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KL2020・OD・037
家族や親戚などが亡くなって維新を整理している時に「遺言書」と書いてある封筒を見つけても、うっかり開封してはいけません。遺言書は、開封にも手続きが必要な場合があります。今回は、相続トラブルに巻き込まれないための遺言書の開封手順や遺言書に関する法律についてご紹介します。
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目次
家族や親戚などの近しい人が亡くなって遺産の整理をしていると遺言書が見つかった時、うかつに開けてはいけません。遺言書は、財産や土地などの資産に関わる重要な書類のため勝手に開けることができないのです。
遺言書を開封するためには、裁判所による検認をしなければなりません。検認は、全ての相続人に遺言書の存在を知らせるとともに、遺言書の内容を明確にして遺言書の偽装や書換えを防ぐために行う手続きで、民法1004条に定められています。
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
引用元:民法
なお、遺言書の検認は、遺言書が有効か無効化を判断するものではありません。遺言書を開封するために検認を行う際には、死亡した遺言者の住所に一番近い家庭裁判所に遺言書の検認手続を行います。
民法1004条によると、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人や代理人の立会いの下、開封しなければならないとされています。封印のある遺言書とは、遺言書が封入されており、糊付けされて捺印されているものです。
遺言書を見つけた時に、うっかり開封してしまうと思わぬ事態を招きます。民法では、遺言書を発見した場合、直ちに検認を行わなければならないとしています。なお、遺言書が公正証書遺言書であった場合は検認の必要はありません。
もしも、遺言書をうっかり開封してしまっても遺言書の効力自体は消えませんが、必ず家庭裁判所に連絡し、「開封してしまった」旨を伝えて検認手続きを行ってください。
遺言書を開封するには「検認」が必要です。検認をせずに遺言書を開封してしまった場合、過料が発生することがあるのです。
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
引用元:民法
また、検認をせずに遺言書を開封してしまった場合は、遺言書の書き換えや偽造・隠蔽などを疑われる可能性があります。トラブルを防ぐためにも、遺言書を安易に開封することは避けましょう。
遺言書を一人で勝手に開封し、自分の都合の良いように書き換え(改ざん)したり、都合の悪い遺言書を隠蔽すると相続ができなくなります。
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
引用元:民法
遺言書には一般的に「自筆証書遺言書」、「公正証書遺言書」、「秘密証書遺言書」の3つの種類があります。遺言書の種類によっては正しい手順で開封をしないと相続の手続きなどができない場合があります。
遺言者が自筆・捺印することができればいつでも作成できる遺言書です。自筆遺言書には、書面に遺言書の作成日、遺言者の指名、遺言書の内容を自筆で記入して捺印することで作成することが可能です。
遺言者が、法的手続きを行い、公証人に遺言内容と伝え、遺言書を作成する形式の遺言書です。公正証書遺言書は、手続きなどのために遺言書作成に時間がかかりますが、遺言書が公的に認められたものになるため検認を省略することができます。
秘密遺言書は自筆遺言書と公正遺言書の中間的なものです。遺言者が遺言内容に署名・捺印を行い、封印(封書した上に捺印)したあと公証人に提出する形式の遺言書です。
家族や親戚などの遺言者が死亡して、遺言書を発見した場合は全ての法定相続人に連絡しましょう。法定相続人は、原則として配偶者、①子、②両親、③兄弟、姉妹などがあげられます。なお、子が死亡している場合は孫、両親が死亡している場合は祖父母などに相続が行われることがあります。遺言書を発見した場合は、遺言書の検認を行う際に法定相続人の戸籍謄本などの書類が必要になるため必ず連絡を取りましょう。
遺言書を開封するためには裁判所で検認をしなければなりません。遺言書の検認手続を行う際は法定相続人の戸籍謄本が必要になります。遺言書を発見し、法定相続人に連絡をする時に「戸籍謄本の取得」もお願いするようにしましょう。
遺言書を開封するための検認続は、遺言者が最後に住んでいた住所の家庭裁判所で行います。検認手続は、裁判所に検認の申立を行います。申立には以下の資料と料金が必要になります。
検認申立をした後は、裁判所から検認期日の通知がきます。検認期日の当日は、相続人が裁判所に行き裁判所で遺言書を開封、内容の確認を行います。なお、検認は遺言書が有効か無効化を判断するものではありません。検認された遺言書に効力がない場合もありますのでご注意ください。
遺遺言書の開封は弁護士に相談することができます。開封のためだけに弁護士に相談する必要があるのかと思う方もいると思いますが、遺言書は資産分与にも関わる重要な書類です。うっかり開封してしまって過料が発生したり、相続トラブルに巻き込まれたりするのを防ぐためにも弁護士に相談することをおすすめします。
遺言書の開封について弁護士ができることを以下にまとめました。
遺言書の開封を弁護士に相談すると、各手続きを弁護士が代理で行うことができます。また、弁護士は相続人の代理人になることができるため、多忙で相続人の予定を合わせるのが難しいという場合も代理人として検認期日に出席することができます。
遺言書は土地や財産に関わる重要な書類です。家族や親戚などが遺してくれた遺言書を何も知らずにうっかり開封してしまうと、思わぬトラブルになってしまう可能性があります。遺言書は、亡くなった家族や親戚などが最後に遺した願い(意思)でもあるので、慎重に扱いたいですよね。
遺言書の開封を行うには、裁判所による検認が必要です。検認を行わないまま開封してしまうと過料が発生する場合があり、また、遺言書の書き換え・隠蔽などを疑われることもあります。可能なら巻き込まれたくない身内での相続トラブルですが、この記事を読んだ方が遺言書を正しい手順で開封して遺言者の意思を叶えられることを願っています。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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