図解でわかるプロバイダ責任制限法!この法律で被害者ができるコトとは

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
図解でわかるプロバイダ責任制限法!この法律で被害者ができるコトとは

プロバイダ責任制限法(ぷろばいだせきにんせいげんほう)とは、ネット上で名誉棄損や誹謗中傷など、不法な情報が発信された場合に、被害者とプロバイダを守るための法律です。

この法律によりプロバイダの責任を明確にし、不法な情報が発信された場合に自主的な対応を促すことを目的としています。

警察庁が公表しているデータによると、実際にネット上での名誉棄損・誹謗中傷に対しての相談数は増加しています。

図解でわかるプロバイダ責任制限法!この法律で被害者ができるコトとは参考:サイバー犯罪等に関する相談件数の推移|警察庁

2015年の時点で相談件数が10,000件を超え、2016年では約11,000件と増加の一途をたどっています。いつ被害者になってもおかしくありません。

この記事では、被害にあったときに冷静な対処ができるように、プロバイダ責任制限法の詳しい内容や事例、またプロバイダが従わなかった場合の対処法や相談先を紹介します。

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プロバイダ責任制限法とはどのような法律なのか

プロバイダ責任制限法とはその名の通り『プロバイダ』の『責任を制限する』法律になります。ここでは『プロバイダ』や『責任制限』とは何なのかまとめました。

そもそもプロバイダとは

『プロバイダ』について、下の図をご覧ください。

そもそもプロバイダとはプロバイダとはインターネット回線をインターネットに繋げる会社で、パソコン購入時に契約することが多いでしょう。BIGLOBEやYahooBBなどが有名ですね。

この法律の中でプロバイダとは、

特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう(引用:プロバイダ責任制限法)

特定電気通信役務提供者(※)と定められています。

簡単に言えば、インターネット上で情報を発信、公開している人や会社のほとんどがプロバイダに含まれる、ということです。

つまり、一般的にプロバイダと呼ばれている接続プロバイダ(BIGLOBEやYahooBBなど)だけでなく、投稿サイトやブログの運営者に加え、ブログや掲示板などの管理人もこの法律においてはプロバイダに含まれるということです。

※特定電気通信役務提供者
インターネット上で不特定多数に向けて情報を発信、公開する媒体に関与する者(会社)や、それを提供する者(会社)

【接続プロバイダとサイト運営者などがプロバイダであるとわかる図】

そもそもプロバイダとは

責任制限とは

プロバイダはサイトの管理や運営を行いますが、誰が何を投稿するのかまでは管理できません。そのため、不法な投稿をされた場合下の図のようなことが起こってしまう場合があります。

責任制限とは被害者に削除を要求された場合でも、勝手に削除してしまうと、加害者側から『表現の自由を侵害した』と損害賠償請求をされてしまう可能性もあるのです。

このような板挟みの状態になってしまうのを避けるためにあるのが『責任制限』です。一定の条件と引き換えにプロバイダに対する損害賠償請求を阻止できます。

では、損害賠償の請求ができる場合はどのようなものなのでしょうか。

プロバイダに損害賠償請求ができる場合

以下のものはプロバイダ責任制限法で定められているものです。まずは図をご覧ください。

プロバイダに損害賠償請求ができる場合

1:他人の権利を侵害した情報が不特定多数の者に送信されるのを防止することが技術的に可能にもかかわらず何もしなかった場合や他人の権利を侵害している情報を知っていた、または知ることができたのにもかかわらず放置していた場合

2:その情報が発信されることで、他人の権利を侵害すると確信できる理由がないにもかかわらず、投稿を発信者の承諾なしに削除した場合や、一方的に削除請求の旨を発信者に伝えずに削除した場合または、発信者から反論があるにもかかわらず投稿を削除した場合

(参考:第3条損害賠償責任の制限)

しかし、発信者からの反論は7日以内と定められているので、7日を超えて反論した場合には、損害賠償を請求できません。

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プロバイダ責任制限法に従って被害者ができること・できないこと

プロバイダ責任制限法に従って被害者ができること・できないことこの法律はプロバイダを保護するとともに、被害者を救済する目的も含まれています。では、この法の上で被害者はどのようなことができるのか紹介します。

送信防止措置

送信防止措置とは、投稿された内容を削除するという措置のことをいいます。どのような流れで削除するのか図にまとめたのでご覧ください。

送信防止措置削除の申立があったからといって、すぐに削除してしまうと、表現の自由に違反してしまう可能性があります。1度配信者に削除請求の旨を伝え、7日間以内に反論がない場合に削除が行われます。

削除の申立と同時に、名誉棄損や誹謗中傷等の投稿があったページを証拠として、コピーやスクリーンショットなどで保全することが重要です。

送信防止措置の申立に必要な書類はこちら「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」からコピーできます。

発信者情報開示の請求

「発信者を法的に訴えたい!」「示談などの何かしらの罰則を与えたい!」と思った場合に、発信者の情報はとても重要です。以下の条件を満たしている場合、プロバイダに対して発信者開示の請求が行えます。

  • 不法な情報によって請求者の権利の侵害が明らかであること
  • 損害賠償請求を受けるべき正当な理由があること

また、発信者の情報として以下のような情報を手に入れることができます。

  • 氏名
  • 住所
  • メールアドレス
  • 侵害情報が発信された年月日および時刻
  • IPアドレス
  • 利用者識別符号
  • SIMカードの識別番号

発信者開示の請求の方法についてはこちら「発信者情報開示請求標準書式の書き方」をご覧ください。

プロバイダ責任制限法が根拠になった判例

プロバイダ責任制限法が根拠になった判例実際にプロバイダ責任法が根拠となり、判決が下りた裁判を紹介します。

判例1

無料ブログの運営を行っている被告は、一般人のAにブログの利用を承認していた。Aは市議会議員である原告らに対し、執拗に自身のブログに名誉棄損に当たる投稿をしていたことが認められている。

ブログ運営者である被告は、送信防止措置を行わなかったとして、原告らは損害賠償の請求・発信者情報開示の請求・送信防止措置を求めた。

【判決】

  • 原告に住所・氏名の開示をする
  • 損害賠償50万円の支払い
  • 送信防止措置を行う

平成20年9月5日

発信者情報開示の請求・送信防止措置請求事件

文献番号:2008WLJPCA09058004

判例2

被告は大型掲示板の運営を行っており、本来ならば他人の権利を侵害するような投稿があった場合には送信防止措置を行う義務があるのにもかかわらず、それを行わなかったとして義務違反により、損害賠償の請求・投稿内容の削除・発信者情報開示を求められた。

【判決】

  • 損害賠償100万円の支払い
  • 投稿された内容の削除
  • 発信者情報開示

平成19年5月11日

損害賠償の請求・投稿内容の削除・発信者情報開示請求事件

文献番号:2007WLJPCA05118003

判例3

被告の提供するインターネットサービスを利用している氏名不明者が、原告が著作権を有している動画を勝手に動画共有サイトにアップロードしたことに対し、公衆送信権が侵害されたとして、プロバイダである被告に、発信者情報開示を請求した。

【判決】

  • 発信者情報の開示

平成29年7月20日

発信者情報開示の請求事件

文献番号 2017WLJPCA07209002

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プロバイダが送信防止措置・発信者情報開示の請求に応じてくれない場合の対処法

プロバイダ責任制限法があるからと必ずしもプロバイダが情報を開示してくれたり、送信防止措置を行ってくれたりするわけではありません。

そのような場合、裁判所を通じて送信防止措置の削除命令や発信者情報開示命令の仮処分を出してもらうことが可能です。

仮処分とは、勝訴したときと同様の状態を確保することができる手続きのことになります。仮処分は短い時間で行うことができるため、名誉棄損や誹謗中傷にあたる投稿に関してすぐに消したり、発信者の情報を手に入れたりすることができるのです。

仮処分についてもっと詳しく知りたい方はこちら「保全事件の申立て|裁判所」をご覧ください。また、このような申立を行う場合、自分で行うことも可能ですが、弁護士に手続きの代行を依頼できます。

弁護士に代行してもらうことで手続きがスムーズに進むなど多くのメリットがありますので、依頼することを強くおすすめします。

ネットで名誉棄損・誹謗中傷をされた場合はネット問題に強い弁護士へ

ネットで名誉棄損・誹謗中傷をされた場合はネット問題に強い弁護士へ上項では、仮処分の際に弁護士に依頼することを強くおすすめしました。ここでは、強くおすすめする理由や探し方を紹介します。

ネット問題の解決に注力している弁護士に相談することを強くすすめる4つの理由

弁護士に相談することを強くすすめるのは、以下のような4つの理由があるからです。

  • 被害後すぐに相談することで、証拠の保全を依頼できる
  • 個人で情報開示請求や送信防止措置の請求を行うより、プロバイダが応じる可能性が高くなる
  • 仮処分の申立書類の作成がスムーズになる
  • 専門家がいてくれることで安心感がでる

弁護士がいるだけで、信用性が高まりますので、個人で行うよりプロバイダが応じてくれる可能性が高くなります。また、苦労して書類を作成する必要がありません。

それだけでも、精神的な負担が軽くなるのではないでしょうか。

弁護士の探し方

『あなたの弁護士』では、インターネット問題解決に注力している弁護士をピンポイントで探すことができます。

弁護士にも分野ごとに注力しているもの・していないものがあり、インターネット問題解決に注力していない弁護士に依頼してしまうと、スムーズに解決しない場合もあります。

弁護士を紹介してくれる機関やサイトは多くありますが、必ずしもインターネット問題解決に注力している弁護士を紹介してくれるわけではないので、しっかりと確認することが大切です。

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まとめ

プロバイダ責任制限法は理解できましたでしょうか。インターネットの普及でいつ自分が名誉棄損・誹謗中傷の被害にあってしまうかわかりません。

インターネットに関する知識を持ち、被害にあっても冷静に対処できるようにしましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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