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KL2020・OD・037
不起訴(ふきそ)とは、検察が、犯罪行為を行ったであろう被疑者に対して、有罪か無罪か判断する刑事裁判を行わない処分のことです。
不起訴には、犯罪を行った証拠がないとするものから、被疑者が被害者と示談をして反省しているから、今回は起訴しないとする判断など、いくつかの種類があります。
日本の刑事裁判の有罪率は、統計上99%以上とされています。要するに起訴された事件はほとんど有罪判決がくだされているということです。
起訴されてしまえば、無罪を勝ち取るのはほぼ不可能。経歴に前科をつけないためには、起訴されないこと、つまり、不起訴になることが重要なのです。
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目次
前述した通り、不起訴処分とは、被疑者に対し、刑事裁判を行うなどの訴え(公訴提起)を起こさない処分のことです。
犯罪行為に対して確かな証拠があれば、起訴され、刑事裁判にかけられ、被告人が本当に犯行を行ったのか、有罪なら量刑がどれくらいかを、裁判官に判断してもらう、という流れはご存知の通りです。
しかし、検察官はすべての事件を起訴しているわけではありません。
被害が軽微である、あるいは、被害者との間で事件が解決している場合など、あえて起訴する必要がないようなケースでは検察官は刑事裁判を求めないという対応を取ることがあります。
また、重大な犯罪であっても、被疑者を起訴しても有罪判決となる可能性が少ない場合(例えば有罪立証のための証拠が乏しいような場合)、検察官は『勝てない裁判はするべきではない』との考えから刑事裁判を求めないこともあります。
このように起訴・不起訴は検察官の判断で行われ、不起訴となった場合、刑事手続は基本的にそこで終了します。
そのため、被疑者が勾留など身柄拘束されている場合、不起訴となった時点で身柄はただちに解放されます。
ここでは、不起訴になる主な理由の種類と、不起訴処分を目指すべき理由について、解説します。
不起訴の種類がこちらです。
内容に関しては以下で詳しく解説します。
嫌疑なしは、被疑者が犯罪を行っていなのが明白、または、別に真犯人が出てきた場合です。
嫌疑不十分は、被疑者が犯罪を行った疑いはあるのに、決定的な証拠がない場合です。
起訴猶予とは、被疑者が犯罪を行ったのは確かであり、証拠も十分あり、起訴することは可能だが、さまざまな事情を考慮し、今回は起訴しないという処分です。
起訴猶予となる理由には、犯罪が軽微で、被疑者が深く反省し、被害者と示談が成立した、あるいは、被疑者の年齢や境遇なども考慮される、など、検察の裁量で決められます。
法務省が公開している2017年の犯罪白書によると、不起訴の中でもっとも多いのが、この起訴猶予でした。
起訴猶予について、知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。
被疑者段階での弁護活動の主たるものは、これらの不起訴処分を目指すことにあります。
そのため、仮に弁護士への依頼を検討しているのであれば、上記に当てはまるような弁護活動を依頼することを前提に、法律相談に出向くことをおすすめします。
不起訴処分を目指すべき理由は、こちらです。
被疑者は、逮捕されて勾留された場合、被疑者の身柄は10日~20日拘束されます。
検察官はこの勾留期間満期までに被疑者を起訴するか不起訴とするか判断します。
仮に、検察官が起訴すると判断した場合、これが略式起訴(※)でなければ、被疑者の身柄はそのまま拘束され続けます。正式裁判への出廷を確保するためです。
(※)略式起訴とは 簡易な刑事裁判で、有罪判決が下される代わりに早期に身柄が解放されます。 |
他方、検察官が不起訴とすると判断した場合、刑事裁判は行われませんので、事件処理はそこで終了となります。
そのため、不起訴処分時点で被疑者の身柄はただちに釈放されます。
また、不起訴処分となった場合、刑事裁判が行われず裁判官から有罪判決を受けることもありませんので、被疑者は “前科”がつくこともありません。
前述した通り、日本の刑事裁判の有罪率は統計上99%以上であるため、たとえ被疑者が事実を否認していたとしても、起訴された場合には有罪判決が下されてしまう可能性は否定できません。
そのため、被疑者段階の刑事弁護活動としては、起訴されないための弁護活動が中心になってくるのです。
事実を否認する場合には、嫌疑なし・嫌疑不十分との判断に持ち込むための弁護活動を行うことになります。
ここでは、不起訴と起訴猶予、起訴、無罪、処分保留の違いについて解説します。
起訴猶予とは、不起訴処分の一種です。
“起訴猶予”と聞くと、起訴の一種なのではないかと、混同しがちですが、犯罪を行ったことが明確であり、証拠も十分あるが、諸事情を考慮し、検察の裁量で起訴されないことを言います。
起訴とは、検察官が、裁判所へ、犯罪を行った疑いのある被疑者が、『本当に犯罪を行ったのか』『有罪か無罪か』『有罪なら量刑はどのくらいか』を公平に判断してもらうよう、刑事裁判を起こすことです。
逆に、この刑事裁判を起こさないことを、不起訴と言います。
起訴 |
刑事裁判を求める手続き 事件が裁判で審理される |
不起訴 |
刑事裁判を求めないとする手続き 事件は直ちに終了する |
日本の刑事裁判の有罪率は、統計上99%以上と言われているので、もし起訴されれば、刑事裁判が行われ、有罪判決が下される可能性があり、有罪とされれば、前科がつくことになります。
不起訴となれば、刑事裁判が行われることはなく、前科もつきません。
不起訴は、刑事裁判が行われないことで、身柄拘束されている場合は、身柄が解放されます。
一般的に見れば、「釈放されたのは、犯罪を行ってなかったからか。無実だったのだろう。」と考えられるかもしれませんが、不起訴は無罪とは言えません。
前述した通り、不起訴処分には、実際に犯罪を行ってないとして不起訴となる『嫌疑なし』から、証拠不十分の場合は『嫌疑不十分』、罪を犯しているけど、さまざまな事情から今回は起訴しない『起訴猶予』など種類があります。
不起訴は、刑事裁判で裁判官の公平な視点から有罪・無罪が判断されるわけではないため、無罪とは意味が異なるのです。
処分保留とは、勾留期間満期までに、起訴・不起訴の判断がつけられなかったために、とりあえず処分を決めずに身柄を解放することです。
被疑者の身柄を拘束するべきだと考えられる勾留要件が満たされた場合に、被疑者の身柄を留置所に拘束する“勾留”は、人権に配慮して拘束期間が10日から20日と定められています(刑事訴訟法 第208条)。
検察は、この勾留満期までに、起訴・不起訴の判断を下さなければならず、判断ができなかった場合、原則として処分を保留として被疑者の身柄を解放します。
ただし、あくまで処分を保留するものに過ぎませんので、身柄を解放された後に捜査が進展し、結果、起訴されるという可能性はあります。
処分保留 |
勾留満期までに、起訴・不起訴が判断できなかった場合の処分で身柄が解放される 起訴される可能性が残っている |
不起訴 |
勾留満期までに、刑事裁判を起こさないと判断した場合に下される処分で、身柄が解放される 滅多にないケースではあるが、新たに有力な証拠が見つかるなどすれば、再捜査される可能性がある |
ここでは、不起訴に関して、「前科がつく?」「前歴がつく?」「罰金は取られる?」の疑問にお答えします。
不起訴処分で前科はつきません。前科は、起訴された後に行われた刑事裁判で、有罪判決が下された場合に、つくことになります。
前科は、一般人に知られる恐れはありませんが、医師や弁護士など一部の職種に就けなかったり、履歴書に賞罰欄があった場合に記載しなければならず、就職が不利になったりする不利益が生じる恐れがあります。
不起訴処分でも、前歴はつきます。前歴とは、捜査対象となった記録のことです。したがって、不起訴処分でも、前歴は残ることになります。
この前歴は、一般人がアクセスできない警察や検察のデータに保管されるので、公になることはありません。
前歴があることで再度刑事手続を受けることになった際に、これを不利な事情として考慮されるということはあります。
不起訴処分が下された場合は、罰金を取られることはありません。罰金は、有罪判決が下された場合に、刑罰の一種として徴収されるものです。
したがって、刑事裁判が行われるなどし、有罪判決を受けることがなければ、刑罰も執行されませんし、罰金が徴収されることもありません。
不起訴の種類を見ると、不起訴を獲得するために行われる弁護方針が見えてきます。
不起訴の種類にあるのは、嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予。
被疑者が被疑事実を認めている場合には、起訴猶予を得ることを目標として弁護していくことになるでしょう。
ここでは、不起訴(主に起訴猶予)を獲得するための弁護活動の内容に関して解説します。その前に、不起訴となる理由を押さえておきましょう。
不起訴、主に起訴猶予となる理由として以下が考えられます。
起訴猶予を得るとすれば、当然上記にある理由を目指して弁護していくことになります。
例えば、被害者との示談や、具体的な再犯防止策の提案は、不起訴獲得において、非常に重要です。
示談は、成立することで、検察はトラブルが解決したと評価されます。
性犯罪など依存度が高い傾向にある犯罪であれば、具体的な再犯防止策(家族による監督、専門医による治療、カウンセリングなど)を提案することが、不起訴の獲得に繋がるでしょう。
いずれにしても、不起訴を獲得したい、被害者と示談を行いたい、具体的な再犯防止策を検察に訴えたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
前述した通り、日本の刑事裁判の有罪率は統計上99%以上です。起訴されればほとんどが、有罪判決が下されるということです。
しかし、2016年の刑法犯の起訴率は38.2%、一方で起訴猶予(不起訴の一種)は52%なので、しっかりと反省を行い、弁護活動を行ってもらうことで、不起訴処分が下される可能性も十分考えられます。
逮捕されてしまった場合、刑事事件は勾留期間など、限られた時間の中で進行していくため、弁護士に依頼するのであれば、ただちに相談することを強くおすすめします。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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