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KL2020・OD・037
示談金とは、交通事故などの不法行為について被害者・加害者が話し合って解決する際に支払われる損害賠償金のことを言います。
示談金は法的な規定がありませんので、被害者・加害者双方が納得していればどのような金額でも問題ありません。
そのため示談金決定の際には加害者と交渉を行い、示談金を決定することになります。この際示談金の項目が明確になっていなければ示談金を決定することが出来ません。
また妥当な示談金を算定することも困難になります。
今回は示談金の相場や示談金として請求できる項目、さらに示談金を増額するための手順を記載したいと思います。
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目次
交通事故の加害者は、民事上の責任を負います。これは民法709条等により規定されています。
(不法行為による損害賠償)
民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法709条
交通事故等の不法行為によって加害者に損害を与えた場合は、被害者に対して与えた損害を補償しなければなりません。
そして示談の際に、加害者から被害者に対して、損害賠償として支払われる金額を示談金と言います。
交通事故における加害者と被害者の紛争は「示談」によって解決されるケースが多いです。示談とは訴訟などを行わずに、加害者と被害者が双方で話し合い、紛争を解決することを意味しています。
これを民法上では「和解」と呼び、民法第695条により規定されています。
(和解)
民法第695条
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
引用元:民法第695条
そして示談金として支払われる損害賠償の額は、被害者の受傷の程度や事故の状態によりバラバラになりますので、相場というものがありません。
そのため示談金がどの程度の金額になるのかは事故の状況を見ながら個別に判断を行う必要があります。
交通事故の被害者になってしまった際に、加害者に請求する金銭として「損害賠償」や「慰謝料」などと言った言葉が思い浮かぶのではないでしょうか。ここではそれぞれの言葉がどのような意味を持つのか明確にしておきましょう。
損害賠償とは、被害者が被った損害を賠償する金銭のことをいい、損害賠償=示談金という風に認識しておいてください。
そして被害者に対して請求できる示談金は以下の計算式によって求めることが出来ます。
示談金=積極損害+消極損害+慰謝料
つまり、示談金とは積極損害と消極損害と慰謝料の合計額ということになります。それぞれの項目の内容を確認しておかないと、示談交渉の際に正確な示談金かどうか確認することができません。以下では、それぞれの項目について簡単に説明しておきます。
積極損害とは、被害者が交通事故によって支出した費用のことを言います。具体的には通院や入院の際の治療費や、付添看護費、入院雑費、通院の際の交通費などが含まれます。
消極損害とは、被害者が交通事故によって失われた得べかりし利益のことをいいます。
具体的には「休業損害」「後遺障害逸失利益」「死亡逸失利益」などを含みます。
慰謝料とは精神的な苦痛に対する補償のことを言います。ケガの受傷の際には入院や通院を行いますし、後遺障害が残る場合や、被害者が死亡してしまう場合があります。それぞれの受傷の状況に応じて「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」を加害者に対して請求することが出来ます。
後遺障害事故の際にどの程度の示談金になるかの計算例です。あくまで参考とお考えください。
被害者の状況一覧
性別 |
男性 |
年齢 |
50歳 |
仕事 |
会社員 |
事故前の平均月収 |
50万円 |
入院期間 |
300日 |
通院期間 |
300日 |
後遺障害等級 |
第9号に該当 |
①積極損害:合計415万円
・入院治療費:230万円
・付添看護費:140万円
・入院中雑費:45万円
②消極損害:2918万円
・休業損害(休業期間11カ月):550万円
・労働能力喪失率:35%
・労働能力喪失期間:67歳までの17年間
・中間利息控除:11.2741
・後遺障害逸失利益:600万円×0.35×11.2741
=2368万円
③慰謝料:990万円
・入通院慰謝料:350万円
・後遺障害慰謝料:640万円
示談金=①+②+③=4,323万円
となります。
示談金は過失割合によっても大きく異なります。
最近では加害者が加入している自動車保険において、「示談代行付自動車保険」となっていることがほとんどです。
示談代行付自動車保険においては、加害者に代わって保険会社の担当が示談を行います。この時示談金の計算も保険会社の担当が行いますが、提示される示談金は妥当な金額より低い場合が多いです。
保険会社は営利企業であり、示談金が少なければその分コストが減ることになります。そのため被害者との情報格差などにより妥当な金額よりも低いものを提示してくる場合があります。
では損害賠償の算定において、保険会社と争点になるのはどのような部分があるのでしょうか。ここでは争点になる部分について確認していきましょう。
死亡事故などによる逸失利益、後遺症による逸失利益、休業中の補償は被害者の収入額を基礎にして計算を行いますが、この時収入の証明ができない場合、休業損害は認められない可能性があります。
サラリーマンの場合の収入の証明は、源泉徴収や賃金台帳などによって、個人事業主の場合であれば税務署に確定申告をした際の所得額が収入として認められます。
しかしそれ以上の所得がある場合には、実際の収入額を証拠として保険会社に対して提示しなければなりません。
事故の発生においては、被害者も一定の過失がある場合もあります。加害者被害者それぞれの過失の程度を数値化したものを過失割合と言いますが、示談金は過失割合に応じて減額されてしまいます。
過失割合は、事故の客観的態様に基づき判断されます。そのため事故発生時の状況によっては被害者の方が過失割合が大きくなることもあります。
後遺障害は症状の内容と程度により等級が決まります。
後遺障害が認定された場合にはこれにより喪失された労働能力に応じて逸失利益を請求できます。逸失利益の算定の際には、むち打ちや脚の関節が曲がらない等の場合、労働力の減少がどの程度続くかが問題となります。
後遺障害は一般的には一生体に残る機能障害や神経症状のことをいいますが、等級の低い神経症状の場合は相当期間に応じて逸失利益の算定を行うのが通常です。そのため何年程度障害の影響で労働能力が減少するか、保険会社と争点になることがあります。
慰謝料は精神的な苦痛に対する賠償であり、被害者により苦痛の感じ方は様々なため、一概に算定することはできません。そのため保険会社は独自の慰謝料の算定基準を持っています。
しかし、保険会社の慰謝料の算定基準は過去の判例などと比べると一般的に低いと言われています。過去の判例での慰謝料は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」で確認することができますが、慰謝料額に関しては判例をもとに算定を行うことが最も妥当であるといえます。
そのため慰謝料額に関しても保険会社と争う可能性があります。
示談金を増額させるためには、示談交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は法律に関するプロフェショナルであるため、示談交渉を行う際には法律や過去の判例を基に保険会社と示談交渉を行ってくれます。
そのため、収入の証明に必要な書類の収集代行も行ってくれますし、過失割合や慰謝料が妥当でない場合の修正や総額の交渉、後遺障害の認定サポートなど、被害者の示談金が増額されるように交渉を行ってくれるでしょう。
もし保険会社から提示された示談金に納得できない場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
示談金の詳細から示談金を増額させる手順についてご案内いたしました。示談は一度行うと後から内容を変更することが出来ませんので、安易に示談をせず、交渉の際には納得がいくまで話し合いを行うようにして下さい。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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