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KL2020・OD・037
『失火』(しっか)とは過失によって火事を起こすこと・または過失によって起こされた火事そのものを指します。
失火には、失火により発生した損害に対する民事的な責任と、失火行為に対する刑事的な責任があります。
民事的な責任については重大な過失による失火でなければ、失火責任法により賠償責任が生じることはありません。
失火行為が失火罪構成要件に該当すれば刑事責任を問われる可能性があるでしょう。
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目次
過失によって火災を引き起こした場合、その失火行為について刑事責任を問われます。
失火罪は過失によって刑法所定の対象物を焼損させた場合に成立します。
例えば人のいる建物であれば現住建
造物等放火罪、他人所有で人のいない建物であれば非現住建造物等放火罪に問われます。失火が軽過失によるものであれば50万円以下の
罰金刑、業務上過失または重過失によるものであれば3年以下の禁錮または150万円以下の罰金が科されます。失火罪は焼損が生じた時点で成立しますが、これを超えて失火により人を死亡させた場合、失
火罪に加えて下記の罰則が適用され、両方の罪で裁かれる可能性があります。
重過失致死傷罪(刑法第211条) |
重大な過失によって人を死傷させた場合 |
5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金 |
業務上過失致傷罪(刑法第211条) |
業務上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合 |
5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金 |
過失致死罪(刑法第210条) |
過失により人を死亡させた場合 |
50万円以下の罰金 |
重大な過失による失火であれば、重過失失火罪と重過失致死傷罪、業務上であれば業務上過失致死傷罪、軽過失による失火であれば過失致死罪が別途成立する可能性があるでしょう。
失火とよく似ている言葉に出火(しゅっか)と放火(ほうか)があります。また失火と放火は刑法に規定されている犯罪行為ですが、いずれも違う意味です。
ここでは失火・出火・放火の違いについて説明していきます。
失火は過失によって、刑法所定の対象物に焼損結果を生じさせること。
これに対し、出火は火事になること、つまり単純に火の手が上がることを言います。
日本語上の意味として、出火は火の手が上がったという結果を意味するのに対し、失火や放火は火の手が上がった原因行為(火事になった原因)を意味します。
例えば“調理場から出火した”といった形で使用するのが通例ですね。
では失火と放火はどう違うのでしょうか?
放火は故意に刑法所定の対象物に焼損結果を生じさせる、またはそのような結果を引き起こす現実的危険性のある行為を意味します。
放火は故意に行われる犯罪行為。法律が不特定多数の命、身体、財産を守るという観点から失火より重い法定刑が定められています。
例えば、人が居住する建物に放火した場合、現住建造物等放火罪(げんじゅうけんぞうぶつとうほうかざい)が成立し、殺人罪と同じ、死刑または無期もしくは5年以上の懲役刑が科されます。
他方、失火罪の場合、法定刑は失火が軽過失によるものであれば50万円以下の罰金刑、業務上過失または重過失によるものであれば3年以下の禁錮または150万円以下の罰金刑です。
失火責任法とは、過失で火災を起こしてしまった場合、その民事責任(損害賠償責任)を制限する法律です。
失火責任法は民事責任に関する規定であり、刑事責任とは関係ありません。
通常、故意または過失によって他人の財産に損害を与えた場合、民法709条により損害賠償責任が発生します。
しかし、失火責任法では失火による損害賠償責任は重大な過失が認められない限り発生しないと定めています。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法第709条
明治三十二年法律第四十号
明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)
民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
引用元:失火ノ責任ニ関スル法律
同規定は日本の家屋が木造であり火災が生じた場合に延焼して損害賠償範囲が無限定に拡大する可能性があることを懸念して制定された法律です。
ここでは、賠償責任が生じる重大な過失(つまり失火責任法が適用されない場合)について解説していきましょう。
損害賠償責任が生じる重過失とは、“通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すもの”と解されています。(昭和32(1957)年最高裁判決)
つまり、火災を容易に予見することができ、これを予防することも十分可能であった状況下でことさら必要な注意を怠った場合の失火が重過失と評価されるケースが多いと考えられます。
失火責任法に定められた賠償責任が生じる“重大なる過失”とは具体的にどういった行為を指すのでしょうか。
過去の判例から具体的な行為で言いますと
などが挙げられます。
しかし、ベッドのそばにストーブなどを置いて就寝中に失火したケースでは、重過失が認められないとした判例もあり、重過失の判断は一様ではないようです。
積極的な放火行為がない場合には失火罪の成立が問題となるのが通常です。
しかし過去には過失で火災が発生したのに放火罪とされた判決が出ています。
この事件では、男性が事務所の机上に段ボールと火のついた火鉢を置いた状態のまま別室で仮眠。
火災を発生させてしまったのに必要な消火活動を行わず、発覚を恐れ立ち去ったために、不作為による放火が成立しました。(1958(昭和33)年9月9日最高裁判所判決)
この男性に放火罪が成立したのは“火災を予防、消化するための積極的措置を講ずべき立場にいる人間”が、火災発見の現実的危険性を認識し、それに対する措置を講ずることが容易かつ可能であったのに、これをせず漫然と放置した…つまり、消火活動あるいは通報できたにもかかわらず、自身による出火がバレたくないために逃げたからだと考えられます。
このように積極的な放火行為がなくても放火罪に問われる可能性があるという点は留意しましょう。
前述した通り重過失であれば失火責任法は適用されず、損害賠償責任が生じます。
それ以外にも
場合には失火責任法によっても、民事的な責任が生じる可能性があります。
失火責任法では“他人の財産に損害を与えた場合に賠償責任が生じる”とする民法709条に対して適用されないとしていますが、民法415条の債務不履行に基づく賠償責任については言及されていません。
民法415条の債務不履行による損害賠償は、例えば賃貸物件の退去時に、部屋を元の状態に戻して返さなければならない場合が当てはまります。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
引用元:民法 第415条
つまり、賃借人(物件を借りている人)は賃貸人(物件を貸している人。家主)に対し修繕した状態で建物を引き渡す契約上の責任があり、この契約責任は失火責任法により免除されないということです。
賃貸物件であっても、契約関係にない隣室に対しては失火責任法による免責は認められます。
失火責任法には、“他人の財産に損害を与えた場合に賠償責任が生じる”とした民法第709条の規定は“失火の場合にはこれを適用せず”と規定されています。
そのため、失火責任法が適用されるのはそのような延焼可能性のある火災による被害に限られ、ガス爆発などの爆発には適用がないと考えられています。
炎ではなく、ガス爆発の爆風によって周囲に被害を与えたという場合には失火責任法による免責は認められない可能性があります。
例えば失火により周囲の建物を焼損した場合、あなたが火災保険に加入していれば、その賠償範囲で損害が補償される可能性があります。
もっとも、火災保険でカバーされる範囲は、加入している保険契約(保険約款)の内容次第です。
自身の加入する保険のカバー範囲に疑問がある場合、保険会社の質問窓口に連絡すれば教えてもらえますので、気になる方は連絡してみてください。
もちろん火災保険でカバーされるのは民事上の責任だけですので、失火行為に関わる刑事責任については火災保険に入っていてもいなくても変わりませんので注意しましょう。
失火責任法で賠償責任の有無を下記の表にまとめました。
賠償責任が生じない |
賠償責任が生じる |
軽過失による失火 |
・重過失による失火 |
失火はいつなんどき巻き込まれるかわかりませんし、自分が火元になり周囲に被害を与えることも考えられます。
もし被害を及ぼせば刑事責任はもちろん、賠償請求される可能性もあります。火の始末に注意するのはもちろん、保険に加入するなどして自衛する必要があるでしょう。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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