冤罪とは？身近にある冤罪と疑われたときの対処法

冤罪とは、無実の罪により被疑者・被告人とされてしまうことをいいます。

冤罪と聞くと、痴漢での冤罪を思い浮かべるかもしれませんね。実際、『冤罪』で検索をかけてみると、痴漢冤罪に関するサイトが多くヒットします。

冤罪の入り口と言える、誤認逮捕の数は正式に公表されていないため、冤罪の数を把握することはできません。

しかし、冤罪は意外と身近に存在しているのです。この記事では、どのような場面で発生するのか、もし犯罪を疑われたが冤罪であった場合の対処法などについてご説明します。

意外と身近にある『冤罪』の概要

冤罪は身近なものであると言えます。ある日突然、犯罪者として疑われてしまう可能性は誰しもが抱えており、決してあなたの身に降りかからないとはいえません。

どんな時に『冤罪』が起こるの？

冤罪は様々な悪条件が重なって起きてしまうこともあります。

例えば、“身体を動かすことが難しいほどの満員電車で、偶然手が挟まれ女性の身体に押し付けられる形になってしまい痴漢だと勘違いされ、逮捕されてしまった。

厳しい取調べや、長期間の身柄拘束に耐えられず、嘘の自白をしてしまい有罪判決になった”などが考えられるでしょう。

『無罪』となる確率は限りなく低い？

被告人と起訴されたものの、判決で無罪と認められる確率はどの程度なのでしょうか。

日本での有罪率は非常に高いとされており、起訴された場合統計上は99％以上の確率で有罪となっています。

捜査機関は、証拠や有罪だと断定できる事実がなければ起訴しないため、起訴された場合の有罪率が高いのです。

証拠の乏しい冤罪事件であれば検察が起訴しないということもあり得ますが、それなりに疑わしい証拠がある冤罪事件であれば起訴されることもあるでしょう。

そしてこの場合、最終的に無罪となる可能性は極めて低いというのが実情です。

冤罪であっても実名報道される場合がある

冤罪であった場合でも、犯罪を起こしたとしてニュース・新聞などで実名報道される場合があります。

実名報道がされると、例え冤罪が証明された場合でも社会生活で問題が生じ得ます。

例えば、ネットで検索した際に名前が該当してしまい、就職活動に支障が出ることもあるでしょう。

『冤罪』と『誤認逮捕』って何が違うの？

誤認逮捕とは、やっていない行為で逮捕されてしまったことをいいます。冤罪は、無実なのに有罪判決を受けることです。似ているようですが意味が少し違います。

冤罪といわれる事件として『三鷹バス痴漢事件』があります。三鷹市のバス内で、女子高生の尻に触れ痴漢行為をしたとして男性が逮捕されました。

「リュックと手を間違えたのではないか」と無罪を主張し、状況説明などを行っていましたが、一審では有罪判決。二審での判決により、ようやく無罪を言い渡されたというものです。

誤認逮捕の事例で記憶に新しいのは、2017年に起きたアイドルチケットを巡る詐欺事件の誤認逮捕ではないでしょうか。

専門学生の女性は証拠不十分なまま逮捕され、処分保留で釈放されていました。専門学生の提出した証拠によって誤認逮捕が発覚したということです。

冤罪を未然に防ぐ方法や疑われた際の対処法

冤罪を防ぐにはどのような方法があるのでしょうか。

弁護士を呼ぶ

冤罪を疑われた場合は、すぐに弁護士に連絡をすると良いでしょう。冤罪の場合、被疑者は当然事実を否認しますので、捜査は厳しいものとなります。

このような過酷な取り調べに屈して事実と異なる自白をしてしまえば、それは取り返しのつかない不利な証拠となってしまいます。

このような事態を回避するためにも早めに弁護士に相談し、刑事弁護人としてサポートしてもらうことが重要です。

痴漢保険を検討する

痴漢冤罪に対し、痴漢保険というものがあります。

こちらは、弁護士への相談や損害賠償などを保障してくれるという内容であり、月額を支払うことが条件となっています。

月額と言ってもそこまで高額というわけではないため、内容の比較をしてみて、必要だと思った際は加入を検討してみることもいいかもしれません。

ボイスレコーダーを持参しておく

被害者から犯人である旨指摘された場合、相手の証言や言い分をボイスレコーダーで録音することも対処法として有効でしょう。

被害発生直後の供述内容と、その後の供述内容に食い違いがあれば、被害者供述の信用性が低いとして、慎重な捜査がされることが期待できます。

黙秘権を行使する

警察での取り調べには『黙秘権』というものがあります。これは、自分の不利益になることは話さなくてもよいというものであり、日本国憲法に認められた権利です。

冤罪を晴らそうと話した結果、うまく説明できなかったということもあるかもしれません。また、取り調べで罪を認めるように迫られてしまい本意ではない自白をしてしまう可能性もあります。

このような場合、黙秘権を行使して何も語らないという選択肢も検討に値します。

再審制度を活用する

再審制度というものがあります。真犯人が見つかったときなどに、「この裁判をやり直して判決を変えなければならない」と判断されたときに開かれることがあります。

その件数は多いと言えませんが、再審が認められた場合、無罪判決を言い渡される可能性もあります。

もし冤罪で逮捕されてしまったら…

もし冤罪で逮捕されてしまったときは、弁護士に相談することを強くおすすめします。

例えば誤認逮捕された場合、身柄拘束は長期に及び、社会復帰が困難となるなど大きな不利益が生じます。

法的な知識が乏しいまま裁判に挑んでも、望んだ結果にならない可能性が高くなるでしょう。

依頼できる弁護士は３種類です。

冤罪が争われた事件

ここでは冤罪が争われた事件についてご紹介しましょう。

袴田事件

強盗殺人、放火、窃盗の疑いをかけられた男性が逮捕され、再審請求中の事件です。

島田事件

1954年、当時5歳だった少女が殺害されたという事件です。この時逮捕された男性は1989年に無罪が言い渡されました。

その後、この男性は裁判員裁判の候補者に選ばれましたが、「裁判所は信用できない」として辞退したそうです。

鹿児島・強姦事件

強姦の罪に問われた男が逮捕された事件です。1審では実刑判決を言い渡されていましたが、証拠とされていたDNAが第三者のものであるとして、2審では無罪判決を言い渡しました。

冤罪とはいえ、無罪を証明するためには時間がかかることがおわかりいただけるでしょう。

誰しもが犯罪に巻き込まれる可能性があります。冤罪を疑われた際は、弁護士をつけるなどしてできるだけ早く疑いを晴らしたいところです。

まとめ

冤罪は身近にあるものです。

しかし、冤罪であっても一度逮捕されて起訴されてしまうと、無実を証明することが難しいこともあります。冤罪と疑われたときは、早期に弁護士へ相談しましょう。