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KL2020・OD・037
懲役(ちょうえき)とは、有罪判決を受けた受刑者を、刑務所や拘置所などの刑事施設に拘置し、労役に服させる刑罰で自由刑のひとつです。
(懲役)
第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。
引用元:刑法第十二条
日本にある刑罰のひとつで、自由を奪うことから“自由刑”とされています。
この記事ではよく聞く懲役について、懲役とは何なのか、他の刑罰と比較しつつ、次の4点について解説していきましょう。
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目次
懲役とは、有罪判決を受けた受刑者を刑務所や拘置所などの刑事施設に拘置し、刑務作業を行わせる刑罰です。
日本で一番重い刑罰は言わずと知れた“死刑”で、命をもって償う“生命刑”です。その次に重い刑罰が無期懲役です。
生命刑 |
死刑 |
命をもって償う |
自由刑 |
懲役 |
刑事施設に収監し、刑務作業を行わせる 無期と有期がある |
禁錮 |
刑事施設に収監され拘置される 無期と有期がある |
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拘留 |
禁錮より短い期間1日以上30日未満の範囲で刑事施設に収監される |
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罰金 |
罰金 |
強制的に金銭を徴収する刑罰 |
科料 |
罰金より少ない額だが金銭を徴収する刑罰 |
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付加刑 |
没収 |
犯罪に関連するものや、犯罪で得たものを国が没収する刑罰 |
ここでは“自由刑”のひとつである懲役の概要について解説していきましょう。
懲役は自由刑のひとつ。他にも自由を制限する『禁錮』と『拘留』があります。
懲役には服役期間の定められている有期懲役と、期間の定められていない無期懲役があります。
有期懲役は、刑事事件の裁判で裁判長が『懲役3年に処する』と宣告し、これが確定した場合、被告人は3年間刑務所で刑務作業を行うことになります。
一方、無期懲役は懲役期間が定められていませんので、いつまで刑事収容施設に収容されるか確定していません。
しかし、アメリカなどにある『終身刑』とは異なり、一生刑務所に収容されることを意味するものではありません。
懲役には3つの目的・役割があります。
罪を犯した者を隔離することで、社会の秩序や安全性を保ちます。それと同時に、加害者が被害者へ報復を行うことを防止します。
身体拘束により自由を奪うことで、犯罪に対する代償を科し、再犯防止や犯罪抑止させる効果があります。
これは懲役だけではなく、刑罰全体の目的でもあると考えられるでしょう。
罪を犯せば刑罰を科されるという規定は、社会全体で共有し、犯罪が少ない秩序だった社会を実現しようとしています。
刑事施設に収監し、強制労働を科すことで、苦痛により再犯防止、集団生活の中で生活習慣の健全化、職業訓練により社会復帰を促すなどの効果が期待できます。
受刑者が刑務所で科されている刑務作業には大きく4つの種類に分かれます。
刑務作業 |
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生産作業 |
刑務所・拘置所で企画して生産する作業 (靴、鞄など) |
外部受託作業:外部の業者から受託され生産する作業 ・検品 ・紙袋の作製 |
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社会貢献作業 |
更生や社会復帰に繋がる作業を無償で実施 通学路の除雪、植木保全の除草作業 |
自営作業 |
刑務所の運営に必要な作業 経理作業:炊事・洗濯・清掃 |
営繕作業:施設の改修など直営工場に必要な作業 |
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職業訓練 |
免許・資格の習得 技能の修得の訓練 溶接、フォークリフト、情報処理技術、電気通信設備、理容、美容、介護福祉、自動車整備士、建設機械オペレータなど52種目 |
生産作業・自営作業、無償で行う社会貢献作業、そして資格の習得です。
刑務作業は原則として1日8時間を超えない範囲、お休みは土日祝日と定められており、作業時間は午前7時30分~40分頃から午後4時30分頃までとなっています。
その他定期的に強制指導が行われる日もあります。また、刑務作業を行った受刑者には作業報奨金が支給されます。
刑務作業を行った受刑者に支給されるのが作業報奨金です。
作業報奨金は労働に対する対価ではありませんが、作業報奨金があることで服役中や出所後の資金となり、再犯防止にもつながります。
1日8時間以内で土日祝日休み、作業報奨金まで支給されるなんて、ブラック企業よりもはるかに良心的だと感じられるかもしれません。
しかし法務省によりますと、2015(平成27)年度の作業報奨金1人1ヶ月あたりの平均金額は約5,317円となっています。
月の労働時間が160時間とした場合、時給は約33円です。
一律時給33円というわけではなく、1~10までランク分けされた“等工”によって作業報奨金が異なります。
岡山刑務所で実際に支給されている作業報奨金は、一番低い10等工だと1ヶ月832円、一番高い1等工では1ヶ月2万3千円だそうです。
10等工では時給約5円、1等工でも時給約140円、年間で27万円にしかなりません。
収監されたばかりの受刑者は10等工からスタートしますが、1等工に上がるまでには2年~3年かかるといわれていますし、途中で刑務所内の規定に違反して懲罰を受ければ降格させられることもあります。
また、刑務所では一見金銭が不要のように思われるかもしれませんが、支給されるトイレットペーパーや石鹸は量が少なく、金銭で購入しなければなりません。
書籍の購入なども自費となるため、刑務所であってもお金は必要なのです。
前述した通り、懲役には服役期間が定められている有期懲役と、期間が定められていない無期懲役があります。
ここでは有期懲役の上限と、無期懲役について解説していきましょう。
懲役には期間が定められており、無期懲役とされない限りはこの期間が定められた有期懲役を指します。
条文には2種類の表記があり、“○年以下の懲役刑”というものと、“○年以上の有期懲役”とするものがあります。
前者は懲役期間が最大でも○年という意味であり、後者は最も軽くても○年以上の懲役となるという意味です。
なお、有期懲役は最大20年とされていますので、例えば3年以上の有期懲役という法定刑は3年~20年の範囲内で量刑が決せられるということです。
(懲役)
第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる
引用元:刑法 第12条
しかし、例外もあります。下記で解説します。
有期懲役の上限は20年ですが、例外があります。
2つ以上の犯罪が併合された場合、法定刑の上限は2つの犯罪を合算したものとなります(最大長期1.5倍)。このような場合に有期懲役の上限が30年となることがあります。
また、死刑や無期懲役を減刑して有期懲役とする場合も懲役刑の長期上限は30年となります。
(有期の懲役及び禁錮の加減の限度)
第十四条 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。
2 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。
引用元:刑法 第14条
(併合罪)
第四十五条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
引用元:刑法 45条
仮に複数の罪で起訴されていても、別の罪の判決が下され刑が確定している場合、併合罪とはされず、有期懲役の上限が30年を超えるケースがあります。
例えば2011年に9件の強姦罪致傷罪(現:強制性交等致傷罪)、3件の強盗罪、1件の窃盗罪に問われた被告人には懲役50年の判決が下されています。
被告人は、2009年にも別の窃盗事件で既に有罪となっており、上記の罪を併合することが法律上不可能でした。
結果それぞれに判決を言い渡したために懲役50年となったのです。
ただ、これは極めて特殊なケースであり、通常このような刑が求刑されたり言い渡されたりすることはありません。
【参考元】日本の裁判所で性犯罪について求刑60年に対して懲役50年の判決下る
無期懲役は、服役の満了期間が定められていない懲役で、日本では死刑の次に重い罪とされています。
無期と聞くと生涯服役し続けるように思われるかもしれませんが、服役の満了期間が定められていないというだけで、一生涯刑務所に収監される終身刑とは異なります(日本には終身刑はありません)。
一定期間服役をすると、受刑者の社会復帰を促すために、社会生活を営みながら残りの刑期をまっとうする仮釈放制度が認められるからです。
日本の無期懲役は有期懲役に対し、相対的に“無期”であるといわれています。
前述した仮釈放は、受刑者が残りの刑期を、社会生活を営みながらまっとうする制度ですが、仮釈放が行われたからと言って、刑期満了を意味するものではありません。
無期懲役は、法律上10年の服役で仮釈放制度の対象となりますが、実務上30年以上服役しなければ仮釈放が認められることはほぼないそうです。
また、たとえ無期懲役で仮釈放されても保護観察処分は続くようであり、基本的には生涯、遵守事項を守りながら制限された生活をおくらなければならないこともあるそうです。
したがって、仮釈放はあくまで仮の手続きであって、刑の終了を意味しているわけではないのです。
このような実務の取扱いを踏まえた場合、服役した囚人の年齢が高ければ高いほど、無期懲役の場合に生きている間に仮釈放を期待できない(実質的に一生涯を刑務所で過ごすようになる)ということが言えると思います。
日本には終身刑はありません。
終身刑は服役の満了期間が定められていないのではなく、生涯服役する刑罰で、死刑制度のない国や、アメリカの一部の州などで導入されています。
終身刑にも種類があり、仮釈放が認められる相対的終身刑と、認められず文字通り一生涯出所することが叶わない絶対的終身刑があります。
日本の無期懲役は終身刑ではありませんが、実態としては相対的終身刑と似ています。
ここでは懲役と禁錮の違いから、執行猶予・実刑とは何なのか解説していきましょう。
懲役は刑務所に収監し、刑務作業を科すもので1ヶ月以上20年以下とされています。
禁錮刑も懲役刑と同じ自由刑の一種です。ただ、懲役刑が刑務作業を義務付けられるのに対し、禁固刑はこれを義務付けられることはありません。
禁錮刑の受刑者は生活場所が刑事収容施設に限定されますが、それ以外に特に制約を受けることはなく、刑務作業も自分が行いたい時に行えばよいとされています。
そのため、禁錮刑は懲役刑よりも受刑者に認められた自由の程度が大きく、法律上は懲役刑よりも軽い刑罰とされています。
禁固刑が下されるのは、懲役とするほど重大な事件ではないが、罰金とするには軽すぎるという微妙な事案であるため、日本の裁判で禁固刑が下されるというケースはそれほど多くありません。
(禁錮)
第十三条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、一月以上二十年以下とする。
2 禁錮は、刑事施設に拘置する。
引用元:刑法 第13条
(刑の種類)
第十条 主刑の軽重は、前条に規定する順序による。ただし、無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも、禁錮を重い刑とする。
引用元:刑法 第10条
執行猶予とは、一定期間の間再犯行為に及ばないことを条件として刑の執行を免除する制度です。
例えば懲役2年とされても、執行猶予が3年ついた場合、3年間犯罪を起こすことなくおとなしく過ごしていれば、懲役2年の刑は執行されないというものです。
そのため、執行猶予がつけばとりあえずは刑務所に収監される事態は回避することができます。
他方、執行猶予の付かない懲役・禁固刑を『実刑」と呼びます。実刑判決が確定すれば被告人は刑務所に収監され、服役することになります。
前述した通り、無期懲役であっても法律上は10年服役をすれば仮釈放の対象となります。
しかし、実務上は30年以上服役しても無期懲役について仮釈放が認められるケースは稀のようです。
2017(平成29)年度版の犯罪白書によりますと、2016(平成28)年の仮釈放率は57.9%でした。
その仮釈放が認められた受刑者の47%が刑期の80%以上を服役しています。
無期懲役では、無期懲役の受刑者1,815名のうち、新たに仮釈放を認められたのはたったの7名、うち6名の服役期間は30年以上です。
この数字を見ても無期懲役となった場合は仮釈放が認められることが極めて少ないということがよく分かります。
なお、平成29年度の犯罪白書の情報では、無期受刑者のまま刑務所で死亡した受刑者は27名とのことでした。
無期懲役となった場合、一生涯を刑務所で過ごすことになる可能性が相当高いことがよく分かります。
ここでは懲役の問題点について解説していきます。
近年高齢化が問題となっていますが、刑務所も例外ではありません。2017(平成29)年度版の犯罪白書による“高齢者の入所受刑者の人員の推移”が下記です。
引用元:法務省|平成29年度版 犯罪白書 第4編 各種犯罪の動向と各種犯罪者の処遇 第8章 高齢者犯罪 第2節処遇 2矯正
ご覧の通り受刑者の高齢者率は、1997(平成9)年の2.6%から、28年には12.2%と10%近く上昇していることがわかります。
また高齢者は再犯率も高く、28年の再入者率は70.2%となっています。
これに対し政府は再犯防止が急務とし、2017(平成29)年に“再犯防止推進計画”をまとめました。
仮釈放制度が存在をしていても、実際仮釈放の対象となるのは刑期の8割を服役した受刑者で、仮釈放されるときには身寄りがいない受刑者もいるでしょう。
満期で出所しても居場所がない、受け入れる施設がない、働くことができない、貧困、頼れる人もいないために再犯を起こし“リピーター”となってしまっている背景があります。
引用元:法務省|平成29年度版 犯罪白書 第4編 各種犯罪の動向と各種犯罪者の処遇 第8章 高齢者犯罪 第2節処遇 2矯正
入所受刑者の大半が窃盗罪で入所していますが、再犯率が70%であることを考えれば、窃盗は手軽な方法であると言えるでしょう。
刑務所の高齢化に関しては再犯防止だけではなく、バリアフリー化や医師の充実、認知症対策も急務となっています。
懲役で服役期間が長引けば長引くほど、仮釈放を受けても社会復帰が困難になることが考えられます。
前科は一般人に知られることはありませんが、履歴書に空白期間があることは再就職にあたり不利に働くことがあるでしょう。
また長期服役し、やっと仮釈放のチャンスを得ても、出所時には高齢になっていて、就職ができない、身寄りがないなどの理由で再犯を起こしてしまうケースもあります。
更生を促すための懲役刑ですが、社会と隔離することでかえって社会になじめなくなってしまうデメリットがあるのです。
集団生活の中で生活習慣を健全化し、更生に向けて取り組む、あるいは社会の秩序を保つためにも、懲役刑が果たしている役割は大きいのではないでしょうか。
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