性格の不一致とは|離婚に踏み切る前に確認すべき5つのこと

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
性格の不一致とは|離婚に踏み切る前に確認すべき5つのこと

性格の不一致(せいかくのふいっち)とは、言葉のとおり、夫婦で性格が合わないために婚姻関係が破綻している状態のことを言います。なんと、離婚原因として一番多いとされているのが、この性格の不一致なのです。また、裁判での立証が難しいとされていることも特徴かもしれません。

そこで今回は、性格の不一致で離婚に踏み切る前に確認すべき以下の5項目について解説していきます。

  1. 具体例から見る性格の不一致の定義
  2. 性格の不一致が原因での裁判離婚は原則認められていない理由
  3. 夫婦の子供がいる場合の離婚で確認しておくべきこと
  4. 性格の不一致を理由に離婚したら慰謝料はもらえるのか
  5. 裁判で性格の不一致を証明するために有効な証拠

また、性格の不一致を解消して離婚を回避する方法についてもご紹介していきます。

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具体例から見る性格の不一致の定義

性格の不一致の定義とは、客観的に見ても夫婦関係が破綻しており、修復が見込めないと判断できる状態を言います。主観で判断するのではなく、客観的な事実に基づいて、性格の不一致が原因で夫婦関係が破綻しているかを見極めるとされています。

性格の不一致ってどの程度のものなのか?

裁判で認められる性格の不一致は、客観的に見ても夫婦関係が破綻している、または努力しても円満な夫婦関係を築くことが見込めない状態が求められるようです。

性格の不一致に該当するケースとしないケース

性格の不一致に該当するケースとしないケースを以下にまとめました。

性格の不一致に該当するケース

性格の不一致に該当するものとして、以下の例が挙げられます。

  • 相手のことを否定ばかりする
  • 相手の行動を執拗に監視もしくは制限する
  • 夫または妻が家庭のことを一切考えないまたは関与しない など

性格の不一致に該当しないケース

以下は、性格の不一致に該当しないとされる例です。

  • 夫婦関係がマンネリした
  • 忙しくて喧嘩が増えた
  • 食事の趣味が合わない など

性格の不一致が原因の裁判離婚は原則認められていない

実は、性格の不一致が原因の裁判離婚は、原則認められていないことをご存知でしょうか。離婚原因で最も多いとされる理由ですが、法律には性格の不一致で離婚を認める記述はないのです。

ただし、夫婦双方が離婚に同意していれば、協議離婚によって離婚することができます。

法定離婚事由として認められれば離婚可能

性格の不一致を理由として、離婚が認められることは原則ありません。しかし、性格の不一致により、法定離婚事由として認められている民法第770条の、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すれば離婚できます。

つまり、性格の不一致が原因で離婚を成立させるには、婚姻関係を継続し難いほどのことかどうかが問われるのです。

夫婦に子供がいる場合の離婚で確認しておくべき3つのこと

性格の不一致で離婚をするのは親の都合ですが、もし夫婦に子供がいる場合は、できる限り子供に不都合が生じないよう離婚を進めたいと考えるのではないでしょうか。

そこで、離婚前に確認しておくべき3つのことについてまとめました。

子供の親権や養育費について

どちらが子供の親権を持つのか、また養育費は月いくらでどのくらいの期間支払うことを考えているか、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。離婚後、二人の子供が生活に困らないように環境を整えておきましょう。後のトラブルを防ぐためにも、取り決めた内容は離婚協議書などの書面に残しておくことをおすすめします。

離婚によって子供が感じるストレスを軽減するように努める

二人が離婚を選択した以上、子供の精神的ダメージは避けられません。離婚後は特に子供のストレスケアを怠らないようにしましょう。どんなに忙しくても、コミュニケーションをとり、子供の些細な変化に気づけるよう努めたいところです。

親権が取れなかった配偶者の「子供と面会する時間」をどうしていくか

夫婦として関係が破綻していたとしても、子供からすれば父親と母親であることには変わりありません。親権が取れなかった配偶者に子供が会いたいと希望している場合は、しっかり面会の時間をつくるなどの配慮を忘れないようにしましょう。

性格の不一致を理由に離婚したら慰謝料はもらえるのか?

性格の不一致を理由に離婚する場合でも、慰謝料をもらえる可能性はあります。ただし、不倫や暴力などの理由に比べて、もらえる慰謝料が少ないかもしれません。中には慰謝料請求が認められず、財産分与のみで着地するケースもあるようです。

【法律Q&A】性格の不一致で離婚する時の慰謝料の相場を教えてください

性格の不一致で慰謝料を請求するのが難しい理由

なぜ、性格の不一致で相手に慰謝料請求をするのが難しいのでしょうか。それは他の離婚原因とは異なり、どちらかが悪いのではなく、夫婦で解決していくべき内容と捉えられているからです。

そのため、性格の不一致を理由に起こした裁判の多くは、夫婦それぞれに努力や歩み寄りが足りなかったと判断されています。夫婦どちらにも非があると認められた場合、原則として慰謝料の請求はできません。

おおよその慰謝料

性格の不一致によって得られる慰謝料は0~120万円と言われています。他の離婚原因と比べて、おおよその慰謝料額が低い理由は、どちらか一方ではなく夫婦それぞれに問題があったと判断される場合が多いからです。

慰謝料自体が認められないケースも少なくありません。しかし性格の不一致の原因として、どちらか一方の非が認められれば、120万以上の慰謝料を得られる可能性もあります。

慰謝料を請求するために用意しておきたい証拠

相手に慰謝料を請求するために用意しておくと良い証拠は、以下のものが挙げられます。

  • 性格の不一致であることが伺える資料
  • 別居の事実があれば、そのことを証明する賃貸契約書

性格の不一致を、証拠として押さえるのは少々難しいかもしれません。しかし、夫婦の様子を日記に残し、性格の不一致を伺わせるようなメールのやりとりを印刷しておくことで、証拠のひとつとなり得る可能性があります。

慰謝料を増額させるためのポイント

性格の不一致を理由に慰謝料を増額させるには、相手側に明らかな非があることを認めさせることです。裏付けとなる証拠を、できる限り集めておく必要があるでしょう。ちなみに、婚姻年数の長さや子供の有無によっても、金額が変わると言われています。

過去の判決で命じられた慰謝料額とは

過去の判決で命じられた慰謝料は具体的にどのくらいなのでしょうか。事例をいくつか下記にまとめました。

●妻の自分本位な態度により夫から慰謝料請求(平成17年2月22日)

  • 婚姻期間20年未満
  • 認定された慰謝料80万円

●価値観の違いを理由に妻から慰謝料請求(平成15年3月10日)

  • 婚姻期間5年未満
  • 認定された慰謝料50万円

●経済的感覚の違いを理由に妻から慰謝料請求(平成15年6月30日)

  • 婚姻期間20年未満
  • 認定された慰謝料70万円

過去の判決事例からみても分かるとおり、性格の不一致を理由に慰謝料を請求した場合、婚姻期間が長くても100万円未満で認定されてしまうことが多いようです。
参考書籍:「慰謝料算定の実務 第2版|ぎょうせい

裁判で性格の不一致を証明するために有効な4つの証拠とは

裁判で性格の不一致を証明するために有効とされる4つの証拠は以下のとおりです。

配偶者と喧嘩している様子が録音された音声データ

もし日常的に喧嘩している状態であれば、その様子を音声や動画に残しておくと良いでしょう。

性格の不一致が伺えるメールや手紙のやりとり

メールや手紙に相手の性格を執拗になじる文言があれば、印刷するなどして保管しておきましょう。

夫婦の様子が記載された日記

夫婦の様子が記された日記も、性格の不一致を立証するために有効であると言われています。

別居していた場合はその事実が分かる賃貸契約書など

可能であれば、どのくらい別居しているのか期間を示す資料や、別居することになった様子が記された日記があると良いでしょう。

性格の不一致を解消して離婚を回避するには?

元は他人同士。育ってきた環境も全く異なるため、共に暮らしていく中で、価値観の違いを感じる瞬間は必ず訪れます。そんなときは、どう折り合いをつけるか二人で話合う習慣をつくってみてはいかがでしょうか。

話し合う習慣は、お互いの価値観をすり合わせるだけでなく、夫婦間のコミュニケーションにもつながります。また、徐々に歩み寄る気持ちが芽生えるかもしれません。さらに自分の理想を相手に押しつけず、いい意味で相手に期待しないことを心がければ、離婚を回避できる可能性は上がるでしょう。

夫婦生活が長くなれば、やってくれることが当たり前、居ることが当たり前という感覚に陥りがちです。ですが、今一度パートナーが日々当たり前にしてくれていることへの感謝を示すことで相手も今までの態度を改めてくれることがあります。

離婚することが珍しい世の中ではなくなり、カジュアルに離婚することが増えてきていますが、結婚生活を円滑にする努力をすることで得られるものもあるかもしれません。

まとめ

性格の不一致は、数ある離婚原因の中で最も多いと言われています。しかし、どちらか一方ではなく、夫婦それぞれに問題がある場合も否めません。

もし性格の不一致を理由に離婚を考えているならば、今一度状況を整理し、夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。 離婚を回避し、良好な関係を築くためのきっかけが生まれるかもしれません。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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