追突事故の過失割合|加害者と過失割合の主張が分かれた場合の対処法

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
追突事故の過失割合|加害者と過失割合の主張が分かれた場合の対処法

平成27年における事故類型別交通事故件数では、追突事故だけで20万件近く発生していて、全体の36.7%を占めています。正面衝突(全体の24.3%)や歩行者と車両の事故(全体の10.3%)、右折時での衝突(全体の8.1%)などの交通事故よりも上回る件数であり、追突事故が一番多い交通事故のケースであることが分かります。

平成27年における交通事故の発生状況 警察庁交通局

引用元:平成27年における交通事故の発生状況 警察庁交通局

追突事故の場合、ぶつけた側の車両に一方的な過失が認められるケースは多いですが、場合によっては追突された側の被害者にも過失が発生します。また、事故の状況によって過失割合の判断が変わるため、加害者側との争いになることも考えられます。そのため、被害者は自分の過失が無いことを証明するための知識を持っておくことが重要です。

そこで今回は追突事故における過失割合の判断基準と、加害者側と交渉する上でのポイントを解説していきます。加害者側との交渉を有利に進めるために、ご確認いただければと思います。

本記事では追突事故に関する過失割合について解説しますが、他にも追突事故で損しない慰謝料請求を実現するために知っておくべき知識は沢山あります。

一度以下より、不足している知識についてもご確認頂くことをお勧めします。

追突事故に関する知識一覧

STEP1

追突事故の示談方法を知る

STEP2

追突事故の過失割合について知る

STEP3

追突事故の慰謝料計算方法を知る

STEP4

追突事故の慰謝料相場を知る

STEP5

交通事故を弁護士に依頼するメリットを知る

STEP6

交通事故にかかる弁護士費用の相場を知る

STEP7

交通事故が得意な弁護士の探し方を知る

追突事故の原因と主な過失割合

追突事故で考えられるケースは路肩に駐停車している車両や信号待ちで停止している前方車に衝突するほか、前方車両の追い越しや急な車線変更によりぶつかる場合も考えられます。年間で20万件近くも発生している追突事故の原因の多くは、追突した運転手側の不注意だとされています。

追突事故の主な原因

追突事故の要因として、脇見と前方不注視で8割以上を占める結果になっています。特に脇見運転において近年では、スマートフォンの操作が原因で追突事故を起こすケースが多発しています。前方の確認が遅れ、前方車両の距離が短くなってからブレーキを踏んでも間に合わず追突してしまうため、追突事故を防ぐには危険への早期的な認知が必要となってくるでしょう。

脇見や前方不注視以外にも、信号が青になったら前方車両はすぐに発進するだろうと思い込んで見切り発車した結果追突することもあり得ます。思い込み運転により安全不確認を引き起こすおそれもありますので、運転者は危機意識を持って想定外の出来事に対して迅速に対処するようにしなければなりません。

引用元:イタルダインフォメーション 追突事故の負傷者数低減

追突事故の基本的な過失割合は10:0

前方車に追突した車両に対し、基本的には一方的な過失が認められますので、追突した加害者(追突車両)が100%、追突された被害者(被追突車両)が0%の過失だとされています。

ただし、加害者側に事故を起こした全ての原因があるとは限らず、追突された被害者側にも責任があると見なされた場合、10:0の過失割合ではなくなる可能性があります。それではどのようなケースで追突された被害者に過失割合が発生するのか、通称青い本と呼ばれている交通事故損害額算定基準の規定内容に沿って、以下で説明していきます。

状況別にみた追突事故の過失割合

追突事故の過失割合について状況別で考えてみましょう。車両同士の追突事故が起こるケースとしては、駐停車車両への追突や同じ方向に走っている前方車両への追突、それと追越時や進路変更など横の動きがあった際の追突が想定されます。

駐停車している車両への追突事故

駐停車している車両への追突事故

道路に駐停車している車両Bに後方から走ってきた車両Aが追突した場合の基本的な過失割合は、以下の通りです。

駐停車車両への追突事故|基本的な過失割合

追突車両A 10 : 0 駐停車車両B

道路交通法違反によって駐停車車両の過失が生じる場合

基本的には追突車両に100%の過失が発生しますが、道路交通法によって過失割合の例外が定められています。駐停車車両Bにおいて以下に違反する場合、10~20%程度の過失が生じるとされています。

  • 交差点や横断歩道、または坂の頂上付近や勾配の急な坂、トンネルなどで駐停車してはならない(道路交通法第44条) ※駐停車禁止場所での駐停車は禁止されています。
    ※駐車禁止場所での駐停車が禁止されています。
  • 日没時から日出時までの夜間で車両が道路にある時は、前照灯や車幅灯、尾灯などを含む灯火をつけなければならない(道路交通法第52条)
    ※停車中でも夜間の場合はハザードランプを点灯させる必要があります。
  • 人の乗降や貨物の積卸しを目的とした駐停車において、他の交通の妨げにならないように道路の左側端に沿わなければならない(道路交通法第47条1項、2項)
    ※駐停車する場合、他の車やトラックなどの邪魔にならないように極力左端に寄せる必要があります。

互いに同一車線で走っている際の追突事故

互いに同一車線で走っている際の追突事故

同一車線で走っている車両同士の追突事故|基本的な過失割合

追突車両A 10:0 被追突車両B

互いに同一車線上で進行している際、後方車両Aが前方車両Bに追突した場合も、追突車両Aに100%の過失が基本的には認められます。

被追突車両の無灯火や急ブレーキで過失割合が変わる

被追突車に過失があるケースとしては、制動灯の故障や不用意な急ブレーキがあった場合になります。

制動灯はブレーキランプのことであり、仮にブレーキランプが故障して消灯していると後方車両へ減速していることが正常に伝えられないため、被追突車側の過失が発生します。また、通常のブレーキランプは赤色ですが、白色などの分かりづらい色に変えた場合も過失があると見なされる可能性があります。

また、不用意な急ブレーキについては道路交通法第24条で規定されていて、危険の回避を目的とする以外の急な停止や減速は法律上で禁止されています。前方に歩行者が突然飛び出してきた場合の急ブレーキは法律違反にはなりませんが、理由のない急ブレーキや危機回避を目的としない急な減速をした場合、道路交通法第24条に違反すると考えられます。

制動灯の故障と不要な急ブレーキを加味した過失割合の増減は、以下の通りです。

  • 被追突車両Bが道路交通法第24条に該当する不用意な急ブレーキをした場合、被追突車両Bに30%の過失が認められる(追突車両の過失割合は70%)
  • 被追突車両Bは道路交通法第24条に該当する不用意な急ブレーキをしていないが、制動灯の故障があった場合、被追突車両Bに20%の過失が認められる(追突車両の過失割合は80%)

前方車両を追い越そうとした際の追突事故

前方車両を追い越そうとした際の追突事故

追越時の追突事故|基本的な過失割合

追突車両A(追い越し車両) 10:0 被追突車両B(前方車両)

追越時に前方車両に追突した場合も、追突車A(追越車両)に100%の過失が認められます。

追越時の加速や追い越し危険場所等の条件で過失割合が変わる

ただし、進路変更をした被追突車Bに下記のような違反があると、被追突車側に10~40%の過失が認められることがあります。

同一方向に進行する車両同士 過失割合(%)
追突車A
(進路変更車)
被追突車B
追突車A
被追突車B
追越禁止場所または二重追越があった場合 100 0
追越危険
場所
Bに避譲義務違反あり 90 10
Bに道交法27条1項違反
(追越時の加速)あり
70 30
上記以外の
場所
Bに避譲義務違反あり 80 20
Bに道交法27条1項違反
(追越時の加速)あり
60 40

追越禁止場所または二重追越

追越禁止場所は標識で追越禁止が示されている場所のほか、交差点やその手前30メートル以内の場所にトンネルなどがあります。また二重追越は、車両を追越そうとしている車に対しての追越しです。これらに違反する場合は、進路変更した車両側が100%の過失があるとされています。

避譲義務違反

追越される側が後方から来る車両を認識している以上、速度を落として進路を譲る義務があります。仮に追越車両が横から来ても速度を落とさず、追越車両を妨害するように進んで追突された場合、避譲義務に違反していると見なされます。

追越時の加速

避譲義務と類似した内容ですが、後方より走ってきた車両が追越しを終えるまで、速度を上げてはならないことが道路交通法第27条で定められています。前方車両が追越車両に抜かれることを防ぐように速度を上げた場合、道路交通法第27条に違反するといえます。

基本的には進路変更車に過失があるとされていますが、追突の原因は被追突車側にも原因がある可能性がありますので、上記の通り過失割合が状況によって変わります。

進路変更車両への追突事故

進路変更車両への追突事故

進路変更時の追突事故|基本的な過失割合

追突車両A(後方車両) 3:7 被追突車両B(進路変更車両)

進路変更時の追突事故では、追突車両が30%、被追突車両に70%の過失が基本的に認められます。車線に入ってきた前方車両の方が重い過失になります。

交通事故の慰謝料は過失割合で決まると言っても過言ではありません。

被害者の請求金額から加害者の請求金額を差し引いた金額が支払われることが一般的です。

請求金額は過失割合を軸として決定するため、過失割合が1割でも違うと被害者が被害者がもらえる金額が大きく異なってきます。

一度過失割合と慰謝料の関係性についても以下の記事から確認してみることをお勧めします。

また、追突事故で具体的に自分の場合、どれくらい慰謝料をもらえるかを確認しておくことで、加害者から提示された金額が妥当かどうかを判断しやすくなります。

実際、相手から提示された示談金や慰謝料で納得させられて、本来自分がもらえるべき金額を大きく下回った金額しか受け取れない事例が多く見受けられます。

一度自身の追突事故の慰謝料について妥当な金額を計算しておきましょう。

過失割合について加害者側と意見が分かれる場合は?

加害者側の追突車両において、絶対に100%の過失を負う訳ではない理由に関してお分かりいただけたかと思いますが、追突された被害者側の過失が加味されるため、場合によっては加害者側から過失割合の減少を認めさせるような要求が入ることがあります。

このような要求を一般的に過失相殺と呼び、被害者が加害者に損害賠償を請求する際、被害者側に生じた過失の割合に応じて損害賠償額を差し引くことを目的とします。なので、加害者側の任意保険会社は自分の過失を下げて保険金の支払いをおさえるために、過失割合の判断をめぐって被害者と争う可能性があります。

過失割合の修正要素を加味する

正しい過失割合を判断するためには、『状況別の追突事故過失割合』で説明しました過失割合の変動基準以外にも、法律違反が絡んでいる過失割合の修正要素がありますので確認しておきましょう。

前方不注視などの著しい過失

『追突事故の主な原因』でも取り上げましたが、前方不注視や脇見運転など追突事故を引き起こす要因が見られた場合、過失割合が増えるとされています。

著しい速度違反

追突した後方車両に15㎞以上、または30㎞以上の速度超過があった場合、駐停車違反や夜間時の無灯火などと一緒に道路交通法違反になりますので過失が重くなる可能性があります。

センターラインのオーバー

左側の車線を走行していた車両がセンターラインをオーバーして対向車と接触したり、追越が上手く行かず衝突した場合、センターラインを越えた側の車両に100%の過失があるとされています。

弁護士への相談がオススメ

上記のように過失割合を修正する要素はありますが、実際に交渉する上では加害者本人と直接話し合うことは少なく、加害者側の任意保険会社と対応することになります。

保険会社との交渉では専門的な知識が必要になり、被害者本人で過失の正当性を訴えるのは難しいと思われますので、弁護士に依頼して交渉を代理で行ってもらった方が良いでしょう。

交通事故の過失割合を取り決める際に弁護士に相談することには大きなメリットがあります。

一度以下の記事を読んで、過失割合を弁護士に相談するメリットを知った上で依頼するかどうかを判断することをおすすめします。

弁護士に依頼することで慰謝料額が上がる

また、弁護士による対応で見逃していた過失割合を指摘され、立証するための客観的な資料なども集めてもらえるため、被害者側の過失を減らせる可能性もあります。過失相殺での減額をおさえて、より多くの損害賠償額を獲得することも期待できます。

加えて、下記で説明しますが被害者側の保険会社に示談交渉をしてもらえないケースもありますので、そういった場合も弁護士の力が必要となります。

過失割合が0の時は保険会社による示談交渉が出来なくなる

示談交渉に関する注意点で、被害者側の過失が少しでもあれば被害者が加入している保険会社に加害者側との示談交渉を代行してもらえますが、被害者の過失が0である場合においては加害者側への補償が発生しないため、保険会社が代理で示談交渉をすることは弁護士法で禁じられています。

なので、駐停車中に後方から追突された場合など被害者側の過失が一切ないとされる事故において、保険会社は示談代行をしてくれないので、被害者自身で加害者側と話し合うことになります。

弁護士費用特約により弁護士の依頼費用が補償される

保険会社の代理交渉が被害者本人では難しい時に、弁護士費用特約が必要になってきます。弁護士費用特約とは相手側の過失が100%だと確定している交通事故に遭った際、示談交渉などでかかる弁護士費用や相談費用を補償してくれるものです。

弁護士特約に加入していれば、弁護士に依頼することで発生する費用の心配がなくなりますので、被害者にとっては便利なものです。自動車保険のオプションである弁護士特約の保険料は、年間2,000円程度が相場だとされています。

まとめ

追突事故での過失割合について解説しましたが、被害者側が必ずしも有利になるとは限らず、過失割合を左右する法律的な要因が多いため、自分に過失がないことを証明するために被害者も基本的な知識を持っておくべきでしょう。

また、加害者と過失割合で争うことになったら、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。被害者の精神的苦痛を補償する損賠賠償がかかっている交渉事なので、専門家の力を借りて確実に対処した方が良いでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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