過失割合に納得いかない時の対処法|修正が認められる交通事故の状況

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
過失割合に納得いかない時の対処法|修正が認められる交通事故の状況

「明らかに相手が悪い事故なのにどうして自分の過失割合がこんなに大きいの?」交通事故では保険会社から提示される過失割合に納得できないケースは珍しくありません。

加害者側から提示される過失割合は、加害者側に有利な事情しか考慮していない場合もあり、必ずしも適正とはいえない場合もあります。そのため、提案された過失割合に納得いかないのであれば安易に示談に応じないよう注意が必要です。

この記事では過失割合の決まり方や納得がいかない時の対処法をご紹介しますので、交通事故被害の過失割合を少しでも下げたいと考えている場合はぜひ参考にしてみて下さい。

◆過失割合に納得がいかない方へ

過失割合に納得できない場合は、保険会社に修正を求めることになります。
弁護士に依頼することで、あなたの代理人として交渉を代行してくれます。
初回の相談料が無料の弁護士などもいますので、お近くの弁護士を探して相談してみましょう。

過失割合の決まり方

まず過失割合の決定方法について確認していきましょう。過失割合は保険会社の話し合いで決まるケースが多いですが、当事者間の合意が重要視されます。

過失割合は当事者の合意か裁判所の判決によって決まる

過失割合は当事者が合意するか、合意に至らない場合は、裁判所が客観的な交通事故の態様に基づいて、過去の判例等に照らして決定します。よって、警察や保険会社が一方的に決めるものではありません。

実務的には、加害者側の保険会社が過失割合の見解を通知してくるのが一般的ですが、被害者側はこれに従う必要はありません。加害者側の保険会社から提示された過失割合に納得いかない場合には、過失割合の対案を提示することが可能です

過失割合について当事者間で合意が成立しない場合には、被害者は裁判所に訴え、その手続の中で過失割合についての認定を求める必要があります。なお、裁判所が過失割合を認定する上では、判例タイムズ社が出版している、過去にあった事故の過失割合を状況毎に詳しく紹介している書籍(「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」 別冊判例タイムズNo.38)に基づいて判断することがほとんどです。

そのため、裁判前の交渉でも、よほど特殊な事故でない限りは、当該書籍を参考にした過失割合で協議を進めるのが合理的となります。

保険会社の過失割合が正しいとは限らない

世の中には全く同じ状況の事故は存在しないので、判例タイムズを基にしていたとしても、事故状況の微妙な違いから保険会社が適正な過失割合を判断できていないケースがあります。また、保険会社が加害者側に不利な事実について敢えて目をつぶっている場合もあるでしょう。

したがって、保険会社から提示された過失割合について納得がいかない場合、上記書籍を参考にして自ら検討してみても良いでしょう。

過失割合を変更できる可能性がある状況

過失割合を変更できる可能性がある状況

判例タイムズの基準から乖離している場合

保険会社が提示した過失割合が上記書籍の割合からかけ離れている場合は、過失割合算定の根拠を確認してみましょう。その根拠が合理的なものではなかった場合、交渉してみる価値はあると思われます。

過失割合の修正要素がある場合

修正要素とは、過失割合の加算・減算要素となる、事故の個別事情のことです。加害者に以下のような修正要素がある事実を証明できる場合、過失割合の修正が認められる可能性があります。

  1. 時速15キロ以上のスピード違反
  2. 飲酒運転
  3. 無免許運転
  4. 徐行・減速無し
  5. ウインカーの出し忘れ

修正要素がある事故では、過失割合が3対7の事故状況でも、2対8や1対9に修正できる可能性もあります。

判例タイムズには考慮すべき修正要素も列挙されていますので、ご興味のある方は確認してみていただければと思います。

違反行為を一切犯していない場合

「両車両が動いている事故で過失割合0対10はあり得ない」という主張がありますが、実はこれは間違いです。車が停止していなくても被害者が一切の違反行為をしていない状況であれば、0対10の過失割合が認められる可能性はあります。

対向車線のセンターラインオーバーや交差点での信号無視など、事故の原因が相手の過失だけで、注意をしても事故を回避できない状況なら被害者は責任には問われません。

明らかに相手が悪い事故なのに「走行中だったから」という理由だけで過失割合があると相手側から通知された場合には、過去の判例を確認して本当に自分にも過失があるか確認した方が良いでしょう。

【関連するQ&A】停車していた場合の過失割合

過失割合が納得いかない時の対処法

過失割合が納得いかない時の対処法

示談交渉で過失割合の修正を主張する

過失割合に納得できない場合は、提示された過失割合が認められない旨を自分の保険会社に伝えて、過失割合の修正を求めましょう。(※過失割合0を主張する場合、保険会社としては示談代行を行う理由がなくなることから、弁護士を起用しない場合は被害者本人が加害者の保険会社と交渉することになります)

判例タイムズの事例が本当に正しく適用されているのか?加害者に修正要素はないのか?などを確認して、法律的な根拠を示して正当な過失割合を主張できれば、修正が認められるかもしれません。

特に以下の2点があれば自分の主張が認められる可能性が高くなります。また、自分で法的な根拠を示すのが難しい場合には弁護士に交渉を依頼するのも有効な手段です。

過失割合の修正に役立つもの

ドライブレコーダー

加害者の修正要素を証明するのに有効

事故目撃者の証言

どのような事故状況だったかを証明するのに有効

調停で話し合いの場を設ける

交通事故の損害賠償請求の90%は示談交渉で決定されると言われていますが、交渉相手から示談の意思が感じられないのであれば、民事調停の場を設けて交渉を進めることも検討に価します。

民事調停とは、被害者と加害者の間に裁判所の調停機関が入り、話し合いによって問題の解決策を探る手続きです。調停費用は損害賠償の金額によって異なりますが、100万円を請求する場合、費用は5,000円となりますので負担は少ない手続きと言えるでしょう。

民事調停では交互に意見を主張し、調停委員がそれをもとに解決案を提示してくれますので、被害者と加害者の両者がその内容に合意すれば解決となります。

裁判を起こす

民事調停を行う場合でもそうでない場合でも、加害者側と過失割合について妥結できない場合は裁判で争うしかありません。

裁判は個人でも起こせますが、相手が弁護士を立ててきた場合や保険会社である場合、法律の専門家ではない一般の方にとっては対応が難しくなります。裁判を検討する場合、弁護士に依頼をして手続きを任せた方が良いでしょう。

関連記事:交通事故の問題解決を有利に進めるための弁護士の選び方まとめ

弁護士依頼にかかる費用

弁護士依頼にかかる費用

弁護士費用の相場額

弁護士費用は弁護士によって異なりますが、以下の表の金額が大体の相場と言われています。

<示談交渉の相場>

着手金の有無

着手金額

報酬金

着手金あり

10~20万円

報酬額の10~20%

着手金なし

無料

報酬額の20~30%

<裁判の相場>

着手金有無

着手金額

報酬金

着手金あり(経済利益額0~300万円)

経済利益額の8%

経済利益額の16%

着手金あり(経済利益額300~3,000万円)

9万円+経済利益額の5%

18万円+経済利益額の10%

着手金あり(経済利益額3,000万円~3億円)

69万円+経済利益額の3%

138万円+経済利益額の6%

着手金あり(経済利益額3億円以上)

369万円+経済利益額の2%

738万円+経済利益額の4%

着手金なし

無料

20万円+報酬額の10%

詳細記事:交通事故にかかる弁護士費用の相場|費用の節約法と依頼先を選ぶコツ

過失割合が減ったとしても、弁護士費用を含めたら収支がマイナスになってしまっては本末転倒となる為お気をつけください。弁護士への依頼を検討する場合、事前に法律相談し、損害賠償と費用の見積もりを出してもらった後で依頼を検討することをおすすめします。

弁護士費用特約があれば負担は少なくなる

自分もしくは同居している家族が加入している任意保険(車保険)に弁護士費用特約が付いていれば、保険会社から弁護士費用の一部を負担してもらえます。

大体の保険会社は300万円までの保障を設定してくれているところが多いので、よほど大きな事故でない限りは、弁護士費用特約で弁護士費用をまかないきれるケースがほとんどでしょう。

交通事故問題は弁護士に依頼をした方が手続きを有利に進められ、示談金が増額する可能性も高いので、弁護士費用特約が適用される状況であれば示談交渉の時点で依頼を検討することをおすすめします。

詳細記事:弁護士費用特約とは|保障内容と慰謝料を増額させるお得な使い方

まとめ

過失割合は、損害賠償の金額に大きく影響する、最も重要な要素です。納得いかない場合は安易に示談に応じず、提示された過失割合が本当に正しいのか確認しましょう。その場合には、示談交渉や調停、場合によっては裁判で納得のいく結論が得られる、こちらの記事が参考になれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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