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KL2020・OD・037
むち打ち症とは、『頸椎捻挫』や『外傷性頚部症候群』などの診断名で呼ばれる傷病であり、追突事故による衝撃などが原因で、可動域を超えたムチのような揺れを起こして損傷することになりますが、治療を継続しても完治せず後遺症として残るケースもあります。
しかし、むち打ちの症状はレントゲンなどの画像診断では証明できないことが多いため、後遺症(後遺障害)として認めてもらえず、肉体的・精神的苦痛に見合う慰謝料額を請求できないケースがあるようです。
不十分な慰謝料で妥協してしまう被害者の方もいるかもしれませんが、むち打ちの後遺症は決して軽い症状ではなく、今後の生活や仕事にも悪い影響が出てしまうこともあるため、適切な治療を受けて後遺障害等級を獲得するべきでしょう。
そこで今回はむち打ち症の症状や治療方法について説明した上で、慰謝料アップにつながる後遺障害等級認定の申請方法を解説していきます。
目次
むち打ち症は車の追突事故などで起こりやすいケガですが、そもそもどのような原因で頸椎(首)が損傷してしまうのか最初に説明していきたいと思います。
むち打ち症は名称通り、後方や側方より強い衝撃を身体で受ける際に首がムチのような動きをして、頸椎の関節が損傷することを意味します。
※頸椎(けいつい)とは背骨部分(脊椎)の上の部分にある首の骨であり、7つの骨が重なってできています。
後続車に追突されることで身体が強く揺さぶられて、重い頭を支える首に強い負荷がかかってしまうことにより、首の骨の関節(筋肉やじん帯など)が損傷する可能性があるといえます。
むち打ち症では一般的に頸椎捻挫(けいついねんざ)として診断されることが多いですが、具体的には以下表の通り4タイプに分かれます。
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頸椎捻挫型は一般的なタイプのむち打ち症であり、椎間板の損傷やじん帯の断裂によって、首や肩に痛みが生じます。 |
頚椎神経根型 |
頚椎神経根(けいついしんけいこん)型では首だけでなく、腕から指先までに痛みや痺れが生じます。肩や上肢などの末梢神経が上下の頸椎に繋がっており、頸椎の圧迫を受けることで発症します。 |
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脊髄型は首よりも脚の痺れが目立つ症状であり、歩行困難のほか筋力低下、尿や便の出が悪くなったなどの異常があります。 |
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バレリュー症候群型は自律神経の機能障害を原因として、めまいや視力低下、全身のだるさ(倦怠感)など、普段の生活でさえも辛く感じるような症状が考えられます。 |
むち打ち症を負った場合、通院を初めてから完治するまで目安として3ヵ月程度だとされています。また、治療を継続しても治らず後遺症が判断される期間は半年程度です。
参照元:「むち打ち症の適切な通院期間|入通院慰謝料を増額させる方法まとめ」
したがって、治療期間の目安を意識して通院を継続することが重要になりますが、仮にむち打ちの後遺症が残った場合でも、後遺症(または後遺障害)として認められないケースがあるため、その理由について次項で見ていきます。
むち打ちの後遺症が認められない理由について以下でまとめました。なお、本記事では後遺症と後遺障害は同じようなくくりで扱いますが、厳密にいうと以下のような違いがあります。
参照元:「後遺症と後遺障害の違い|後遺障害等級認定を受けやすくなるポイント」
後遺症はより広い意味で利用されており、後遺障害は交通事故による後遺症で慰謝料を獲得するための基準という解釈ができるでしょう。
※慰謝料の詳細については『後遺障害等級の認定で獲得できる慰謝料(アンカーリンク)』で説明します。
後遺症を証明する上で最も有効なのが、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断です。客観的に症状を示す画像診断は他覚的所見と呼ばれるものですが、頸椎の損傷があるかどうかを画像で調べることが難しいとされています。
他覚的所見がない場合でも被害者側が申告する自覚症状があれば、後遺障害として認めてもらえる可能性があります。
参照元:「むち打ちの後遺症で後遺障害等級認定を受けるための5つのポイント」
ただし、ハッキリした自覚症状を伝えないと症状の重さが伝わらず、後遺障害等級認定の申請をしても等級非該当になってしまう可能性が高く、後遺障害診断書などの書面を適切に作成する難しさと手間があります。
他覚的所見以外にも通院実績がむち打ちの後遺症の根拠になりますので、通院期間が半年未満と短いものや、通院期間が長くても実際に病院へ通った日数が少ない場合、後遺障害として認めてもらえないケースがあります。
また、交通事故発生から通院を始めるまでに期間が空いていると、『本当に治療が必要なケガであったのか?』と疑われる要素になるため、たとえ軽い症状であったとしても治療を怠らない方が良いでしょう。
上記の内容を踏まえて、むち打ち症を負った後の適切な対応と治療方法について確認していきましょう。むち打ち症の場合、事故当初は痛みが無くても時間を空いて発症するケースもあるため、交通事故に遭った際は念のため病院へ行くのが良いでしょう。
むち打ちの治療では整骨院(柔道整復師)による施術も有効ですが、後遺症として残った場合のことを考慮すると、整形外科へ通院した方が適切です。
次項でも説明しますが、後遺障害等級の認定申請で必要な書類である後遺障害診断書は医療行為を行う医師でしか書けないものであるため、整骨院で治療をしていた場合は転院の手間がかかってしまいます。
参照元:「後遺障害診断書の書き方|等級認定が受けやすくなる3つのポイント」
むち打ち症で利用されている治療方法は以下の通りです。症状に応じて使い分けられますが、頸椎捻挫では初期の段階であまり動かさないことが重要になるので、マッサージが逆効果になる恐れもあります。
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首を引っ張ることで、脊椎周辺の圧迫を緩和して歪みを治します。 |
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微弱な電流を流すことで神経の働きを調整させます。 |
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痛みや筋肉の緊張を和らげる効果があります。 |
週2~3日程度の通院を3ヵ月以上続けても痛みが取れない場合は、後遺症の可能性が高くなります。担当の医師と相談して、リハビリの計画や治療方法の変更などを決めるようにしましょう。
後遺症の症状が固定するタイミング(症状固定)は、後遺障害等級認定を申請する上で重要なポイントです。症状固定の時期は『後遺症になるまでの期間の目安(アンカーリンク)』で説明したように最低でも半年以上かかるため、医師と話し合って妥当な症状固定日を決めるようにするのが良いと思われます。
参照元:「症状固定は誰が決めるのか|被害者が知るべき症状固定のタイミング」
症状固定すれば治療する必要がない訳ではなく、首や腕などの痛みや痺れが強い場合は治療を継続するべきです。一般的には加害者側に請求できる治療費は症状固定までになりますが、治療の実績があることで後遺障害等級の認定申請が有利に進む可能性があります。
参照元:「症状固定後の示談で被害者が有利に交渉を進めるための方法」
十分な治療を受けた上で、被害者が後遺障害等級認定の申請手続きをする際に生じる疑問について、以下で答えていきたいと思います。
むち打ちの後遺症の症状が固定した後は、適切な額の慰謝料を請求するために後遺障害等級の認定申請を行う流れになります。
後遺障害として認めてもらうには、後遺障害診断書のほか、今までの治療内容を示す診断書や他覚的所見(画像データ)など、むち打ち症の後遺症を客観的に証明する資料が必要になるでしょう。
参照元:「むち打ち症の診断書や後遺障害診断書の作成が必要になる理由まとめ」
後遺障害等級の認定申請では事前認定と被害者請求の2種類があり、簡単に説明すると、
ということになります。事前認定の場合は任意保険会社が必要書類を集めてくれるため被害者(申請者)の負担は少ないですが、むち打ち症のような症状の証明が難しい後遺障害に関しては、自分で資料を請求する被害者請求の方が確実に申請できるでしょう。
【関連記事】
▶「被害者請求のメリットと申請方法|被害者請求がオススメできる理由」
▶「事前認定のメリット・デメリットと事前認定を勧めないワケ」
『むち打ちの後遺症(後遺障害)が認められにくい理由(アンカーリンク)』でも説明したように、画像診断でむち打ちの症状を証明することが難しいケースが多いです。
したがって、むち打ち症を説明する資料が不足していると思った場合は担当の医師へ自覚症状を正確に伝えるほか、検査方法を変えてみることなどを相談するべきでしょう。以下表で記載されている神経学的検査のテストを受けることも重要です。
ジャクソンテスト | 患者の頭部を後ろに曲げながら圧迫させて、痛みや痺れの有無を確認します。 |
スパーリングテスト | ジャクソンテストと類似した検査方法ですが、スパーリングテストは患者の頭部を痛みのある方向へ傾けます。 |
ショルダーデプレッションテスト | 患者の肩を押し下げて頭を逆側に倒すことで、痛みや痺れの有無を確認します。 |
参照元:「むち打ち症が後遺障害等級に認定される5つのポイント」
後遺障害等級認定の申請をした結果、認められず等級非該当の結果になってしまった場合でも再請求が可能なため、等級認定のチャンスは残されています。
ただし、何度でも認定申請はできるものの繰り返し申請手続きをすれば認めてもらえる問題ではありません。新たな検査結果や診断書などの医学的な資料を用意しない限りは、後遺障害等級認定を受けることは難しくなるでしょう。
後遺障害等級の認定方法について一通り説明しましたが、後遺障害等級認定における最大のメリットである慰謝料増額の詳細について、最後に取り上げていきます。
後遺障害等級認定を受けることで得られる可能性のある慰謝料は、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の2種類があります。
後遺障害慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償のことであり、むち打ち症に関する後遺障害等級認定に該当する第12級と第14級の慰謝料相場は以下表の通りです。
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【関連記事】
▶「後遺障害等級12級の症状と認定基準|12級の慰謝料相場まとめ」
▶「後遺障害等級14級の症状と慰謝料|14級の認定基準まとめ」
後遺障害逸失利益は、後遺障害を負ったことによる労働能力喪失によって見込まれる、将来的な収入の減少のことです。
具体的には以下のような計算式で損害賠償金が算出されますが、むち打ち症での労働能力喪失率は他の後遺障害と違い、年数が固定になるケースが多いようです。
<後遺障害逸失利益の計算式>
後遺障害逸失利益=
1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率 × ライプニッツ係数
参照元:「後遺障害逸失利益の算定|賠償金増額のための3つのポイント」
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上記の慰謝料相場を参考に、後遺障害等級認定を受けた場合にどれだけ慰謝料が増額するか、以下でまとめました。算出基準や相場については『後遺障害等級認定で獲得できる慰謝料|相場と計算方法まとめ』の記事をご確認いただければと思います。
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男性(サラリーマン・年収400万円) |
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6ヵ月 |
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裁判所基準(過去の裁判事例を基にした慰謝料相場) |
症状の重さによって後遺障害逸失利益が認められない可能性もありますが、むち打ち症でも上記の図の通り、高額の慰謝料や損害賠償金を請求できるため、後遺障害等級の認定を受けることが非常に重要であるといえるでしょう。
むち打ちの治療法と後遺障害等級の認定で知っておくべきポイントについて正しく把握することで慰謝料増額につながりますが、被害者自身だけの対応が難しい場合は担当の医師だけでなく弁護士に相談するのも大事です。
『むち打ち症が一向に治らないけど、治療法を変えた方がいいのだろうか?』
『任意保険会社より提示された示談金が相場よりも少ないが、反論しても聞いてもらえない』
様々なトラブルや疑問については、専門家の力を借りて解決するようにしましょう。むち打ち症の慰謝料に関する以下の記事もご参考いただければ幸いです。
【関連記事】
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