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KL2020・OD・037
現代ではネットが普及して誰でも匿名で気軽に発信できる状況になっているため、特にターゲットに対して執着心もないのに関わらず、なんとなく誹謗中傷を書き込んでいる人も少なくありません。
しかし、誹謗中傷は歴とした犯罪行為です。何気ない書き込みで逮捕されてしまったという事例は珍しくないのでご注意ください。
この記事では誹謗中傷の逮捕の基準やその後の対処法について紹介しますので、誹謗中傷を書き込んでしまったから万が一に備えておきたいという場合は、ご参考にして頂ければ幸いです。
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目次
誹謗中傷により、被害者の実生活になんらかの悪影響を生じさせてしまうと、以下の罪に問われ逮捕されてしまう可能性があります(ただ、侮辱罪で逮捕される可能性は極めて低いのが実情です。)。
名誉棄損罪(めいよきそんざい)とは、「あいつは元犯罪者だ」など公然の場で事実を公表してその人の名誉を傷つける発言をした際に適用される刑罰です。その際に公表された事実の真偽を問わず犯罪行為として扱われます。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法第二百三十条
名誉棄損罪が確定した加害者には、3年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金が罰として科されます。
侮辱罪(ぶじょくざい)とは、「アホ・ハゲ・デブ」など人を馬鹿にして辱める行為を公然の場で行った際に適用される刑罰です。名誉棄損罪のように事実ではなく悪口だと判断される場合は侮辱罪として扱われます。
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
引用元:刑法第二百三十一条
侮辱罪で有罪が確定した加害者には、1日以上30日未満の勾留または1,000円以上1万円未満の科料(罰金)が刑罰として科されます。
信用棄損罪(しんようきそんざい)とは、「あの店のパンに虫が挟まっていた」など嘘の情報を流して他者の信用を落とした際に適用される刑罰です。正当な理由と根拠もなくこのような誹謗中傷をした場合は信用棄損罪として扱われます。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法第二百三十三条
信用棄損罪が確定した加害者には、3年以下の懲役または五十万円以下の罰金が刑罰として科されます。
NGT48メンバーを中傷する内容をTwitterに投稿したとして、名誉毀損の疑いで東京都在住の50代男性が逮捕された事案です。
NGT48の運営会社は、SNSのコピーなど誹謗中傷の証拠資料200ページ以上を、新潟県警や旧運営会社の本社があった神田署ではなくインターネット上の誹謗中傷事案に重点的に取り組んでいる警視庁に持ち込んで相談していました。
参照元:NGT48の誹謗中傷で男逮捕 継続中の誹謗中傷案件は数百件規模|デイリーニュース
タレントの堀ちえみさんのブログに「死ね」「消えろ」などの誹謗中傷を何度も繰り返し書き込んだとして、北海道在住の50代主婦が脅迫容疑で警視庁から書類送検されました。
この事案では、「死ね消えろ嘘ばっかり」「死ねば良かったのに」などの書き込みが脅迫にあたるとして、堀さんの関係者が警視庁に被害届を提出していました。
書類送検されたものの反省の色を見せず、動機としては「なんとなく…」と明確な意思がありませんでした。
参照元:堀ちえみのブログに誹謗中傷「死ね消えろ」、50代主婦が書類送検|SANSPO.COM
商店の店主の家族が新型コロナウィルスに感染したとの虚偽の内容をインターネットの掲示板に書き込んだとして、福島県の50代の男性会社員が名誉毀損と業務妨害の疑いで逮捕された事案です。
同店には無言電話や真偽を確かめる電話が多数あったとのことで、名誉を傷つけ業務を妨害した疑いが持たれています。
相談を受けた福島県警須賀川署は、IPアドレスなどから会社員を特定したとのことです。
参照元:「感染家族の店」ネットにデマ 捕まったのは知らない男|朝日新聞
「あの政治家は裏で不正を働いている!」など、公共性のある問題について、公的目的で事実を発信し、当該内容が真実である場合又は真実であると信ずる相当な理由がある場合は、名誉毀損にはなりません。政治家の汚職や企業の不祥事がニュースで報道されても罪に問われないのはそのためです。
ただし、上記の通り、内容が真実であるか、真実と証明できる根拠が必要になります。証拠が一切ないのにも関わらず上記のような主張をしてしまうと、名誉棄損罪に該当してしまうのでご注意ください。
周囲から誰も見られることがない状況の口論で誹謗中傷をしても、公然性がなく罪に問われません。上記で紹介した誹謗中傷の刑罰は公然の場で他者を貶めた時に適用されるものだからです。
ネット上の他者から回覧できる場所で誹謗中傷をした場合は当事者間だけのやり取りでも刑罰が適用されてしまいますが、現実での口論で誹謗中傷が認められるケースはほぼないと言えるでしょう。
サイトの掲示板やコメント欄への書き込みは、回覧者から書き込み主のIPアドレスが確認できる仕様になっていることが多いです。
このIPアドレスを警察に提出されると、誰のパソコン(ケータイ)からいつどこで書き込まれたかというデータが直ぐに特定されてしまうため、そうなったら逮捕を逃れるのは難しいでしょう。
警察からの要請があれば、サイト管理者はIPアドレスを提供しますし、プロバイダも登録された利用者の個人情報を提供するのが通常です。そのため、警察が本腰を入れて捜査すればネット投稿者の特定は比較的容易です。
誹謗中傷で逮捕されると上図の流れで手続きが進められていきます。警察署での取調べ→検察庁での取調べを受けて、そのまま刑事裁判(起訴)まで進み有罪判決が下されて刑罰が確定というのが逮捕後の基本的な流れです。
なお、裁判に進む前に被害者と示談できれば起訴されないまま手続が終了し、前科がつくのを避けられる可能性があります。
刑事裁判は有罪率が約99.9%とかなり高いので、起訴が確定する前に問題を解決しなければいけません。そのための対処法を次項でご紹介させて頂きます。
逮捕時の取調べの供述はその後どのように手続きが進められるかに大きく影響してくるので、取調べが始まる前に必ず弁護士から供述のアドバイスを受けておきましょう。
「弁護士なんて急に準備できないよ!」と思われるかもですがご安心ください。被疑者には逮捕中に1度だけ無料で弁護士を呼んでもらえる当番弁護士制度という救済制度があるので、警察に弁護士を呼んでほしいと申し出るだけで弁護士相談を受けられます。
取調べ前に警察が「弁護士を呼びますか?」と確認してくれるので、必ず依頼するようしましょう。取調べ前にどのように供述すれば減刑されやすいかを確認しておけば、自分だけで取調べに臨むよりも釈放される可能性が高くなります。
逮捕後にまだ取調べが必用だと判断されると警察署から検察署へ移され勾留が開始されますが、その期間中に被害者と示談交渉により和解をして被害届を取り下げてもらえれば、不起訴を受け、刑事罰を受けずに済ませる可能性が高まります。
ただ、被害者が自分を誹謗中傷した相手との示談に素直に応じてくれる可能性は低いので、その際は弁護士を通じて交渉を試みると良いでしょう。
60~80万円の弁護士費用は必要になりますが、どうしても前科は避けたいという場合には弁護士への示談交渉依頼を検討してみることをおすすめします。
大まかな定義をすると、誹謗中傷とは公然の場で他者の実生活に影響が生じるような発言・書き込みをする行為です。
軽い気持ちでしたネットの書き込みでも逮捕に繋がる可能性は十分にありますので、もし万が一の状況に陥ってしまいそうな場合は、当記事で紹介した対処法をお役立ていただければ幸いです。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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