婚姻を継続しがたい重大な事由|離婚成立に役立つ4つの知識

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
婚姻を継続しがたい重大な事由|離婚成立に役立つ4つの知識

婚姻を継続しがたい重大な事由とは、性格の不一致や配偶者の暴言、暴力などにより、夫婦関係が破綻し、修復が見込めないと客観的に判断できる場合に適用される離婚原因です。

裁判でも認められる法定離婚事由のひとつとして民法770条に定められています。

(裁判上の離婚)
第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一  配偶者に不貞な行為があったとき。
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
(協議上の離婚の規定の準用)
引用元:民法第770条

そこで今回は、婚姻を継続しがたい重大な事由を原因として離婚するために役立つ4つの項目として、具体的に該当するケース、過去の判例、離婚請求の方法と流れ、裁判で有効な証拠についてご紹介します。

婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するケースとしないケース

法的に「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するケースとしないケースとは、どんなことでしょうか。下記に具体例をまとめました。

該当するケース

以下のようなケースは、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当すると言われています。

性格の不一致

基本的に性格の不一致だけでは、裁判上の離婚は認められていません。性格の不一致によって夫婦関係が破綻し、修復が見込めない状態であると客観的に判断できれば認められます。

配偶者からの暴力・暴言

配偶者からの暴力や暴言は、病院からの診断書や暴言の内容を録音したボイスレコーダーなどの証拠があれば、ほぼ認められるようです。

性的な不満や異常

妻が性交渉を拒否し続けていた、夫の性的趣味が異常だったなどのケースが挙げられます。さらに配偶者の性的不能や同性愛についても該当します。

配偶者の両親や親族との不仲、嫁姑問題

配偶者の両親や親族と良好な関係を築く努力をしたが改善されず、その結果、夫婦関係が破綻してしまった場合も該当します。

宗教や信仰上の対立

家事や育児を放棄してまで宗教の勧誘に出かけるなど、生活に支障をきたすレベルでのめり込んでしまった場合に該当します。

ギャンブルや浪費などの金銭問題

共に生活を営むことが難しくなるほどギャンブルにお金をつぎ込んでいたり、浪費していた場合に認められるようです。

配偶者が犯罪に手を染めた

配偶者が犯罪に手を染めた、または服役していることにより夫婦関係が破綻した場合に認められるようです。

家事や育児に協力しない

共働きなのに配偶者が家事を一切しないなど、夫婦で協力し合う姿勢が見られない状態のことを言います。ちなみに、配偶者よりも自分の親との関係を優先するなどのケースも該当します。

配偶者の病気

配偶者が難病に侵されたことで夫婦関係が破綻した場合に該当します。あくまでも、身体的な病気であることが必要です。もし精神的な病気が原因の場合、民法770条「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。」に該当します。

長期の別居による婚姻の破綻

夫婦関係が破綻したことによる別居、もしくは長期の別居が原因で夫婦関係が破綻していることが、客観的に見て分かる状態であれば認められるようです。

該当しないケース

夫婦の子供ができない

夫婦の子供ができないことだけを主張しても、離婚原因として認められません。ただし、子供ができないことで夫婦関係が破綻した場合は、婚姻関係を継続しがたい重大な事由に該当するようです。

理由もなく生活費をいれない

この場合、「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」ではなく「悪意の遺棄」に該当します。

配偶者以外の異性と肉体関係を持つ

この場合、「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」ではなく「不貞行為」に該当します。

婚姻を継続しがたい重大な事由を裁判で認めてもらうには、該当するケースにあたると証明すれば良いわけではありません。結果として、夫婦関係が破綻しているか、婚姻関係の継続が困難かどうか客観的に判断できることが重要なのです。

婚姻を継続しがたい重大な事由となった判例

実際に、婚姻を継続しがたい重大な事由を理由として離婚が成立した判例をまとめました。

結婚からずっと妻が夫との性交渉を拒否していた(平成3年3月)

結婚してから離婚が成立するまでの9か月間、妻が性交渉に異常な嫌悪感を示し、拒否し続けていました。そのことに夫が不満を持ち、話し合いを試みますが喧嘩となり、夫婦関係が破綻。その事実が証明され離婚が成立しました。
参照元:離婚と慰謝料|自由国民社

夫の暴力や暴言に耐え続けた妻(平成13年11月)

長期にわたり夫は妻に暴力を加え、さらには暴言を浴びせるなどの行為をしていました。その結果、妻は精神的に追い詰められ自殺未遂を繰り返します。この事実が裁判で証明され、婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚が成立しました。
参照元:神戸地方裁判所判決事例

夫の度重なる借金そして破産(平成16年8月)

結婚してから夫が借金を繰り返すようになり、妻は厳しい生活を強いられていました。最終的に、膨れ上がった借金は完済できずに破産、そのことが婚姻を継続しがたい重大な事由として認められ離婚が成立しました。
参照元:慰謝料算定の実務

婚姻を継続しがたい重大な事由を理由とした離婚請求の方法と流れ

離婚請求の流れや方法について確認していきましょう。具体的には以下のような手順で進めていきます。

1.協議離婚

夫婦間で話し合いの上、離婚の同意を得た結果離婚することを協議離婚と言います。二人で離婚届にサインをして役所へ提出すれば、手続き完了となります。

2.調停離婚

離婚協議では配偶者から離婚の同意が得られない場合は、離婚調停に発展します。家庭裁判所に「離婚調停の申し立て」を行うことで裁判所が間に入り、離婚が適切な判断かどうか審議してくれます。

ただし、裁判所で離婚が適切と判断しても、夫婦の同意がなければ離婚成立になりません。

3.裁判離婚

離婚協議や離婚調停で配偶者から離婚の了承を得られなかった場合、離婚裁判となります。家庭裁判所に「離婚訴訟の提起」を行い、その裁判に勝つことができれば、晴れて離婚成立です。

ちなみに離婚裁判は、原則として離婚調停を経てからでないと訴訟を起こせません。これを、調停前置主義と呼んでいます。

裁判で立証するために有効な証拠とは

婚姻を継続しがたい重大な事由を立証するために必要な証拠とは、一体どんなものでしょうか。具体例を以下にまとめました。

  • 配偶者の暴言や侮辱を記録したボイスレコーダー
  • 配偶者から暴力を受けたときの診断書
  • 夫婦の状況が細かく記された日記
  • 性格の不一致などにより婚姻関係が破綻していると伺わせる手紙やメール
  • 消費者金融からの借り入れ記録や借用書
  • 配偶者が身体的な重度の病気とわかる診断書 など

上記のような証拠があれば、婚姻を継続しがたい重大な事由を裁判で立証できる可能性が高まります。

まとめ

婚姻を継続しがたい重大な事由を理由に離婚する場合は、原因となった行為だけでなく、それにより夫婦関係が破綻したことも証明する必要があります。そして何よりも、婚姻関係の継続が困難であると裁判で判断してもらうことが大切と言えるでしょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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