秘密証書遺言の作成手順 | 無効にならない遺言にする為の書き方の注意点

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
秘密証書遺言の作成手順 | 無効にならない遺言にする為の書き方の注意点

秘密証書遺言(ひみつしょうしょ-いごん)とは、民法で定められた普通方式の遺言のひとつで、「遺言者以外にその内容を秘密にすることができ、遺言が遺言者のものであることを証明することができる」遺言のことをいいます。(民法第970条〜972条)

利用件数が多くなくマイナーな遺言方法ではありますが、自分が利用せずとも家族や親族がこの方法によって遺言する可能性はゼロではありませんので、この機に概要を理解していただくのが良いかと思います。

今回は、秘密証書遺言を正しく作成するための手順と、作成した遺言の保管場所の具体例などをご紹介いたします。

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秘密証書遺言とは

秘密証書遺言は、民法970条~972条に規定された普通方式の遺言のひとつで、簡単に言えば「遺言内容は秘密」で「遺言者が遺言をしたこと」を証明する遺言のことを言います。

秘密証書遺言は、遺言自体を遺言者が独自に作成し、作成した遺言を公証人役場に持参し公証人に認証してもらう遺言なので、作成者以外がその内容を関知することはできないという特徴があります。

まずは、秘密証書遺言の基本的な知識を整理してみましょう。

自筆証書遺言・公正証書遺言との比較

普通方式の遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

  自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
民法上の規定 968条 969条 970条
遺言書を作る人 遺言者本人(全文自筆) 公証人(遺言者は内容を口述する) 遺言者本人(代筆も可)
遺言書の作成場所 遺言者本人の自由 公証人役場 最終的に公証人役場に持参する
遺言書に必要な署名押印 遺言者本人のみ 遺言者公証人
証人2名以上
遺言者本人のみ
使用される印鑑 自由 実印 公証人役場での手続きの際は遺言書作成時に使用した印鑑(自筆証書遺言の場合と同じ)を使用する
証人 不要 2名以上 2名以上
費用 特に不要 作成時の手数料5,000円~財産の過額に応じて数十万円 認証手数料11,000円
遺言書原本の保管場所 遺言者本人 公証人役場 遺言者本人
特徴 ・全文自筆が絶対条件・比較的簡単に作成可
・方式違背による無効事例が多い
・保管の際の紛失危険性が高い
・証明力は抜群・原本紛失可能性がゼロ
・遺言内容を秘密にしたい場合には適さない
・作成費用が高い傾向あり
・自筆証書遺言と公正証書遺言を足して2で割ったような遺言・メリットが少なくデメリットが2倍のためあまり利用されない

秘密証書遺言を選ぶメリット

秘密証書遺言のメリットは、

  • 遺言自体を簡単に作成できること
  • 作成した遺言の内容を秘密にできる

という2点です。上記の比較表をご覧いただければ分かるかと思いますが、秘密証書遺言は遺言の作成時の自由度がとても高く、代筆やワープロ等での作成であっても有効に成立しうるという特徴があります(ただし自筆での署名押印が必要)。

このため、全文を自筆で作成する必要がなく、多くの文字を書くのが難しい人であっても意思に沿った遺言を比較的安価で作れるというメリットもあり、遺言を作成して封をした状態で公証人役場での手続きを行うことから、その内容を他人が見るチャンスはありません。

したがって、基本的には遺言者以外にその内容が漏れることはなく、公証人による認証を受けることで遺言自体が遺言者によってなされたという事実を証明することはできます。

デメリット

秘密証書遺言のデメリットは、

  • 費用が掛かること
  • その割に保管が難しい
  • 内容に不備がある可能性があり、無効となってしまう危険性が非常に高い

という点も挙げられます。秘密証書遺言を有効に作成するには、自分で遺言書を準備した後に、公証人役場で認証手続きを受ける必要があります。そのため、その手数料として1通11,000円が掛かるという点がデメリットになり、自筆証書遺言と同様に保管が難しいという点も利用件数が伸びない原因と言えるでしょう。

また、公証人役場で認証を受けると言っても内容の精査は行われないことから、内容自体に不備が出てくる可能性があるという点や、その結果遺言が無効となる危険性が非常に高いという点もデメリットと言えるでしょう。

なお、秘密証書遺言としては無効であっても自筆証書遺言の要件(全文が自筆、作成者の署名押印等)を満たしていれば、自筆証書遺言として有効に成立しうるとされていますが、そうすると秘密証書遺言を用いるメリット(代筆やワープロ作成が可能という点)を打ち消してしまうため、あまり旨味がないかもしれません。

秘密証書遺言の作成手順

秘密証書遺言の作成手順

秘密証書遺言の作成手順は、自筆証書遺言と公正証書遺言のそれぞれの作成過程を辿っていくような感じになります。ここでは、秘密証書遺言を作る際に最低限守らなければならない法律上の要件と、作成の流れをご紹介いたします。

秘密証書遺言の要件

民法970条によれば、秘密証書の要件は以下の4つです。

  1. 遺言者自身が遺言書に署名し、押印すること
  2. 遺言書の封筒に本文に使用された印鑑での封印があること
  3. 遺言者が公証人役場において公証人1名および2名以上の証人の前で自己の遺言書である旨と本人の氏名・住所の申述を行うこと
  4. 公証人・遺言者本人・2名以上の証人の全員が、公証人役場での手続きの日付および遺言者の申述の記載された封紙に署名押印すること

これらの要件の1つでも欠けてしまうと、秘密証書遺言としては無効という扱いになってしまいます。

作成の流れ

秘密証書遺言を作成する場合には、まず遺言書本文を作成し、それを封筒に入れて綴じ目に押印し、その後に公証人役場へ連絡して認証してもらうという流れで行います。

  1. 遺言書本文を作成
  2. 封筒に入れて綴じ目に押印
  3. 公証人役場で認証

具体的には、あなたが自由に遺言書を作成し、その本文に自筆で署名押印をしてから封筒に入れて綴じ目に同じ印鑑で封印を行います。次に公証人役場へ電話等で秘密証書遺言の認証をしてほしい旨を連絡し、日程調整を行うと共に、証人のアテがなければ証人の手配を依頼します(※ただし証人1人あたり6,000円~7,000円程度の費用が必要です)。

そして指定された日に遺言書持参で証人とともに公証人役場へ出向き、公証人へあなたの遺言を提出後、自分の遺言である旨と自分の住所氏名を申述してその場にいる全員(遺言者本人・公証人・2名以上の証人)が封紙に署名押印することになるでしょう。

公証人役場は全国各地にありますので、あなたの現住所から近い場所や行きやすい場所で手続きするのがおすすめです。

無効にならない秘密証書遺言を作るための注意点

無効にならない秘密証書遺言を作るための注意点

秘密証書遺言の無効原因としては、遺言作成時に作成日付が入っていなかったり、日付が○月吉日といったように特定できない表現であったりという自筆証書遺言でもありがちなケースから、公証人役場での手続き上の瑕疵(証人不適格者がいたり、人数が足りていなかったなど)などが考えられます。

秘密証書遺言自体が自筆証書遺言と公正証書遺言の間のような性質を持つことから、作成の際には2倍の注意が必要になると理解していただけると良いかと思いますので、ここでは無効にならない秘密証書遺言を作るための注意点をご説明いたします。

書く際の注意点

これは基本的なことですが、遺言書を自分で作るにしろ公証人役場で作るにしろ、「作成年月日」が記載されていることが必須になります。そのため、秘密証書遺言を作成する際には、必ず作成年月日を入れるとともに、確実に特定できる表現で記載するのが大切です。

また、自筆証書遺言同様に、本文には遺言者の自筆の署名押印が必要になりますから、誰かに代筆を頼んだり、ワープロ等で作成する場合であっても、これだけは忘れないようにしてください。

そして、秘密証書遺言特有の決まりとして、本文に使用した印鑑で封筒の綴じ目に押印することが必要になります。

本文に使用する印鑑に関しては、実印・認印・拇印等なんでも良いのですが、シャチハタは避けることと、公証人役場での認証の際に実印での押印が必要になることから、本文でも実印を使用するのが無難かもしれませんね。

証人の選び方

遺言の証人または立会人になれない人として、民法974条は以下の3グループを規定しています。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  3. 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人

つまり、証人はこれに該当しない人であれば誰でもよく、言い換えればこれ以外の資格制限はありません。例えば一切贈与などを考えていない友人知人や、会社等で関わりのある人などに証人を頼むということもできます。

単に証人となる人を確保したいという理由だけで無理に専門家などに依頼する必要はありませんが、遺言書の作成のアドバイスなども欲しい場合には、弁護士や司法書士に証人のことも含めて相談するのもおすすめです。

公証役場と作成費用

秘密証書遺言の認証手続きを行う「公証人役場(公証役場)」は、簡単に言えば公務員である公証人が様々な書面(公正証書)を作成したり、既に出来上がっている書面に対して一定の証明力を与えるという機関です。

公証人役場は全国に約300箇所存在しており、公証人は検事や裁判官等を長く務めた人の中から公募で任命された法律実務経験の豊富な人となっています。

公正証書遺言とは異なり、秘密証書遺言の場合はその手数料が11,000円と定額制になっています。作成費用としては、この11,000円が最低限必要になり、証人を手配してもらったり、専門家に依頼するといった場合には、その分がプラスアルファで必要になると考えていただければ良いでしょう。

保管場所の具体例

秘密証書遺言・自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言書原本を保管しなければなりませんので、その保管場所について頭を悩ませる方も少なくないかと思います。

そこで、遺言書を保管するのにおすすめの場所をいくつかご提案いたしますので、是非参考にしてみてください。

①金庫

スタンダードな保管場所はやはり、金庫が一番人気です。

ただし、家族で共用している金庫の場合は秘密証書遺言の保管には向かないかもしれません。

②仏壇や葬儀の際に必要になるものの近く

自宅に仏壇がある方は仏壇、そうでない方は葬儀の際に必要になるものの近くで保管されるケースもあります。

例えば葬儀用の数珠やふくさと共に保管したり、香典帳に挟んだり、遺影を選ぶ際に見るであろうアルバムに入れておくといった方法があります。

③たんすや引き出し

こちらもスタンダードな保管場所で、普段自分が使っているたんすや机にしまっておくというケースが多いです。

ただ、うっかり他の不要な書類と共に捨ててしまったり、隙間に落ちて紛失してしまったりという危険がありますので、保管には注意が必要です。

自宅外でのおすすめの保管場所

①金融機関等の貸金庫

少々費用はかかりますが、紛失可能性がほぼないのが金融機関等の貸金庫かと思います。

大手の銀行であっても1年あたり2万円弱程度という比較的安価で利用できるうえ、料金についても自動引き落としが利用できたりと手続自体が簡単なので、こちらの利用を検討されても良いかと思います。

②後見人や遺言執行者に頼む

相続人の誰かに頼むという方法もありますが、秘密証書遺言を利用するのであれば、これは選択肢から外れるかなと思います。

任意後見人や遺言執行者となる人へ頼むというのは、自宅以外で一番利用しやすい保管場所かもしれません。

③専門家や相続関係のサービスを利用する

弁護士等の専門家に遺言作成から保管・執行を依頼したり、金融機関等が提供している相続関連のサービスを利用することで、遺言書の保管も一括して任せられる場合があります。

もちろん、弁護士等の専門家であれば遺言の保管だけを依頼するということもできますが、遺言書を有効に作成し確実に執行したいのであれば、作成前から相談に乗ってもらったほうが無難でしょう。

秘密証書遺言の開封方法

秘密証書遺言を見つけた場合、その場で開封することは絶対に止めましょう。秘密証書遺言も自筆証書遺言同様に、家庭裁判所での検認手続を請求しなければなりません。

秘密証書遺言の開封方法

検認手続は、遺言書の保管者もしくは遺言書を発見した相続人が遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に請求します。手続きの流れとしては、管轄の家庭裁判所に申立書・遺言書・必要書類を提出し、手数料等を納入後指定された検認期日に出頭して手続きに立ち会うという簡単なものなので、あまり心配しなくても大丈夫でしょう。

裁判所ホームページで必要書類や申請書のひな形などが公開されていますので、詳しくはそちらをご覧いただければ良いかと思います。

なお、遺言書を勝手に開封した場合は5万円以下の過料に処せられたり、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿等した相続人は相続権を剥奪されてしまったりしますので、決してこれらの行為をしないよう注意が必要です。

まとめ

秘密証書遺言は、利用者数が多くないことから実際に目にすることも少ないかと思いますが、あなたにとって有効な遺言方法になるかもしれませんし、いざ見つけた遺言書が秘密証書遺言だった場合に困らないためにも、最低限のポイントは押さえておいた方が良いでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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