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KL2020・OD・037
証拠保全(しょうこほぜん)とは、裁判などで使う証拠を確保することです。証拠保全をすると、裁判官や弁護士が企業や医療機関などにおもむき、証拠となる書類のコピーを取ってくれます。早期に証拠保全をすることで、隠滅される前に証拠を押さえられ、交渉で有利になる可能性もあるので覚えておきましょう。
今回は、証拠を集めるメリット、証拠保全が必要なケース、自分で証拠を集める方法、証拠保全以外の対処法をお伝えします。
目次
最初に裁判において証拠を集めることにどのような意義があるのかを確認しておきましょう。証拠を集めるメリットは次の点です。
あなたに不利な交渉をしないためにも、十分な証拠は不可欠です。
証拠保全をする必要があるのは、何らかの理由で証拠を集められないときです。
例えば、過労死の訴訟の場合は本人が死亡しており証拠を集めにくいので、企業に残っているタイムカード等をコピーするために証拠保全が必要になることもあります。
証拠保全の根拠となるのは民事訴訟法234条です。
裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
引用元:民事訴訟法234条
ここでは、証拠保全が必要になりやすいケースをお伝えします。
医療ミスがあった場合などに、病院に残されているカルテやレントゲン、処方箋などを証拠として押さえたい場合に証拠保全をするメリットがあります。
患者の情報はなかなか公開してくれない可能性も高いので、裁判官や弁護士の力を借りることになりそうです。
過労死、長時間労働、ハラスメント、不当解雇があった場合で裁判を起こす際は、企業に残っているタイムカードや業務日誌をコピーするために証拠保全をすることもできます。
ただ、証拠保全をしてもらうのには弁護士費用がかかります。証拠をどうしても集められない場合を除けば、自分で集められるなら自分で集めた方が良いでしょう。自分で証拠を集める方法については次でお伝えします。
自分で証拠を集めるに当たってキーワードになるのは『保管』と『記録』です。詳しく確認していきましょう。
例えば、ハラスメントの証拠を記録したいのであれば、何月何日に誰に何と言われて何をされたのかをノートに記入しておきましょう。
録音も重要な証拠になります。ペン型のボイスレコーダーなどバレにくいものを使えば、相手に警戒されず証拠を残せるかと思います。
医療機関や企業から受け取った文書のうち、証拠になり得るものはすべて保管しておきましょう。
労働問題で長時間労働や過労死、ハラスメントなどで被害を被ったことを証明するためには、医師に発行してもらえる診断書が有効です。
もしご自分で証拠を押さえられるのであればそうしましょう。それが無理そうだとわかってはじめて弁護士への証拠保全依頼を検討することになります。ただ、企業や病院は証拠保全を拒否できるため、絶対に証拠を確保できるわけではありません。
最後に、証拠保全以外の対処法もお伝えしておきます。
証拠保全ができない場合の対処法は次の2つです。
一方当事者の申し立てによって、相手方の持っている証拠の提出を求める裁判のことを文書提出命令といいます。ただ、裁判を起こさねばならないのでハードルが若干高いかもしれません。根拠となる条文は次の通りです。
文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 文書の表示
二 文書の趣旨
三 文書の所持者
四 証明すべき事実
五 文書の提出義務の原因
引用元:民事訴訟法221条1項
労働問題の場合は、労働基準監督署に相談することで違法行為がある企業に指導をしてもらえます。訴訟を起こさないでも問題を解決できる可能性もありますので、選択肢の1つとして覚えておきましょう。
ただ、証拠があった方が労働基準監督署に動いてもらいやすくなりますので、『自分で証拠を集める方法』を参考にして証拠を残しておいてください。
証拠保全の手続きは弁護士が行ってくれるため、あなたは「こんな方法があるんだな」と憶えておくだけで大丈夫です。
自分で証拠を集めてみて、足りなければ証拠保全を依頼することも方法の一つとして、弁護士に直接相談をしてみてもいいでしょう。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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