クレジットカード現金化の違法性と知っておくべき4つのリスク

( 1件 )
分かりやすさ
役に立った
この記事を評価する
この記事を評価しませんか?
分かりやすさ
役に立った
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
クレジットカード現金化の違法性と知っておくべき4つのリスク

クレジットカード現金化は違法とまではいいきれないものの、カード会社の規約で禁止されています。ショッピング枠の現金化が発覚した場合はカードが利用できなくなり、残高を一括請求されます。さらに、破産法に引っかかるので自己破産しても借金は残ります。

このページでは、クレジットカード現金化が違法かどうかに触れたうえで、クレジットカード現金化のリスクについてお話していきます。

クレジットカード現金化は違法とまでは言い切れないがカード会社の会員規約に反している

クレジットカード現金化は法的に規制されてはいないものの、クレジットカード会社の規約で禁止されています。ここでは、違法とまではいえない理由とクレジットカード会社がなぜ禁止しているのかについて見ていきましょう。

クレジットカード現金化が違法とまでは言えない理由

クレジットカード現金化は個人の返済能力を超えてショッピング枠を現金化できるのに、違法といいきれない理由は、賃金業法という法律が関係してきます。賃金業法には、消費者と業者間のお金の貸し借りであれば、年収の1/3までしか借りられない、年利の上限が20%といった規制があります。

利息制限法

(利息の制限)

第一条  金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

一  元本の額が十万円未満の場合 年二割

二  元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分

三  元本の額が百万円以上の場合 年一割五分

引用元: 利息制限法第一条

しかし、クレジットカード現金化業者は商品売買の形態をとっているため賃金業法で規制できません。「公安委員会の許可を得ています」とHPに記載している業者がありますが、あくまで古物商の許可を受けているだけであって、違法性ゼロで100%安心安全というわけではありません。

ショッピング枠現金化が禁止されている理由は

ショッピング枠を現金化すると、個人の返済能力を超えて借金ができるのでクレジットカード会社が貸したお金を回収できないリスクがあります。

クレジットカードにはキャッシング枠とショッピング枠があります。本来お金を借りる目的であればキャッシング枠を利用しますが、先にも触れたように賃金業法によって年収の1/3までしか借りられません。

もうキャッシング枠が限度いっぱいで借りるアテがなくなった人が最後に行き着く先の一つにクレジットカード現金化がありますが、返済能力を超えているので返せなくなることも少なくありません。

クレジットカード現金化を利用することのリスク

カード会社にクレジットカードを現金化したことがバレると、カードを利用停止にされ、利用残高を一括で請求される恐れがあります。また、現金化に応じる業者には、悪質な業者が多く現金が振り込まれなかったり、個人情報を悪用されたりするリスクもあります。

クレジットカードが利用できなくなる可能性がある

ショッピング枠の現金化は多重債務を助長させるのでカード会社は禁止しています。クレジットカードを現金化したことがカード会社に発覚すると、クレジットカードが利用停止になります。

例えば、アコムの会員規約では次のような表記があります。

【ショッピング条項】

第32条(ショッピング等の利用)

5.本条第1項の規定にかかわらず、会員は、現金化を目的としたショッピング等の利用はできないものとします。

引用元:AC会員規約

解約させられた場合、利用金額の一括返済を求められるため、カードでこれまで借りてきたお金がいきなり全額のしかかってきます。

自己破産しても借金が残る可能性がある

一括返済を求められても当然簡単には支払えないと思います。最終手段として自己破産という手がありますが、クレジットカード現金化を利用していると自己破産しても借金を帳消しにできないことがあります。

第二百五十二条  裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

二  破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。

引用元:破産法 第二百五十二条二項

クレジットカード現金化は、「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと」に当てはまるため、借金から逃げ切る最後の手段がなくなってしまいます。

悪徳業者も多く、金銭をだまし取られるリスクがある

貸金業者には悪徳業者も多く存在することも事実で、換金率90%を謳っていたのに、10万円分買い物をしたら7万円しか受け取れなかったということもあります。さらに運が悪ければ、現金が振り込まれず負債だけが残るケースもあります。

個人情報流出のおそれがある

クレジットカード現金化を利用する際に、メールアドレスや電話番号、クレジットカードや運転免許証の画像などを相手に提示せねばなりません。現金化の業者のセキュリティが不十分で個人情報が流出することもありますし、その業者が悪徳業者の場合は、あなたの個人情報を売却されることもあります。

迷惑メールが届いたり、不審者から電話がかかってきたりする他、知らない間に個人情報を利用されて犯罪に巻き込まれるリスクもあります。

クレジットカード現金化で罰則を受けた業者の例

クレジットカード現金化で罰則を受けた業者の例

クレジットカード現金化業者が初めて逮捕されたのは2011年。事実上の金融業者であるとして、賃金業法違反の疑いで摘発されたようです。買い取り方式の現金化業者が金融業として認定された初の事例です。なお、利用者が逮捕された事例はまだありません。

クレジットカード現金化は得なのか?

・現金がすぐに振り込まれる

・キャッシング枠の限度を超えて借金できる

この2点を除けばクレジットカード現金化を利用する旨味は少ないでしょう。20万円以下の換金率相場が80%で、分割払いやリボ払いをすると金利がさらに上乗せされます。

換金率は金額が少ないほど高くなる

換金率の相場は80%~95%で、現金化する金額が少ないほど換金率が高くなっていきます。一方消費者金融の金利は3%~18%です。さらに利息制限法という法律があり、闇金を利用しない限り金利は20%を超えることはありません。

利息制限法

(利息の制限)

第一条  金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

一  元本の額が十万円未満の場合 年二割

二  元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分

三  元本の額が百万円以上の場合 年一割五分

引用元: 利息制限法第一条

ここまで見た限り、クレジットカード現金化業者も消費者金融も負担はあまり変わらないように感じるかもしれませんが、クレジットカード現金化には上記で述べたリスクがあることを忘れてはいけません。

分割払いやリボ払いにした場合、さらに利息がかかる

キャッシング枠を使わないぐらいですから、利用額を一括で返そうとする人は少ないでしょう。その場合、分割払いやリボ払いで支払うことになります。そうなると毎月利息が発生してくるので、決して得とは言えません。

クレジットカード現金化以外の選択肢は

クレジットカード現金化は得ではないことがわかりました。では、現金を用意するにはどんな選択肢があるのでしょうか。

・日雇いのバイトをする

・知り合いに借りる

・キャッシング枠を利用する

・中小の消費者金融から借りる

必要な額が比較的少額であれば、日雇いのバイトをしたり知り合いから借りたりするといいでしょう。カード利用停止のリスクを避けるためにも、キャッシング枠から使っていくのが良さそうです。

消費者金融へ行っても融資を断られた人は大手ではなく中小の消費者金融へ行ってみましょう。大手で融資を断られ他人にもお金を貸してくれる場合があります。年利はどんなに高くても20%ですから、比較的安全に利用できます。

まとめ

クレジットカード現金化は現状では違法とまでは言い切れません。しかし、個人の返済能力を超えた借金ができるため、多重債務や不払いを助長します。利用者が逮捕された事例はありませんが、上記で述べたリスクを考えるとあまりおすすめできない方法ではあります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

数十万~数百万の弁護士費用、用意できますか?

決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

Cta_merci

離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。

【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】

  • 保険料は1日あたり約96円
  • 通算支払限度額1,000万円
  • 追加保険料0円で家族も補償

保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。

ベンナビ弁護士保険に無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

この記事を見た人におすすめの記事

new消費者被害の新着コラム

もっと見る

消費者被害の人気コラム

もっと見る

消費者被害の関連コラム

編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
 詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。