暴力・差別・人格否定してくる「毒親」を子供は訴えられるのか?

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星野・長塚・木川法律事務所
木川 雅博
監修記事
暴力・差別・人格否定してくる「毒親」を子供は訴えられるのか?

最近、子供を劣悪な環境な育てる親のことを「毒親」と呼ぶようになりました。子供にとって「毒親」の存在は深刻な問題。

育ててくれる存在といえども、「逃れたい」と思ってしまうことでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、子供への暴力行為も増えていると言われる昨今。「毒親」から逃げるためにはどうしたら良いのか。

また、法的に訴えることは可能なのでしょうか? 星野・長塚・木川法律事務所の木川雅博弁護士に見解を伺いました。

木川弁護士:

「昨今、子どもに対して暴力または暴力以外の行為で苦痛を与え、ひいては子どもの健全な成長や人格形成に悪影響を及ぼす親を毒親と呼ぶことが増えています。

毒親には過干渉・人格否定・兄弟姉妹間の差別・育児放棄などの複数のタイプがあるようですが、今回はこのような毒親を法律で裁いたり、子どもが毒親を訴えたりすることはできるのか解説したいと思います」

児童相談所への相談・通告について

木川弁護士:

「毒親と呼ばれる親の行為はほとんどが虐待に当たり得ます。また、虐待に当たらなくても子どもが18歳未満の場合には児童相談所が相談窓口になりますし、身体的虐待でないときに『最初から児童相談所へ行くのはちょっと…」と思った場合は、親戚、学校、子どもの人権110番、その他地域の話をしやすい大人(地域には民生・児童委員もいます)への相談も有用な選択肢になります。

1回相談をしたからといってすぐさま児童相談所に連れていかれる(一時保護となる)というわけではありませんし、児童相談所も、子どもの属性・危険から逃れる能力の程度、保護に対する子ども本人の希望等を考慮して、次に何かあった場合の具体的なアドバイスをするにとどめる運用になっています」

毒親を訴えることもできるか?

木川弁護士:

「暴力を受け続けている場合はもちろん、本来子どもの財産となるべきものを使い込まれているなど、大人と同じように民事上の請求ができる場合には訴訟をすることも可能です。

ただし、未成年者は本人訴訟を行う能力がありません。そのため、親を訴えるには、未成年後見人または特別代理人を選任して、後見人または特別代理人が訴訟を行う必要があります

訴訟を起こすときは証拠(例えば暴力を受けたときの診断書、財産を使い込まれたときは自分名義の通帳のコピーなど)が必要なのは大人と変わらないので、訴訟をするときは後見人や特別代理人と打ち合わせで証拠を用意することになります」

毒親に育てられた子どもが自ら正しい判断ができるか

木川弁護士:

「法的には、上記のとおりの毒親に対する対抗手段があるのですが、現実的に子ども自ら児童相談所や親戚などの大人を頼って後見人選任の申立てなどを行うことは非常に困難です。

むしろ、子どもたちは毒親によって「自分たちが悪いことをするから親に怒られる」「ここまで育ててくれた親に逆らうことは許されない」と思い込んでしまっていることが大半です。

概ね高校生以上になって客観的には親のほうが悪いことがわかったとしても、金銭的、心情的に親を訴えたり児相に一時保護を求めたりすることまではできないでしょう。

少年事件や家事事件等を扱うと、毒親も毒親に育てられていたり、親戚との縁が希薄だったりして、毒親の子どもが頼れる大人が周りにいないことがほとんどです。

まずは、毒親の影響下、干渉下から逃れて毒親からの暴力その他ハラスメントが止めばよし、それでもなお毒親からの行為が止まない場合には、成長とともに経済的・肉体的・理論的な力を身につけ、もしものときは絶縁、訴訟、警察への通報も辞さないという態度になれるまで自信が付けばいいと思います。

その過程で、児童相談所、民生(児童)委員、弁護士、後見人や特別代理人に頼ることは、けしておかしなことではありませんね」

児童相談所や弁護士などに速やかに相談を

金銭や心情的な問題から「親を訴える」ことは難しいのが現状ですが、虐待に耐え続けることは得策ではありません。

信頼できる大人や児童相談所、弁護士などに被害を訴えるなどして相談し、まずは影響下から逃れることを考えましょう。

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この記事を監修した弁護士
星野・長塚・木川法律事務所
木川 雅博
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