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KL2020・OD・037
後遺障害等級第4級には片目の失明や片腕または片足の欠損、更には両耳の聴力喪失などの症状も含まれます。また、100%とまではなりませんが多くの割合の労働能力を失っているとされていますので、非常に深刻な後遺障害だと言えます。
今回は後遺障害等級第4級だと認定される条件に加え、慰謝料の相場基準をまとめました。第4級に該当する症状であっても、保険会社との交渉状況に応じて慰謝料額が変動することがありますので、被害者側が不利にならないための要点を確認しましょう。
目次
第1級~3級の労働能力喪失率(100%)よりは下がりますが、92%という数値も深刻です。要介護ではありませんが、事故前の日常生活を送ることはまず不可能です。
後遺障害等級第4級として認定される後遺障害の症状条件を、一覧でまとめました。第1級~3級と異なる特徴で、認定条件に聴力が追加されています。
後遺障害等級 | 後遺障害 概要 | |
第4級 | 1号 | 両眼の視力が0.06以下になったもの |
2号 | 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの | |
3号 | 両耳の聴力を全く失ったもの | |
4号 | 1上肢をひじ関節以上で失ったもの | |
5号 | 1下肢をひざ関節以上で失ったもの | |
6号 | 両手の手指の全部の用を廃したもの | |
7号 | 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
続きまして、全7種ある症状詳細を具体的に取り上げます。これら全て単独条件になりますので、7種のうち1種でも該当すれば後遺障害等級第4級であると認定されます。
事故により両目の矯正視力が0.06以下になった状態です。矯正視力という条件のため、眼鏡やコンタクトで0.06より上の視力になれば該当外だと判断されます。また、後遺障害等級では視力の度合いに応じてレベルを細かく分けています。例えば、矯正視力が更に下がり0.02以下の場合だと第2級2号へ等級が上がります。
お粥などの飲食物以外は自力食べられない状態のことを意味します。固形の食物を細かく砕く能力が失われている、ということです。
下記の発音が不可能になってしまった状態のことです。
4種類の発音に分類されていますが、2種以上の発音が出来なくなった際に言語機能に著しい障害が残ったとみなされます。
なお、3種以上の発音が出来ない場合は症状がより重いと判断されまして、第3級2号に該当します。
第4級2号はこの咀嚼機能と言語機能の両方に著しい障害を残した場合に該当します。
交通事故が原因で両耳の聴力を完全に失った状態です。聴力の喪失は具体的な検査数値で下記の通り定められています。
片方の腕を肘関節から肩関節の間で失った状態です。仮に片腕でなく両腕が肘関節以上で欠損した場合は、第1級3号に該当します。
片方の脚を膝関節と股の付け根の間で失った状態です。これも第4級4号と同様、片脚でなく両脚が膝関節以上で欠損した場合、等級が上がります(第1級5号です)。
両手の指の全ての『機能』を失った状態です。これを『用を廃したもの』と規則上で明記されていますが、細かい条件は下記の2通りで、いずれかを満たせば機能を失ったと認められます。
末節骨は指先の部分のことです。指先を切断した場合は第4級6号に該当することになりますが、更に欠損の程度が大きくなると、第3級5号に等級が上がる可能性があります。
指を切断しなくても麻痺が原因で正常に動かせない場合も、第4級6号の対象です。麻痺基準の詳細は以下の通りです。
両方の『足元』を失った状態です。対象の喪失部位はリスフラン関節と呼ばれますが専門的な用語でして、換言しますと足の甲を示します。
また、足関節以上を失った場合は第2級、膝関節以上の場合は第1級と上がりますが、片脚でなく両脚であることが条件となります。
後遺障害等級第4級の自賠責保険金限度額は1,889万円です。参考までに第1級の限度額は3,000万円です(要介護の場合は4,000万円)。等級に応じて適切な額が定められています。
後遺障害等級の認定では単独条件に限らず、複数等級の症状に当てはまる場合で上級の認定を受けられる併合のケースもあります。
特に第4級では上記のような単独条件での認定よりも、併合で認定される場合が多くなっています。
併合第4級の例としまして、高次脳機能障害による第5級と眼球の調節機能障害による第12級の2つが認められる場合があります。
第4級の症状には至らなくても、下級で2つ以上の症状が合わされば、実質的に第4級レベルの後遺障害であるとみなされるということです。
ただし、上記の基本ルールが必ず適用される訳ではありません。各等級で定められている症状の基準を崩すような併合の仕方だと不具合が生じてしまいます。
併合の基本ルールに従ったことにより等級を繰り上げると、実質的には繰り上がった等級よりも軽い症状になってしまうことが考えられます。
右腕の欠損と左腕の欠損という別々の扱いにして併合することは認められず、両腕の喪失として定められている障害等級に該当させる必要があります。
多種多様な後遺障害の症状がありますので、一概に基本ルールに当てはめることが難しくなりますが、第4級に至らない後遺障害だと思っても複数の症状が考えられる際は、併合可能かどうかを専門家に確認してもらうのが良いでしょう。
後遺障害第4級として認定されるだけでなく、被害者側の精神的・肉体的苦痛に見合った慰謝料を請求すべきです。しかし、被害者側の希望額に叶わないこともありますので、相場となる慰謝料基準と理解した上で、どういったケースで慰謝料が増減するのかを予め把握しましょう。
慰謝料には『自賠責基準』『任意保険基準』『弁護士基準』の3種類があり、それぞれ支払われる慰謝料の基準額は大きく異なり、自賠責と任意保険は低水準です。
自動車損害賠償保障法によって後遺障害等級第4級の慰謝料額は712万円だと決められています。
強制加入させられる自賠責保険と違って、各保険会社の裁量によって基準額が上下します。よって推定額になりますが、後遺障害等級第4級の場合は800万円程度とされています。
保険会社との交渉を被害者自身でなく弁護士を立てる場合には、慰謝料の基準額が大きく上がります。後遺障害等級第4級の場合だと1,670万円となります。
弁護士基準は過去の判例を基に見込める慰謝料額であり、裁判上でも根拠となる重要な指標です。対して自賠責は強制加入の保険ですので、被害者側への補償は必要最低限の基準となります。
よって、相場は弁護士基準で考えた方が望ましいです。弁護士の協力を受けて交渉を進めるべきですが、上記の慰謝料基準を増減させる要素もあります。
後遺障害を伴って生活を送る期間が若ければ若いほど長くなるため、被害者の年齢が1つのポイントとなります。たとえば、被害者が20歳以下である場合、長年の精神的苦痛を背負う度合いの大きさを加味した上で増額の対象になるとされています。
特に共働きでなく、唯一働いていた主人が後遺障害を負うと一家の収入に大きな支障を来してしまいますので、経済的な辛苦を理由に増額が見込めます。
母親や配偶者が通常の生活を送れなくなるような障害を背負った際、家庭の存続が難しくなりますのでこちらも増額の要素となります。
ところが、相場よりも多くの慰謝料を得られる条件が整っていても、保険会社との交渉で不備が発生しますと慰謝料の増額が認められない可能性もあります。最悪、第4級の認定ですら難航するケースもありますので、被害者側は安易に手続きを済ませてはなりません。
後遺障害認定を得るための手順を紹介していきます。認定を受けるためには必須となるので、しっかりと理解していきましょう。
被害者請求をする際は、弁護士にサポートを依頼することで作業すべてを代行してくれ、等級も高く認定されやすくなります。
慰謝料の相場などに関しては「後遺障害等級認定で獲得できる慰謝料|相場と計算方法まとめ」をご覧ください。
後遺障害等級第4級の症状や慰謝料の基準について、お分かりいただけましたでしょうか。
基礎知識を理解するのは無論大切なことですが、時には判断に困る問題も考えられます。
具体的に定められているルール以外で、自分の場合の慰謝料はどうなるのだろうか、第4級には至らないけど複数の症状があるから果たして併合で認められるのかなど、細微な疑問が生じたら、弁護士や医者へ早急に相談するのが最適です。
被害者自身で抱え込まないようにしましょう。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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