数をカウントし、そのカウント数を基準として『著作物が利用された数」を算定しました。

過去の判例での計算方法は以下のとおりです。

アクセス件数は,当初の1日当たり2万件程度から1日当たり10万件程度に増加している。アクセス件数の増加傾向がどのようなものであったかは明らかではないが,平成17年9月17日のアクセス件数を2万件,同18年1月25日のアクセス件数を10万件として,アクセス件数の増加が直線的(一次関数的)なものであったと仮定すると,本件侵害行為期間中の総アクセス件数は786万件となり,当初1日当たりのアクセス件数2万件の393倍に相当する。

(2万件+10万件)×131日÷2=786万件

文献番号:2007WLJPCA09139002

漫画村が当初1日当たりどのくらいのアクセス数があったかは不明ですが、ここでは仮に1日1アクセスだったと仮定して計算していきます。

なので、漫画村の『著作物が利用された数』を求める計算式は以下のようになります。

(1件+200万件)×169日÷2=169,000,085

※日数はWayback Machineに保存されている一番古い日付から計算しました。Wayback Machineとは、過去のWeb ページを保存しているアーカイブサイトです。

大まかな計算ではありますが、漫画村で『著作物が利用された数』は累計約1億7,000万回になります。

損害賠償金額の計算方法

『著作物が利用された数』が出たところで、損害賠償金額を求める計算式に当てはめてみましょう。

「著作物が利用された数(169,000,085)」×「著作物の単価(410円と仮定)」×「印税(10%で計算)」

上記の式を計算すると損害賠償金額は『69億2,900万3,465円』になります。
※上記は概算になります。

実際はもっと高い賠償金となる可能性も

今回の試算では約69億円となりましたが、漫画村にアップロードされているコンテンツは単行本だけではなく、写真集や雑誌などもありますので、『著作物の単価』はもっと上がるかもしれません。

印税のパーセンテージも一般的な相場であり、変動することがあります。

特に電子書籍の場合は、出版・流通に関する経費がほとんどかからないことから、高いパーセンテージになることも十分考えられます(実際、先述の裁判例においても、35%が使用料率の基準となっています)。

実際の単価や運営開始時期、アクセス数によってはもっと大きい金額になる可能性もあるでしょう。

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この記事を監修した弁護士
四谷コモンズ法律事務所
2015年に四谷コモンズ法律事務所を開設。医療過誤(特にインプラント治療)問題、インターネット問題(WEB上の記事削除・開示請求・コンプライアンス管理体制の構築)に注力して取り組んでいる。

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