2018年問題とは|派遣社員・契約社員に迫る契約終了のリスク

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
2018年問題とは|派遣社員・契約社員に迫る契約終了のリスク

昨今、テレビでは2018年問題をさかんに報道していますが、みなさんは問題の内容についてどこまで把握できていますか?問題のきっかけとなったのは、労働者派遣法や労働契約法の改正です。

2018年問題は、現在派遣社員や契約社員として働いている人にとって、決して他人事ではありません。非常に大切な内容になりますので、この記事を通じて法改正や問題について理解おきましょう。

まずは2018年問題をわかりやすく説明

まずは2018年問題をわかりやすく説明

2018年問題は、下記の2つの出来事がきっかけで起こります。

  • 2012年に行われた労働契約法の改正
  • 2015年に行われた労働者派遣法の改正

改正の詳しい内容に関しては後述しますが、今まで派遣社員・契約社員は特に期間制限なく同じ職場で勤務を継続するという方法もありました。

ですが、法改正により派遣元で有期雇用される派遣労働者には派遣可能期間の上限が厳格に定められましたし、直接雇用される有期労働者については通算の勤続期間が一定以上の場合無期雇用に転換することを求める権利が創設されました。

結果、企業はこのような期間の到来する労働者に対し対応を迫られることになりました。

そして、対応を迫られた企業は、労働コスト増大を回避するため、期間の到来する派遣社員や契約社員について、契約を打ち切るという選択を取る可能性もあります。これが『派遣切り』や『雇い止め』と呼ばれるものです。

これらによって多くの人が契約を打ち切られたり、仕事を失ったりする可能性があるのが2018年問題の主な内容です。

派遣社員に起こる変化|労働者派遣法の改正

2015年9月末に労働者派遣法が改正されました。今まで特定の業務に従事する派遣社員は契約を更新すれば何年でも同じ派遣先で働くことができましたが、改正により、派遣元で有期雇用される派遣労働者は同じ派遣先で働ける上限期間が3年になりました。

法改正による最大勤務期間のシミュレーション

最初に契約した日

契約日(更新日)の例

働ける最大期間

法改正後(2015年9月30日以降)

2015年10月15日

2018年10月14日まで

法改正前(2015年9月30日以前)

2016年4月1日(改正後最初の更新)

2019年3月31日まで

法改正前から働いていた分はカウントされないので、2015年9月30日以降、最初に行った契約更新から3年間が上限になります。

派遣先企業での直接雇用

派遣先企業は、有期雇用派遣労働者を同じ職場で3年を超えて使用する場合、当該派遣社員を直接雇用しなければならないとされました。

例えばAという派遣会社(派遣元)に雇われながら、Bという会社(派遣先)で仕事をしているとします。Bでの勤務期間が3年を超えた場合はBは当該派遣社員を直接雇用する義務を負うことになります。

派遣元での無期雇用

派遣元で無期雇用をされた場合、派遣可能期間の上限適用はなくなりますので3年目以降も同じ派遣先企業で働き続けることができます。

2018年問題で有期契約社員に起こる変化

労働契約法の改正により有期雇用契約で働いている人(契約社員、雇用期間付きパートタイマーなど)にも変化が起こります。まずは下記の表を見てみましょう。

改正前

改正後

契約社員は、契約が更新され続ければずっと契約社員のまま働くことができた

勤続5年を超えた場合、労働者の申し出によって無期契約に切り替えることができる

改正が行われたのは2013年4月1日です。派遣法と同様、法改正以前から雇用契約を結んでいた場合は、改正後最初に行われた契約から5年が期間になります。

有期契約社員として勤務している期間が通算で5年を超えた場合、労働者からの申し出によって契約期間を有期から無期に切り替えることができます。

これは企業側には拒否する権限はなく、労働者がその気になればいつでも行使できる権利です。

派遣社員にも有効

正確には、派遣社員も有期契約社員に含まれます。なぜなら、派遣元会社と有期契約を結んでいるからです。

派遣先企業がコロコロ変わったとしても、派遣元との契約期間が通算して5年を超えることになれば、自身が所属している派遣元企業の雇用期間を無期限に切り替えるよう求めることができます。

無期契約社員|正社員ではないことに気を付けよう

有期雇用契約の場合、契約満了時に更新するかしないかは原則として企業の自由です。無期契約に切り替わった場合は、契約期間満了で雇用を打ち切られるリスクはなくなります。

しかし、あくまでこれは契約期間が無期限になるだけであり、ただちに正社員と同列に扱われるということではありません。給料などの待遇は一切変わらない可能性もあります。

『雇い止め』という新たなリスク

上記の通り、有期の契約社員は通算5年を超えて働くことになれば、契約期間を無期に切り替える権利を得られます。

しかし、このような権利取得を嫌う企業から、同期間が経過する前に契約を終了されてしまう可能性もあります。不安定な雇用が拡大してしまうのが法改正による最大のデメリットだといえるでしょう。

まとめ

派遣労働者や有期雇用契約者の『使い捨て防止』や、待遇改善のために労働者派遣法と労働契約法の改正が行われました。ですが、『雇い止め』や『派遣切り』のリスクも高くなってしまい、結果として不安定な雇用環境を拡大させかねない結果に。

以上が2018年問題になります。この記事が実際に派遣社員や契約社員として働いている方、これから働こうと考えている人の参考になれば幸いです。

出典元:

労働契約法改正のあらまし - 厚生労働省

平成27年労働者派遣法の改正について – 厚生労働省

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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