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KL2020・OD・037
雇い止め(やといどめ)とは、契約社員やパートタイマーなど、期間を定めて働いている従業員の契約更新をせず、雇用を終了することです。
2018年は多くの雇い止めが起こるという事で、『自分は大丈夫なのだろうか』と不安に感じている人もいるはずです。ですが、もしかしたらこの記事を読むことであなたの雇い止めを阻止できるかもしれません。
この記事では、主に次の3点を紹介していきます。
雇止めとは、労働契約期間が有限である有期労働契約者の契約期間満了時に契約更新がされずに、労働契約が終了することを指します。
2012年の労働契約法改正により、有期労働契約に関して以下の3つのルールが規定されました。
それぞれの項目について具体的に説明します。
2013年4月1日に労働契約法が改正になり、勤続5年を超える契約社員は無期契約に転換を求めることができるようになりました。
改正前 |
改正後 |
契約社員は、契約が更新され続ければずっと契約社員のまま働くことができた |
勤続5年を超えた場合、労働者の申し出によって無期契約に切り替えることができる |
勤続5年を超えた場合は、労働者は無期契約に切り替えるよう要求することができます。これは企業側には拒否権はなく、労働者の一存で切り替え可能です。
契約社員の『使い捨て防止』や、雇用の安定化のために行われた法改正ですが、結果として5年を超える前に雇い止めをする企業が増えてしまうのではないか、という懸念の声があがっています。
契約社員が無期契約に切り替わったとしても、必ずしも正社員と同待遇になるわけではありません。あくまで契約が有期から無期になっただけで、待遇は契約社員のままの可能性もあります。その場合、『契約期間に定めのない社員』という形で働くことになります。
この場合は雇用形態に変更があったとしても、賃金や待遇には変更がない可能性もあるでしょう。
雇止めに関して、労働者を保護する目的から、過去の最高裁判例に基づいて、一定の条件下で無効とする判例法理、判例上のルールが確立されました。専門的には、このルールを「雇止め法理」といいます。
下記のいずれかに当てはまる有期労働契約者が対象となりますが、そうでないと、対象にならない可能性があります。
正社員を解雇する際には、社会的合理性および社会通念上相当と認められる理由でなければ解雇は無効とされます。「雇止め法理」の法定化によって、有期労働契約においても、正社員と同様の基準で解雇理由の正当性を考慮されたうえで、解雇の妥当性の有無が判断されるようになるということです。
また、有期雇用契約者と会社のやり取りにおいて、契約継続を期待するのが合理的であると客観的に認められるような状況における雇止めは無効とされるということです。以前より同判断は示されていたのですが、最高裁によってこれが宣言されたことは大きいように思われます。
「雇止め法理」の法定化を適用するには、労働者から有期労働契約の更新を申し込む必要があります。
また、使用者が雇止めの意思表示を行った場合に、有期労働契約者が雇止めに反対する意思表示を使用者に伝わる形で行ったケースも「雇止め法理」の法定化に関して適用することが可能であるとされています。
有期労働契約者と無機契約労働者との間で、不合理に労働条件を差別することを禁止するルールです。
賃金や労働時間だけでなく、福利厚生やその他の労働契約の内容となっている労働者に対する全ての待遇にこのルールは適用されます。
労働条件の相違の認定の可否については、以下の内容を総合的に考慮した上で、個別の労働者に関する労働条件毎に判断されます。
この規定に反する労働条件の定めは無効となり、場合によっては損害賠償請求が認められるケースもあります。
雇い止め・派遣切りが増加するおそれがあるといわれている2018年問題は、下記の法改正がきっかけとなっています。
次に、派遣切りについて説明します。
2015年9月30日に施行された改正労働法派遣法の内容は以下のとおりです。
改正前 |
改正後 |
・特定の業務(通称26業務)に関しては派遣社員の受け入れ期間に上限なし ・その他の業務に関しては同一の職場での派遣社員の受け入れ期間は3年が上限 |
・業務内容に関係なく、同一の職場での派遣社員の受け入れ期間は3年が上限に |
こちらも労働契約法と同じく、派遣社員の『使い捨て防止』や『雇用の安定化』を目指して法改正されたものですが、結果として『派遣切り』を増加させることになるという指摘を受けています。
2015年10月1日以降に結んだ派遣契約(更新も含む)は、同じ職場での勤続が3年を超える場合、派遣先企業からの直接雇用に切り替えなければならなくなりました。元々、『人件費が安くすむから』、『業績に合わせて人数を調節できるから』の理由で雇われていた派遣社員は、3年を超える前に雇い止めを受けやすくなります。
派遣先からの直接雇用に切り替える以外には、『派遣元から無期雇用を受ける』ことで、3年を超えても同じ職場で派遣社員を続けることができます。派遣元から無期雇用を受けた場合どうなるかというと、
・現在の案件が終了したあとも他の現場で就労できるように、新しい派遣先を探したり、紹介したりするなどの努力をしなければいけない
・派遣先が見つからず、働くことができない状態が続いたとしても、給料や休業補償を支払わなければいけない
などの義務が派遣元企業に発生します。
雇止めの有効性を判断するにはどのような基準に従えばよいのでしょうか。
雇止めの有効性を判断する基準に関して確認しましょう。
使用者は、労働契約締結時にその契約に関する更新の有無や更新の有無を判断する基準を明示することが義務付けられています。
もし、上記の内容について労働契約書上に記載がない場合は、雇止めが無効とされる可能性があります。
使用者には、有期労働契約を更新しない場合、契約期間満了日の30日以上前までにその旨を労働者に通知する義務が課されています。
ただし、解雇予告義務は以下のいずれかを満たす場合にのみ適用されますので注意しましょう。
使用者から何の通知もなく、突然雇止めを言い渡された場合は、無効と判断されます。
使用者は、雇止め通知後に労働者が雇止め理由に関する証明書を請求した場合に延滞なく交付しなければなりません。
雇止め後に労働者から請求された場合にも、同様の義務が発生します。
使用者は、労働者から雇止めの理由を聞かれた場合、答える必要があります。
理由の開示を拒否されるようなケースでは、雇止めが無効となる可能性があります。
原則として、雇い止めは違法ではありません。しかし、雇い止めに納得できず、今の職場で働き続けたい人もいるでしょう。そんな人のために、『雇い止めをさせないためにできること』を紹介します。
【関連するQ&A】不当な雇い止めにあたるのでしょうか
雇い止めを阻止するにはまず、『雇い止めの法理』を理解しましょう。
上記2点のどちらかに該当する場合は、『雇い止めの法理』が適用されます。
適用された場合、正社員を解雇するのと同様に、企業は正当な理由がないと雇い止めできなくなります。雇い止めを阻止したい人は、まずは『雇い止めの法理』が適用されるかどうかを検討しましょう。
先ほど説明した通り、使用者は、労働者に雇止め理由証明書を請求された場合、交付する義務があります。
雇止め理由が合理的かつ社会通念上相当と認められるような理由であるかを判断するために、雇止め理由に関する証明書を使用者に請求しましょう。
会社に雇止めの具体的な経緯を確認しましょう。
雇止めの無効性を主張するための客観的な証拠材料として残すためにも、メール上でのやり取りが望ましいでしょう。
具体的な雇止めの経緯を証明する文面や雇止め理由に関する証明書が集まった段階で、雇止め理由に客観的合理性や社会通念上相当と認められる理由があるかどうかを判断しましょう。
雇止めの有効性の有無に関しては、正社員を解雇する場合と同等の基準で判断されます。
そのため、正社員の解雇に関する有効性の基準について以下の記事でチェックしておくことをお勧めします。
雇い止めの法理の適用につながる証拠はたくさんあります。
これらが該当しますが、自分で有効だと思うものはできるだけ集めましょう。
雇い止めの法理が適用された場合、企業は正当な理由がないと雇い止めをできなくなります。なので、『雇い止めが不当であること』の証拠も集めていきましょう。
・今回の雇い止めの理由を会社から回答してもらったもの
・契約に記載されている、契約解除や雇い止めに関する内容
など、証拠になりそうなものなんでも集めましょう。
雇い止めの理由が、
・会社の気風にあわないから
・過去に一回遅刻をしたから
など、いい加減な場合は雇い止めを阻止できる可能性があります。
証拠を集めたら、まずは会社に対して『雇い止めは不当だ』という内容の意思表示をしましょう。
・雇い止めの法理により、今回の雇い止めには正当な理由が必要なこと
・雇い止めの理由が不当であること
・今回の雇い止めを受け入れたくないこと
といった内容を盛り込んだ書類かメールを作成し、会社に送付しましょう。事態を重く見た会社が、雇い止めを中止する可能性があります。
会社とのやりとりがうまくいかず、雇い止めを阻止できなかった場合には労働基準監督署に相談してみましょう。
会社の手続きなどに違反がある場合は注意をしたり、改善を求めたりしてくれます。ですが、労働基準監督署は裁判をするわけではないので、双方の意見の食い違いなどに関してはどうすることもできません。
これでも改善ができなかった場合には、労働審判を申し立てましょう。
労働審判とは、会社と労働者の間で起こったトラブルを速やかに解決するためにある、簡易裁判のようなものです。
労働審判でくだされた判断には法的強制力がありますので、労働審判での決定に会社が応じなかった場合、会社が処分や罰則を受けることになります。
必要な手順を完結に説明すると、
・証拠を用意する
・申立書を作成する
・証拠と申立書を裁判所に提出する
裁判所が申し立てを受理した場合、『呼び出し状』のようなものが届きます。会社側にも呼び出し状が届くので、双方の言い分を聞きながら判断していくことになります。呼び出しは、申し立てから1ヶ月後くらいになります。
労働審判に関する詳しい内容はこちらをご覧ください。
参考リンク:労働審判手続 – 裁判所 |
いかがでしたか。大量の雇い止めが起こる理由や、2018年問題の内容について理解できましたでしょうか。
雇い止めが起こるきっかけとなったのは、『契約社員の使い捨てを防止することや、雇用の安定化をはかるために行われた法改正』です。
ですが、個別の事例の中では必ずしも雇用の安定につながらない場合もあります。この記事に書いてある内容を参考にしながら、新しい職場を探すか、雇い止めを阻止するべく行動するか、どちらにしろ、自身に後悔の残らない選択をするようにしましょう。
出典元: |
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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