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KL2020・OD・037
時間外手当(じかんがいてあて)とはその名の通り、決められた労働時間を超えて働いた分支払われるべき給与のことです。
しかし最近は、この時間外手当がもらえないという悩みをもつ方も増えており、労働問題として取り上げられることも多くなってきました。
そこでこの記事では、そもそも時間外手当とは何なのか、もしも支払われるべき時間外手当が支払われていない場合はどのように請求すれば良いのかなどについて、解説していきたいと思います。
目次
まず、時間外手当とは何なのか、その違法性や定義からご紹介していきます。
残業代が出ないというのは、基本的には違法である可能性が高いです。業務時間を超えて1分でも働いたら正当に支払われるべき手当ですから、しっかりと確認した上で支給されていない場合、会社側に請求しましょう。
しかし、正当性のあるような口実を用いて、残業代が支給されないというケースもあるようです。いくつか例を挙げてみると、
これらを「会社のルールだから」とか、「みんなそうしているよ」などと言われると、違法性を感じたとしても我慢してしまうのも無理はありません。労働者が我慢してしまった場合、違法な行為でもまかり通ってしまう可能性があります。
時間外手当とは、「会社の所定労働時間を超えた分の労働に対して支払われる手当」のことをいいます。所定労働時間とは、1日8時間、また、一週間に40時間以内の労働のことであり、これを超えた労働については、時間単価に対して1.25倍の支給が義務付けられています。
例えば、勤める会社の就業規則が休憩時間を除く9時から17時まで(7時間勤務)となっている場合に、18時まで勤務したとします。この場合、会社の定める所定労働時間(7時間)は超えていますが、法定労働時間の8時間は超えていません。
よって、17時から18時までの1時間分の時間外手当に関しては、会社に割増賃金支給の義務はないことになります(割増のない通常賃金支払の義務はあります。)。しかし、仮に20時まで勤務をした場合、所定労働時間の8時間は超えていますので、2時間分について割増賃金の支払義務が生じます。
世間一般でいう「残業」は、法的にはどのように整理されているかを説明します。
この3つを所謂「残業」と総称しています。そして、当該「残業」に対応する割増賃金を「残業代」と総称するのが一般的です。
1日8時間、または1週間に40時間を超える労働をしている場合、時間外手当を受け取ることができるとご説明しました。
この数字をしっかりと覚えていただき、まずはご自身が1日にどれだけの時間労働しているのか、それを合計すると1週間の労働時間はどれくらいになるのか、しっかりと把握しておくことが大切です。
もしも定められた労働時間を超えているのであれば、それをしっかりとメモしたものや、あとで時間外手当を申請できるよう準備をしておきましょう。
タイムカードの打刻は確実性の高いものですが、もしそう言ったものがなくても証拠として認められるとなるケースもありますので、こうした小さなことも続けていくことが大切です。
たとえば、Aさんの会社の就業規則が「9時から17時までの勤務(休憩時間が1時間)」となっている場合、規則の上では1日7時間の勤務ということになりますね。こう規定されているにも関わらず、Aさんが18時まで勤務した場合、果たして1時間分の時間外手当は支給されるのでしょうか。
これは上の見出しでもご説明しましたが、この場合はAさんに対する時間外手当の支給義務はなく、支給されるか否かは会社の規定によるでしょう。法的に時間外手当の支給を受け取るには、1日8時間以上の勤務をすることが条件です。
つまり、いくら会社の就業規則よりも労働しているといった場合でも、それが8時間を超えない分に関しては、法律上の時間外手当を受け取ることはできないのです。これが法定内残業です(もちろん、所定労働時間を超えて就労した分の通常賃金の支給を受けることはできます。)。
しかし、Aさんが仮に9時から19時まで勤務をした場合、その勤務時間は9時間となりますので、1時間の時間外手当が支給されることになります。これが、法定外残業です。
なので、就業規則に書かれている時間を超えて労働したとしても、それが8時間を超えていない法定内残業であれば時間外手当が支給されることはなく、8時間労働を超えた法定外残業のみ、時間外手当として支給されるということです。すなわち、上記事例で9時間就労した場合、所定労働時間を超える1時間分の通常賃金(割増のない賃金)と1時間分の割増賃金(1.25倍の賃金)を受け取ることができるということになります。
それでは、時間外手当の計算例について、実際に書いていきたいと思います。先ほどのAさんのように、就業規則に9時から17時(休憩時間が1時間)と記載されているにも関わらず、20時まで働いた日を例に考えてみましょう。
この場合、実際に時間外手当が支給されるのは、18時から20時の2時間分。
つまり、
【Aさんの時給額×1時間(法定内残業分)×1】+【Aさんの時給額×2時間(法定外残業分)×1.25】となりますね。
間違えてしまいがちなのは、
【Aさんの時給額×3時間×1.25】
このように、17時から18時までの1時間も法定外残業として計算してしまうことです。この1時間に関しては法定内残業として扱われるので割増分の賃金を受けることはできません。
残業代請求の大まかな流れは次のとおりです。
実際に法定外残業をしているにも関わらず、時間外手当がもらえない場合はどうしたら良いのでしょうか。ここでは、そんな場合にやるべき行動について、書いていきたいと思います。
まず初めに思い浮かべるのは、直属の上司に直接相談を持ちかけるということです。すぐに解決することはなくても、心が安らいだり、会社側への請求に協力してくれることも考えられるので、信頼できる上司に相談することも大切ですね。
次に考えやすいのは、労基局(労働基準監督署)に相談することではないでしょうか。労基局に行けば問題が解決すると思っている方も少なくないはずです。
ある程度の証拠資料をもって労基署に行けば、労基署は動いてくれます。ただし、労基署は労働者の権利を代行する機関ではないため、労基署があなたの代わりに残業代を請求してくれるわけではありません。労基署から残業代を支給するよう指導がなされることは期待できますが、それ以上のことは期待できませんので注意しましょう。
弁護士に依頼すれば費用はかかりますが、時間外手当を回収できる可能性はその分高まります。
また、相談だけなら無料で受けてくれる弁護士もいます。法定外残業をしているにも関わらず時間外手当が支払われないのは明らかに違法ですから、そこに弁護士が介入することにより、不当に支払われていない賃金を法律に基づいて請求します。
などが挙げられます。やはり会社相手に時間外手当を請求する場合、弁護士という法律のプロに一任することは、かなり効果的であるといえるでしょう。
明らかに法定外残業をしているにも関わらず、これらの手を使ってでも時間外手当が支給されない場合、最終的には裁判を起こすという選択肢も考えられます。
裁判ともなると、やはり1人の力ではかなり厳しい状況になると思われます。こういった状況でも弁護士に一任することにより、面倒な手続きを全て行ってくれたり、代理人として裁判に出廷してくれることもありますので、非常に心強い存在になりますね。
それでは最後に、毎日付けていたある記録が証拠の一部となって、時間外手当を受け取ることに成功したケースをご紹介いたします。
裁判を起こしたこの従業員は1年4ヶ月もの間、深夜時間帯労働や休日労働の分の賃金が未払いとして、会社側に請求を求めました。
この会社にはタイムカードがなく、充分な証拠が得られなかったことから、未払い額を受け取るのは難しい判例かと思います。
しかしこの従業員の妻が、夫の連日の帰宅時間の遅さ、また、体調がみるみる悪化していくことを心配し、毎日ノートに出社時間と帰宅時間を記載していました。
証拠としては不十分かと思われますが、会社側がタイムカードを設置していなかったこと、従業員の出退勤をきちんと管理していなかったことから、「従業員を不利益に扱うべきではない」として、会社側に未払賃金の支払いを命じたのです。
タイムカードなどの明確な証拠がほとんどなかったとしても、毎日のメモであったり、または日直戸締まり当番の確認リストなどが決め手となり、勝訴を勝ち取ることができたという過去の貴重な成功例です。
裁判年月日 平成17年12月 1日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決
事件番号 平17(ネ)1164号
事件名 賃金請求控訴事件 〔ゴムノイナキ事件・控訴審〕
裁判結果 一部認容、一部棄却(原判決変更) 上訴等 確定 文献番号 2005WLJPCA12016002
時間外手当についてあまり理解のないまま入社し、結果的に未払いのまま働き続けてしまうというケースも大いにあるでしょう。
「周りのみんなもそうだから」という理由で請求しなかったり、会社側からうまく言い丸められたりして、時間外手当はもらえないというのが当たり前になってしまうこともよくあるのではないでしょうか。
しかし、時間外手当をもらえないというのは基本的に違法であり、しっかりと証拠を集めることで、あとで未払い分を受け取ることも充分可能です。
または成功例でもご紹介したように、タイムカードなどの明確な証拠がなくても勝訴になるケースもあり得るので、毎日の勤務時間を記録することなど、小さなメモであってもきちんと残しておくことが重要です。
少しでも疑問を感じるようであれば、このコラムで紹介したように、少しずつでも行動を起こしていくことを私はオススメいたします。
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