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KL2020・OD・037
セカンドハラスメント(セカハラ)とは、ハラスメントを同僚や上司などに相談したことによって、被害者が相談相手に責められる、社内で嫌がらせを受けるハラスメントといわれています。会社には労働者から申告があった場合、可能な限り職場環境の改善に努める義務があります。
勇気を出して相談したのに、同僚や上司から「(加害者は)そんなことする人じゃないでしょ」「自分にも原因はないの?」などと被害者を追い詰めるような言い方されたり、「(被害者が)言いがかりをつけている」「労基に駆け込まれるまえに証拠を残させないようにしよう」という報復・隠匿を図られたりすることは、セカハラにあたり違法となる可能性があります。
この記事では、実際にあったセカハラ事例と違法性などについてご紹介します。
目次
セカンドハラスメントとは ハラスメントを同僚、上司に相談したことによって、社内で嫌がらせを受ける、相談者がかえって責め立てられるなど二次被害が起きること。 |
会社側にはハラスメントに対して、防止措置を講ずる義務があります。この項目では、セカンドハラスメントとハラスメントの防止措置義務についてご紹介します。
ハラスメントを真剣に相談したのに、相手にされなかったり、かえって責め立てられたりすると、傷つき自信を失いますよね。
このようなセカンドハラスメントを受けると、被害者はそれ以上の相談がしにくくなり、一人で思い詰めることになります。
「セカハラにあった時の対処方法|社外の相談窓口を利用して早期解決」でも後述しますが、セカンドハラスメントにあった場合は社外の相談機関なども巻き込んで解決させることが重要です。
会社側には、労働者の健康被害を防止する措置や働きやすい環境を整える義務があります。職場環境を整えるために会社(事業主)が講じなければならない義務に関しては労働契約法、労働安全用に規定されています。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
引用元:労働契約法
第七十一条の二 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
一 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
二 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
三 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
引用元:労働安全衛生法
セカンドハラスメントは、ハラスメント問題を悪化・深刻化させるだけでなく法令違反にあたる場合があります。この項目では、パワハラやセクハラなどの代表的なハラスメントのセカンドハラスメントに対する違法性についてご紹介します。
職場状の立場を利用したパワハラの相談をしたのに、対処せずセカンドハラスメントを行なった場合、慰謝料請求や損害賠償請求の対象となる可能性があります。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法
会社側はセクハラに対して、防止措置を講ずる義務があります。セクハラの報告を受けたのに、対処を行わなかった場合は男女雇用機会均等法に違反する可能性があります。
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
引用元:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
マタハラがあったのにも関わらず改善せず、セカンドハラスメントを行なった場合は、育児介護休業法に違反する可能性があります。
第二十三条の二 事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
引用元:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
第三十三条 国は、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因の解消を図るため、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立に関し、事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずるものとする。
引用元:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
この項目ではセカハラの具体例と事例についてご紹介します。セカンドハラスメント問題は、ハラスメント加害者とセカハラ加害者の両者に処分が下されることもあります。
セカンドハラスメントとなり得る発言は以下の通りです(これら発言が直ちに違法であるという趣旨ではありません。)。
このような発言を含め、会社側の対応が杜撰である場合、その点について責任が問われる場合もあります。
<概要> 新聞輸送会社に勤務していた女性社員が、同僚らとの飲食会の後にタクシー内で同僚男性にスカートをめくり上げられるというセクハラ行為を受けた。女性社員は後日、同僚のセクハラ行為について上司に相談したところ、上司は加害者男性に事情確認を行った上で女性社員に対し「行為は理由があってのことであるため、これ以上問題にしないように」との旨を伝えた。その後も女性社員はセクハラ行為を相談したが、上司は取り合わなかった。 女性社員は、労働組合を通して被害申立を行い、加害者男性に慰謝料100万円の請求を行った。 |
<結果> 会社側は、加害者男性に対して慰謝料の支払いを命じた。また、この他に加害者男性と相談に応じなかった上司に対し降格処分を行なった。 |
この事件では、その後、降格された社員らが処分の無効を求め提訴しましたが、棄却されました。
部下や後輩、同僚からハラスメントの相談を受けた際に、被害者の立場を考えないで対応してしまうと、あなた自身がセカンドハラスメントの加害者となってしまう場合があります。
この項目では、セカンドハラスメントを未然に防ぐために必要な心得をお伝えします。
【相談を受けた際にやっていはいけないのこと】
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ハラスメントの相談を受けた際は、相手が思っていることや相手が望んでいる解決策などをなるべく全て聞き出すために「傾聴する」ということを心がけるようにしましょう。
ハラスメントが性的なものであったり、被害者にとって屈辱的なものだったりする場合は被害者・加害者の氏名やハラスメント内容などの公開には配慮が必要になります。
例えば、セクハラ被害など性的なハラスメントの場合は、被害者は社内の人に性的な嫌がらせをされたことを周囲の人に知られたくないものです。周囲の意図がわかる場で「(被害者)が(加害者)に(あらスメント内容)をされた」という発表をするのは配慮に欠けていることになります。
ハラスメントの相談を受けた場合、些細なことでも上席に報告するようにしましょう。あなたの自己判断で止めてしまうと深刻な事態になる可能性もあります。
部下や後輩からのハラスメントの内容が、自分では解決できそうにない場合は必ずさらに上席の人間に相談するようにしましょう。また、社内で解決させるのが難しいそうな場合は、相談者に外部の相談窓口を紹介するのもひとつです。
なお、ハラスメントの申告を受けた会社は、まず事実関係を明確にする必要があります。そのため、いつ、誰が、誰に対し、どのように、何をしたのか具体的な事実関係について、申告者から事情を聴取することから始めましょう。
セカンドハラスメントにあうと、「相談してもどうせ相手にしてもらえないのではないか」とあきらめてしまうことがあるかもしれません。
その場合は、社外の相談窓口を利用しましょう。ハラスメントは労働問題ですので、社外の相談窓口を利用することで、より良い解決方法を見出せる可能性があります。
「ハラスメントの話を聞いてほしい」「対処方法がわからない」という場合は、厚生労働省が運営している労働条件相談ほっとラインを使用することをおすすめします。労働条件相談ほっとラインでは、夜間や休日に無料電話相談を受付けてします。
【労働条件相談ホットライン|厚生労働省】
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社内に相談しても相手にしてもらえない場合は、社外の相談窓口などを利用しましょう。
個人で入れる労働組合や全国労働組合連合などの相談センターを利用するのもひとつです。
セカンドハラスメントにより結果的に働けない状態になってしまったなど、損害が発生した場合は、会社に対して損害賠償請求を行うことも可能です。
弁護士は、ハラスメントに対して、差止要求や損害の請求などを行うことができます。
セカンドハラスメントにあっている方は、「自分が悪いのかもしれない」と自分を責めてしまうことがあります。もちろん、自身の問題を省みる姿勢は大切ですが、自分だけを責めるべきでもありません。
社内でハラスメントについて取り合ってもらえなかったという場合は、社外の相談機関や弁護士などを利用し解決のための行動を起こしましょう。
会社には職場環境を改善させる義務があるため、セカンドハラスメントは極端な言い方をすると会社側の怠慢でしかありません。あなたにとって、「働きやすい環境」つくるためにも、周囲を巻き込んだ解決をしましょう。ただし、ハラスメントが改善された際には、「その分頑張る」という心も忘れないようにしてください。
この記事で、セカンドハラスメントに悩んでいる方の手助けができれば幸いです。
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