不当解雇された時の5つの相談先と相談事例、対処手順まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
不当解雇された時の5つの相談先と相談事例、対処手順まとめ

不当解雇などにあった際、どこ相談すればいいのか、これからどうなるのかということが不安になると思います。

不当解雇は、解雇の撤回を求めたり解雇によって発生した損害の賠償請求することができます。不当な解雇にあった際は、落ち着いて自分の目的にあった相談先を選びましょう。

今回は、不当解雇にあった際の相談先と対処法、裁判事例などをご紹介します。

不当解雇について弁護士に相談する

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不当解雇の相談先

いきなり解雇を言い渡されると動揺してしまう方がほとんどだと思います。

解雇が理不尽な理由でなされた場合は、解雇処分の撤回を求めたり解雇によって発生した損害を請求したりすることもできます。

不当な理由で解雇を言い渡された際は相談窓口などを利用して、解雇理由が正当なものであるのか、これからどうするのかを考えてみましょう。

「不当解雇」の判断に迷ったら電話相談を利用してみる

いきなり解雇を言い渡されてどうしていいかわからなくなった、解雇が不当かどうか悩んでどうすればいいかわからないという場合は、まずは電話相談を利用してみましょう。

「労働条件ほっとライン」では、労働トラブルが労働基準法や労働契約法などに違反していないかなどの相談にのってくれます。解雇の不当性に悩んだ場合は一度電話相談で話を聞いてもらうのもひとつです。

ハラスメントによる不当解雇は雇用環境均等(部)室

パワハラやセクハラ、マタハラなどによって解雇されたりハラスメントの当事者と疑われて解雇されたりした場合は各都道府県の労働局に設置されている雇用環境均等(部)室に相談することができます。

なお、ハラスメントによる不当解雇を相談する場合はハラスメントの証拠を集めてから相談することをお勧めします。

一方的に解雇された場合は労働基準監督署に相談することも可能

あなたが解雇された理由が、会社の経営不振やあなた自身の落ち度ではない場合は不当解雇の可能性が高いでしょう。労働者に対する不当解雇などの不利益な取り扱いは違法となりますので、労働基準監督署に相談するのも一つです。

労働基準監督署に相談する場合は、勤めている会社が所在する都道府県の労働基準監督署に相談するようにしましょう。

法的措置を見込んで相談をするなら法テラス

解雇理由が明らかに不当である、解雇理由としての正当性が疑われる場合は法テラスに相談してみましょう。法テラスでは、相談内容から適切な相談窓口を案内してくれます。

不当解雇の撤回や損害賠償を訴える場合は弁護士に相談する

会社の行った解雇の効力を争う『地位確認訴訟』を提起することや不当解雇によって働けなくなった期間についての『賃金請求訴訟』を提起したい、という場合は弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に不当解雇を相談した場合は以下のようなことができます。

  • 解雇理由が不当であるとして、解雇の撤回を求める
  • 解雇が無効であるとして,従業員としての地位の確認を求める
  • 解雇により働けなくなった期間についての賃金を請求する
  • 解雇される以前の残業代などの未払い賃金を請求する
  • 解雇理由が不当であったことに対して慰謝料を請求する

不当解雇について弁護士に相談する

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不当解雇の相談事例

会社が労働者を解雇する場合は、正当な理由が必要です。何を持って正当と評価するかは難しい問題ですよね。

法律上は、「客観的合理性」や「社会的相当性」で判断されます。不当解雇で悩まれている方はどのような状況で悩むのでしょうか?この項目では不当解雇の相談事例をご紹介します。

能力不足は解雇理由になるのか?|不当解雇の相談事例

Q.  営業成績の不振を理由に解雇されました。従わなくてはなりませんか?
営業成績が悪いこと(能力不足)を理由とする解雇については,能力不足が著しく向上の見込みが無いこと及び使用者側が充分に解雇を回避する措置をとったこと等が必要とされ,これらを欠いている場合には,違法な解雇となります。

引用元:法テラス|解雇のFAQ

この場合、会社と労働者の間に能力向上や改善などの措置がどこまで行われたかが重要になります。会社側が能力不足を指摘していながらも労働者が努力をしなかった場合は、改善が見られないとして解雇することができます。一方で、会社側が能力不足を知っていながら労働者に対して何も措置を行わなかった場合は不当解雇となります。

「解雇権の濫用」については後の項目「解雇をするには「客観的合理性」または「社会的相当性」が必要」で詳しくご紹介します。

突然解雇はできない|不当解雇の相談事例

Q.  突然解雇されました。まだ働きたいのですが、どうすればいいでしょうか?
解雇する場合は、30日前に予告する必要があります。

引用元:法テラス|解雇のFAQ

ある日突然、「明日から来なくていい」というのは違法です。解雇をする場合は少なくとも30日前に解雇予告を行わなければなりません。

第二十条  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
○2  前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
引用元:労働基準法

当サイトの法律相談Q&Aにも、不当解雇に関する相談が100件以上投稿されています。

個別の質問に弁護士が回答しているため、あなたの不当解雇に近い状況の相談も投稿されている可能性があります。

不当解雇にあてはまる状況とは

不当解雇とは、一般的には法律上正当な解雇と認められない解雇のことをいいます。

どのようなケースが不当解雇となるかは、個別の事情を踏まえて判断する必要がありますが、ここでは一般的に考慮すべき事項を紹介します。

客観的合理性・社会的相当性が認められない理由の解雇は不当

正当な解雇として認められる条件

会社が労働者を解雇するには「客観的合理性」または「社会的相当性」が認められる理由が必要になります。

何をもって客観的合理性・社会的相当性とするかは明確に規定されていないため、会社が都合の良いように解釈として不当解雇が起きてしまうのです。

解雇をするには「客観的合理性」または「社会的相当性」が必要

会社が労働者を解雇するには、解雇理由が「客観的合理性」または「社会的相当性」が認められるかが重要になります。

解雇理由に客観的合理性や社会的相当性が認められない場合は、労働契約法16条による「解雇権の濫用」にあたります。

十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:労働契約法

法律で無効とされる不当解雇

以下のような理由で解雇をした場合は、解雇自体が無効になります。病気療養のために休業をしている方や産前産後休業をしている方は休業期間と復職後30日間は解雇できないとされています。

第十九条  使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
引用元:労働基準法

不当解雇となる解雇理由の具体例

ではどのような解雇理由の場合、不当解雇となる可能性があるのでしょうか。

ここからは不当解雇となる解雇理由の例をご紹介します。

あなたの解雇理由が不当解雇に当たる可能性がないか確認してみましょう。

経営不振などの会社側の事情による解雇

経営不振などの会社側の都合・事情による解雇は一般的にその有効性が厳しく判断されます。具体的には、以下のような事項を総合的に考慮して解雇が正当であるかどうかを判断することになります。

  • 人員削減の必要性の有無・程度
  • 解雇を回避するための努力の有無・程度
  • 解雇対象の選別方法の合理性
  • 解雇に至るまでの手続きの正当性

能力不足・勤務態度不良など労働者側の事情による解雇

労働者の能力不足や勤怠不良を理由とする解雇についても、会社による恣意的な解雇は許されません。

一般的には、労働者側の能力不足や勤務態度不良の程度が深刻であり労使間の信頼関係を著しく毀損するものであること、このような能力不足や勤怠不良について改善可能性が乏しいこと等が認められた場合に限り、解雇は許容されると考えられています。

そのため、以下のような理由による解雇は不当解雇として法律上許容されない可能性があります。

  • 無断欠勤や急な欠勤が2~3回あった。・社風に合わない、コミュニケーションが取りづらい
  • 仕事の進め方や仕事に対する姿勢が気に入らない

不当解雇にあった場合の対処手順

不当解雇に合った場合の対処手順

不当解雇にあった場合は、以下のような手順で対処をします。ここで記載する対処法は、不当解雇を撤回するための「地位確認」や解雇によって働けなくなったなどの「賃金請求」を行う方です。もしも、不当解雇に対して、会社を辞めるという選択をした方は後の項目の「不当解雇する会社は辞めることも考える」で会社を辞める際に確認すべきポイントを記載したのでご覧ください。

会社による解雇に疑問がある場合には、解雇の法的効力を争うことも視野に入れることになります。そのため、この準備として以下のような対応を検討しましょう

  • 会社に対して解雇の具体的理由の説明を求める
  • 会社の解雇理由に対して反論材料となる証拠を収集する

なお、解雇された場合、労働者側は仕事を行うことができなくなりますが、後日、解雇の法的効力が否定された場合には、当該不就労期間中の賃金を会社に請求することができます。

また、解雇されたことをきっかけに、これまで未払いとなっていた残業代の請求をしたいと考える労働者も多いです。

いずれにせよ、不当解雇に対して適切に対応するためには、弁護士のサポートは必須でしょう。会社が労働者を普通解雇する場合、解雇予告を行うことが一般的ですので、当該予告があったらまずは弁護士への相談を検討した方が良いかもしれません。

解雇が不当である旨を会社に書面で送付

不当な理由で解雇をされた場合は、「不利益処分の撤回申込」の書面を作成して会社に送付しましょう。どのような処分を受けたのか、説明された理由のどこに齟齬(そご)があるのかなどを詳しく記載するといいでしょう。

なお、「不利益処分の撤回申込」の書面はいきなり内容証明郵便で送るのではなく、まずは普通郵便で送って会社側の反応を見ましょう。最初に送る書面はあくまで処分の撤回をお願いするための書面と考えてください。

解雇の撤回を求める内容証明郵便を送付

「不利益処分の撤回申込」を送ったのに会社側から何も反応がなかった場合は、解雇理由にこの記事で学んだ法律知識を添えて改めて書面を内容証明郵便で送りましょう。

内容証明郵便とは、郵便局が送った文書の内容を証明してくれるサービスです。解雇理由が不当であるということのポイントとなるのは、以下のことです。

  • 解雇理由に「客観的合理性」・「社会的相当性」が認められない(労働契約法16条)
  • 解雇権の濫用にあたるのではないか
  • 解雇予告の期日が法律に違反しているのではないか(労働基準法20条)

労働審判や民事調停で地位確認を行う

書面を内容証明郵便で送ったのに企業から反応がない場合は、労働審判や民事調停で地位確認を行います。地位確認では解雇を撤回し、その企業の社員であるという地位を確認することになります。

民事調停と労働審判

労働審判は、裁判所で行う労働審判官と労働審判員によって審判を出して解決を図る制度です。また、民事調停は勝ち負けではなく、話し合いによって双方の合意を得て問題解決を図る制度です。労働審判や民事調停では、解雇の撤回を求めたり和解時に示談金という形で処分に対する補償を行ったりします。

民事訴訟で地位確認・賃金請求を行う

労働審判や民事調停で納得のいく結論に至らなかった場合は、民事訴訟に移行します。訴訟の場合は弁護士の力が必要不可欠になりますので、早い段階で相談するようにしてください。

不当解雇の地位確認・慰謝料請求を行った裁判事例

解雇の理由が不当なものであった場合、社員である地位を確認するための主張や損害賠償を請求する裁判を起こすことも可能です。この項目では、実際に地位確認や損害賠償請求を行った事例をご紹介します。

休業後の雇い止めを無効とした裁判事例|地位確認

<日欧産業協力センター事件>

契約社員として働いていた女性社員が第三子出産後のために出産休業を取得した。当初、女性は出産休業取得後は職場復帰を望んでいたが、頼んだベビーシッターが都合により辞めてしまったことから育児休業を取得しなければならなくなった。出産休業、育児休業を続けて取得したとことにより、会社は女性社員に対し育児休業の拒否と雇用の終了を言い渡した。女性社員は、会社に対し雇用終了の無効と損害賠償請求を行なった。

<判決>

出産休業期間とその後30日間は解雇や雇い止めをすることはできないため、雇用契約の解約は無効とされた。損害賠償請求については、棄却となった。

参照元:清文社|日欧産業協力センター事件

相談する前に用意しておくべき2つのもの

相談する前に用意しておくべきものを2つ紹介します。これから紹介するものは、相談後に必要となる可能性がありますので、あらかじめ用意をしておいて損はないでしょう。

解雇された(される)理由がわかるもの

不当解雇かどうかを判断する上では、『解雇になった理由』がとても重要です。解雇になった理由を証明できるものを用意するには以下のような方法があります。

  • 経営者に口頭で確認してそれを録音する
  • 会社宛てに解雇理由をたずねるメールを送信する
  • 解雇理由証明書を発行してもらう

従業員は解雇予告日から退職日までの間、解雇の理由を明らかにする証明書の請求を求めることが可能です。また退職日以降であっても、労働者は退職の事由の一つとして解雇の理由を証明する書面の交付を求めることができます。会社が当該書面の交付を拒否することは、労働基準法違反となり、労働基準監督署による指導・是正勧告の対象となります。

就業規則

会社の就業規則の内容も、解雇が正当か不当かを判断する上では非常に重要です。解雇された理由が就業規則に明記されていないような場合は、解雇に客観的合理的理由がないと評価される可能性もあります。

不当解雇する会社は辞めることも考える

不当解雇は、働き方を見直すきっかけでもあります。理不尽な理由で解雇をするような会社は辞めてしまうというのもひとつの考えです。会社を辞めると決めた場合は、未払いの残業代などがないか確認することをお勧めします。

不当解雇を行う会社では、パワハラなどのハラスメントや未払い残業などの問題を抱えていることがしばしばあります。今までの給与明細などを一度見返して未払いの残業代や労働賃金がないかも確認しましょう。

まとめ

解雇にあった際は、突然のことに動揺してしまいがちですが冷静になって解雇理由に正当性があるかを考え直してみてください。会社が労働者を解雇するには「客観的合理性」・「社会的相当性」がある理由が必要です。理不尽な理由で解雇を行なった場合は不当解雇になり、撤回を求めたり損害賠償を請求したりすることもできます。もしも不当解雇であった場合は、地位確認や損害賠償を請求して、自分が納得できる形で解決できるといいですよね。

この記事で、不当解雇にあった方の手助けができれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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編集部

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