危険ドラッグとは|症状や種類・関連する法律を解説

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
危険ドラッグとは|症状や種類・関連する法律を解説

危険ドラッグ(きけんどらっぐ)とは、化学物質を利用してつくられ、成分が違法薬物と似ていることから使用することは非常に危険とされています。

また、最近では危険ドラッグを指定薬物として規制する動きがみられており、指定薬物の定義に該当した場合は規制の対象となっています。指定薬物の定義は、医薬品医療機器法第2条第15項に規定されています。

第2条第15項 この法律で「指定薬物」とは、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。以下「精神毒性」という。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。

(引用元:医薬品医療機器法 第2条第15項)

合法ドラッグ、脱法ドラッグ、違法ドラッグと名前を変えていますが、法律に規制が無いというだけで危険なものということに変わりありません。販売される形状は1つではなく、粉末や液体などに分かれているため一見すると分かりづらいと言えるでしょう。また、販売の手法も変化していることで警察や周りの目を欺いていることも考えられています。

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危険ドラッグを使用すると…

危険ドラッグを使用すると…

「法に触れていないなら」と安易に手を出すことはやめましょう。危険ドラッグは新しく作られる成分が多いため、どのような症状が出るか分からないものが多く、大変危険です。一度の使用が、あなたの人生を滅茶苦茶にしてしまいかねません。

使用すると現れる症状

危険ドラッグを使用すると嘔吐や意識障害、幻覚障害などにより異常ともとれる行動を起こしてしまう例が報告されています。そのため、危険ドラッグを使用した本人が気づかぬうちに、犯罪を起こしてしまうということも考えられるのです。

とくに恐ろしいのが、新しい危険ドラッグが頻繁につくられるため、使用する薬の量や種類によって身体に出る症状が違うということでしょう。幻覚や幻聴などを思い浮かべる方も多いかと思いますが、それだけではなく嘔吐や意識障害など身体の不調が出る場合があります。病院へ運ばれた場合でも、危険ドラッグの成分を知ることが出来ないとなれば、適切な治療を行えない事態が発生するかもしれません。

薬物中毒によって引き起こされる症状や薬物依存について

危険ドラッグを継続的に使用していると中毒症状や依存症状に陥るおそれがあります。

一度使用して、いい気分を味わってしまうと、また同じ快感を欲して危険ドラッグや薬物に手を出してしまい、次はもっと強い刺激を求めてしまう…。そうしているうちに、耐性が出来た身体に対し薬物が効かなくなり使う量が増え、中毒症状や依存症状が出てくることが考えられます。

 

中毒症状

依存症状

期間

一時的

継続的

薬物が抜けると

回復へと向かう

薬物を欲した状態が続く

中毒症状は大まかに言ってしまうと一時的なものであり、使用した危険ドラッグが排出されるなどして体内からなくなれば治まるものとされています。しかし、毒を体内に入れていることには変わりません。

依存症とは、「その薬物を使用したい」と強い欲求を我慢できずに繰り返し使用してしまう上に、その衝動はどうしても自分では抑えることが出来ないといった状態のことです。

この状態は中毒症状とは違い継続的なものであるため、日常生活に影響するどころかあなたが今いる環境や築いた関係を壊しかねません。

治療にも時間がかかると言えるでしょう。病気と同じように、薬物依存も治るまでに要する時間は人それぞれと言えます。

最悪『死』に至ることも

危険ドラッグは成分に似せてつくられるという点で、違法薬物や規制されている物より強力で危険な可能性があります。日常的に使用することにより、体に異常をきたし最悪の場合は死に至ることがあります。

危険ドラッグを使用した人たちが死亡したとされるケースです。

「直接的な死因は明らかになっていない」とされていますが、危険ドラッグを使用した後に起こったということもあり、その毒性の強さから殺人ドラッグとも呼ばれることがあります。

危険ドラッグに限らず薬物に手を出すことは危険です。絶対に関わらないようにしましょう。

危険ドラッグの特徴

危険ドラッグの特徴

安易に入手できると言われる危険ドラッグ。意外と身近なものかもしれません。自分が買わなくても、友人や周りの人が手に入れたことで、あなたに勧めてくる可能性もあります。

使用しないためにも、危険ドラッグはどのような場所、どのような形で販売されているのか特徴についてお話します。

用途が偽られている

危険ドラッグは用途をバスソルトお香(ハーブ)アロマと偽られ販売されています。包んである外装も見栄え良く作られているため、デザインだけでは危険と感じにくいと言えるでしょう。

粉末(パウダー)液体(リキッド)乾燥させた状態で販売されるなど色や形状などに決まりはなく、最新のものであると見た目だけでは危険ドラッグと分からないものがあるため、もしも「危険ドラッグではないだろうか」と感じた時は下記のサイトの『薬物データベース』などをご参考ください。

掲載されていないものでも怪しいと感じた際には使用せず、公共機関に相談しましょう。相談口を下部の危険ドラッグに関した相談先3つでご紹介しています。

インターネットなどで販売されている

危険ドラッグの販売はインターネットの通販などを利用することにより手に入るケースが多いと言えるでしょう。以前は店舗での販売も行われていたようですが、摘発によって数が減っているようです。そのため、インターネットを通した通販サイトでの販売に移行していると言われています。

海外サーバーを使用し、支払いには仮想通貨を用いることで匿名化を図っている業者もあるようです。

通販サイト以外でも、新しい入手ルートとして民泊を使用し海外から危険ドラッグなどの薬物を受け取るといった例も報告されています。

『合法』と言われすすめられる

規制されていない物質や成分を使って作られているため、「法律に触れない」と言われすすめられることがあります。性行為を行う時に快感が増す、幸福感を味わえる、合法だから罪にならない等、あなたの興味を引くような言葉で使用をすすめられることもあるでしょう。

法律に触れない理由は『新しく作った成分』だからです。まだ規制されていないだけで、体内に入れればどのような症状を起こすか分かりません。デザイナードラッグという麻薬などの科学構造式を変えた物質により、違法薬物より危険なものを作りだしている可能性もあるため、決して安全とは言えないのです。

危険ドラッグに適用される刑罰

危険ドラッグに適用される刑罰

危険ドラッグは一時『合法ドラッグ』と言われていたように、法律に触れないとされていました。しかし、現在は取り締まりが強化され、医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)違反により所持、販売、使用などにはこちらが適用されます。

所持していたらどんな罪になるのか

危険ドラッグの所持をしていた場合、医薬品医療機器法第76条の4に該当します。

第76条の4 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。

(引用元:医薬品医療機器法 第76条の4)

第76条の4に該当した場合、実刑判決が言い渡されると3年以下の懲役、300万円以下の罰金という刑罰が適用されます。刑罰については、医薬品医療機器法第84条の26に定められています。

第84条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1~25 省略

26 第七十六条の四の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)

(引用元:医薬品医療機器法 第84条)

このように、所持していただけでも3年以下の懲役、300万円以下の罰金という罰則が言い渡されることが考えられます。

販売するとどんな罪になるのか

危険ドラッグを所持していた場合のみと、販売するために所持していた場合や販売行為を行った場合では刑罰の内容が変わります。指定薬物の販売に関する刑罰は重く、危険ドラッグにこの指定薬物が入っていればほかの刑罰よりも重い罰が言い渡されることがあります。

医療品の販売に関する違反と、危険ドラッグ販売での違反を比較してみましょう。

医薬品販売に違反したとき

まず、例として医療薬や医薬品との比較を挙げてみましょう。この場合、販売を行うには各都道府県知事の許可が必要です。これは医薬品医療機器法第26条によって定められています。

第26条 店舗販売業の許可は、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事(その店舗の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。次項及び第二十八条第三項において同じ。)が与える。

(引用元:医薬品医療機器法 第26条)

医療薬が都道府県の許可が無い店などで売られていた場合、医薬品医療機器法違反となります。さらに、許可なく販売することを医薬品医療機器法第24条では違反と定めています。

第24条 薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。

(引用元:医薬品医療機器法 第24条)

上記に違反すると、第84条に該当し以下の罰則が言い渡されることがあります。

第84条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1~8 省略

9 第二十四条第一項の規定に違反した者

(引用元:医薬品医療機器法 第84条の9)

危険ドラッグ(指定薬物)の販売のとき

危険ドラッグを営利目的で販売した場合は医薬品医療機器法第83条の9に該当し、刑罰を5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金と定めています。

第83条の9 第七十六条の四の規定に違反して、業として、指定薬物を製造し、輸入し、販売し、若しくは授与した者又は指定薬物を所持した者(販売又は授与の目的で貯蔵し、又は陳列した者に限る。)は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

(引用元:医薬品医療機器法 第83条の9)

このように、指定薬物が含まれている危険ドラッグを販売、営利目的で所持していた場合は刑罰が重くなります。

使用するとどんな罪になるのか

危険ドラッグを使用すると、医薬品医療機器法第76条の4に該当するため、3年以下の懲役、300万円以下の罰金という罰則になっています。

ですが、使用した状態で車などを運転したりすれば、危険運転致死傷罪が成立することがあるため必ず上記の罰則が適用されるとは言えません。

『包括指定』とは?

包括指定とは、薬事法によって指定された薬物(指定薬物)の成分に似た構造を持つ薬物を規制できる制度のことを指します。規制の対象外だったとしても、有害性が認められれば指定薬物として規制の対象にできるというものです。

この包括指定によって、今まで構造が似ているだけで対象にできなかった危険ドラックの規制が行えるようになり、指定薬物の幅が広がったと言えるでしょう。

危険ドラッグに関する事件

危険ドラッグに関する事件

危険ドラッグによって起こった事件はニュースなどで耳にする機会は多いかと思います。ここでは危険ドラッグによって起こった事件を3つご紹介いたします。

危険ドラッグを使用後に車を運転、死傷者を出した極めて悪質な事件

危険ドラッグを使用して車を運転したことにより、池袋駅周辺で7名をはね、男女6人が重軽傷、死者1名を出した極めて悪質な事件と言えるでしょう。

裁判長は、危険ドラッグ使用によって正常な判断が出来ないことや、それによって運転に支障が出ると被告人は認識していたと指摘。車を『走る凶器』と表現し、懲役8年の実刑判決を被告人に言い渡しました。

過去最大量の押収量とされる危険ドラック

約185キロの危険ドラッグを保管していたとして、医薬品医療機器法違反により逮捕者が出ました。この185キロという量は過去最大量の押収量と言われており、金額に換算すると末端価格36億円相当と言われています。

危険ドラッグ所持の疑いで会社員を逮捕

トラブルになっていると通報を受けた警察が駆け付けた先で男に職務質問をしたところ、鞄の中に危険ドラッグを発見。危険ドラッグ以外にも指定薬物を所持していました。警察は男性を医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕したということです。

危険ドラッグに関した相談先3つ

「友人が危険ドラッグを使用している」「使用を止めたいがどうしたらいいか分からない」といった悩みは、どうしても相談しづらいですよね。危険ドラッグによって犯罪を起こしてしまえば、取返しのつかない事態になってしまうかもしれません。危険ドラッグに手を出してしまった場合などは一人で抱えこまず、相談してみることも1つの解決への方法です。ここでは、相談できる機関を3つご紹介します。

一般法人 偽造医薬品等情報センター

まず、紹介できるものとして偽造医薬品等情報センターが挙げられるでしょう。偽造医薬品等情報センターとは、厚生労働省の委託により活動している一般社団法人です。医薬品に関する不正・偽造の情報を集めるなどし、インターネット上で公開しています。

偽造医薬品等情報センターが公開している『あやしいヤクブツ連絡ネット』では薬物に関する相談を受け付けていますが、受付時間があるため注意が必要です。

電話番号

03-5542-1865

受付時間

月曜日~金曜日(土・日・祝除く)
9:30~16:00

東京都福祉保健局薬務課・各都道府県薬務課の相談窓口

東京都福祉保健局とは、東京都が運営している知事部局のことです。

東京都福祉保健局の薬務課では危険ドラッグや薬物乱用の危険性を訴え、被害の未然防止などの取り組みを行っています。また、薬物に関して窓口を設けており、電話やメールでの相談を受け付けています。

東京都福祉保健局薬務課

電話番号

03-5320-4515

メールアドレス

S0000607(at)section.metro.tokyo.jp

各都道府県の相談窓口

東京都以外にも全国に相談窓口があるため、お住まい近くの相談所のご相談することも可能です。

東京都福祉保健局HPの『他都道府県の相談窓口』からご確認ください。

厚生労働省

厚生労働省でも全国に窓口を設けており、薬物や危険ドラッグの相談を受け付けています。

相談窓口の電話番号については、厚生労働省のホームページをご覧ください。>

また、親族が薬物を使用してしまった方へ向けたものとして以下のようなものがあります。

自立支援などの手助けをするための精神保健福祉センター

・悩みを持った家族たちが相談し合う家族会

まとめ

危険ドラッグを使用することにより、高い確率で他人を巻き込んだ事件を起こしてしまうといえるでしょう。もしかしたらあなたの友人や知人が被害者となってしまうかもしれません。絶対に使用することはやめましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

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