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KL2020・OD・037
日本では人の命はすべての中で最も大切なものと扱われているので、どのような理由であれ殺人を犯せば逮捕を免れることはできないでしょう。
ご存知の通り、殺人罪には重い罰則が待っており、人の生命がかかわる罪ですから慎重に捜査も進められていきます。この記事では殺人罪の刑罰や逮捕の流れについてご紹介していきます。
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目次
殺人罪とは、文字通り人を殺めてしまった際に適用される刑罰です。裁判官の裁量により死刑もしくは5年以上の懲役が科されます
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
引用元:刑法199条
特殊な状況を除けばほとんどの殺人は上記の刑罰が適用されます。殺人とは異なりますが、人又は胎児の生命については例えば犯罪が法定されています(あくまで例示するものであり、全てではありません。)。
同意殺人罪(どういさつじんざい)とは、加害者と被害者の合意の上で実行された殺人に適用される刑罰です。6ヵ月以上7年以下の懲役が科されます。
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
引用元:刑法202条
ただし、被害者が幼いなど殺人の意味を理解できる理非弁別能力がないと見なされるケースだと同意殺人罪は適用されません。その場合だと加害者には上記の殺人罪の刑罰が科されることになります。
堕胎罪(だたいざい)とは、薬物やその他の行為で母体の中の子供を殺すもしくは早流産させて殺した際に適用される刑罰です。1年以下の懲役が科されます。
妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、1年以下の懲役に処する
引用元:刑法212条
母体保護法にのっとった医療機関で行う中絶は例外として扱われるので堕胎罪は適用されません。ただし、妊娠22週目以降の中絶だと堕胎罪が適用される可能性があります。
上記はあくまで刑事的な内容です。民事的には、被害者(被害者遺族)に対して損害賠償をする義務が生じます。下記でその詳細についてご紹介します。
死亡慰謝料とは、遺族が被害者を失った精神的苦痛に対して請求できる慰謝料です。被害者の家庭での立場や遺族の人数によって慰謝料が決定されるので、一概に殺人罪の慰謝料はいくらという規定は存在しません。
ただ一般的には、被害者の死亡(殺人の場合)について請求できる慰謝料額は3,000万円程度と言われています。
逸失利益とは、加害者が生きていたら得られていた利益(給料などの収入)に対する損害賠償です。死亡逸失利益は『被害者の1年あたりの基礎収入 ×(1-生活費控除率) × ライプニッツ係数』で算出されます。
計算方法の詳細は以下の記事をご参考に下さい。
引用元:死亡逸失利益の算定方法
<45歳サラリーマン妻と子供2人扶養、年収600万円の計算式>
『600万円(基礎収入額)』×『1-30%(生活費控除率)』×『13.163(22のライプニッツ係数)』=『5,528万4,600円(逸失利益)』
上記の通り、殺人の損害賠償請求はとても高額です。とは言え、逮捕されて職を失うにも関わらず釈放後にそんな大金を難なく用意できる加害者はほとんど存在しません。そのため、損害賠償が用意できない場合は分割支払いを続けていくことになるでしょう。
そのため、現実的には加害者に対して高額な賠償を求めることは困難なことがほとんどでしょう。
「それでは被害者遺族が泣き寝入りになるのでは?」と思われるかもしれませんが、加害者が損害賠償を支払えない場合、被害者遺族は国から代わりに保障が得られる犯罪被害給付制度(死亡事故:320~2,964.5万円)という救済制度が用意されています。
刑事法では上記の刑罰がそのまま科されるのではなく、上記刑罰の範囲内で事案を加味した刑罰の加重・軽減を考慮した量刑(しょだんけい)が検討されることがあります。また、法定の減免事由が認められれば、法定刑そのものが軽減される可能性もあります。
(例えば、刑法では罪が発覚する前に加害者が自主してきた場合には、その罪を軽減することができる規定が存在します。)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
引用元:刑法42条
情状酌量の例として有名な事件があるので紹介させて頂きます。
詳細:尊属殺法定刑違憲事件
日本では過去に尊属殺人罪という親を殺した際に死刑もしくは無期懲役の罪が与えられる刑罰が存在していましたが、上記の事件をきっかけにこの刑罰は廃止されました。
それまで親の殺害は最も重い刑罰が与えられる重犯罪行為でしたが、親に監禁をされ性的虐待を受けているという状況で至った犯行であったので、その状況で尊属殺人罪の刑罰を与えるのは不当ではないかと声があがり加害者には殺人罪が適用されました。
少年法が適用されるのは20歳以下の未成年ですが、犯罪について定めた刑罰が適用されるのは14歳以上からです。そのため、13歳以下の未成年は殺人をしても刑務所で懲役刑を受けることはありません。
加害者が13歳以下のケースは児童委員から加害者本人と保護者に指導が入り、状況によっては加害者が児童施設等に移されることになります。
未成年でも14歳以上なら責任能力があると判断されるので、殺人を犯せば刑事罰に問われます。14~17歳の最高刑は無期間の懲役ですが、18~19歳の最高刑では死刑判決が下されることもあり得ます。
また14歳未満の未成年が罪を犯した場合、成人と刑罰が確定されるまでの流れが若干異なります。詳細は以下の記事をご参考に下さい。
逮捕されたらまず警察署で取調べを受け、その後は検察署に移されて勾留の手続が取られ、警察での事情聴取が続きます。その後に起訴された場合は、刑事裁判を受けることになり、審理を終えた後判決が下されます。
殺人の刑罰は当然重いです。刑事事件は須らく上記のような流れで進むことになります。なお、刑事手続の中で国選弁護人が選任されますので、対応は弁護人とよく相談しましょう。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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