著作権法違反で著作権が侵害されたときに知っておくべき対処法まとめ

弁護士法人ネクスパート法律事務所
監修記事
著作権法違反で著作権が侵害されたときに知っておくべき対処法まとめ

この記事では著作権法違反についてご紹介させていただきます。

知的財産権の1つである著作権。この著作権が一体どういうモノで、どこまでの範囲におよぶのかを規定したルールが著作権法です。著作権等を持つことで、対象の著作物を独占的に、複製して出版したり、頒布(はんぷ)と言って映画作品を公衆に譲渡することができます。

著作物に関わる権利をコントロールすることで、著作者の創作意欲や利益を保護します。

ニュースでもたまに著作権違反やその疑惑について聞くことがあるかと思いますが、例えば最近ではこのようなことがありました。

ファイル共有ソフト「Share」を用い、映画を無断でインターネット上に公開したとして男性が著作権法違反で書類送検されました。

参考:SANSPO.COM「シン・ゴジラ」無断公開容疑で男性会社員を書類送検

もしもあなたの大事な著作物が法律に違反して権利を侵害されてしまったとき、どのような対処がとれるのでしょうか。

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著作権の種類

著作権は大きく、著作財産権と著作者人格権に分けることができます。

それぞれいくつかの権利を内包したものですが、どのような内容の権利でしょうか

著作財産権

著作財産権は、著作物の利益を保護するものであり、譲渡や相続によって著作者から他の人物にこの権利を移動することができます。どのような権利を内包しているかは下記の表をご覧ください。

著作権が及ぶ行為(著作権者が独占できる行為)

権利

該当する条文(著作権法)

著作物を複製する

複製権

21

著作物を公衆に上演・演奏する

上演権/演奏権

22

著作物上映する

上映権

22条の2

著作物を公衆送信する

公衆送信権等

23

著作物を公に口述する

口述権

24

著作物を公に展示する

展示権

25

著作物を複製して頒布する

頒布権

26

著作物や複製物を公衆に提供する権利を譲渡する

譲渡権

26条の2

著作物や複製物を貸与する

貸与権

26条の3

著作物を翻訳・翻案する

翻訳権/翻案権

27

二次的著作物の原著作物の著作者は、二次的著作物の著作者と同一の権利を持つ

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

28

引用:著作権侵害の4要件と具体例|著作権侵害の判断基準まとめ

著作者人格権

著作者人格権は、著作者本人の人格を保護するもので、著作財産権とは異なり、譲渡することは不可能です。したがって、著作者と権利者が違う人物であるということはありません。

詳しく下記の表のような内容です。

著作権が及ぶ行為(著作権者が独占できる行為)

権利

該当する条文(著作権法)

著作物を公表するかどうか あるいはどのように公表するか

公表権

18

氏名を表示するかどうか 表示するとして本名かペンネームかを決める

氏名表示権

19

著作物のタイトルや内容を無断で変えられない

同一性保持権

20

著作権を侵害されたときどんな法的措置をとれるか

ご自身の著作物が著作権侵害を受けているとき、民事と、故意が立証できるならば刑事で対応することができます。

著作権の侵害は親告罪ですので、刑事に関しては被害者や代理人が告訴することで初めて起訴できるようになります。

民事で侵害に対抗する場合

民事では下記4つの請求を行うことができます。

  • 差止請求
  • 損害賠償請求
  • 不当利得返還請求
  • 名誉回復等の措置請求

1つずつ説明していきますので、ご覧ください。

①差止請求

権利者は相手方の著作権侵害行為を停止もしくは予防のための請求ができます。

(差止請求権)

第百十二条  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

2  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。

引用:著作権法

上記の条文の2で示す侵害の行為を組成した物とは物を使うことが著作権侵害になることを指し、また侵害の行為によって作成された物とは、著作権の侵害したことによって産まれた物のことを言います。

つまり停止させることができるのは著作物の違法コピーや似せた物だけでなく、それを産みだした機械や器具も含むのです。

権利者とは

著作権法で権利が保護されるのはその著作物を作った本人(著作者)だけではありません。

著作者のほかに、著作権者・著作隣接権者・出版権者がここでいう権利者に当たります。

著作権者

通常は著作者本人が著作権を持っていますが、著作財産権を他の人に譲渡していた場合、著作権者は著作者ではなく、著作財産権を保持している人になります。

著作財産権は、複数の権利から成り立っている権利であり、どういうものか大雑把に言うと、著作物を市場に出すことで得られる利益を保護する権利です。

著作隣接権者

音楽や映画など、著作者だけではその著作物を世に広めることはなかなかできません。著作者ではないけれど、著作物に関わる、実演家、レコード製作者、有線放送事業者、放送事業者に著作隣接権が与えられます。

出版権者

出版権は著作物の書籍や絵の複製を独占的にすることのできる権利です。

出版社に出版権を持たせている場合、著作者であっても対象の著作物を出版することはできません。

②損害賠償請求

侵害行為によって被った損害については、損害賠償請求をすることができます。請求額は損害額ですが、その損害額の求め方はいくつかあります。

ⅰ侵害行為により譲渡されたもの、あるいはテレビやネットで配られたコピーの数量に、侵害がなければ得られたであろう単位数量当たりの利益を掛け算することで求める方法

譲渡された総数量×単位数量当たりの利益

ⅱ侵害行為によって得た利益を権利者の損害額として考える方法

ⅲ権利行使につき受けるべき金銭に相当する額を損害として考える方法

③不当利得返還請求

権利侵害によって得た不当な利益を返すように求めることを、不当利得返還請求といいます。著作権侵害したことを知っているかどうかでその内容が変わります。

侵害していることを知らなかった場合は、残っている利益を全額返還させます。このとき、その利益の内いくらか使っていた分に関しては返還されません。

侵害していることを知っていた場合は、侵害行為によって得た利益の全額+利息分を上乗せして返還させることができます。

(不当利得の返還義務)

第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

(悪意の受益者の返還義務等)

第七百四条  悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

引用:民法

④名誉回復等の措置請求

著作者や実演家が著作人格権・実演家人格権を侵害された場合、損害賠償だけでなく謝罪広告といった名誉回復のための行為を求めることができます。

(名誉回復等の措置)

第百十五条  著作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。

引用:民法

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刑事で侵害に対抗する場合

著作物が誰かによって権利侵害を受けたとき、民事だけでなく刑事でも訴えることができます。なお、前述のとおり著作権の侵害は親告罪ですので、警察や検察に告訴状を提出しなければなりません。

著作権侵害の罰則について

個人が著作権法に違反して他者の著作権を侵害した場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されます。併科といって懲役と罰金の両方が科される可能性もあります。

また、法人の業務によって著作権が侵害された場合、法人に対して3億円以下の罰金を科します。それだけでなく、権利侵害の実行者個人も前述の10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金あるいは併科になります。

著作権の侵害を受けているときにすべきこと

民事告訴と刑事告訴についてお話しましたが、もしもあなたの著作権が侵害されているとき、何をすべきでしょうか。

流れとしては、まず著作権侵害があったことが判る証拠を収集し、その後、交渉のための協議を侵害していると思われる人物と行い、侵害行為の差止を求めたり損害賠償請求をします。

  • 証拠の収集
  • 協議により侵害行為の差止や損害賠償を求め示談を行う
  • 仮処分請求
  • 民事訴訟を起こす

協議が上手くいき話がまとまれば、示談書を作成します。協議が上手くいかなかった場合は、差止の仮処分の申立てをし、侵害行為の差止を行います。

その後は民事訴訟をして、差止請求や損害賠償請求ができます。権利侵害をした個人や法人が故意的にしていると立証できるのであれば、告訴を行うことで、侵害者に対して懲役刑や罰金刑を問わせることができるかもしれません。

著作権違反について弁護士に相談する場合

著作権侵害に対して、個人で戦えないことはないですが、裁判までを1人で行うのはなかなか難しいでしょう。弁護士に依頼した場合、費用はかかってしまいますが専門家に依頼するメリットは大きいので、検討することをおすすめします。

弁護士を依頼することに対するメリット

著作権の侵害をされたときに弁護士を依頼するとどういうメリットがあるのか

自分の主張が通りやすい
著作権侵害の証拠となるものを集めやすい
損賠賠償をした際の適正な金額を請求しやすい
代理人となって手続きを進めてくれるからラク
裁判をせずに示談・和解で終わらせることも可能

弁護士を依頼したときの費用

弁護士費用として挙げられるのは、相談料・着手金・報酬金・手数料・裁判で使用する印紙代などの諸費用です。当たり前かもしれませんが、どのくらいかかるかはケースバイケースで、同じ著作権の案件であっても、どのくらいの請求が取れるのか?民事訴訟や刑事訴訟などどんな解決方法かによってもかかる費用は変わります。

ここでは相談料・着手金・報酬金がどのくらいの相場であるのかをご紹介いたします。

相談料

法律相談を受けるときにかかる費用のことです。初回相談に限っては30分、1時間まで無料だとか、あるいは2回目以降よりも低額の設定であることが多いです。2回目以降の相談では30分1万円ほどの事務所がよく見られます。

着手金

弁護士を依頼し、業務に入るときに支払う費用のことです。結果に関わらず、このお金は返還されません。着手金の額は経済的利益によって異なります。また経済的利益が一定額を越えている場合は、固定の金額が追加されます。

事務所によってそのパーセンテージは異なりますが、相場をご覧ください。

経済的利益とは、相手に対して請求する金額です。

経済的利益の額
着手金の相場
300万円未満
8%
300万円以上3,000万円未満
5%プラス9万円
3,000万円以上3億円未満
3%プラス70万円
3億円以上
2%プラス350万円

報酬金

相手との交渉が成立したり、裁判で勝訴をしたときにかかる費用で、上手くいかなかったときに支払うことはありません。着手金同様、支払う額は経済的利益によって変わります。

報酬金における経済的利益は、実際に回収した金額です。

経済的利益の額
着手金の相場
300万円未満
16%
300万円以上3,000万円未満
10%プラス18万円
3,000万円以上3億円未満
6%プラス140万円
3億円以上
4%プラス700万円

弁護士の選び方

著作権侵害を受けたときにどのような弁護士に依頼すればいいでしょうか。

  • 権利侵害が得意な弁護士
  • 企業法務経験がある弁護士

弁護士さんにはそれぞれ得意な分野がありますから、著作権に限らず課題としているトピックに対する実績がある弁護士が所属している事務所を探すといいでしょう。

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まとめ

最後にこの記事をまとめさせていただきます。

ご自身の持つ著作権が侵害されたときは、以下の4種類の請求ができます。

  • 差止請求
  • 損害賠償請求
  • 不当利得返還請求
  • 名誉回復等の措置請求

 

著作権侵害に対する流れとしては、

  • 証拠の収集
  • 協議により侵害行為の差止や損害賠償を求め示談を行う
  • 仮処分請求
  • 民事訴訟を起こす

といった感じで進みます。

弁護士に依頼するときは、着手金は相手に請求する金額、報酬金は相手から実際に回収することができた金額をベースに○○%を乗算するという仕組みです。

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この記事を監修した法律事務所
弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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