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KL2020・OD・037
遺留分減殺請求訴訟(いりゅうぶんげんさいせいきゅうそしょう)とは、その名の通り、訴訟によって遺留分を取り戻すための手続きです。
そもそも遺留分とは、一定の法定相続人に認められた最低限の遺産の取り分のことですが、これを侵害している相手にただ「返してください」と言うだけで取り戻すことができるケースは少なく、大抵の場合で話し合いや遺留分減殺請求調停が必要になり、それでも決着がつかなければ訴訟をするしか回収手段はありません。
今回は、遺留分減殺請求訴訟について、基本的な知識と訴訟の手順や流れ、訴訟をする上でのポイントなどをご紹介いたします。
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目次
遺留分減殺請求訴訟とは、訴訟で遺留分を取り戻すための手続きで、家庭裁判所ではなく地方裁判所(または簡易裁判所)が管轄権を有する通常の民事訴訟のひとつです。
遺産にまつわる裁判は家庭裁判所での手続きが多く、遺留分についても調停の場合は家庭裁判所に「遺留分減殺による物件返還請求調停」を申し立てて手続きすることになるのですが、これが不調に終わり訴訟をするとなると、管轄権が地方裁判所(簡易裁判所)に移ることになります。
ここではまず、遺留分減殺請求を行うための手続きの概要をご紹介いたします。
遺留分減殺請求は、一般的には「遺留分減殺の意思表示」を行うことで効果が発生すると言われています。これは、遺留分減殺請求権が形成権という「権利者が行使した段階で一定の法律効果を生じる権利」として考えられているためです。
例えば、遺留分権利者が遺留分を侵害する相手に遺留分を返すよう伝えた時点で、「遺留分を侵害する贈与等の効果が一部否定され、遺留分相当額の財産は当然に遺留分権利者に帰属する」という効果が発生します。
少し分かりにくいかもしれませんが、要は遺留分権利者が侵害者に対して「遺留分を返して!」と言えば、本来であれば侵害された遺留分についての権利は遺留分権利者に戻ってきて、相手方は不当にその遺留分を保有しているという状態が出来上がるというわけです。
しかし、法律上はそのように権利の帰属主体が移ったとしても、現実に遺留分が返ってくるかどうかはまた別問題になります。遺留分減殺請求の際、大抵の場合は内容証明郵便で遺留分減殺の意思表示をし、相手方の出方を見るという方法が採られます。
このとき、相手方がすぐに遺留分を返してくれれば何の問題もありませんが、無視されたり、文句を言われたり、大なり小なり揉めるケースがほとんどです。したがって、遺留分減殺請求というのは、以下の3ステップに分けて請求方法を使い分けなければなりません。
遺留分減殺の意思表示とは、遺留分を侵害する相手方に対して「あなたが侵害する私の遺留分を返してください」という意思を示すことを言います。
この意思表示の方法は、直接口頭で伝えても電話やFAX等で伝えても問題ないのですが、後々話し合いや裁判等での証拠としても役に立つ、内容証明郵便を使って行うのが一般的です。
内容証明郵便の文面もさほど難しくはなく、意思表示をした日付、意思表示の内容(誰の相続か、誰が誰の遺留分をどれだけ侵害しているのか等)、遺留分権利者と相手方の住所・氏名を書いておけば足りるでしょう。
平成○年○月○日 遺留分減殺請求通知書 被相続人アシロ太郎(平成○年○月○日死亡)の相続につき、通知人アシロ花子の遺留分は相続財産の○分の○に該当するところ、被通知人アシロ次郎の相続分が通知人の遺留分を侵害しています。よって、アシロ花子はアシロ次郎に対して、本書面をもって遺留分減殺の請求をいたします。 通知人 アシロ花子 東京都新宿区西新宿7-7-29 被通知人 アシロ次郎 殿 東京都新宿区西新宿○-○-○ |
なお、遺留分減殺の意思表示を行った時点で、遺留分の1年の短期消滅時効(民法1042条)を心配する必要がなくなるので、早めに意思表示を行うのが得策です。
遺留分減殺の意思表示で相手方がすんなり遺留分相当の財産を返還してくれれば良いですが、そうでない場合は改めて相手方と話し合う必要があります。
というのも、遺留分は相続の開始等を知ったときから権利を行使しないで1年が過ぎると請求権自体が消滅してしまい(短期消滅時効)、仮に相続の開始等を知らなかったとしても相続開始の時から10年を過ぎると請求ができなくなってしまうという期間制限(除斥期間)があるからです(民法1042条)。
遺産分割協議等の場を利用して相手方と話し合ったり、利害関係のない親族や専門家を交えて交渉を行うというのがこの段階で有効な手段と言えるでしょう。
もし②の話し合いが決裂してしまった場合は、調停や訴訟といった裁判所を交えての手段を考えることになります。遺留分減殺調停(遺留分減殺による物件返還請求調停)は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行うことで、裁判所を交えて交渉をするという方法です。
遺産分割等を含む「家事事件」と呼ばれる分野では、原則として調停前置主義というものが採用されており、要は「訴訟を起こす前にまず話し合いでの解決を目指しましょう」という原則が適用されることになっています。
したがって、調停よりも先に訴訟を提起したとしても、裁判所の判断で調停からスタートされるという運用がなされており、遺留分減殺請求に関しても、まずは調停から始めることになります。その後調停がまとまらなかった場合は、ようやく訴訟の出番ということになります。
遺留分減殺請求については、調停前置主義が採られてはいるものの、調停がまとまらなかった場合に自動的に審判(裁判)手続きに移行するという「家事審判事項」には該当していません(家事事件手続法別表1・2参照)。したがって、遺留分減殺調停が上手くいかなかった場合には、別途改めて訴訟を提起する必要があります。
遺留分減殺調停と遺留分減殺請求訴訟の大きな違いは何なのでしょうか。
遺留分減殺請求調停が話し合いを主眼に置いているのに対し、訴訟は裁判での決着をゴールとしている点です。家事事件の場合は、当事者全員が家族や親族といった狭いコミュニティに属しており、解決後も永く人間関係が続くであろうことから、できるだけ話し合いで解決した方が禍根を残さないということで、調停前置主義が採られています。
遺留分減殺調停の場合、当事者双方が顔を合わせる機会はほとんどなく、基本的には申立人(遺留分権利者)と調停員(または裁判官)、相手方と調停員というように双方が交互に調停室を出入りして主張をしていくという段取りになっており、双方の主張を吟味して調停員等が和解案を示したり、当事者間で主張を摺り合わせて和解案を練り上げるという方法が採られます。
対して遺留分減殺請求訴訟の場合は、当事者双方が法廷で顔を合わせ、書面等を使って互いの主張をぶつけ合うという対面構造が採られており、調停よりも激しい対立が予想されます。
また、遺留分減殺調停が家庭裁判所への申立てが必要な家事事件であるのに対し、遺留分減殺請求訴訟は地方裁判所(または簡易裁判所)への訴訟提起が必要な民事事件であるという違いもあります。
以上が遺留分減殺請求の概要ですが、そもそも訴訟をしたことがある人はほとんどいないのではないでしょうか。ここでは、訴訟はどのように起こし、どのような流れで進んでいくことになるのか、基本的な内容をご紹介したいと思います。
通常の民事訴訟の場合、訴えたいと思っている人(原告といいます)が裁判所へ訴状(裁判を起こすための書類)や証拠を提出し、所定の手数料を納めることで訴訟提起がなされます。訴状等に問題がなければ、後日裁判所から期日(実際に裁判をする日※平日です)が指定され、後は法廷で主張反論を行っていくというのが通常の訴訟の流れです。
実際の裁判では基本的に書面で主張や証拠を提出することになり、ドラマのようにお互いが激論を交わすというよりは粛々と進行するケースが多いようです。
数回の期日を経て判決が出るという理解で問題ないかと思いますが、訴訟中に和解が成立したり、被告が一切反論しない上に被告代理人を含め期日に一切出席しないなどの場合は原告の主張を全面的に認めたと判断され、早く判決が出る場合もあります。
判決が出ると、争いの対象物についてその後に再度争うことができなくなるという効果が発生し、判決文を債務名義として強制執行等の手続きができるようになります。訴訟を提起するにあたり、原告となる人が確認しなければならないことがいくつかあるので、以下に簡単にまとめてみました。
訴訟提起の際には、当事者が誰であるかを確定しなければなりません。そのため、訴えたいと思っている人=原告は誰なのか(人数や氏名・本籍・住所等)、代理人(弁護士等)を立てるのかどうかをまず最初に決めることになります。
原告が決まったら、次は訴えたい相手=被告が誰であるかを確定します。こちらも人数や氏名・本籍・住所等を明らかにし、訴状に記載していくことになります。
民事訴訟を提起する場合、裁判所の「管轄」というものがしばしば問題になります。簡単に言えば「誰の住所地を管轄する裁判所に訴訟を起こすのか」(土地管轄)、また「地方裁判所と簡易裁判所どちらに訴訟を起こすのか」(事物管轄)といったことを考えなければならないのです。
通常の民事訴訟の場合は原則として被告の住所地を管轄する裁判所が土地管轄を有しますが、遺留分に関する訴えについては「被相続人の最後の住所地」(民事訴訟法5条14号参照)とされています。また、請求する金額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円を超えるなら地方裁判所へ訴えを提起します。
訴えを提起する際には「裁判によって解決できる紛争であること」が大前提になるため、争う対象が明確でなければなりません。そのため、例えば単に「遺留分を請求する」というだけでは足りず、「自分は相手方に遺留分○○円の支払いを請求する」といったように、内容や金額を明確にして訴えを提起することになります。
遺留分減殺請求訴訟は、被相続人の最後の住所地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所へ手続きを行うことになります。
訴訟を起こす場合は、前記①~④のポイントを確認しつつ、被相続人の相続財産の価額や物件目録、遺言書があればその写しなどを準備し、実際に遺留分がどの程度あってどの程度侵害されているのかをきちんと調べましょう。
では、遺留分減殺請求訴訟について、流れや手順を改めてご紹介したいと思います。
遺留分減殺請求訴訟の土地管轄は「被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所」で問題ありませんが、事物管轄として訴訟物(相手に請求したいもの)の価額に合った裁判所を選ばなければなりません。
すなわち、遺留分侵害額が140万円以下の場合は「被相続人の最後の住所地を管轄する簡易裁判所」へ、140万円を超える場合は「被相続人の最後の住所地を管轄する地方裁判所」へ、訴えを提起しましょう。
遺留分減殺請求訴訟の当事者は、遺留分を侵害されている遺留分権利者(原告)と、遺留分を侵害する贈与等を受けた相続人等(被告)になり、これらの当事者については訴状を作成する際に本籍・住所・氏名を明記します。
また、原告に弁護士等の代理人がつく場合には、その弁護士の氏名・住所(送達場所になる事務所等の住所)も必要です。
遺留分減殺請求訴訟の必要書類は、以下のとおりです。
請求の趣旨および原因を記載した申立書のようなものです。
金銭での請求をする場合の記載例。
弁護士や司法書士が作成するものと裁判所が提供している書式とでは若干の違いがありますが、裁判所のものが誰でも比較的簡単に記入でき、専門家作成のものはより詳細な内容になっているという理解で問題ないかと思います。
遺留分減殺請求訴訟では、どういった形で遺留分の返還を求めるかによって訴状の内容も少し変わってきます。例えば、単に金銭での返還を求めるのであれば「金銭支払請求」、不動産等の現物返還を求めるのであれば「不動産引渡請求」や「登記手続請求」「動産引渡請求」などになります。
このあたりは複雑な内容になりますので、不安があれば専門家への相談がおすすめです。
訴状には、原告の主張を裏付ける証拠となる書類を添付します。遺留分減殺請求訴訟では、
添付すると良いでしょう。
遺留分減殺請求訴訟では、価額に応じた訴訟費用(手数料)と、送達用の郵便切手の予納が必要になります。
訴えの提起には、訴訟物の価額に応じて下記の額の収入印紙を訴状に貼付して納付します。
訴訟物の価額 | 手数料 |
~100万円以下 | 10万円ごとに1,000円 |
100万円超え500万円以下 | 20万円ごとに1,000円 |
500万円超え1,000万円以下 | 50万円ごとに2,000円 |
1,000万円超え10億円以下 | 100万円ごとに3,000円 |
例えば、遺留分として165万円を請求する場合には、100万円までの部分で10,000円、100万円超~165万円の部分で4,000円かかるので、合計14,000円分の収入印紙を貼付することになります。
提起する裁判所によって若干金額が異なる場合がありますので、ここでは東京地裁の予納金額をご紹介いたします。東京地裁では、民事訴訟事件の訴え提起時に郵便料の予納として下記の金額を定めています。
当事者(原告・被告)がそれぞれ1名の場合 | 6,000円 |
当事者が1名増える場合 | 1名増えるごとに2,144円ずつ加算 |
また東京地裁では、郵便料の予納方法として、①現金での窓口納付、②銀行振込、③電子納付という3種類を準備しています(余った郵送料は後で還付が受けられます)。
郵送料が高いと感じられるかもしれませんが、訴状は「特別送達」という、配達員から送達相手への手渡しという方法で送付されるため、通常料金+430円(一般書留料金)+560円(特別送達料金)という送料が最低限必要になるんですね。
訴訟の場合は予納郵送料が結構高めになるので、提訴する裁判所に確認して予納準備をするのがおすすめです。
期日には、公開の法廷で当事者と裁判官が「口頭弁論」を行いますが、簡易裁判所では1人の裁判官が、地方裁判所では1人の裁判官または3人の裁判官の合議体によって、それぞれ審理が行われることになります。
口頭弁論期日では、当事者またはその訴訟代理人が事前に裁判所に提出した準備書面に沿って主張を行い、証拠を提出し、時には裁判官から質問をされたりします。
何回も期日を経ることもあれば、裁判中に双方が妥協して和解が成立したり、被告が一切反論せず期日にも欠席した場合など原告の主張を認めたと判断され原告の主張が全て認められて 裁判が終わることもあります。
そして、ある程度紛争解決の判断に必要な審理が尽くされた段階で、裁判所からは「判決」が出されます。日本では三審制が採られているので、この判決に不満がある(要するに負けてしまった)当事者は、控訴をすることで1つ上の審級で再度争うことができます。
以上が一般的な訴訟の流れとなります。
遺留分減殺請求訴訟を起こすために知っておいていただきたい知識は以上でご紹介いたしましたが、実際に訴訟を起こすとなると、素人にはなかなかハードルが高いものかと思います。
そこで、遺留分減殺請求訴訟のポイントをいくつか整理してみましたので、是非参考にしてください。
自力で訴状を書くのであれば、基本的には裁判所ホームページの記載例をベースに空欄を埋めていけば問題ないかと思いますが、参考までに専門家が作る訴状の一例をご紹介したいと思います。
訴 状 平成○年○月○日 本 籍 東京都○○区○○町○○丁目○番 住 所 〒○○○-○○○○ 東京都△△区□□○丁目○○番○号 原 告 西新宿次郎 住 所 〒○○○-○○○○ 東京都新宿区西新宿7-7-29 7階 アシロ法律事務所(送達場所) 上記訴訟代理人弁護士 アシロ太郎 電 話 03-○○○○-○○○○ FAX 03-○○○○-○○○○ 本 籍 東京都○○区○○町○○丁目○番 住 所 〒○○○-○○○○ 東京都△△区□□○丁目○○番○号 被 告 アシロ花子 遺留分減殺請求事件 訴訟物の価額 ○○○○円貼用印紙額 ○○○○円 請 求 の 趣 旨 1 被告は,原告に対し,金○○○○円を支払え。2 被告は,原告に対し,上記金額に対する,遺留分減殺請求書の送達日の翌日(平成○年○月○日)から支払いまでの年5分の遅延損害金を支払え。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 請 求 の 原 因 1 被相続人の死亡(相続開始)と相続人の範囲訴外被相続人西新宿太郎は,平成○年○月○日死亡し,相続が開始した。その相続人は子である原告、被告、訴外西新宿三郎の3名である。 2 被相続人の遺産の範囲(別紙遺産目録記載のとおり) 被相続人西新宿太郎の遺産は別紙遺産目録記載のとおりである。 3 遺留分減殺請求の対象となる遺贈 被相続人西新宿太郎は,平成○年○月○日付の自筆証書遺言によって,その遺産のすべてにつき,「被告に相続させる。」旨の遺言をした。 4 被告は,上記遺言に基づき,被相続人の全遺産である金○○○○円を取得した。 5 原告は,上記遺言により本件相続における遺留分を侵害されたので,平成○年○月○日,被告に対し,遺留分減殺をする旨の意思表示をした。 6 よって,原告は被告に対し,金○○○○円の支払いを求める。 1 甲1号証 戸籍謄本 2 甲2号証 遺言書写し 3 甲3号証 遺産目録 4 甲4号証 残高証明書 1 訴状副本 1通 2 甲1ないし4号証(写し) 各1通 3 訴訟委任状 1通 別紙遺産目録(省略) |
これは、遺留分減殺請求訴訟で物ではなく金銭での支払いを求めるための訴状の一例になります。訴状を作る上で、「請求の趣旨」と「請求の原因」というのが非常に難しい項目になっていますので、専門家に頼ることをおすすめします。
請求の趣旨とは、「どのような判決を求めるのか」を簡潔に記したものになります。言い換えれば、判決主文に相当する原告の要望をここに書くことになるということです。
したがって、お金を支払ってもらいたかったら「金○○円を支払え」、不動産を返して欲しければ「別紙物件目録記載の○○を引き渡せ」、持分移転登記を請求するのであれば「別紙物件目録記載の○○の持分○○について平成○年○月○日遺留分減殺を原因とする所有権一部移転の登記手続きをせよ」といったものが最初の文章になります。
その他、遅延損害金を請求したり、訴訟費用の負担を求める場合はその旨も記載します。
請求の原因とは、請求の趣旨を裏付ける原告の言い分を記す項目です。
遺留分減殺請求訴訟の場合は、
といったことを記載して行きます。
第一審の判決に不服がある当事者は、判決送達日から2週間以内であれば、上級裁判所に対して控訴をすることができます(第二審の場合は同様の期限内に上告することができます)。
第一審が地方裁判所の場合は高等裁判所へ、簡易裁判所の場合は地方裁判所へ、それぞれ控訴ができることになっていますが、このとき控訴ができるのは「判決に不服がある当事者」となっており、例えば原告が全面勝訴した場合には原告が控訴することはできず、被告だけが控訴することができます。
(ただし、原告の請求が一部認容である場合には、原告・被告双方が控訴をすることができます。)
2週間の期限を過ぎてしまうと、原判決が確定してその後同じ紛争を再度争うことができなくなってしまうので、全面勝訴以外の場合には、不服を申し立てるため控訴するかどうかを期限内に決める必要があります。
また、控訴の際には再度手数料の納付が必要になりますので、忘れずに手続きしましょう。
「弁護士は費用が高くなるから司法書士に依頼する方が得だ」という話を耳にしたことがある方も多いのではないかと思いますが、これは必ずしも正しくはありません。
弁護士と司法書士は、扱える事件の幅に大きな違いがあり、ざっくり言ってしまうと訴額が140万円を超える事件の場合は司法書士は訴訟代理人になれません。
遺留分減殺請求訴訟の場合、始めから金額がきっちり定まっているケースはともかく、訴訟の途中で訴額が変更になることも珍しくありません。そうなった場合に司法書士に依頼していると、140万円を超えてしまって訴訟手続きをすべて自分でしなければならないという事態も起こり得ます。
金額がハッキリしないケースや紛争性が高いケースでは、始めから弁護士に相談しておいた方が結果的に安上がりになることもあります。専門家に相談する場合は、遺留分だけでなく、相続財産の額や紛争性の高さも加味して専門家を選ぶというのが大切です。
遺留分減殺請求訴訟は自力でもできなくはないことがお分かりいただけたかと思いますが、裁判手続というのは、複雑な書類を作ったり、期日に何度も出廷したり、何かと面倒なことが多いということに間違いありません。
また、遺留分を争う事件では、大抵の場合で泥沼化することが見込まれるので、少しでも不安があるのであれば、早めに専門家に相談だけでもしておくのがひとつの手段になります。
弁護士は、訴状の作成は勿論、相手方との交渉や裁判官とのやり取りにも長けていますから、あなたの力強い味方になってくれるかと思いますので、遺留分を必ず取り戻したいのであれば、選択肢に入れてみてください。
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KL2020・OD・037
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