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KL2020・OD・037
平成21年以降、高齢者をターゲットにした詐欺が増えています。警察庁の統計によると、平成27年の特殊詐欺の認知件数は13,824件で、被害総額は482億円にのぼるそうです。さらに、被害者の内77%が高齢者となっています。
引用元:警察庁|特殊詐欺の認知状況
判断力が鈍り、孤独を感じている高齢者を詐欺から守るには、家族や周囲のサポートが必要不可欠です。
今回は、高齢者を狙った詐欺の手口と被害の事例、高齢者がターゲットになる理由と被害に遭った際の対象法や詐欺被害を未然に防ぐ方法をご説明します。
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ここでは、詐欺師がどのような手口で高齢者を騙していくのかを見ていきましょう。
振り込め詐欺とは、電話などで被害者を騙し、お金を指定の口座に振り込ませる詐欺のことを言います。自分の家族の声を聞き間違えるわけないと思うかもしれませんが、手口が年々巧妙になっており、見抜けない人も増えています。
振り込め詐欺には複数の詐欺師が登場します。例えば、息子が痴漢で捕まった設定だとすると、少なくとも
の4人が登場します。さらに、息子が電話で喋る時間はごく僅かなうえ、泣きじゃくる演技をしているのでなかなか本人確認ができません。こうした詐欺は「オレオレ詐欺」「劇場型詐欺」とも呼ばれています。
リフォーム詐欺とは、「無料で家屋の点検をしています」と言い家に侵入し、「シロアリに土台が食われていて家が崩壊しそう」などと嘘の報告で恐怖心を煽り、必要のない工事をしてお金をだまし取る詐欺のことを言います。
高齢者がターゲットにして合法に不要な物(高級布団など)を売りつける詐欺まがいのトラブルもあります。高齢者が納得しているだけに詐欺扱いできるかどうかも怪しいという点で厄介な手口です。
一度引っかかると、何度もカモにされます。同じ商品を何回も購入してしまったり、他の業者に個人情報を売られて別の商品を買わされたりしてしまいます。
では、どうやって不要な商品を売りつけるのでしょうか?
詐欺師は、まずは高齢者の庭の手入れや靴磨き、家の周りの掃除などをさり気なくして最初のきっかけを作ります。
孤独で寂しい思いをしている老人は多く、ここで親切に接することでまずは信用を得ます。
充分に仲良くなったところで、商品を売りつけますが、高齢者本人は騙されているとは思わないので、久しぶりに会いに来た家族が商品の山を見て気づくパターンも多いようです。
高齢者を狙った詐欺には、布団販売や廃品回収サービス、消化器販売など多くのやり方があります。ここでは、その例を見ていきましょう。
突然「布団を見せてほしい」と女性が訪問し、家に上がり「汚れているし体に悪いので新しく購入したほうがいい」としつこく勧めてきた。断って帰ってもらったが、しばらくして男性と一緒に羽毛布団を持ってきた。断っても「ひと月1万円の支払いだから大丈夫」などと勧誘され、根負けして承諾してしまった。クレジット会社の書類を書くときに初めて、総額が約40万円と高額であることを知った。解約したい。(当事者:70歳代 男性)
市役所から「4年分の医療費の還付金が2万円ほどある」と電話があった。「手続きは今日中だが、取引銀行はどこか」と聞かれたので答えると、銀行から電話をさせると言って切れた。すぐに銀行から電話があり、家の近くのATMで待ち合わせることとなった。しかし、ATMに行くと、「急用で行けない。これから電話で手続きを案内する」と言われ、指示通りにATMを操作した。その後すぐ通帳を見ると100万円近く引き出されていた。(70歳代 女性)
パソコンで動画を見ていたら、突然警告音が鳴り出し、止まらなくなった。パニック状態になり、画面に出ていた「対策をする」という表示のあった電話番号に連絡してしまった。電話の相手が、1万円ほど払えば音を消してくれると言うので、仕方なくお願いし、クレジットカード番号を教えた。相手の指示に従いパソコンを操作した後、遠隔操作により警告音と画面は消えたが、不審である。(60歳代 男性)
これらの事例のように、詐欺というのはいつ遭うかわからないものです。冷静な判断力を奪ったうえで急いで誤った対応をさせ、お金を騙し取ります。
自分だけは詐欺に合わないだろうと根拠のない過信をしている人ほど無警戒のため騙しやすいのだと覚えておきたいところです。
高齢者はお金を持っているうえに判断力が低下しており、さらに孤独につけ込みやすいため詐欺師のいいカモにされやすくなっています。
高齢者に限りませんが、詐欺に遭う人はまさか自分が騙されるとは思ってもいなかったことでしょう。「自分は大丈夫だ。」という根拠のない自身を持っていると付け込まれる原因になります。詐欺の手口は年々巧妙になっていくにも関わらず、一般人の多くは詐欺の手口や人を騙す戦略、騙される側の心理について何も知りません。丸腰でいるのに自分は大丈夫だとは思わないことです。
若い頃と比べるとどうしても肉体、判断力ともに衰えていきます。認知症を患った老人が、同じ商品を何度も買わされることもあり、家族のサポートが必須と言えるでしょう。
これが大きいのではないでしょうか。普段話し相手がいないと、少し親切にされると自分の事をどんどん話したくなります。親身に話を聞いてもらえれば、相手の事を何も知らないにも関わらず信用してしまうものです。
ここでは、身内の高齢者の方が詐欺にあった場合の対処法をお話していきます。
申込書面または契約書面を受け取ってから8日以内であれば、クーリングオフ制度を利用できます。
以下のようにハガキに記入し、両面をコピーしたうえで、簡易書留や特定記録郵便を使い販売元に送りましょう。
どうしていいかわからない場合は、まず警察に通報して指示を仰ぐといいでしょう。
特に、銀行口座にお金を振り込んでしまった場合は、警察と銀行に連絡をすることで、加害者の口座を凍結できる場合があります。
消費者生活センターに連絡すると、消費者被害に詳しい相談員が相談に乗ってくれます。高齢者詐欺の相談にも乗ってくれますので、まずは連絡してみるといいでしょう。
クーリングオフ期間が過ぎていたり、警察や消費者生活センターの対応だけではどうしようもない場合は、消費者被害に強い弁護士に相談することで、支払ったお金を取り戻せる場合があります。ただし、お金がかかるので、まずは他の方法から試すのが良いでしょう。
できれば、被害にあってからではなく未然に対策をしておきたいものです。というのも、相手はもともとお金を騙し取る目的なので、奪い返すには相応の時間と費用がかかる場合も少なくないからです。
住所を特定できなければ自費で探さねばなりませんし、見つかったとしても詐欺師に支払えるだけのお金がなければお金は帰ってきません。ここでは、高齢者を狙う詐欺を未然に防ぐ方法をお伝えしていきます。
お伝えのように、高齢者が詐欺被害に遭ってしまう要因として、寂しさを埋めてくれる詐欺師に騙されるということも多いです。普段から顔を見る機会を多くしておけば、詐欺師が勧誘してきても家族に相談してくれるでしょうし、もし、不用品を買わされてもすぐに気づけるので、クーリングオフできる可能性が高くなります。
独居の高齢者は、孤独な上に周囲のサポートを得にくいため一番ターゲットになりやすいと考えることもできます。できれば、一緒に住んだり近くに引っ越してもらったりしたほうが詐欺被害に遭っても早期に発見できるでしょう。
家に高齢者が一人で残らなくてはならない場合は、留守電に設定して相手が誰かわかってからかけ直す設定にするといいでしょう。本当に身内からの電話なのか、そうでないかをゆっくり冷静に確認できます。
同じように、インターホンを切っておくことで、訪問販売に不用品を売りつけられずに済みます。詐欺師は警察や銀行員などの服装を真似て被害者を騙すこともあるので、そもそも高齢者が玄関を開けないことが重要になってきます。
成年後見制度とは、判断力が低下した老人の代わりに成年後見人が契約や資産管理を代行する制度のことです。後見人が契約を代理するので、ここまでで説明してきた手口に高齢者が遭うのを未然に防げます。
判断力が低下し、孤独に付け込まれやすい高齢者を詐欺から守るには、周囲のサポートが必須です。未然に被害を防げるよう、ご家族と話し合ってみて下さい。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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